イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の作用機序や特徴!ブルトン型とは

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薬剤師のしぐです。

新人の薬剤師さんに質問されることで、はっきりと答えられず、ハッとすることってたくさんありますよね。むしろ、新人の薬剤師さんたちは国試のためにすごく細かいところまでお勉強した上での疑問なので、下手なこと言えませんよね、、、。

そこで、今回新人薬剤師さんに相談された内容で、はっきりと答えられなかったこと。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の作用機序である「ブルトン型チロシンキナーゼ」の「ブルトン型」とはなんなのか。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の概要や作用機序から、例のブルトンについてまでまとめていきたいと思います!

既にご存知の方も、復習の意味も含めて見てみてください。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の有効成分

イブルチニブ

「〜ニブ」なので作用点がキナーゼ阻害薬であることはすぐにわかりますね。

以前もこの「分子標的薬の命名法」については別の内容でかるく紹介してます。

ちなみに、命名法などの基礎的なところについて細かく記載されているのがこちらの書籍です。

基礎の基礎から理解していきたい方は、この「抗がん剤おさらい帳」からお勉強を始めると、すごく抗がん剤の知識の土台が出来上がります。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の適応・効能効果

  • 慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
  • 再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉:小リンパ球性リンパ腫とは

小リンパ球性リンパ腫(Small Lymphocytic Lymphoma:SLL)は、血液中のリンパ球の数が5,000/μL未満血液中の赤血球・白血球・血小板の減少がなく病変のある場所が主にリンパ節で末梢血や骨髄への浸潤がない状態です。

さらに、腫瘍細胞がリンパ節の中で増殖するために起こるリンパ節腫脹がある場合に小リンパ球性リンパ腫と診断されます。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉:マントル細胞リンパ腫とは

マントル細胞リンパ腫(Mantle Cell Lymphoma:MCL)は、悪性リンパ腫の種類の1つで、白血球の一種であるリンパ球の中のB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫です。リンパ節内のマントルという部分にあるリンパ球の中のB細胞ががんになったものです。

月単位で病気が進行する血液がんで、「中悪性度」に分類されます。

日本における現在のMCL患者数は約1,600人と推定され、悪性リンパ腫の3%程度です。発症年齢中央値は60歳代半ば~70歳で男性に多いとされています。

生存期間の中央値は3~4年で治癒が難しく、既存の薬物治療後に病勢進行が認められた患者さんに対する有効な治療法は限られています。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の用法用量

用法用量については、わかりやすいお薬。

3カプセルか、4カプセルかの違いだけですね。

慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)

通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫

通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の用法用量における注意点

Grade 3以上の副作用が発現した場合には、Grade 1以下に回復するまで本剤を休薬すること。再開する場合には、以下の目安を参考に減量又は中止すること。CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。

回復後の再開時投与量回復後の再開時投与量
発現回数慢性リンパ性白血病マントル細胞リンパ腫
1回1日1回420mg1日1回560mg
2回1日1回280mg1日1回420mg
3回1日1回140mg1日1回280mg
4回投与中止投与中止

ボリコナゾールと併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、イブルチニブとして140mgを1日1回経口投与すること。

このボリコナゾールとの相互作用については、禁忌・薬物相互作用の項目に記載してるので後半まで見てみてね。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の重要な基本的注意

  • 本剤投与時に外科的処置に伴う大量出血が報告されていることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては本剤の投与中断を考慮すること。
  • 肺炎、敗血症等の重篤な感染症や日和見感染が発現又は悪化することがあり、B型肝炎ウイルス、結核、帯状疱疹等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
  • 貧血、好中球減少症、血小板減少症等の重篤な骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行うこと。
  • 重篤な不整脈が発現又は悪化することがあるので、本剤投与に際しては定期的に心機能検査(十二誘導心電図検査等)を行うこと。
  • 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  • 肝不全、ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に肝機能検査を行うこと。
  • 間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状を十分に観察すること。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の食事による影響

健康成人にイブルチニブ560mgを絶食時及び食前30分に経口投与し、経口投与の2時間後に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ、2.9%(90%CI:2.1〜3.9%)及び7.6%(90%CI:6.4〜9.0%)であった。

健康成人にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUClastは、食前30分、食後30分又は食後2時間に投与したときと比較して絶食時にはそれぞれ約30〜40%及び約60%に低下した。

再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUC0-24hは、食事の30分以上前又は2時間以上後に経口投与(modified fasting投与)したときと比較して絶食時にはそれぞれ約40%及び約60〜70%に低下した。

明らかに、食事の影響受けてるよね。

用法用量では食事に関する記載がないので、服用する際は食事の前後などしっかり服用タイミングを固定する必要がありそうです!!

