薬剤師のしぐです。
特定薬剤管理指導加算2の制度が4月から始まってもう4ヶ月が経ちました。
先日自分の薬局での集計をかけたところ、計70件、特定薬剤管理指導加算2を算定することができていました!大型病院門前薬局のための加算。薬局スタッフ一丸となって取り組んでおります。
みなさんはこの特定薬剤管理指導加算2に関わることがありましたか?ここ数ヶ月、自分の薬局の近隣では、この特定薬剤管理指導加算2の施設基準となる研修会や勉強会が立て続けに開催されています。
加算算定にあたっての基礎となる抗がん剤の知識を深めるために、今回も抗がん剤の新薬についてまとめていきます!
今回はペミガチニブ〈ペマジール〉について!
新規転移性胆管がん治療薬が承認申請されたので、その概要になります。
さらに、今回自分が注目している内容が「米インサイトの日本進出」ってとこですかねー。最後にまとめてあるので、そこまでお付き合いください〜
ペマジールの有効成分
ペミガチニブ
〜ニブなので、キナーゼ阻害薬(低分子阻害薬)ですね。
商品名が〈ペマジール〉。
これまでまとめたことのある「〜ニブ:低分子阻害薬」はコチラ
ちなみに、「〜マブ:モノクローナル抗体」はコチラ
成分名だけでお薬の構造だったりわかるんですよね〜
ペミガチニブ〈ペマジール〉の適応、効能効果
FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行または転移性胆管がん
胆管がん。てことですね。
胆管がんの概要
簡単に、胆管がんの概要の要点だけ。
ちなみに、「胆管」とは、肝臓から十二指腸までの胆汁(肝臓でつくられた消化液)の通り道のこと。肝臓の中を走る胆管は肝内胆管と呼び、肝臓の外に出てから乳頭部の手前までを肝外胆管と呼びます。
胆管を原発とするがんを胆管がんといいます。
- 胆道がんはがん種別罹患数では13番
- 胆道がんはがん種別死亡者数では6番と予後不良
この胆管がんとなると、くくりがなかなか難しくなります。肝臓以外の胆道系を原発とする胆道がんは、さらに発生部位によって胆管がん・胆嚢がん・および乳頭部がんに分類されます。
FGFR2融合遺伝子とは
線維芽細胞増殖因子受容体のことをFGFRといいます。そのサブタイプのことですね。
哺乳類の線維芽細胞増殖因子受容体ファミリーはFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4の4種類からなり、一般的には「分裂促進因子」としての作用が主となります。
チロシンキナーゼやEGFR、HERみたいな感じってことですね。
ペミガチニブ〈ペマジール〉米インサイトが日本での承認申請
米インサイトがこのペミガチニブ〈ペマジール〉を日本での販売承認申請を行いました。
詳細がコチラの案内。
米インサイト、胆管がん治療薬ペミガチニブを日本で承認申請。
米国インサイト社は9月14日、胆管がん治療に用いる選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬・ペミガチニブを日本で承認申請したと発表した。
同社製品はこれまで、ノバルティスやイーライリリーが権利を取得して日本市場に導入されているが、ペミガチニブはインサイトの日本法人が自社販売する方針。
ペミガチニブは今回、日本で、「FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行または転移性胆管がん」の治療薬として承認申請された。同剤は今回申請した適応症で、厚労省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。インサイトは2021年中の承認取得・上市を予定している。
ペミガチニブは、FGFR のアイソフォーム1、2、3に対する選択的な経口阻害薬。非臨床試験では、FGFR 変異を有するがん細胞に対する選択的な薬理活性を示したという。米国では今年4月、FDA承認の検査法によりFGFR2融合遺伝子または遺伝子再構成が検出され、治療歴を有する、切除不能な局所進行または転移性胆管がんの成人患者の治療薬として承認された。
現在、製品名ペマジール(Pemazyre)として販売されている。
