ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉新薬HIF-PHD阻害薬。作用機序や適応・効能効果等

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薬剤師のしぐです。

今回はアステラスさんが「透析施行中の腎性貧血」の適応で製造販売承認を取得した新薬、ロキサデュスタットについて!

自分を筆頭に、たぶん、作用機序すらわからない薬剤師さんがほとんどであろうこのお薬。

マニアックすぎてホントに自己満足のために書く感じになるかもですが、、、

簡単に、わかりやすく、まとめていきます!

あ、ちなみにもちろん、新薬なので14日の処方日数制限ありますからねーー。

新薬による処方日数制限については、2020年12月1日に解除になりました!!

HIF-PHD阻害薬とは

えーと、いろいろとわからないことばかりでどれから説明したらいいのか迷うのですが、、、まずHIF(Hypoxia-Inducible Factor:低酸素誘導因子)について。

HIFは、体内が低酸素状態に陥ったときに誘導される因子で、低酸素状態に対応するために様々な蛋白質の発現を促す作用があります。

通常の状態では、HIFは、HIF-プロリン水酸化酵素(PHD)によって水酸化され、分解へと導かれます。HIFの分解を抑制してHIFを安定化させることで、低酸素状態への対応に必要な様々な蛋白質を活性化することができる。

というのがこのHIF-PHD阻害薬というお薬のコンセプト。

HIF-PHD阻害薬の作用機序として、HIFはエリスロポエチン(EPO)を誘導し、骨髄での赤血球の産生を促すほか、鉄代謝を刺激し、ヘモグロビンの産生刺激にも関与します。

HIF-PHD阻害薬を投与することでHIFの不活性化を抑制し、赤血球の産生を促すことができるということですね。

ちなみに、この「低酸素応答」のメカニズムを解明した3人の研究者が、2019年のノーベル賞を受賞してます。

ホントにスゴイ発見だったんだね!!

腎性貧血とは

腎性貧血は慢性腎臓病(CKD)の一般的な合併症の1つ。腎臓の機能が低下すると、骨髄で赤血球の産生を促すのに重要な働きをするホルモン「エリスロポエチン」の分泌が減り、赤血球を十分につくれなくなることで貧血を引き起こします。

このエリスロポエチンを作る細胞が、腎臓の尿細管と尿細管の間質にあります。

糸球体硬化や尿細管障害がおこるとエリスロポエチンを作る細胞の形質がかわり、エリスロポエチンをつくる機能が失われてしまうんですよねー。

透析患者では、腎障害によるエリスロポエチン産生不足のほか、尿毒素や炎症性サイトカイン、あるいは体外循環や血液ポンプなどによる機械的な損傷による赤血球寿命の低下、透析時の回路内残血などにより貧血をきたします。

そのため、赤血球の産生を促すEPO製剤の登場は、腎性貧血に苦しむ透析患者から心待ちにされていました。

さらに、透析にはまだ至っていないものの腎性貧血を呈する「保存期慢性腎臓病(CKD)」患者にも重要なお薬となります。

現在この腎性貧血には、エリスロポエチンの分泌不足を補うためにエリスロポエチン(EPO)の投与か、エリスロポエチンレセプターに作用し赤血球造血刺激を行う赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による薬物治療が行われます。また、あわせて食事療法や、鉄剤の投与も行われます。

ただし造血ホルモンという蛋白質を有効成分とするEPO製剤は、静注もしくは皮下投与が必要で、冷暗所保存が必要という管理上の手間もありました。また、一部の患者では既存のEPO製剤では貧血が改善しにくいという課題があります。 

そんな中、開発が進められているのが経口低分子薬のHIF活性化薬!正式には、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PHD)阻害薬と呼ばれます。

HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の利用

腎性貧血を対象に開発が進むHIF-PHD阻害薬は、細胞への酸素供給が不足状態に陥ると誘導されるエリスロポエチン転写因子「低酸素誘導因子(HIF)」を安定化させ、エリスロポエチンの産生を増やすとともに、鉄の利用効率を高めて赤血球の産生を増やします。

