薬剤師のしぐです。
冬になると呼吸器疾患の患者さんには「寒くなりましたが、体調はお変わりないですか?」と聞くことが多くなります。
寒くなることで、気管支は収縮し、気温差に過敏になることで呼吸器疾患を悪化させる患者さんが多いからです。
呼吸器疾患として思いつくのが「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の2つ。
この「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」治療に必ず必要になってくる吸入剤。
今回は、そんな吸入剤の中から新しく気管支喘息の適応が追加になり、それに伴い新規格発売となる「テリルジーエリプタ」についてまとめていきます!
ちなみにコチラ、以前まとめたことのある「シムビコート吸入剤のGE・ブデホル吸入」の内容。
では、まとめていきます。
テリルジーエリプタの適応・効能効果
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
現時点では、テリルジーの適応はこのCOPDのみです。
なんと、呼吸器疾患の中だけでみるとCOPDによる医療費が3割になるんだとか!
ここに、気管支喘息が適応追加になるというわけですね!
テリルジーエリプタの用法用量
通常、成人にはテリルジー100エリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg、ウメクリジニウムとして62.5μg及びビランテロールとして25μg)を1日1回吸入投与する。
テリルジーエリプタの禁忌
次の患者には投与しないこと
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある。]
- 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を悪化させるおそれがある。]
- 前立腺肥大等による排尿障害がある患者[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。][9.1
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
テリルジーエリプタ交付時の注意
テリルジーエリプタ吸入前
- 患者に使用説明書を渡し、使用方法を十分に説明すること
- 本剤は防湿のためアルミ包装されているので、使用開始直前にアルミ包装を開封するよう指導すること。
テリルジーエリプタ吸入時
本剤は口腔内への吸入投与にのみ使用すること(内服しても効果はみられない)。
テリルジーエリプタ吸入後
本剤吸入後に、うがいを実施するよう患者を指導すること(口腔咽頭カンジダ症又は嗄声の予防のため)。ただし、うがいが困難な患者には、うがいではなく、口腔内をすすぐよう指導すること。
テリルジーエリプタの作用機序
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)は合成コルチコステロイドの一種(ICS)であり、炎症性サイトカイン産生の抑制、抗炎症蛋白発現の促進、上皮細胞の保護及び好酸球浸潤の抑制等の作用を介して抗炎症作用を示す。
ウメクリジニウム臭化物(UMEC)
ウメクリジニウム臭化物(UMEC)は長時間作用性の選択的ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)であり、気管支平滑筋に存在するムスカリン受容体へのアセチルコリンの結合を競合的に阻害することにより気管支平滑筋収縮を抑制する。
ビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)
ビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)は長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA)であり、アデニル酸シクラーゼを活性化し細胞内の環状アデノシン一リン酸を増加させることで、気管支平滑筋を弛緩させる。
テリルジーエリプタ:エリプタ製剤の使用法
エリプタ製剤の使用説明書より、外観がコチラ。
テリルジーエリプタ:エリプタ製剤の特徴
エリプタ製剤は、カバーを開ける1ステップで吸入準備がが完了し、1日1回で薬効が得られます。カウンターの文字が大きく、みやすいというのも大きな特徴です。
エリプタ製剤の使用手順
- 「カチッ」と音がするまでカバーを開ける
- 「フーッ」と息を吐き出す
- マウスピース(吸入口)全体をしっかりくわえ、思いっきり「スーーーッ」と深く吸い込む
- 吸入器から口を離し3〜4秒程度、息を止める
- ゆっくりと息を吐き、いつも通りに呼吸をする
- 吸入後はうがいをする
エリプタ製剤使用上の注意点
- カバーを「カチッ」と開けるたびに薬剤はセットされる。吸入を行わない状態で開閉を繰り返すと、1回分以上はセットされずにデバイス内の廃棄容器に廃棄されていく。残薬カウンターも開閉のたびに減っていくため、残薬カウンター通りの残薬となるように設計されている。
- 残薬カウンターが0になると、開閉して「カチッ」と音がしても薬剤はセットされない。
- マウスピースの近くにある通気口を指や唇で塞がないように注意する
- アルミ包装から開封後6週間までは安定なので、6週間以内に使用する。
- 水洗い厳禁
今回は簡単に、こんな感じ。
吸入指導加算の新設で、吸入薬指導に関しても結構細かく質問されることが増えています。
今後、エリプタ製剤やレスピマット製剤、ディスカス製剤なんかのデバイスごとに使用上の注意点まとめてみようかな。
ではではーしぐでしたっ
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