オテズラとは?スターターパックの飲み方と肝機能障害の追加|薬局で確認したいこと

薬剤師のしぐです。
オテズラ錠(一般名:アプレミラスト)の電子添文が、2026年9月に改訂されました。今回、重大な副作用に「肝機能障害(頻度不明)」が加わり、投与開始前と投与中の定期的な肝機能検査が「重要な基本的注意」に明記されています。
オテズラと聞くと、薬局ではまず「あのスターターパック」を思い浮かべるかもしれません。飲み始めの5日間は朝夕で規格が変わり、6日目から30mgを朝夕に飲む。処方入力も説明も、一度立ち止まって確認したくなる薬です。
今回は、そもそも何の薬なのか、なぜ少しずつ増やすのか、そして今回の改訂で薬局の確認がどう変わるのか、順に整理します。
オテズラとは?飲み薬のPDE4阻害剤
オテズラは、細胞内のホスホジエステラーゼ4(PDE4)を阻害する経口薬です。細胞内のcAMP濃度を高め、炎症に関わる物質の産生を間接的に調節すると考えられています。皮膚だけを塗って治す薬ではなく、炎症性疾患に対する全身治療の選択肢です。
2026年9月時点の国内の効能・効果は、次の4つです。
| 効能・効果 | 処方時に意識したい点 |
|---|---|
| 局所療法で効果不十分な尋常性乾癬 | 外用だけでは十分に抑えられない皮疹 |
| 乾癬性関節炎 | 皮膚に加え、関節症状も確認 |
| 局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症 | 手のひら・足裏の膿疱や小水疱。2025年3月に適応追加 |
| 局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍 | 口腔潰瘍の痛みや食事への影響も確認 |
「乾癬の薬」という印象が強いものの、現在は掌蹠膿疱症やベーチェット病にも使われます。薬歴に病名が見えなくても、何を改善するための処方かを患者さんとの会話から把握したいところです。

最初から30mgを朝夕に飲まない理由
通常の維持量は1回30mgを1日2回、朝夕です。ただし、開始初日からこの量を飲むわけではありません。漸増せずに開始すると悪心・下痢・嘔吐などの発現率が高くなることが示されており、最初の5日間は段階的に増量します。
| 服用日 | 朝 | 夕 |
|---|---|---|
| 1日目 | 10mg | なし |
| 2日目 | 10mg | 10mg |
| 3日目 | 10mg | 20mg |
| 4日目 | 20mg | 20mg |
| 5日目 | 20mg | 30mg |
| 6日目以降 | 30mg | 30mg |
「少しずつ増やす」は単なる飲みやすさの工夫ではなく、副作用を減らすための用法です。初回処方が30mgの朝夕だけになっていないかは、薬局でも見逃せません。

スターターパックは何日分?処方箋にはどう書く?
スターターパックは14日分で、10mgが4錠、20mgが4錠、30mgが19錠の計27錠です。最初の5日間の漸増分に加え、6~14日目の30mg朝夕も含みます。翌回は通常、30mg錠を継続する流れになります。

ここは実務上の落とし穴です。メーカーの処方時資料では、処方箋に「オテズラ錠スターターパック」とだけ記載して処方することはできず、規格・用法・日数を明記すると案内しています。「スターターパック」は備考欄への記載が可能です。レセコン上のセット登録と、実際の処方箋・調剤内容が一致しているか確認しましょう。

患者さんには「箱の順番に沿って飲み、飲み始めの日付を決める」「初日は朝だけ」「翌日以降は朝夕で量が変わる」と伝えると、表だけ渡すよりイメージしやすくなります。飲み忘れ後に自己判断で2回分をまとめたり、増量を前倒ししたりしないよう、迷った時の連絡先も添えておきたいですね。
なお、重度の腎機能障害(Cockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス30mL/min未満)では減量を考慮します。30mgを1日1回とする場合、開始時は朝の用量のみ投与する扱いです。通常のスターターパックの朝夕をそのまま当てはめないよう注意が必要です。

