オラパリブ〈リムパーザ〉服薬指導時に注意。日本病院薬剤師会から注意喚起の通知

抗がん剤

薬剤師のしぐです。

今回は抗がん剤について!その中でも、自分の薬局でも処方箋をお持ちいただいてる「リムパーザ錠」についてです。

自分の薬局では現在2名、服用患者さんがいらっしゃいます。

このリムパーザ錠。先日日本病院薬剤師会からこのような「服薬指導に関する通知」がでました。

たしかに、ただでさえ疾患名や体調変化に気を使うがん患者さんなのに、さらにそのがんが遺伝性となったらどれだけ心身ともに大変なことか。

今回はそんな通知がでた「リムパーザ」についてまとめるよ。

以前まとめてある抗がん剤治療の学習にオススメな書籍たちはこれだ!の内容はこちら

リムパーザの有効成分

有効成分はオラパリブ

アストラゼネカさんと、MSDさんが販売を行っている医薬品です。

オラパリブ(リムパーザ)の効能効果

リムパーザ錠の効能効果は下記3つです。

  • 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法
  • BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法
  • がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の〜」っていうのも、結果的には「BRCA遺伝子変異陽性」であることと同理由。詳細は作用機序で説明してます!

オラパリブ(リムパーザ)の用法用量

通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法用量に関連する使用上の注意

100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際には100mg錠を使用しないこと。

本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、休薬・減量すること。

副作用発現時の用量調節基準

副作用程度注)処置再開時の投与量
貧血ヘモグロビン値がGrade3又は4の場合ヘモグロビン値≧9g/dlに回復するまで最大4週間休薬する。1回目の再開の場合、減量せずに投与する。
2回目の再開の場合、250mg1日2回で投与する。
3回目の再開の場合、200mg1日2回で投与する。
好中球減少Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬する。同上
血小板減少Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで最大4週間休薬する。減量せずに投与する。
上記以外の副作用Grade3又は4の場合Grade1以下に回復するまで休薬する。同上

注)GradeはNCI-CTCAE ver4.0に準じる。

腎機能障害のある患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。

他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法の場合、本剤の投与開始後2年が経過した時点で完全奏効が得られている患者においては、本剤の投与を中止すること。

ちなみに、自分の薬局で服用している患者さんのうち1名は300mg/回スタートだったのですが、Hb値の低下で2度休薬・減量し、今は200mg/回での継続で落ち着いています。

BRCA遺伝子について

BRCA遺伝子とは。その働き

BRCA遺伝子は、誰もが持っている遺伝子の1つで、DNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。

傷ついたDNAを修復するがん抑制タンパク質を生み出す遺伝子ってことですね。

からだの設計図であるDNAは、健康な人でも紫外線や化学物質などの刺激によって日常的に傷つけられています。

しかし、通常の細胞には、BRCA遺伝子などの傷ついたDNAを修復する機能が備わっています。そのため、DNAの傷は修復されて、がん化は抑えられています。このDNAの修復で重要な働きをしているのが、BRCA遺伝子です。

BRCA1、BRCA2における特定の遺伝子変異は女性の乳がんと卵巣がんのリスクを特に著しく高め、さらにその他のタイプのがんのリスク増加とも関連しています。

遺伝的にBRCA1、2に変異のある人は、ない人と比較して若い年代で乳がんおよび卵巣がんを発症しやすくなる傾向にあります。

詳細はアストラゼネカさんのこのサイトがわかりやすいです!
https://www.nyugan.jp/heredity/connexion.html

BRCA1およびBRCA2は損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。

これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。

その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります

BRCA遺伝子の遺伝

BRCA1またはBRCA2変異は両親のどちらかから受け継ぐことが考えられます。いずれかの遺伝子に変異のある親から生まれた子供には、50%の確率(2回に1回の確率)でその変異を受け継ぐ可能性があります。BRCA1、BRCA2遺伝子に変異がある場合、二本鎖のもう片方の遺伝子が正常であっても、変異の影響を受けます。

有害なBRCA1、BRCA2変異を受け継いだ女性では、乳がんや卵巣がん、あるいはその両方を一生のうちに発症するリスクは大幅に高くなります。

乳がん:一般集団の女性の約12%が一生のうちに乳がんを発症します。一方、最近実施された大規模な研究では有害なBRCA1変異を受け継いだ女性の約72%、BRCA2変異を受け継いだ女性の約69%が80歳までに乳がんを発症すると推定されています。

