アキャルックス点滴静注が世界初の光免疫療法で頭頸部がんに実用化。特徴や作用機序!

薬剤師のしぐです。

抗がん剤治療に関連する内容をこれまでもいくつか書いてきました。

治療薬に関する内容がコチラ

副作用に関する内容がコチラ

作用点概要やオススメ資料がコチラ

最後に、調剤報酬関連での内容がコチラ

今回の内容は、新規承認を得られた光免疫療法用薬アキャルックスについて!

「光免疫療法」という治療法が、世界初なんだとか!さらにさらに、アキャルックスは、楽天メディカル初の医薬品でもあるんですねー。

ではでは、新規承認薬、抗体薬物複合体のアキャルックスについて、光免疫療法の概要も一緒にまとめていきます。

アキャルックス点滴静注の有効成分

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)

セツキシマブ!ここでCmabが出てきました。

ただのセツキシマブであれば、結腸・直腸癌や頭頸部癌に適応のある〈アービタックス注射液〉

今回の〈アキャルックス点滴静注〉は「EGFRを標的とするモノクローナル抗体のセツキシマブ」に「光感受性物質であるフタロシアニン誘導体」を結合させることにより違った作用を示す抗体薬物複合体になります。

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)〈アキャルックス点滴静注〉の作用機序

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)〈アキャルックス点滴静注〉はがん細胞を壊死させる新しい局所治療に用いる医薬品。同剤投与後に専用のレーザ照射システムでレーザ光を病巣部位に照射すると、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合した同剤が励起され、腫瘍細胞を傷害する。

頭頸部がんのがん細胞の表面上に高いレベルで発現するタンパク質「ヒト上皮細胞成長因子受容体(EGFR)」に選択的にアキャルックスが結合する。EGFRに結合したアキャルックスに光を照射するとがん細胞の表面に傷がついてそこから水が入り、膨張したのちに破裂して壊死してしまうという機序になります。

簡単にまとめると、「光を当てることでがん細胞だけを壊死させる」ということですね。

なんだか、商品名の「アキャルックス」というネーミングも、どこか【光】を連想させる感じ、ステキなネーミングですよね。

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)〈アキャルックス点滴静注〉の適応、効能効果

切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)〈アキャルックス点滴静注〉の用法用量

通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウムとして1日1回640mg/㎡(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後に、専用のレーザ照射システムを用いて波長690nmのレーザ光を病巣部位に照射する。

これにより、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合した同剤が励起され、腫瘍細胞を傷害するというわけですね。

専用のレーザ照射システム「BioBlade(バイオブレード)レーザシステム」も9月2日付で承認されたようです。

同剤投与下におけるレーザ光照射(光免疫療法)は、ニボルマブ〈オプジーボ〉やセツキシマブ〈アービタックス〉などによる治療が行われている切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん患者が対象となる。

アキャルックスの作用機序「光免疫療法」とは

手術、抗がん剤、放射線、免疫治療薬に続く「第五のがん治療」と言われる「光免疫療法」が世界に先駆け、日本で実用化されることになります。

光免疫療法とは、特殊な化学物質をがん細胞に集積させ、その物質に光を当てることでがん細胞だけを壊死させる、まったく新しい治療法。

楽天の子会社、楽天メディカルジャパンは9月25日、厚生労働省の承認を取得し29日に都内で記者会見を行いました。

セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組8換え)〈アキャルックス点滴静注〉の今後

 一般的には医薬品として承認されると60日から90日後には薬価が決まり、保険収載される。年内には国内の病院で「アキャルックス」と「バイオブレード」を使った治療が始まることになりそうだ。

まったく新しいがん治療が日本で始まるのは画期的なことだが、今回、治療の対象になるのは再発頭頸部がんのみ。従来のがん治療とは手法が異なるため、専用の機器が設置され、トレーニングを受けた医師がいる病院でしか治療は受けられない。

楽天メディカル社長も、今後は国立がん研究センターと提携し「医師がトレーニングを受けられる施設を増やしていく」というが、インフラ整備には時間がかかると見られる。

楽天メディカルがこの治療法を「イルミノックス・プラットフォーム」と名付けたのは、「アキャルックス」に続く化学物質を見つけ、頭頸部がん以外のがんにもこの治療法を広げていく計画があるからだ。

「アキャルックス」はEGFRを発現しているがん細胞にしか結合できない。EGFRを発現するのは、がん全体の約2割で「EGFRを発現しないがん細胞にも結合する抗体を見つけること」が次の課題だという。

すでにいくつかの候補物質が見つかっている。楽天メディカルが次に挑戦するのは、再発転移性頭頸部扁平上皮がんなどになりそうだそうです!

とりあえず、今回はこんな感じ。

抗がん剤治療の領域もまたこのアキャルックス点滴静注をきっかけに新しい1歩を進み始めた感じがあります。

免疫チェックポイント阻害薬も比較的新しい作用機序な印象ですが、今後の治療ガイドラインの流れの変化に注目が集まっていきそうです。

また詳細決まり次第追記していきます!

ではではーしぐでしたっ

コメント

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