薬剤師のしぐです。
今回は、麻薬です。オキシコンチンTR錠について!!
the・麻薬ですね。オキシコンチン。
がん治療では疼痛管理に使用される医療用麻薬。がん認定薬剤師を目指す薬剤師さんであれば、麻薬による疼痛管理についても学ばざるを得ません。
以前医療用じゃないほうの麻薬についてもかるく書いてるので、こちらもよかったらどーぞ。
ってなわけで、TRやらNXやらあるオキシコドン徐放錠についてまとめてくよー
オキシコドン〈オキシコンチンTR錠〉とは
まず、昔からあるオキシコンチン錠との違いは、TR錠になってること。
このTR錠には、まずTime Releaseの頭文字の意味合いがあります。が。
実はこのTRには、本来別の意味の言葉の頭文字だったんですよね。知ってましたか??
その本来の単語・その意味が、、、なんとド忘れしてしまいました。
今シオノギさんに確認中なので、少々お待ちください。
教えてもらいしだいすぐ更新しますので。
このTR錠の開発の経緯は、「乱用防止」のためなんですよね。
分割したり、粉砕したりできないように設計されていて、粉末にして悪用する、、、といった処方以外での使用が困難な設計になっています。
GEのオキシコドン徐放錠NXについては後半に書くので、最後までお付き合いくださいねーー
オキシコドン〈オキシコンチンTR錠〉効能効果
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
オキシコドン〈オキシコンチンTR錠〉の用法用量
通常,成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10〜80mgを2回に分割経口投与する。なお,症状に応じて適宜増減する。
オキシコンチンTR錠各規格の薬価
麻薬って、意外と高いんだよね。意外と、ね。
- TR5mg錠:134円/錠
- TR10mg錠:250.5円/錠
- TR20mg錠:464.5円/錠
- TR40mg錠:848.5円/錠
オキシコドン〈オキシコンチンTR錠〉の重要な基本的注意
本剤は徐放性製剤であることから,急激な血中濃度の上昇による重篤な副作用の発現を避けるため、服用に際して割ったり、砕いたり、あるいはかみ砕かないよう患者に指導すること。
本剤は乱用防止を目的とした製剤であり、水を含むとゲル化するため、舐めたり、ぬらしたりせず、口に入れた後は速やかに十分な水でそのまま飲み込むよう患者に指導すること。
嚥下が困難な患者及び消化管狭窄を伴う疾患を有する患者では、嚥下障害及び消化管閉塞のリスクが高まるため、本剤以外の鎮痛薬を使用することを考慮し、やむを得ず本剤を使用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。
本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。
本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと。
オキシコドン徐放錠NXとは
オキシコンチンTR錠のGEです。
今のところ、販売は「第一三共」さんのみみたい。
↑ていうか、最近のGEってクオリティー高くないですか?
ヒートにいろんな情報印字してくれてるし。
錠剤への薬品名の印字も結構当たり前にやってくれるし。
先発品よりも手が込んでるところが多々ある気がする。企業努力ですよね!!!
ここで気になるのがNXね。
「乱用防止」のために、TR錠は「割ったり、粉砕できないような硬度に固めた」製剤なのに対し、このオキシコドン徐放錠NXは「麻薬成分であるオキシコドンと拮抗する成分であるナロキソンを付加し、内服以外の方法で体内に投与するとオキシコドンと拮抗し、麻薬としての効果がなくなる」ように設計された製剤なんです。
「オキシコドンとしての効果」がなくなるので、鎮痛作用もなくなるみたい。
というわけで、ナロキソンのアルファベットから、NXね。
スゴイ技術だよねー!!
第一三共さん。ホントにビックリしましたฅ(๑⊙д⊙๑)ฅ
細かい機序については、添付文書にも記載があります。
要するに、「内服で服用すると、肝臓でナロキソンは代謝されて、オキシコドンの作用だけ」なのに対し、「静脈注射するとナロキソンは代謝されず、オキシコドンに拮抗してオキシコドンの効果をなくしてしまう」ってこと。
結果的に、「乱用防止」になる製剤であればTR錠のGEとして認められるってことだねー。
ってかこの「錠剤を粉砕して静脈注射してしまう」乱用の仕方は日本では全くないんだって。海外でそういった報告があるので、その対策としてこういった乱用防止製剤を作るに至ったんだとか。
製薬メーカーさんは大変だ、、、。
薬価
- NX5mg錠:97円/錠
- NX10mg錠:180.1円/錠
- NX20mg錠:327.9円/錠
- NX40mg錠:599.3円/錠
ナロキソンとは
実はこのナロキソン、ナロキソンという成分での医薬品もあるんです!!