一般集団の女性と同様、有害なBRCA1、2変異のある女性は乳がんの診断を受けてから何年かのうちに原発性対側乳がんを発症するリスクも高く、最初に乳がんと診断されて20年以内にもう片方に乳がんが発症するのはBRCA1変異を受け継いだ女性が約40%、BRCA2を受け継いだ女性では約26%と推定されています。

卵巣がん:一般集団の女性の約1.3%が一生のうちに卵巣がんを発症します。一方、有害なBRCA1変異を受け継ぐ女性の約44%、BRCA2の約17%が80歳までに卵巣がんを発症すると推計されています。

オラパリブ(リムパーザ)の作用機序

リムパーザの作用機序は、PARP(パープ)阻害です。

PARP(パープ)とは
PARPとは、ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼの略。DNAの一本鎖修復に関与する酵素のことです。

BRCA遺伝子変異相同組換え修復の欠損(DNA二本鎖修復異常の状態になります。

リムパーザは二本鎖を有する腫瘍細胞において、DNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の分子標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、一本鎖DNAの修復を阻止することで、二本鎖DNAの切断を起こし、がん細胞を死滅させます。

このリムパーザによるPARP阻害作用はBRCA遺伝子変異のあるがん細胞に特異的に効果を示します

ようするに、BRCA遺伝子変異によるがん細胞内でリムパーザががん細胞の細胞死を引き起こす流れがこんな感じですね。

① BRCA遺伝子変異があると二本鎖DNA修復で異常が起こり損傷を受けた細胞ががん化する

② BRCA遺伝子変異によるがん細胞では二本鎖DNA修復ができない

③ 一本鎖DNA切断を修復するPARPを阻害することで二本鎖DNA切断に至る

④ 二本鎖DNA切断を修復できないので、がん細胞の細胞死に至る

ちなみに、白金製剤の抗悪性腫瘍作用は「DNAに架け橋をつくり、二本鎖 DNAを切断すること」によります。なので、白金製剤に感受性があるということはBRCA遺伝子での二本鎖DNA修復が行われていないことが間接的にわかるってことですね。

オラパリブ服用時に注意が必要な副作用

高頻度で副作用が見られます。

主な副作用は、悪心(70%)、貧血(35%)、疲労(40%)、嘔吐(25%)、味覚異常(20%)等であった。

減量基準になっている、貧血・好中球数・血小板数には特に十分な注意が必要です。

重篤な副作用とその初期症状

骨髄抑制

  • 青あざができやすい
  • 歯茎の出血や鼻血
  • 発熱
  • 喉の痛み
  • 皮膚・粘膜が青白くなる
  • 疲労感
  • 動悸
  • 息切れ
  • ふらつき
  • 血尿

骨髄抑制についてまとめた内容がコチラ!

間質性肺炎

  • 息切れ
  • 空咳
  • 発熱

リムパーザ錠各規格の薬価

  • リムパーザ錠100mg:4070円/錠
  • リムパーザ錠150mg:6042.4円/錠

すごく高額ですね。

どちらも56錠包装しかないので、100mg1箱でも227,920円

150mgだと338,374.4円。何かあって廃棄になったら給料無くなるよね。リアルに。

オラパリブ(リムパーザ)の禁忌

オラパリブに過敏症のある患者

けっこうビックリしたのが禁忌はこれだけ。定番の、これだけ。

オラパリブ(リムパーザ)の慎重投与

重度の肝機能障害のある患者

腎機能障害のある患者

軽度腎機能障害患者(CCr51〜80mL/min)では腎機能正常患者と比較してCmaxが15%、AUCが24%高くなる。

中度腎機能障害患者(CCr31〜50mL/min)では腎機能正常患者と比較してCmaxが26%、AUCが44%高くなる。

米国の添付文書では軽度腎機能障害患者への用量調節は不要であるが、中度腎機能障害患者では200mg/回を1日2回投与が推奨されている。

妊婦への投与

安全性は確立していないので投与しないことを原則とする。やむを得ず投与する場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

授乳婦への投与

授乳を回避させる

今回はこんな感じですーー。

服薬指導の際は細心の注意が必要なお薬。遺伝性のがんの治療薬。

まだ不十分な内容なので、随時更新していきます。

ではでは、しぐでしたっ

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