薬剤師のしぐです。
今回は大鵬薬品さんから販売されているアロキシ静注について!
4月の調剤報酬改定で1番の目玉「特定薬剤管理指導加算2」。
調剤薬局ではこの特定薬剤管理指導加算2ですが、病院での目玉は「連携充実加算」です。
そして、この両方の加算に関連する「院内で使用しているレジメン」。今回紹介する「アロキシ静注」は結構な頻度で使用されていると思います。
そんなアロキシ静注について、2020.6に大鵬薬品さんが「小児の用法・用量を追加する」として承認申請を行ったと発表しました。
今や院内治療で使用する薬剤も把握しておく必要がでてきたので、少しずつまとめていきたいです!
アロキシ静注の有効成分
パロノセトロン
〜セトロンなので、作用機序も「5-HT3受容体拮抗薬」であることもわかりますね!
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の適応・効能効果
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)
自分的にはこの遅発期というのがポイント。
半減期が40時間あるため、抗がん剤投与後数日で現れる消化器症状に、院内で投与するこのアロキシ静注で対応できるというわけです。
まあでも半減期が40時間なので、数日は、もたないですよね。
なので、院内でアロキシ静注後も他の吐気止めが処方されることが多いです。
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の用法用量
通常、成人にはパロノセトロンとして0.75mgを1日1回静注又は点滴静注する。
用法用量における注意点
- 抗悪性腫瘍剤投与前に投与を終了すること。
- 本剤の消失半減期は約40時間であり、短期間に反復投与を行うと過度に血中濃度が上昇するおそれがある。1週間未満の間隔で本剤をがん患者へ反復投与した経験はないため、短期間での反復投与は避けること。
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の作用機序
5-HT3受容体において選択的な拮抗作用を示す。
がん薬物療法による悪心(吐き気)・嘔吐は主に4種類(急性、遅発性、予期性、突出性)に分類される。この中で、抗がん薬投与後の数時間以内に起こり24時間以内に消失するものを急性悪心・嘔吐といい、抗がん薬投与後24時間以降に起こり数日間続くものを遅延性悪心・嘔吐という。
抗がん薬による悪心・嘔吐の仕組みには「抗がん薬が脳のCTZ(化学受容器引金帯)というものを刺激し、その刺激が延髄の嘔吐中枢に伝わることで起こる仕組み」や「抗がん薬により消化管の細胞から伝達物質のセロトニンが分泌され、これが消化管にあるセロトニンの受容体(5-HT3受容体)に作用することで延髄の嘔吐中枢を刺激する仕組み」などがある。なお、脳のCTZには5-HT3受容体などが存在する。
本剤は5-HT3受容体へ拮抗作用をあらわし嘔吐中枢への刺激の伝達を阻害することで、抗がん薬投与による急性や遅延性の悪心・嘔吐を抑える作用をあらわす。
コチラ、別の作用機序での制吐剤イメンドカプセルについて
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の特徴
中等度リスク催吐性薬剤の第一選択薬です。
ちなみに、中リスク催吐性薬剤の例がコチラ。よくみかけるものだけですが。
中等度(催吐性)リスク(moderate emetic risk): 30~90%の患者に発現する
- カルボプラチン
- イリノテカン
- エピルビシン(<90 mg/m2)
- オキサリプラチン
- シクロホスファミド(<1,500 mg/m2)
- シタラビン(>200 mg/m2)
- ドキソルビシン(<60 mg/m2)
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
のみですね。5-HT3受容体拮抗薬ですからね。
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の薬価
- アロキシ静注0.75mg:14937円/瓶
- アロキシ点滴静注バッグ0.75:15130円/袋
パロノセトロン〈アロキシ静注〉の小児用量
大鵬薬品さんが小児の用法・用量の追加に関する承認申請を行いました。
今回の小児用法の追加申請に用いたフェーズ3試験は、パロノセトロンとして20μg/kg(上限1.50mg)を1日1回静脈内投与するとの用法・用量で実施した。
パロノセトロン〈アロキシ点滴静注〉について、その他
大鵬はアロキシをスイスのヘルシン・ヘルスケア社から導入。
2010.1にアロキシ静注0.75mg、2012.8にバッグ製剤の承認を取得し、販売している。
2019年の国内売上は155億円(前年比5.4%増)だった。なお、同剤は19年7月現在、世界86か国で承認されている。
今回はこんな感じですねー
これまでまとめてきた抗がん剤関連の内容がコチラ
調剤薬局は、院内での抗がん剤治療の副作用フォローを求められる時代になっています。
副作用の概要からその対処法等々、またまとめていきますねー
ではではーしぐでした
抗がん剤の副作用の学習にはこの本がすごくわかりやすかったです!
各副作用ごとに、グレードで症状を解説してくれていたり、その副作用が起きる原因・理由などしっかりまとめてくれています。
副作用に特化して作成された、わかりやすい参考書でした。
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