パルモディアについて。特徴や他フィブラートとの違い。PPARαとは!

薬剤師のしぐです。

今回は脂質異常症の治療薬:ペマフィブラート〈パルモディア錠〉について。

心不全の原因疾患の1つである心筋梗塞

その心筋梗塞のリスクを重要な要素の1つである脂質異常症

そんな脂質異常症の治療薬として、1番新しいものがこのパルモディア錠になります。

処方日数制限が解除されてそこまで日数も経ってないので、どんどん使用量が増えてきている状況かと思います。

以前まとめたことのある脂質異常症治療薬:アリロクマブ〈プラルエント皮下注〉がコチラ!

パルモディア錠の有効成分

有効成分名:ペマフィブラート

名前からもわかる通り、フィブラート系の薬剤になります。

パルモディア錠の適応、効能効果

高脂血症(家族性を含む)

効能効果に関連する使用上の注意

LDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対し、第一選択薬とはしないこと。

珍しいですよね。高脂血症って言葉。久しぶりに聞いた気がする。

最近だと脂質異常症の方がよく聞く言葉。

パルモディア錠の用法用量

通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までとする。

分2なのが、パルモディアのデメリットですね。

といっても、このパルモディア錠。この分2の用法以外にはこれといったデメリットないです。あ、最大のデメリットがありました。詳細は併用禁忌の部分。

パルモディア錠の作用機序

ペマフィブラートはPPARαに結合し、標的遺伝子の発現を調節することで、血漿トリグリセライド(TG)濃度の低下、HDL-コレステロールの増加等の作用を示す。

PPARαに対する活性は、PPARγ及びPPARδに対する活性に比べ強く、PPARαに対する選択的な活性化作用を示した。

ペマフィブラート〈パルモディア錠〉の併用禁忌

  • シクロスポリン〈ネオーラル〉
  • リファンピシン〈リファジン〉

この2種類との併用が禁忌となります。

理由はペマフィブラート〈パルモディア錠〉のAUC増大。

シクロスポリンと一緒に服用するとパルモディアのAUCが約14倍、リファンピシンでは約11倍になってしまい、副作用の危険性が高くなります。

どちらも結構よく見る医薬品。

パルモディア処方時には気をつけないといけませんね、、、。

リファンピシン関連で、結核薬をしっかり服用するために実施している薬局DOTSの内容がコチラ

ちなみに、他のフィブラート系薬剤には併用禁忌はありません。

ココも、ペマフィブラートのデメリットですかね。

PPARαとは。カンタンにまとめ

PPARαとはPeroxisome Proliferator-Activated Receptor-α:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αのこと。

以前テルミサルタン〈ミカルディス〉について書いた時も軽くふれました。

間違いなく、1番詳しいのはWikipediaさんですが。
→  https://ja.wikipedia.org/wiki/PPARγ

ホントにカンタンにPPARについてまとめるとこんな感じ。

ほとんどの脊椎動物に発現している核内受容体の1つ。炭水化物、脂質、タンパク質などの細胞内代謝と細胞の分化に関わる転写因子に関与しています。

パルモディア錠の特徴

ペマフィブラート〈パルモディア錠〉は高活性かつ高選択なPPARαモジュレーターで、その略称名を「SPPARMα」(=スパームアルファ)と呼ぶ世界初の薬剤。

肝臓の細胞のPPARαに結合し、脂質代謝にかかわる遺伝子の発現を調節します。その結果、脂質代謝が改善し血中の中性脂肪(TG)低下作用と、HDL-コレステロール(HDL-C)増加作用を併せ持ちます。

さらに、肝代謝型で糞中排泄のため、従来のフィブラート系薬剤と比べて「安全性も高い」薬剤になります。

いくつかの他フィブラート系薬剤との比較検証もなされています。

まずは効果の面で中性脂肪(TG)を低下させる効果がについて、ペマフィブラート〈パルモディア〉を1日0.2mg(通常量)を服用した場合には-46.2%、フェノフィブラート〈トライコア〉を1日106.6mg(通常量)服用とする場合では-39.7%という結果が出ています。

つまり、単純に中性脂肪(TG)を減少させるという効果の点では、パルモディアの方が効果が高いと言える結果になっています。

ただし、HDL-コレステロールについては、どちらの薬も約20%増加させることがわかっているものの、効果の差は認められていません。

フェノフィブラートとの比較検証試験での副作用発現率は、パルモディア群が2.7%、フェノフィブラート群が23.7%とのデータも得られているんだとか。副作用の発現率が約1/10になるってなかなかすごいよね。

従来のフィブラート系薬では肝障害が起こりやすいことが定説だが、パルモディアは肝機能検査値を悪化させず、ALTやγGTPの低下作用(脂肪肝改善作用)が認められたという結果に!

パルモディアでは肝機能検査値異常0.3~1%未満と、肝機能に与える副作用の数値だけ見てもすごく副作用が少ないんですよね。

ベネフィットが大きく、リスクが小さい薬を売りにしてるパルモディアですが、まさにその通りの検証結果が出ているようです。

糖尿病のある人に限っては、トリグリセライド(TG)値を十分下げることで、心筋梗塞など心臓病の発症率をおおよそ10%減少させることが示されました。また、糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症の抑制効果も認められました。

フィブラート系薬剤とは

フィブラート系薬剤は、核内受容体のひとつであるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体であるPPARαを活性化することで効果を発揮するタイプの医薬品です。

PPARαは肝臓や脂肪で強く働き、活性化することで脂質コントロールに関わる遺伝子を調整します。結果的に脂肪酸を分解する細胞内小器官のペルオキシソームを増やし、血液中の中性脂肪の量を減らすというわけです。

また、細かい作用機序は明確ではないものの、HDL-コレステロールの構成タンパク質であるアポA‒ⅠとアポA‒Ⅱの産生を促すことで、血液中のHDL-コレステロールの量を増やすこともわかっています。

脂質と脂質異常症治療薬

動脈硬化に関わる脂質には、主にLDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪(TG)の3種類があります。通常、LDL-コレステロールが高い患者さんにはHMG-CoA 還元酵素阻害薬〈スタチン〉が用いられるケースがほとんどです。

スタチンはLDL-コレステロールを強力に下げますが、中性脂肪(TG)が高い場合やHDL-コレステロールが低いときには十分に改善できない可能性があるため、経過を確認しなければいけません。

その点、フィブラート系薬は中性脂肪(TG)を減らしHDL-コレステロールを増やすことで、スタチンだけでは改善できないリスクを減らせるというメリットがあります。

上記の通り、フィブラート系薬剤は得意とする部分がスタチンと相性が良い薬です。

一方では、併用によって横紋筋融解症のリスクが急激に増加してしまうため、以前までは「原則禁忌」という扱いで使用が控えられていました。

特に腎臓機能・肝機能が低下している患者さんの併用で副作用が強く出る可能性が高くなるため、注意が必要です。

今回はこんな感じ!

結構処方量増えてませんか?パルモディア。

リピディル・トライコアはそんなに処方されてるイメージないけど、パルモディアは増えてます。やっぱり効果がしっかりあって、安全なお薬はちゃんと使われるってことかな。

ではでは、しぐでしたっ

ちなみにコチラは調剤と情報さんが「脂質異常症について」まとめてくれてる巻になります。

なかなか脂質異常症についてまとめてくれることってないので、すごく勉強になりました。

自分的にそそられたのは、「最前線の治療」を学べたことですね。

もちろんフィブラート系薬剤やスタチン系薬剤併用の話も出てくるので、オススメです

コメント

  1. […] […]

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