HIF-PHD阻害薬によって活性化されるタンパク質としては、エリスロポエチン(EPO)や鉄代謝関連因子などがあります。腎性貧血に対しては、EPOの誘導だけでなく、鉄代謝関連因子も同時に刺激することで鉄利用効率が高まることから、EPO製剤で改善しない貧血への有効性も期待されています。

HIF-PHD阻害薬はEPO製剤と同じ作用が期待できるわけですから、腎性貧血患者の治療を経口薬に置き換えられる可能性があります。EPO製剤は長い使用経験がありますが、一部の患者ではEPO製剤を投与しても貧血がなかなか改善しないケースがあります。

しかもEPO製剤の投与量を増やしすぎると、逆に心血管疾患のリスクが高まることが欧米の臨床試験で確認されています。そこで、外部から大量のEPOを補充するのではなく、体に備わっているEPO産生促進機構を刺激する方が安全だろうとも考えられています。

HIFは低酸素状態に対する防御機構です。臓器が虚血などで低酸素状態になってしまったとき、障害が進まないように保護する効果が期待されます。様々な原因で引き起こされる低酸素状態による臓器障害に対してHIF-PHD阻害薬は臓器保護効果があるのではないかと期待されています。

 EPO・ESAは注射剤であることに加え、低反応性で効果が得られない患者がいることが課題として指摘されています。経口剤のHIF-PHD阻害薬は、ESA低反応性の患者にも効果がある可能性があり、ESAの次を担う腎性貧血治療薬として期待が寄せられています。

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の用法用量

用法用量はこんな感じ。

【赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合】成人に1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと

【赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合】成人に1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと

規格が20mg、50mg、100mgと、3規格あるみたい。

これだけの種類があるので、規格間違いに注意ですね。

週3回っていう服用タイミングも難しいらしく、あらかじめ「月・水・金」や「火・木・土」などに定めておくのをお勧めしてるみたい。

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の適応追加申請

先日、このような通知が出ました。

また、この日の報告品目も1品目。経口腎性貧血治療薬のHIF-PHD阻害薬エベレンゾ錠(同ロキサデュスタット)について、これまでの透析期のほかに、保存期でも使えるようにする。

HIF-PHD阻害薬と呼称するファースト・イン・クラス薬。現在の適応は「透析施行中の腎性貧血」だが、今回、「透析施行中の」との文言を削除し、保存期の腎性貧血にも使えるようにする。HIF-PHD阻害薬は同剤のほかにバフセオ錠(バダデュスタット)、ダーブロック錠(ダプロデュスタット)、エナロイ錠(エナロデュスタット)の計4剤が承認されているが、エベレンゾ以外の3剤は透析期と保存期の両方の適応をもっている。

2020.12、ついに「保存期慢性腎臓病に伴う貧血」への適応も取得し、適応、効能効果が

腎性貧血

になっています。

エベレンゾ錠も使いやすくなりますね!

HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の効果について

維持透析患者に対するHIF-PHD阻害薬の投与により、Hb値が平均1.7g/dL改善し、Hb目標値以上に到達した患者は9割以上(EPO製剤未治療患者)だったという成績が、最近の学会で報告されているそうですよ!

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉各規格の薬価

薬価はこんな感じ。

  • エベレンゾ錠20mg:387.4円/錠
  • エベレンゾ錠50mg:819.2円/錠
  • エベレンゾ錠100mg:1443.5円/錠

エベレンゾの名前の由来

山脈のいただき、エベレスト(Everest)と、酵素阻害薬を意味する(Enzyme inhibitor)が由来です。

作用機序の、低酸素状態ってあたりが、エベレストとうまく絡んでる気がして、ナイスなネーミングですね。

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉その他

腎性貧血治療薬として最も使われているネスプは2019年に特許切れが迫っており、協和発酵キリンはオーソライズド・ジェネリックを開発する方針なんだとか。

最近はもう国がGEに変更するように患者にも病院にも指導が入るみたいなので、AG作らないと先発メーカーはやってけないですよね、、、。

もちろん、売上がいいお薬ということもあるので複数の企業がバイオシミラーの開発を進めています。HIF-PH阻害薬とバイオシミラーの登場で、腎性貧血治療薬の市場が大きく変化していくことになりそうですね。

バイオシミラーについてはこちら!けっこう詳しくまとめてあるよ

同系統のバフセオ錠について!