点滴静注なんですけどね。
ナロキソン点滴静注
ナロキソン (Naloxone) とはオピオイド拮抗薬の一つである。オピオイドの過剰摂取などで呼吸抑制作用によって呼吸困難を起こしている場合に静脈注射することで、オピオイドの作用と拮抗して呼吸を回復させることができる。
オピオイド受容体のアンタゴニストとして作用し、特にμ受容体との親和性が高く、呼吸抑制や縮瞳の回復に役立つ。点滴静注で投与すると2分以内に薬効が出現する。筋肉内投与の場合も5分以内である。効果は30分から1時間で消失するので、オピオイドの効果持続時間がナロキソンよりも長い場合には反復投与が必要となる。
ってわけで、やっぱりオキシコドンの過量投与の拮抗薬として使われるんですね。
こんなナロキソンを「内服以外の方法で体内に投与した時のみ」効果が現れるように配合してるってことですね。
オキシコンチン TR錠とオキシコドン徐放錠NXのまとめ
- TR錠は「割ったり粉砕できないように硬くした」製剤
- NX錠は「粉砕等し静脈注射を行った場合にオキシコドンと拮抗するナロキソンを付加している」製剤
今回はこんな感じですねーーー。
自分の薬局ではここ数年、どんどん麻薬使用患者が増えてます。
やっぱりそれだけ癌患者が増えてるんだなーーって印象。
調剤報酬改定でのがん患者への特定薬剤服用管理指導加算についてはコチラ!
譲受証や帳簿管理など、調剤にもいろいろ気を使う麻薬。
覚えることがたくさんあって大変です。
麻薬服用患者さんに服薬指導する際は、抗がん剤の知識も必要になってきますよね!
ではではーーーしぐでしたっ
コメント
はじめまして。
NX錠は「割ったり粉砕すると麻薬としての効果をなくしてしまうように設計された」製剤ではなく注射等から摂取するとオキシコドンとナロキソンが拮抗するように設計された製剤です。
ナロキソンは肝臓で代謝されるため経口摂取の場合その効果を発揮しません。
ところがこの製剤を注射から体内に取り入れるとナロキソンは代謝されず体内でオキシコドンと拮抗します。
このようにたとえ粉砕しようが噛み砕こうが経口摂取の場合は「オキシコドン」としての効果を発揮します。
薬剤師を名乗ってブログを書かれるならぜひ正しい情報を発信していただきたいと思います。
失礼いたします。
こんにちは。
ご指摘いただきありがとうございます。
スゴく理にかなったご説明ありがとございます!
たしかに通りすがりの薬剤師さんのご説明通りでもとても納得のいく内容かと思いますが、自分が直接第一三共エスファの担当者さんに確認した内容と異なってくるため、もう一度確認してみます。
しばし、お時間をください、、、。
また、趣味程度に、自分の学んだことを書いてるブログであるため間違ってる内容もあるかもしれません。
今回のようにご指導いただけたら幸いです。
今後とも、何卒よろしくお願いします
丁寧な返信ありがとうございます。
エスファの担当者様がそのようにおっしゃっていたんですか?!
ぜひとも詳しい内容をうかがいたいので確認がとれましたらまたブログで発信していただければ幸いです。
ちなみに最初にコメントした内容ですが、ソースはオキシコドン徐放錠nxの添付文書となります。
一度こちらもご確認いただければと思います。
日々の業務の合間に学んだ内容を発信される姿勢は同業者としてとても尊敬します。
人間なので正しくない情報を発信してしまうこともあるかと存じます。
しかし趣味とはいえ「薬剤師として」学んだ内容を発信するのでしたらせめて添付文書やインタビューフォームには目を通していただきたいです。
たしかに誰でも簡便に情報を発信できるようになった弊害として、ネット上にはいわゆる「とんでも知識」があふれています。
しかし「薬のプロ」である薬剤師を名乗り、薬に関する情報を発信するのならせめて最低限のウラをとっていただきたい次第です。
こんばんは。
薬剤師のしぐです。
スミマセン、返信が遅くなってしまいました。
先日第一三共エスファの担当者さんとお話しさせていただき、自分のブログの内容で間違いないとの確認が取れました。
が、「通りすがりの薬剤師」さんから教えていただいた内容と、添付文書内容も一緒にお伝えしたところ、詳細の確認
のために持ち帰るということでした。
そして、本日来局いただき改めて説明を受けたのですが、、、
「自分が聞いていた内容」ではなく「通りすがりの薬剤師」さんの説明が正しいとのことでした。
ご迷惑をおかけいたしました。
やはり重要なのは「肝での代謝を受けるか受けないか」であり、NXは「肝での代謝を受けない」
静脈注射を行った時のみ、オキシコドンと拮抗し麻薬としての作用をなくすように設計されている
とのことでした。
間違った情報を発信してしまったことを深くお詫びいたします。
本文そのものも訂正しましたので、よろしくお願いいたします。
また、間違っている点等あれば今回同様教えていただけると助かります。
今後もこれまで以上に正しい情報を発信できるように気をつけていきたいと思います。
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[…] オキシコンチンTR錠。ジェネリック:GEの徐放錠NXとの比較。乱用防止!薬剤師のしぐです。今回は、麻薬です。オキシコンチンTR錠について!!the・麻薬ですね。オキシコンチン…shg11710 […]
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