薬剤師のしぐです。
連日の新型コロナウイルス関連のニュース。
良い治療薬の開発が進まず、各方面でイロイロな検証・治験が行われています。
既存薬のアビガンだったり。
新規薬の「レムデシビル」だったり。
世界中で、なんとか治療薬を開発しようとしています。
各医療機関での臨時的な対応も多々あり、医療機関の臨機応変な対応も求められています。
今回は、既存薬で新型コロナウイルスに対する治験を行なっている医薬品。オルベスコやストロメクトール、フオイパンなどなど。様々な医薬品が挙がっています。
そんな中の1つトシリズマブ〈アクテムラ〉について!!
基本的な概要から、コロナウイルスに使用する目的、機序をまとめてみます。
トシリズマブ〈アクテムラ〉とは
まず、先にこのコロナウイルスの治療目的で治験を受けているトシリズマブ〈アクテムラ〉は、点滴静注の剤形だけです。
成分名がトシリズマブなので、その名称から「モノクローナル抗体」ということがすぐわかりますね!
このモノクローナル抗体を含め、医薬品せいぶんのかんたんな名称のつけかたはコチラで解説してます。
と、いうわけで、アクテムラ点滴静注について簡単にまとめていきます。
アクテムラは、中外製薬が創製した国産初の抗体医薬品。炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持ちます。
これにより一部の過剰な免疫反応に対して効果があることが知られていて、新型コロナウイルスへの有効性も期待されています。
アクテムラ点滴静注の効能効果
既存治療で効果不十分な下記疾患
- 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
- 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
- 前新型若年性特発性関節炎
- 成人スチル病
その他
- キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。
- 腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
アクテムラ皮下注オートインジェクターとは全然適応が違ってて、みたことない言葉もあると思います。
ちなみに、自分が1番気になるのは「腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群」ですね。
腫瘍特異的T細胞輸注療法。今回は、この話がメインじゃないのでとりあえず以前書いたこの内容だけ貼っときます。
要するに、この「キムリア」の副作用のことです。
アクテムラ点滴静注の用法用量
関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注する。
全身型若年性特発性関節炎、成人スチル病、キャッスルマン病
通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注する。なお、症状により1週間まで投与間隔を短縮できる。
サイトカイン放出症候群
通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として体重30kg以上は1回8mg/kg、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注する。
カンタンに、アクテムラ点滴静注の紹介はこんな感じ。
新型コロナウイルスとトシリズマブ〈アクテムラ〉
中外製薬さんは4月8日、新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)治療薬としての承認取得に向け、ヒト化抗IL-6受容体抗体「アクテムラ」(一般名:トシリズマブ)の重症新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)を対象とした国内フェーズ3を実施すると発表しました。
また、同日付でPMDAに治験届けを提出し、試験デザインなど詳細をPMDAと検討している。同社は、「試験の詳細を確定の上、速やかに患者登録の開始を目指す」としている。
治験の対象は、国内の重症COVID-19肺炎の入院患者としています。
そんな中外製薬さんが出している通達がコチラです。
中外製薬は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ点滴静注用80 mg、同200 mg、同400 mg」[一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え)](以下、アクテムラ)について、新型コロナウイルス肺炎(以下、COVID-19肺炎)を対象とした国内第III相臨床試験を実施しますのでお知らせいたします。
本日、日本国内における重症COVID-19肺炎の入院患者を対象とするアクテムラの第III相臨床試験の実施に向け、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に治験届を提出しました。今後試験の詳細を確定の上、速やかな患者登録の開始を目指します。
海外では、米国、カナダおよび欧州を含む世界における重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象として、アクテムラと標準的な医療措置を併用した場合の安全性および有効性を、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験(COVACTA試験)の実施をロシュ社が発表しています。
海外では、重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象に「アクテムラと標準的な医療措置の併用」の安全性・有効性を評価する第III相臨床試験の開始を親会社のロシュ社(スイス)が3月19日に発表しています。
重症COVID-19肺炎へのアクテムラの効果については国内の研究者・臨床医から期待する声が上がっており、ノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑京大特別教授も4月6日付で公表したCOVID-19対策の緊急提言で、「急性期には抗ウイルス剤〈アビガン〉、重症肺炎時の炎症反応の暴走時にはトシリズマブ〈アクテムラ〉などを実地導入すべき」と訴えています。
仏パリ公立病院連合(AP-HP)が行った今回の研究では、COVID-19患者の5~10%で発症する中度から重度のウイルス性肺炎で入院した129人を調査した。
調査対象者の半数にはトシリズマブ注射2回と抗生物質による標準的な治療、対照群には標準的な治療のみをそれぞれ実施した。
その結果、対照群との比較では、体の自然な免疫反応を抑えるこの治療法により、死者数および生命維持処置の実施数が「著しく」減少したとされています。
今回の研究結果はまだ論文として発表されていないみたいですが、研究チームはトシリズマブ治療法の明らかな「臨床的有益性」が証明されたとしています。
トシリズマブの有効性と副作用の可能性についてはさらに研究を重ねる必要があるとも研究チームは強調しているようです。
薬剤師として新型コロナウイルスとトシリズマブのまとめ
薬剤師として考えると、効果ありそうですよね。
ウイルスによって引き起こされる「肺炎」。
その肺炎の原因になるサイトカイン「IL-6」。
そのIL-6をピンポイントで抑える効果を持つトシリズマブ〈アクテムラ〉。
こう考えると、普通に理に適ってますよね。効果がありそう。
今回はこんな感じですね。
自分的に、結構注目しているトシリズマブ〈アクテムラ〉。また別の内容でもまとめてみたいと思ってます。
ではではーしぐでしたっ
コメント
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