糖尿病治療!インスリン使用法一覧 カーボカウント〜BPT療法

薬剤師のしぐです。

今回は、先日初めて処方を受けたインスリンの使い方について!
いつも通りのインスリン処方の下に、「スライディング療法として」とのコメントがありました。・・・・ん?スライディング??

自分はサッカーが大好きです。自分と同世代のこの男、大久保嘉人。
若い頃はなかなかの暴れん坊でしたが、年を重ねるごとに成熟して、確実なストライカーになってくれました。

というわけで、今回はいろんなインスリンの使い方をご紹介します〜〜

とりあえず、以前も書いたことのある「BPT療法」についてまずはこちらもみてみてね
https://shg11710blog.com/bptとゾルトファイ配合注

ちなみにこの疾患別Q&A1「糖尿病」は糖尿病のお勉強にとてもオススメです!

2014年の発売で、SGLT2阻害薬あたりの新しめのものには対応できてないところだけ少し残念ですが、、、。

スライデイングスケール(前向き用量調節)

インスリン投与前に測定する血糖値に基づいてその時に注射するインスリンの量を調節する方法

医師があらかじめ病気の状態・血糖値の変動パターン・体重あたりのインスリン必要量等からその時の血糖値に応じたインスリン量を決めて目安表としておきます。

患者さんは4~8時間ごとに血糖自己測定し測定された血糖値に応じてこのスライディングスケールに従ったインスリン量を注射します。

あらかじめ測定した血糖値の範囲に基づいた投与量が決められているので、その時々の糖質の摂取量、運動量、1回前に投与したインスリン量などの要因の変化には対応しておらず、測定した血糖値の数値のみでインスリン量が決められます

1番のメリットとして、シックデイの時や救急外来、食事摂取ができない時、手術前後、ステロイド使用時など、通常とは異なった特殊な環境における高血糖時に即座に対応できます。

こういった緊急時などは、そのつど血糖自己測定を行ってその血糖値に従ってインスリンを追加投与することができるのでスライディングスケールを用いた前向き用量調節がよいとされています。

次に、問題点。

下記3つが問題点と言われています。

・食事やその後の運動といった予定を考慮せずに、血糖値の変動の動向も考慮することなく「その時点での血糖値」のみでインスリン量が決まってしまう
・血糖値が上昇してからの対応になるので、安定化が困難
・血糖値が乱高下を繰り返して収束せず、かえって血糖コントロールを悪化させることもある

責任インスリン法(後ろ向き用量調節)

インスリン療法では、注射したインスリン量がその後の血糖値の変動を決定づけます。そして、そのとき測定された血糖値に最も影響を与えるインスリンのことを責任インスリンといいます。

たとえば、超速効型または速効型インスリンを毎食前に注射していれば、昼食前の血糖値に対する責任インスリンは朝食前に注射した超速効型または速効型インスリンということになります。

後ろ向き用量調節は、この責任インスリンに着目した現在の血糖値に最も影響を与えるインスリン量を調節する方法で、2、3日間の血糖値の変動の傾向をみて責任インスリンの次回の注射量を決めて血糖コントロールを図ります。

具体的には、前日の血糖変動を参照にして当日のインスリン量を決定する、といった感じ。

血糖値が安定していて、インスリン調節のコツがつかめれば生活リズムの変更にあわせて血糖測定時間を工夫して測定回数を減らすこともできます。

血糖値に影響する急性疾患の合併がなく、血統コントロールが安定した外来糖尿病患者に用いられる方法です。

カーボカウント

カーボカウントは、炭水化物を多く含む食品を認識し食後血糖値への炭水化物量の影響を患者さんが学んでいく過程で糖尿病治療の基礎知識としてとても有用な考え方です。

炭水化物(カーボハイドレート)の量を計算(カウント)する。が語源です。

カーボカウ ントは炭水化物量をカウントすることでインスリン量を調節します。カーボカウントは糖質制限 食と同じように、「食後血糖を上げやすいのは糖質なので、これを管理する」という点では共通した考え方をしていますが、カーボカウントは糖質を制限するのではなく必要な炭水化物量に応じてインスリン量を調節し、血糖コントロールするものです。

炭水化物量に主に注目して、その量と血糖値から食前のインスリン量を決定することで、ある程度自由度を持った食生活が可能となります。

強化インスリン療法

1日に4〜5回インスリン注射を行い血糖コントロールを図る方法。持効型か中間型インスリンにより基礎分泌を、超速効か速効型インスリンにより追加分泌を補う。

1型糖尿病で主に採用されているインスリン療法で、最初に選択される治療法。血糖自己測定(SMBG)を併用したインスリンの頻回注射が原則的に選択される。強化インスリン療法は、現在では可能な限り健康な人の血糖の動きに近づけることができる理想的な治療法ともいわれています。

