フリュザクラ(フルキンチニブ)とは?薬価・大腸がんでの使い方、分包後12カ月への延長まで解説
「フリュザクラって、どのタイミングで使う大腸がん治療薬なんだろう?」
最近、薬局でも少しずつ名前を見るようになってきたフリュザクラカプセル(一般名:フルキンチニブ)。
フリュザクラは、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに使用される経口のVEGFR阻害薬です。
2024年11月に国内で販売開始された比較的新しい薬ですが、いわゆる一次治療や二次治療で最初から使用する薬ではなく、複数の標準治療を行った後に登場してくる“後方ライン”の治療薬という位置づけです。PMDAの添付文書でも、フッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチン、イリノテカン、抗VEGF薬などによる治療歴が前提となっています。
さらに薬局業務上、最近ちょっと大きな変更がありました。
それが、
分包後の安定性が、最大6カ月から最大12カ月へ延長されたこと。
高額な経口抗がん薬ということもあり、在庫管理や分包用ボトルの管理を考えるうえでも重要な変更です。
今回は薬剤師目線で、
- フリュザクラとはどんな薬なのか
- 大腸がん治療のどの段階で使われるのか
- 用法・用量
- 2026年現在の薬価
- 注意したい副作用
- 分包後の保管期間が6カ月→12カ月へ延長されたポイント
までまとめていきます。

フリュザクラとは?
フリュザクラは、
販売名:フリュザクラカプセル1mg/5mg
一般名:フルキンチニブ
という抗悪性腫瘍薬です。
薬効分類としてはキナーゼ阻害剤に分類され、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)1・2・3を選択的に阻害します。
大腸がんが成長するためには、がん細胞そのものだけではなく、がんへ酸素や栄養を送り届けるための「血管新生」が重要になります。
フリュザクラは、この血管新生に関わるVEGFRを阻害することで、
がんへの血流・栄養供給を抑えて腫瘍の増殖を抑制する
というイメージの薬です。
ベバシズマブなどの抗VEGF療法を経験したことがある薬剤師さんなら、作用点は少しイメージしやすいかもしれません。
フリュザクラの効能・効果
添付文書上の効能・効果は、
「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」
です。
ここで重要なのが、
「がん化学療法後に増悪した」
という部分。
つまり、初回治療からいきなり使用する薬ではありません。
大腸がんの経口抗がん薬では、スチバーガについても別記事で解説しています。

フリュザクラは大腸がん治療の何次治療で使う?
ここは処方箋を受けたときに、ぜひ知っておきたいところです。
ざっくり言えば、フリュザクラは
三次治療以降、あるいはそれより後方の治療ライン
で登場することが多い薬です。
添付文書では、以下の治療歴がない患者における有効性・安全性は確立していないとされています。
- フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬
- オキサリプラチン
- イリノテカン
- 抗VEGFタンパク製剤
- 適応となる場合には抗EGFR抗体
つまり実際には、
FOLFOX、CAPOX、FOLFIRIなどを含む標準的な化学療法を複数経験している患者
が対象になってくることが多いわけです。
さらに添付文書では、
レゴラフェニブ(スチバーガ)またはトリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)のいずれも使用したことがない患者では、これらの治療が困難な患者を対象とする
とされています。
大腸がん治療の流れをざっくり整理すると
患者さんの遺伝子変異や全身状態によって治療順序は大きく変わりますが、かなり簡略化すると、
一次治療
FOLFOX
CAPOX
FOLFIRI
+ベバシズマブ
+抗EGFR抗体など
↓
二次治療
一次治療で使用していない抗がん薬へ変更
↓
三次治療以降
ロンサーフ
スチバーガ
フリュザクラ
など
という流れになってきます。

フリュザクラを薬局で見かけた場合、
「かなり治療歴の長い患者さんかもしれない」
と治療背景を想像できる薬でもあります。
こういうところは、処方箋だけを見て終わらせずに治療背景まで考えると、服薬指導の質も変わってくると思います。
フリュザクラの用法・用量
通常、成人には、
フルキンチニブとして1日1回5mg
を、
3週間連日服用 → 1週間休薬
します。
つまり、
21日服用+7日休薬=28日で1サイクル
です。
この、
3週服用・1週休薬
というスケジュールは、患者さんが間違えないよう薬局でもしっかり確認したいところですね。
経口抗がん薬の服薬管理では、カペシタビンやエスワンの休薬期間確認も重要です。

減量は4mg→3mg
副作用などに応じて減量する場合、
5mg → 4mg → 3mg
と減量していきます。
添付文書では、
- 1段階減量:4mg/日
- 2段階減量:3mg/日
- 3mgで忍容性が得られなければ中止
とされています。
そのため薬局では、
5mgカプセルだけでなく1mgカプセルが急に処方される
ケースもあります。
たとえば、
「フリュザクラ1mg 4カプセル」
という処方を見たら、
「あれ?多いな」
ではなく、
5mgから4mgへ減量された可能性
を考えられるわけですね。
フリュザクラの薬価は?
2026年現在の薬価は、
| 規格 | 薬価 |
|---|---|
| フリュザクラカプセル1mg | 6,167.30円/カプセル |
| フリュザクラカプセル5mg | 28,640.30円/カプセル |
となっています。厚生労働省の薬価基準で確認できます。
発売当初は1mg 5,139.40円、5mg 23,866.90円でしたが、その後薬価が改定されています。
1サイクルの薬剤費はいくら?
通常量の、
5mg×21日間
で計算すると、
28,640.30円 × 21日
=
601,446.30円
となります。
つまり、
1サイクル約60万円。
もちろん実際の患者負担額は高額療養費制度や各種医療費助成などによって異なりますが、薬価ベースではかなり高額な薬です。
薬局としても、
在庫を必要以上に抱えたくない薬
のひとつですね。
フリュザクラの副作用
VEGFR阻害薬らしい副作用が多くみられます。