なお、インサイト製品のうち既に国内導入されているのは、経口JAK阻害薬ルキソリチニブ〈ジャカビ錠〉、経口MET阻害薬カブマチニブ〈タブレクタ錠〉、経口JAK阻害薬バリシチニブ〈オルミエント錠〉の計3剤。ルキソリチニブ〈ジャカビ錠〉とカブマチニブ〈タブレクタ錠〉の製造販売元はノバルティスファーマ、バリシチニブ〈オルミエント錠〉は日本イーライリリーとなる。
米国食品医薬品局(FDA)は、治療歴があり、FDA承認の検査で検出された線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)融合またはその他の再構成を有する切除不能な局所進行または転移を有する成人胆管がん患者の治療薬としてペミガチニブ(販売名:PEMAZYRE、Incyte Corporation社)を迅速承認した。
また、FDAは患者選択のためのコンパニオン診断薬としてFoundationOne CDX(Foundation Medicine, Inc.社)を承認した。
多施設共同非盲検単群試験であるFIGHT-202(NCT02924376)において、FGFR2遺伝子融合または再構成を有し(中央検査室で実施された臨床試験アッセイ)、1回以上の前治療中または前治療後に疾患進行が認められた切除不能な局所進行または転移を有する胆管がん患者107人を対象に有効性が検討された。
患者は、ペミガチニブ13.5 mgを1日1回14日間連続して経口投与され、その後7日間休薬した。
主要有効性評価項目は、RECIST 1.1を用いて独立審査委員会が判定した全奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。107人中、ORRは36%(95%信頼区間[CI]:27%~45%)であり、そのうち3人が完全奏効を示した。DOR中央値は9.1カ月で、奏効した38人の患者のうち24人(63%)で6カ月以上奏効が持続し、7人(18%)で12カ月以上奏効が持続した。
ペミガチニブに最もよくみられた副作用(発生率20%以上)は、高リン血症、脱毛症、下痢、爪毒性、疲労、味覚異常、吐気、便秘、口内炎、ドライアイ、口渇、食欲減退、嘔吐、関節痛、腹痛、低リン血症、背部痛、皮膚乾燥であった。
ペミガチニブの重要なリスクとしては、眼毒性と高リン血症が挙げられる。
ペミガチニブの推奨用量は、21日を1サイクルとして1日1回13.5 mgを14日間連続して経口投与し、その後7日間休薬する。
コンパニオン診断薬とは
コンパニオン診断薬について、コチラ中外さんのホームページで丸わかりなので、ぜひみてみてください。
→ https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/phc/phcp07.html
要するに、個別化治療を行うにあたって、この治療薬が最も適しているか判断するための薬。
みたいな感じかな。
米インサイトの日本法人による自社販売
さて、自分が気になっている部分がここ。
今まで他企業に販売権利を渡していたこの米インサイトが日本市場に進出してくるとなると、これまで他販売販売していた商品はどうなってしまうのだろうか。
経口JAK阻害薬ルキソリチニブ〈ジャカビ錠〉、経口JAK阻害薬バリシチニブ〈オルミエント錠〉といったら自分の薬局でも比較的目にする高額医薬品。関連する内容がコチラ。
1番困るのが、この販売会社変更に伴い「返品不可」になってしまうこと。
いや、そりゃ継続して服用してらっしゃる患者さん分の在庫は確保しておかなきゃいけないので、もし処方変更になったら、、、ね?返品が必要になってしまいます。
不動在庫ほど、怖いものはない。
ルキソリチニブ〈ジャカビ錠〉なんて、1人分で200万円近く、在庫が必要になりますからね、、、。
今回はこんな感じー。
少し話題はズレちゃったけど、1番は新規胆管がん治療薬が承認申請されてますということ!
米インサイトの動向も気になりますよね。
数年前に日本進出してきた「ギリアドさん」のおかげで、治療内容や治療薬、治療成績など現場の流れをガラッと変わった事例が分野もありますからね。すごくいいことですよね。
ではではーしぐでしたっ
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