こんにちは。薬剤師のしぐです。
最近の薬局現場で、またひとつ大きな衝撃が走りました。
興和株式会社より発表された、
「ラックビー錠 全ロット自主回収(クラスII)および出荷停止」
という案内。
しかも今回は、
- 一部ロットではなく
- 使用期限内の全ロット回収
- さらに出荷停止
- 再開時期は未定
という、かなり重たい内容でした。
整腸剤って、派手ではないけれど、
本当に日常診療を支えている薬なんですよね。
だからこそ、今回の件はかなりツラい…。
ラックビー錠とは?
ラックビーは、
ビフィズス菌製剤として広く使われている整腸剤です。
特に、
- 抗菌薬服用時
- 下痢症状
- 消化器症状
- 高齢者の便通コントロール
- 小児領域
など、本当に幅広く使用されています。
「とりあえず整腸剤出しておこうか」
というレベルではなく、
“患者さんの生活を支える薬”
として長年使われてきた薬剤です。
ラックビー錠:今回の自主回収の理由
通知によると、

安定性モニタリングの結果、一部ロットで有効成分(ビフィズス菌)の含有量が承認規格に抵触することが判明。
とのこと。
さらに、
同一製造条件で製造している他ロットでも、使用期限内に規格抵触する可能性を否定できない
ため、
使用期限内の全ロット回収
という判断になっています。
つまり今回は、
「異物混入」
でも
「健康被害発生」
でもなく、
“品質保証の問題”
なんですよね。
ただ、整菌剤って、
“生きた菌”を扱う薬。
だからこそ、
- 温度
- 湿度
- 製剤設計
- 経時安定性
こうした要素が極めて重要になります。
「重大な健康被害のおそれは低い」
でも、現場は止まる。

通知では、
有効成分含有量の乖離は僅かであり、重篤な健康被害のおそれはない
とされています。
これは本当に大切な情報。
ただ…
現場としては、
「健康被害が少ないから安心」
だけでは終われないんです。
なぜなら、
“薬が供給されない”
こと自体が、
今の薬局にとって大問題だから。
思い出される、ミヤBMの出荷調整
今回、多くの薬剤師が真っ先に思い出したのが、
ミヤBMの出荷調整
だったと思います。
ミヤBMも、
整腸剤界では超重要薬。
- 抗菌薬との併用
- CDI対策
- 下痢予防
- 腸内環境改善
など、
日常診療で本当に使用頻度が高い。
そして当時、
ミヤBMの供給が不安定になったことで、
- 他整腸剤へ処方変更
- 採用品目変更
- 代替提案
- 在庫争奪戦
みたいな状況が起きました。
「整腸剤だから代替できる」
…本当にそう?
これ、現場では結構難しいんです。
整腸剤って、
- 菌種
- 製剤特性
- 相性
- 患者さんの慣れ
が意外と重要。
例えば、
- ミヤBMが合う人
- ビオフェルミンが合う人
- ラックビーが安定する人
って、現実にいる。
だから単純に、
「別の整腸剤でいいですよ」
では済まないことも多いんですよね。
地味だけど、“代えが効きにくい薬”
整腸剤って、
正直、派手ではありません。
でも、
- 高齢者施設
- 小児
- がん化学療法
- 抗菌薬使用患者
など、
本当に多くの場面で支えになっています。
だからこそ、
こういう供給停止は、
じわじわ現場に効いてくる。
そして最近は、
- 抗菌薬
- 鎮咳薬
- 去痰薬
- 漢方
- 解熱鎮痛薬
だけでなく、
“整腸剤まで不安定”
という状況になってきている。
これはかなり深刻です。
「普通にある薬」が、普通じゃなくなった。
昔は、
「整腸剤が無い」
なんて、ほぼ考えませんでした。
でも今は、
- 限定出荷
- 出荷調整
- 販売中止
- 自主回収
が日常。
薬局では、
「今日は何が止まるんだろう」
みたいな空気すらあります。
そして今回のラックビー錠。
通知の最後には、
現時点で再開時期は未定
とも記載されています。
これがまたツラい…。
それでも、品質を守る判断は大切
ただ一方で、
「規格を保証できない可能性がある」
段階で、
全ロット回収を決断したこと自体は、
品質管理として非常に重要な判断でもあります。
“出し続ける”より、
“止める勇気”。
これは医薬品として、
極めて大切。
だからこそ、
現場としてはツラいけれど、
同時に、
品質保証の重みも感じる通知でした。
ラックビー錠の全ロット自主回収:まとめ
ラックビー錠の全ロット回収と出荷停止。
整腸剤という、
一見すると“地味な薬”のニュースかもしれません。
でも現場からすると、
「またひとつ、日常を支えていた薬が消えた」
そんな感覚があります。
そして、
以前のミヤBM出荷調整も含め、
今の医薬品供給は、
本当に綱渡り。
「普通に薬がある」
ということ自体が、
実はものすごく貴重なんだな…
そんなことを改めて感じた今回の通知でした。

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