特にチェックしたいのが、
高血圧
高血圧はフリュザクラの代表的な副作用です。
添付文書では**高血圧29.2%**と報告されており、治療開始前だけでなく治療中も定期的な血圧測定が必要です。
自宅血圧の確認も、薬局でかなり重要になりそうです。
手足症候群などの皮膚障害
皮膚障害は28.3%、そのうち**手足症候群は18.6%**とされています。
「手のひらや足の裏が赤くなっていないか」
「痛みやヒリヒリ感はないか」
「皮膚がむけていないか」
などを確認しておきたいですね。
蛋白尿・ネフローゼ症候群
VEGFR阻害薬では蛋白尿にも注意が必要です。
2026年2月には安全性情報が改訂され、ネフローゼ症候群が重大な副作用として追加されています。
添付文書でも、
投与開始前および投与期間中に定期的に尿蛋白を確認する
ことが求められています。
ここは2026年版の記事なら、ぜひ入れておきたいポイントです。
出血・消化管穿孔
フリュザクラでは、
- 出血
- 消化管穿孔
にも注意が必要です。
重度の消化管出血や消化管穿孔では死亡例も報告されており、添付文書の警告にも記載されています。
腹痛、黒色便、血便、吐血などがあれば、早めの医療機関への連絡が必要です。

ここが今回のポイント!分包後の保管期間が6カ月→12カ月へ延長
そして今回、薬局業務的にかなり注目したいのがここ。
フリュザクラには、患者さんへ交付するための専用の分包用ボトルがあります。
これまでは分包後の安定性について、
最大6カ月
として管理されていましたが、
今回、
最大12カ月間の安定性が確認
されました。

つまり、
最大6カ月 → 最大12カ月
へ延長されたことになります。
ただし「12カ月を超えても大丈夫」という意味ではない
今回の資料では、
分包後は最大12カ月間の安定性が確認されている
一方で、
12カ月以降の安定性については確認されていない
とされています。
したがって、
「12カ月を過ぎても少しくらいなら大丈夫」
という意味ではありません。
分包日をきちんと管理し、最大12カ月以内で使用する
という運用が必要です。
分包用ボトルの乾燥剤にも注意
添付文書では薬剤交付時の注意として、
防湿のため、ボトルから乾燥剤を取り出さず、使用の都度密栓する
よう記載されています。
つまり薬局では、
- 乾燥剤を入れたままにする
- 使用後はしっかり密栓
- 分包日を確認
- 使用期限を管理
というところまでセットで考えたいですね。

薬局でフリュザクラの処方を受けたら確認したいこと
個人的には、フリュザクラの処方を見たら次のあたりをチェックしたいです。
まずは、
何mgで処方されているか。
5mgなら通常量ですが、4mgや3mgなら副作用などによる減量の可能性があります。
次に、
3週間服用+1週間休薬になっているか。
抗がん薬では休薬期間の処方間違いも起こり得るため、カレンダーを意識して確認したいところです。
そして、
血圧・手足症候群・蛋白尿などの副作用。
特に2026年にはネフローゼ症候群が重大な副作用として追加されているため、尿蛋白の確認状況も意識しておきたいですね。
最後に、
分包用ボトルの管理期限。
分包後の安定性は最大12カ月となりましたが、分包日を記録しておくことが前提になります。
まとめ|フリュザクラは大腸がん後方ラインの新たな選択肢
フリュザクラ(フルキンチニブ)は、
治癒切除不能な進行・再発大腸がんに対する経口VEGFR阻害薬
です。
ポイントをまとめると、
- VEGFR1・2・3を阻害する経口分子標的薬
- 大腸がんの三次治療以降など、後方ラインで使用される
- 通常は5mgを1日1回
- 3週間服用+1週間休薬
- 減量時は4mg→3mg
- 2026年現在、5mgの薬価は28,640.30円
- 1サイクルの薬価は約60万円
- 高血圧、手足症候群、蛋白尿、出血などに注意
- 2026年にはネフローゼ症候群が重大な副作用へ追加
- 分包後の安定性が最大6カ月から最大12カ月へ延長
という薬です。
フリュザクラのような後方ラインの経口抗がん薬は、処方箋だけを見ると「1日1回のカプセル剤」ですが、その背景には長い治療歴があります。
だからこそ薬局でも、
「この患者さんは今、大腸がん治療のどの段階にいるんだろう?」
と少し治療背景まで考えてみる。
それだけでも、服薬指導や副作用確認の見え方がかなり変わってくる薬だと思います。
FAQ
Q. フリュザクラは何の薬ですか?
フリュザクラは一般名フルキンチニブという経口のVEGFR阻害薬です。がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに使用されます。
Q. フリュザクラは何次治療で使いますか?
明確に「○次治療」と規定されているわけではありませんが、フッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチン、イリノテカン、抗VEGF薬などの治療歴が前提となるため、一般的には三次治療以降などの後方ラインで使用されます。
Q. フリュザクラは毎日飲み続けますか?
通常は5mgを1日1回、3週間連続して服用し、その後1週間休薬します。28日間を1サイクルとして繰り返します。
Q. フリュザクラ5mgの薬価はいくらですか?
2026年現在、フリュザクラカプセル5mgは1カプセル28,640.30円です。通常量で21日間服用すると、1サイクルの薬価は約60万円になります。
Q. フリュザクラは分包後どれくらい保管できますか?
分包後は最大12カ月間の安定性が確認されています。以前の最大6カ月から延長されました。ただし12カ月以降の安定性は確認されていないため、分包日と期限の管理が重要です。


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