今回のビッグニュース:肝機能障害が重大な副作用に追加
2026年9月改訂の電子添文では、「8.重要な基本的注意」に、投与開始前および投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する旨が追加されました。「11.1重大な副作用」にも肝機能障害(頻度不明)が追加されています。
ここで混同したくないのは、今回の改訂は肝機能障害への注意と定期的な検査を明記したもので、電子添文には「開始後何週間ごと」といった一律の検査間隔や、具体的な中止基準までは示されていないことです。処方医の検査計画を確認し、薬局からも症状を拾うことが大切になります。
すでに長く服用している患者さんも対象です。「飲み始めだけ気をつければよい」ではありません。継続処方時に最近の採血予定や結果、他院処方・サプリメントの追加を確認する視点が増えました。
薬局で確認したい副作用とフォローアップ
開始直後は下痢、悪心、頭痛、食欲の低下に目が向きます。水分がとれない、下痢が強い、体重が減ってきたといった変化は早めに処方元へ共有したい症状です。重度の下痢は重大な副作用にも記載されています。
今回の改訂を踏まえると、倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸、尿の色が濃いなど、肝機能障害を疑う変化も聞き取ります。ただし、症状だけでは早期に気づけないこともあるため、定期的な採血の代わりにはなりません。異常が疑われる時は自己判断で様子見せず、速やかに医療機関へ連絡するよう案内します。
加えて、重篤な感染症、重篤な過敏症にも注意が必要です。気分の落ち込みや不眠なども、患者さんが自分から薬との関係を話しにくいことがあります。薬局でのフォローは「下痢は大丈夫ですか?」だけで終わらせず、生活の変化まで短く聞くのが実務的です。
併用薬では、リファンピシン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトインなどのCYP3A4誘導薬による効果減弱に注意します。また、妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌です。妊娠可能な女性には、投与中と最終投与後48時間の避妊について電子添文に記載があります。

初回と継続、薬局での確認項目を分ける
初回処方では、適応・開始日、漸増スケジュール、スターターパックと処方内容の整合、腎機能、妊娠の可能性、併用薬、開始前の肝機能検査と次の採血予定を確認します。説明後には「明日の朝と夕は何mgですか?」と患者さんに確認してもらうと、飲み方の食い違いを拾いやすくなります。
継続処方では、消化器症状と体重、皮膚・関節・口腔潰瘍など治療目標の変化、気分や感染症状、肝機能検査の実施状況を確認します。効果が見えない時も、自己判断で終了する前に医師と治療計画を相談します。乾癬・乾癬性関節炎では通常24週以内、掌蹠膿疱症では通常16週以内の治療反応が電子添文上の再評価の目安です。

つまり、こういうこと!
オテズラは「最初の飲み方が複雑な薬」であり、今回の改訂で「飲み続ける間の肝機能確認も欠かせない薬」としての意識が強まりました。スターターパックで安全に始め、下痢・悪心をフォローし、検査と体調の変化を継続して確認する。処方箋を正しく調剤するだけでなく、患者さんが治療を続けられるよう支えるところに、保険薬局の役割があります。
よくある質問
Q. スターターパックだけで何日分ですか?
14日分です。最初の5日間は段階的に増量し、6~14日目は30mgを朝夕に服用します。
Q. 最初から30mgを朝夕に飲んでもよいですか?
いいえ。漸増せずに始めると悪心・下痢・嘔吐などが増えるため、指定されたスケジュールを守ります。
Q. 肝機能障害が追加されたので、オテズラを中止すべきですか?
一律に中止するという改訂ではありません。投与前と投与中の定期的な検査、体調の確認が求められています。異常がある場合は処方医に相談してください。
Q. 食前・食後の指定はありますか?
食事による薬物動態への影響は認められておらず、食前・食後いずれも可能です。ただし、処方された飲み方に従ってください。


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