インスリン頻回注射は、医師の指示に従い、患者自身がインスリンの注射量を決められた範囲で調節しながら良好な血糖コントロールを目指す方法です。基本的には食事している患者では各食前、就寝前の1日4回血糖測定し、各食前に速効型インスリンを、就寝前に時効型インスリンの1日4回のタイミングで皮下注射を行います。

持続皮下インスリン注入療法(CSII)

インスリン強化療法でコントロール不良の場合や、妊婦、小児〜思春期の1型糖尿病は持続皮下インスリン注入療法(CSⅡ)が採用されます。

CSIIのことを、インスリンポンプ療法とも呼びます。

CSIIは、体の外に小型のポンプを取り付けて、腹部の皮下に留置した針・チューブから超速効型または速効型インスリンを持続的に注入して健康な人のインスリン分泌を模倣する投与方法です。

持続型インスリンよりもはるかに血糖値変動を予測しやすい超速効型インスリンを24時間を通じて注射する携帯型の小型機を用いて注射ことができ、容量の微調節も可能で正確です。

電動で持続的に基礎分泌分のインスリンを注入し、各食前には手動で追加注入を行います。皮下に長くインスリンが留まることがなく、夜間の低血糖などのリスクが低いとされています。

世界で2億人以上が糖尿病と診断され、およそ100万人がCSIIを使用しています。世界的には増加傾向でほとんどが1型糖尿病患者ですが、2型糖尿病患者も含まれています。日本においてはまだ認知度も低く、普及率も低いのが現状です。

BPT療法

BPT(Basal-supported Prandial GLP- 1RA Therapy)とは、GLP-1受容体作動薬基礎分泌を補う持続型インスリン製剤を1日1回同じタイミングで注射する併用療法です。

BOTによって空腹時血糖値は下がっても食後血糖値がなかなか下がらない場合、BOTからBPTにステップアップすることで、空腹時血糖値と食後血糖値の両方の改善が期待できます。

また、GLP-1受容体作動薬特有の体重減少作用も期待できます。

比較的まだ新しい療法で、BOTで血糖コントロール不良の患者さんんが、強化インスリン療法の前段階として用いることが多いみたいです。強化インスリン療法での頻回投与が負担で、血糖コントロール不良になっている患者さんも、BPT療法に切り替えることで良好な血糖コントロールが得られることがあるようです。

インスリン製剤の保管について

以前リリーさんからいただいたことのある「インスリン製剤の保管について」のお知らせがコチラです。

ポイントはこの2点!

  • 30℃以下の室温で保管
  • 直射日光を避ける

インスリン製剤全般での注意点ですね

こんな感じですねーーー。
なんか、もっとサクッと書くつもりだったのですが意外とボリューム出ちゃいました、、、。

自分のまとめる力のなさを実感します、、、。

GLP-1作動薬で1番処方量が多いトルリシティについてまとめたのがコチラ

ちなみに、1型糖尿病患者さんには若い患者さんも多く、あまり詳細を聞かれることをよく思わない方も多い印象です。服薬指導の際は患者背景や患者さんがどう持っているのか、どんな話が必要か等より注意して説明する必要がありますよね。

糖尿病関連の内容まとめたもの、貼っときますね。
少し寄り道した内容なんかも書いてるので、みてみてね。

https://shg11710blog.com/糖尿病治療の新薬ゾルトファイ配合注③-特徴・注/
https://shg11710blog.com/最新の血糖測定器について/

ではではーーーしぐでしたっ

最後に紹介したいのがコチラ!

最近自分が気に入ってるレシピプラス糖尿病治療で用いられる注射剤特集

インスリンから GLP-1作動薬の各デバイスの使い方や、プレフィルド製剤の使い方までまとめてくれています。

薬についての説明に加えて、使用方法についても説明が必要になる注射製剤。

とてもわかりやすく、詳しくまとまってるのでとてもオススメです!!

コメント

  1. […] ビクトーザ関連のブログも一緒にのっけときます。最近話題のGLP-1受容体作動薬を含むBPT療法も入ってるインスリンの使用法一覧です!→ https://shg11710blog.com/insulin-directions-bpt/ […]

  2. […] ちなみに、このゾルトファイ配合注がバッチリドンピシャなBPT療法を含めたインスリンの使用法一覧をまとめました。みてみてくださいねーー→ https://shg11710blog.com/insulin-directions-bpt/ […]

  3. […] 【さらに追記】BPT療法を含めたインスリンの使い方一覧をまとめました!→ https://shg11710blog.com/insulin-directions-bpt/ […]

  4. […] 【追記】BPT療法を含めたインスリンの使い方一覧をまとめたよーーー!みてみてね→ https://shg11710blog.com/insulin-directions-bpt/ […]

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