こちら、バフセオ錠についてもまとめてあります。

エベレンゾ錠投薬期間制限解除へ!

月日が経つのは早いです。もう、この通知が来ました。

エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg
投薬期間制限解除のご案内

エベレンゾ錠は2020年12月1日より2週間の投薬期間制限が解除となります。

謹啓
 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素は、弊社ならびに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、昨年11月に薬価基準収載され新発売いたしましたHIF-PH阻害薬「エベレンゾ錠20・50・100mg」(一般名:ロキサデュスタット)につきまして、2020年12月1日より投薬期間制限が解除になりますので、お知らせ致します。

「エベレンゾ錠20・50・100mg」は、透析施行中の腎性貧血

こんな感じですねーーー。

透析や腎不全などの腎疾患って苦手意識が強い薬剤師さんが多いと思います。

でも、薬剤の適正使用を考えるにあたって腎機能・肝機能はとても重要です。

院内の治療から外来での治療へ。
抗癌剤や肝炎治療薬はすでに外来での治療へシフトしています。

自分が苦手な分野こそ、こうやって学んだことをアウトプットしていくぞーーーーってことで。

ではでは。しぐでしたっ

コレ、透析患者への薬物投与量が細かく記載されてるのでオススメです!

なかなかの金額なので、会社の経費で購入してもらう必要があるかもですが、透析患者の処方箋を応需する薬局だと必須です!!

むしろ、1薬局に1冊くらいのレベルで欲しいですよね。

※追記:院外処方の可否について

このロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の薬価収載に合わせて医科点数表の整理が行われました。

医科点数表では、人工透析に用いる「透析液」や「生理食塩水」・「エリスロポエチン製剤」などの人工透析関連での所定のものは「所定点数に含まれており、別に算定できない」と規定されています。

これは「人工透析関連の所定のものは医科の技術料に包括化されていて、院内処方を行う」ということになってるんですね。

この「人工透析関連の所定のもの」に今回の「ロキサデュスタット:エベレンゾ」も含まれることになったのです。

まあ当面の対応として、という文言がついてるので今後の改定で少しずつ変わっていくかもしれないのですが。

このロキサデュスタット(エベレンゾ)を調剤薬局で扱うことは、まだ先かもしれません。

っと!!思っていたのですが。

なんとなんと、このエベレンゾ錠が院外処方も可能なんだとか。

その条件が、「腹膜透析の患者さん」であること。

そういえば、腹膜透析の透析液も院外処方可能なんですよね。なので透析に付随するこのエベレンゾも処方可能ってわけ。

いやー調剤薬局で働く薬剤師さんも、もう一度用法用量について再確認しておきましょう!!!

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の投薬期間制限解除!

ついに、このロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉も投薬期間制限解除。

月日が経つのは早いです、、、。もう、販売後1年になるんですね。

投薬期間制限解除のご案内

エベレンゾ錠は2020年12月1日より2週間の投薬期間制限が解除となります。

謹啓
 時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、弊社ならびに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、昨年11月に薬価基準収載されましたHIF-PH阻害薬「エベレンゾ錠20・50・100mg」(一般名:ロキサデュスタット)につきまして、2020年12月1日よろ投薬期間制限が解除になりますので、お知らせ致します。

「エベレンゾ錠20・50・100mg」は、透析施行中の腎性貧血にお役立ていただいており、今般の投薬期間制限の解除により、先生方がよりご処方いただきやすくなるものと期待しております。

引き続き、先生方の日常診療におきまして、「エベレンゾ錠20・50・100mg」をお役立ていただけますよう、本剤の適正使用に関する情報提供及び最新の学術情報の提供に努めてまいります。

今後とも弊社へのご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

謹白
アステラス製薬株式会社

透析の患者さんは、定期的に受診する必要があるので、そこまで恩恵は受けれないかもしれませんが、保存期の患者さんにはすごく助かるこの投薬期間制限解除。

処方量も増えていくのか。気になるところです。

コメント

  1. […] ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉新薬HIF-PHD阻害薬。作用機序や適応・… […]

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