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の作用機序

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の分類は「ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤」です。

ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s Tyrosine Kinase: BTK)は、B細胞性腫瘍の発症、増殖等に関与するB細胞受容体(BCR)、及びB細胞の遊走、接着等に関与するケモカイン受容体の下流に位置するシグナル分子です。

イブルチニブ〈イムブルビカ〉は、BTKの活性部位にあるシステイン残基(Cys-481)と共有結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害し腫瘍細胞の生存シグナルを阻害することで抗悪性腫瘍効果を発現します。

2020.8時点で、このイブルチニブ〈イムブルビカ〉は国内唯一のBTK阻害剤となっています。

ブルトン型チロシンキナーゼとは

ブルトン型チロシンキナーゼ は1993年に発見されました。

この「ブルトン型」というのが、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)が関与している原発性免疫不全症候群の1つであるX連鎖無ガンマグロブリン血症の研究者であったオグデン・ブルトンさんの名前を取って命名されたと言われています。

ブルトンさん。ブルトン型チロシンキナーゼの由来は、まさかの人の名前!ということですね。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の禁忌

  • ケトコナゾール〈経口薬は日本未発売〉※概要ならニゾラールですね。
  • イトラコナゾール〈イトリゾール〉
  • クラリスロマイシン〈クラリス、クラリシッド〉

ここの禁忌でも現れました。

クラリスロマイシン!!

ネームバリューと、使われる頻度。そこを加味するとホントに禁忌が多くて怖いお薬になりましたよねー。このクラリスさん。

ケトコナゾールとの薬物相互作用

健康成人(18例)にCYP3Aの阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤:国内未発売)400mg(4〜9日目に投与)とイブルチニブ120mg及び40mg(それぞれ1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約29及び24倍増加した。(外国人データ)

ボリコナゾールとの薬物相互作用

B細胞性腫瘍患者(26例)にCYP3Aの阻害作用を有するボリコナゾール200mg 1日2回とイブルチニブ140mg 1日1回を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約6.7及び5.7倍増加した。(外国人データ)

エリスロマイシンとの薬物相互作用

B細胞性腫瘍患者(25例)にCYP3Aの阻害作用を有するエリスロマイシン500mg 1日3回とイブルチニブ140mg 1日1回を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.4及び3.0倍増加した(外国人データ)

リファンピシンとの薬物相互作用

健康成人(18例)にCYP3Aの誘導作用を有するリファンピシン600mg(4〜13日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び11日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約1/13及び1/10以下に減少した(外国人データ)

その他相互作用

健康成人(8例)にCYP3Aの阻害作用を有するグレープフルーツジュースとイブルチニブ140mgを併用投与(非絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.6及び2.1倍増加した(外国人データ)

クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼムとの推定薬物相互作用

イブルチニブ140mgとCYP3A阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン及びジルチアゼムを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約15、11及び4.4倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A阻害作用を有するフルボキサミン及びアジスロマイシンを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1.7及び1.5倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1/6及び1/3に減少することが推定された。

イブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉の薬価

イムブルビカカプセル140mg:10134.8円/カプセル

久しぶりですね、1カプセルで1,0000円を超えてくる医薬品。

自分の薬局には慢性リンパ性白血病の患者さん、マントル細胞リンパ腫の患者さん計3名ほど継続服用されています。

薬局としての売上、在庫管理ともに重要な薬剤となっています。

今回はこんな感じですねー。

余談ですが、このイムブルビカカプセル、すごく、大きいんですよね。

添付文書に記載のイムブルビカカプセルのサイズがこちら。

見てください。1円玉の直径と、同じくらい、、、。これを、1回4カプセル、、、。発症年齢中央値60歳代半ば~70歳。

うーむ。調剤薬局薬剤師としては、副作用の確認と同じくらいアドヒアランスの確認も重要になりそうなこのお薬。

何年か前までは前立腺癌治療薬エンザルタミド〈イクスタンジ〉はカプセルしかなくて、その大きさで服用できない患者さんから何度か相談を受けていました。

大切なお薬だからこそ、重要なアドヒアランス。

このイブルチニブ〈イムブルビカカプセル〉も今後の改善に期待ですね。

ではではーしぐでしたっ

コメント

  1. […] […]

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