こんばんは!薬剤師のしぐです。
肺線維症治療に、新しい選択肢が登場しました。
ジャスケイド錠9mg・18mg(一般名:ネランドミラスト)です。
日本ベーリンガーインゲルハイムから発売された新薬で、分類としては
PDE4B阻害剤/抗線維化・免疫調整剤
となっています。今回発売されたのは9mgと18mgの2規格です。
肺線維症の薬と聞いて、薬局でまず思い浮かぶのはやっぱりオフェブ(ニンテダニブ)。
しかもジャスケイドもオフェブも、同じ日本ベーリンガーインゲルハイム。

「じゃあ、オフェブと何が違うの?」
というところが、薬局としてはかなり気になります。
実際に調べてみると、作用機序はもちろんですが、剤形・飲み方、そして何より保管方法に結構大きな違いがあります。
今回は、このあたりを中心に見ていきます。
ジャスケイドとは?
ジャスケイドの有効成分はネランドミラスト。
PDE4B(ホスホジエステラーゼ4B)を阻害することで作用する、新しいタイプの抗線維化・免疫調整剤です。
一方、従来から使用されているオフェブはニンテダニブで、こちらはチロシンキナーゼ阻害剤。
つまり同じ肺線維症に使用される薬でも、
ジャスケイド=PDE4B阻害剤
オフェブ=チロシンキナーゼ阻害剤
と、そもそもの作用機序が異なります。オフェブは現在、特発性肺線維症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、進行性肺線維症に適応を持っています。
ジャスケイドについては、特発性肺線維症および進行性肺線維症に使用され、通常成人では1回18mgを1日2回、忍容性に応じて1回9mgを1日2回へ減量できます。
ジャスケイドとオフェブをざっくり比較!
| ジャスケイド | オフェブ | |
|---|---|---|
| 一般名 | ネランドミラスト | ニンテダニブ |
| 作用 | PDE4B阻害 | チロシンキナーゼ阻害 |
| 剤形 | フィルムコート錠 | 軟カプセル |
| 規格 | 9mg・18mg | 100mg・150mg |
| 基本用量 | 18mg 1日2回 | 150mg 1日2回 |
| 食事 | 食事の有無にかかわらず服用可 | 朝・夕食後 |
| 保管 | 室温保存 | 25℃を超えるところに保存しない |
| 特に注意する点 | 光に不安定 | 吸湿性あり |
並べてみると、同じ「肺線維症治療薬」でもかなり違います。
そして薬局目線で個人的にかなり気になったのが、ここ。
ここ大事!ジャスケイドとオフェブは保管方法が違う
今回、いちばん「おっ」と思ったのが保管方法。
ジャスケイド
ジャスケイドは、
室温保存
です。今回の発売案内にも、貯法は「室温保存」、有効期間は2年と記載されています。
ただし、単純に「室温なら何でもOK」というわけではありません。
ジャスケイドは光に対して不安定。
そのため、服用直前にPTPシートから取り出すこととされています。
つまり、
「一包化するときどうする?」
というのは、薬局ではちゃんと意識しておきたいポイントになりそうです。
オフェブ
オフェブの貯法は、
「25℃を超えるところに保存しないこと」
となっています。
これ、夏場の薬局ではかなり重要。
単なる「室温保存」とは少し意味合いが違います。
さらにオフェブには吸湿性があるため、電子添文では、
服用直前にPTPシートから取り出すことに加え、アルミピロー包装のまま調剤することが望ましいとされています。
ここはジャスケイドと対比すると覚えやすいですね。
ジャスケイド → 光に注意
オフェブ → 湿気+25℃超に注意
同じメーカー、同じ肺線維症領域の薬でも、保管上のポイントは結構違います。
薬局では取り違えないようにしたいところです。

「錠剤」になったのも地味に大きい
もうひとつ気になったのが剤形。
オフェブは軟カプセルですが、ジャスケイドはフィルムコート錠です。
ジャスケイド9mgは淡黄色、18mgは淡赤色の錠剤。
今回の案内を見ると、
- 9mg:長径約9.5mm
- 18mg:長径約12mm
となっています。
オフェブ150mgは長径約17.6mmの軟カプセルなので、見た目も服用感もかなり違いそうです。
オフェブを服用している患者さんから、
「カプセルが大きい」
という話を聞くこともあるので、このあたりは実際の服薬指導で患者さんがどう感じるのか気になるところです。
ただしジャスケイドについても、噛まずにコップ1杯の水で服用することとされています。
食事との関係も違う
ここも結構使い勝手に影響しそう。
オフェブは、
1日2回、朝・夕食後
の服用です。
一方、ジャスケイドは、
食事の有無にかかわらず服用可能
となっています。
1日2回という点は共通ですが、
「必ず食後」
という縛りがない。
長期に服用する薬だけに、この違いは患者さんによっては結構大きいかもしれません。

オフェブから単純に置き換えられる薬、ではなさそう
「新しい抗線維化薬が出た=オフェブの代わり」
と単純に考えるのは少し違いそうです。
作用機序も異なりますし、適応、用量調節、相互作用や副作用の考え方も異なります。
オフェブでは下痢が非常に有名で、電子添文でも下痢56.1%、悪心21.6%などの消化器症状が記載されています。また、肝機能障害などにも注意が必要です。
ジャスケイドも同じ肺線維症治療薬とはいえ、PDE4Bを選択的に阻害するというまったく別のアプローチ。
今後実臨床で、
「どういう患者さんにジャスケイドが選択されるのか」
「オフェブからの変更例がどの程度出てくるのか」
というところは、かなり気になります。
薬価もなかなかのインパクト
今回の案内では、
ジャスケイド錠9mg:4,190.10円/錠
ジャスケイド錠18mg:8,363.00円/錠
となっています。
通常量の18mgを1日2回となると、かなり高額な薬剤です。
もちろん実際の患者負担については高額療養費制度なども関係してきますが、新規処方を受ける薬局としては、在庫管理も含めて少し緊張する価格帯ですね……。
しかも包装は9mg・18mgともに28錠(14錠×2PTP)。
薬局としては処方動向を見ながら在庫を考える必要がありそうです。
薬局としてまず覚えておきたいこと
ジャスケイドが処方され始めたら、まず頭に入れておきたいのは、
「オフェブに似た薬」ではあるけれど、「扱いも同じ薬」ではない
というところでしょうか。
特に保管については、
ジャスケイドは室温保存。ただし光に注意。
オフェブは25℃を超えないようにし、さらに吸湿にも注意。
この違いは、調剤室でも共有しておいた方がよさそうです。
そして個人的には、
食事に左右されず服用できる錠剤
という点も、患者さんの服薬負担を考えるうえで気になるポイント。
オフェブという大きな存在がすでにある肺線維症治療の中で、ジャスケイドがどのような位置づけになっていくのか。
処方が出始めたら、患者さんの反応や処方医の使い分けも含めて追いかけていきたい薬です。
新薬なので、薬局としてもまずは、
「オフェブと保管方法が違う!」
ここから覚えておこうと思います。

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