薬剤師のしぐです。
自分の薬局で、月の医薬品売上ランキングの常連として毎月上位にランクインするこのお薬。
「オフェブカプセル」
適応が結構特殊なお薬なので、扱ったことない薬剤師さんの方が多いのかな?
新しく適応が追加になって、処方の幅が広がったのでそのご紹介のついでにまとめていくよ
オフェブカプセルの有効成分
有効成分はニンテダニブ。
オフェブカプセルの効能効果
特発性肺繊維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)
肺の希少疾患。原因不明の間質性肺炎です。
簡単に説明すると、慢性かつ進行性の、最終的には死に至る肺線維化疾患です。
明確な原因は不明ですが、肺全体が線維化によって固くなってしまい、うまく酸素交換ができなくなってしまいます。
現在、他の治療薬としては抗線維化剤のピレスパ(一般名:ピルフェニドン)や、ステロイド、免疫抑制剤等があります。
このIPFの治療目標は、「病気の進行を抑えること」になります。
全身性強皮症に伴う間質性肺疾患
こちらも難しい疾患。簡単に説明すると、全身の皮膚や組織が線維化して固くなる疾患で、国の難病に指定されています。
また、男女比は1:12であり、30~50歳代の女性に多く見られるのが特徴です。
有効な薬剤はなく、対処療法(ステロイド、ミコフェノレートモフェティル、シクロホスファミド、PPI、エンドセリン受容体拮抗薬等)が使用されています。
その他
海外では、非小細胞性肺癌の治療薬として使われてる国もあるんだとか。
用法用量
通常、成人にはニンテダニブとして1回150mgを1日2回、朝夕食後に経口投与する。
なお、患者の状態によりニンテダニブとして1回100mgの1日2回投与へ減量する。
ニンテダニブの作用機序
ニンテダニブは肺の繊維化に関わる「受容体」を狙い撃ちにする分子標的治療薬です。
肺線維症の発症機序への関与が示唆されている増殖因子受容体、特に血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的にします。
ここの受容体が壊れてしまうことで、過剰な修復反応が繰り返し起こり、肺胞が繊維化してしまうってわけですね。
そこで、オフェブがこの受容体を狙い撃ちし、過剰な修復反応機能を抑えることで線維化過程に関与するシグナル伝達経路を遮断。
呼吸機能の低下を抑制し、IPFの疾患進行を遅らせる効果があるってことですねーー。
ちなみに、このオフェブ服用で呼吸機能の年間減少率を約半分抑制するっていう結果がでてるみたい。
注意が必要な副作用
下痢・悪心・嘔吐といった消化器系副作用は頻度が高いみたいですね。
下痢にいたっては55%以上!!服用患者の半分以上でみられるってことだもんね。
基本は対症療法で経過をみつつ、悪化するようであれば減量か服用中止。
保管上の注意点
貯法:25℃未満で保存する。
理由が「軟カプセルの為、高温になった場合の安定性の保証ができないから」だとか。
自分の薬局では念のために冷蔵庫で保管してます。
夏場は25℃なんて簡単に超えちゃうからねー。日本はね。
常温・室温・冷所
ちなみに、日本薬局法ではいろんな温度が法的に決まってます。
常温: 15〜25 ℃
室温: 1〜30 ℃
冷所: 15 ℃以下
こんな感じですね。
学生の時に勉強したけど、実際今急に聞かれると、、、パッとは出てこない。
オフェブカプセル各規格の薬価
オフェブカプセル100mg:4464.1円/C
オフェブカプセル150mg:6696.1円/C
高額だーーーーーー!!!
150mg2C2X朝夕食後30日分で、薬剤料が40万円、、、。
保管には温度管理も必要なお薬なので、返品も難しいし。
在庫管理に注意を払うお薬なんですよね。
オフェブの禁忌
妊婦または妊娠している可能性のある女性
さらに、本剤の投与中及び投与終了の少なくとも3ヶ月後まで適切な避妊を行うよう指導する
とりあえず、こんな感じーー。
これまでまとめたことのある分子標的薬関連の内容がこちら!
ではでは〜しぐでしたっ
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