モニラック65%も限定出荷へ|モビコールの影響?ラクツロース60%との違い

こんばんは、薬剤師のしぐです。
「モビコールが入りにくい。では、別の浸透圧性下剤を考えよう」
そんな場面が増えるなか、今度はモニラック・シロップ65%も限定出荷となりました。

丸石製薬の2026年9月付通知によると、2026年10月1日の特約店への出荷分から限定出荷を実施しています。背景は、他社同効薬の限定出荷に伴う注文の急増です。
ここで、薬局として押さえておきたいことがあります。
モニラック65%とラクツロース・シロップ60%は、同じ成分でも適応が同じではありません。さらに、モニラック65%にも成人の慢性便秘症の適応はありません。
供給不足への対応では「入手できる薬を探す」ことに目が向きがちです。ただ、患者さんに必要なのは、その治療目的に合った薬を途切れさせないこと。今回のお知らせを、製品ごとの違いと薬局での確認ポイントまで整理します。
モニラック65%の限定出荷:対象と開始日
今回の通知の対象は、次の2包装です。
| 製品名 | 包装 | 統一商品コード |
|---|---|---|
| モニラック・シロップ65% | 300mL・プラスチック容器 | 211-128302 |
| モニラック・シロップ65% | 10mL分包×84包(21包×4) | 211-128319 |
限定出荷の開始は、2026年10月1日の特約店への出荷分からです。この日付は、すべての薬局で同じ日に在庫がなくなる、という意味ではありません。
通知では、新規医療機関への納入を控え、特約店への出荷可能数量を設定するとしています。限定出荷の解除時期は未定で、今後の需給状況を確認して案内する方針です。
また、出荷量の分類はA「出荷量通常」、対応状況は③「他社品の影響」です。
「通常量を出荷しているのに限定出荷?」と感じるかもしれませんが、需要が通常量を大きく上回れば、従来の出荷量を維持していても注文をすべて満たせません。製造・出荷量が減ったことと、注文が増えて供給が追いつかなくなったことは、分けて見る必要があります。
モビコールの影響か?メーカーは製品名を明示していない
今回の通知が示しているのは、「他社同効薬の限定出荷による影響」です。モビコールという製品名は記載されていません。
一方、EAファーマは2026年9月28日、モビコールLD・HDの供給に関するお知らせを公表しています。LDは小児患者に使用を限定した限定出荷、HDは2026年11月まで限定出荷、12月から一時出荷停止という内容です。再開の見込みは2027年6月頃とされていますが、変更される可能性があります。
このような供給制限が、ほかの便秘治療薬を検討する動きにつながることは考えられます。
ただし、「モニラックの限定出荷はモビコールが原因」とまでは確認できません。 モビコールの供給問題との関連は考察にとどめ、確定情報としては「他社同効薬の限定出荷に伴う需要増」と押さえておきましょう。
薬局で実際に困るのは、一つの薬が入りにくくなると、その代わりに検討した薬も入りにくくなることです。代替候補を挙げた段階で安心せず、切替先の供給と、その患者さんに使える適応を一緒に確認したいところです。
モビコールLD・HDの供給制限と薬局対応

同じラクツロースでも適応が違う
モニラックの有効成分はラクツロースです。ラクツロース製剤は、便通改善だけでなく、高アンモニア血症に伴う症状の改善にも使われます。

「ラクツロース=便秘薬」とだけ覚えると、製品の違いを見落としやすくなります。
モニラック65%・ラクツロース60%・ラグノスNFの比較
| 確認項目 | モニラック・シロップ65% | ラクツロース・シロップ60%「コーワ」 | ラグノスNF経口ゼリー分包12g |
|---|---|---|---|
| 有効成分 | ラクツロース | ラクツロース | ラクツロース |
| 成分量 | 1mL中650mg | 1mL中600mg | 1包12g中6.5g |
| 高アンモニア血症に伴う症候の改善 | 適応あり | 適応あり | 適応あり |
| 産婦人科術後の排ガス・排便促進 | 適応あり | 適応なし | 適応あり |
| 小児における便秘の改善 | 適応あり | 適応なし | 小児便秘の個別適応・小児用量の設定なし |
| 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) | 適応なし | 適応なし | 適応あり・通常用量は成人に設定 |
※高アンモニア血症の適応は、精神神経障害・手指振戦・脳波異常の改善。製品の適応と実際の供給・販売状況は別に確認してください。ラグノスNFには小児等を対象とした臨床試験未実施の記載があります。
ここで覚えておきたいのは、**「60%には便秘の適応がない」「65%には小児便秘の適応がある」「成人の慢性便秘症なら65%もその適応を持たない」**という整理です。
ラグノスNFは慢性便秘症の適応がありますが、だからといって小児のモニラックをそのまま置き換えられる、という話にはなりません。年齢、治療目的、用量、飲みやすさ、供給を踏まえて処方医と検討する必要があります。
65%と60%は、同じmLでも成分量が違う
10mLに含まれるラクツロース量を比べると、モニラック65%は6.5g、ラクツロース60%は6gです。
つまり、同じ10mLを量り取っても、同じ成分量にはなりません。
ただし、ここで濃度比を計算して「この量なら置き換えられる」と結論づけるのは早計です。用量の計算だけでは、適応の違いや患者さんの状態は解決できません。
濃度が違ううえに、製品ごとに承認された使い方も違う。だからこそ、同一成分という理由だけで、同じ量のまま置き換えないことが大切です。
ラクツロースは、なぜ便通とアンモニアの両方に関わるのか
ラクツロースは、消化管でほとんど吸収されずに下部消化管へ届きます。腸内での浸透圧作用や、腸内細菌によって分解された際に生じる有機酸が、便通への作用に関わります。
また、腸内のpHを下げることなどを通して、アンモニアの産生・吸収を抑える方向に働きます。
薬局で大事なのは、作用機序の暗記より、その患者さんが何のために服用しているかを把握することです。
便が出ているからといって、高アンモニア血症の治療薬が不要になるわけではありません。「便秘薬だから、なくても少し様子を見よう」と自己判断されないよう、治療目的を伝える必要があります。

薬局で注意したいのは、取り間違いと置き換え判断の両方
今回、メーカー通知に取り間違い事例の報告があるわけではありません。ここからは、供給制限を受けた薬局での予防策としての提案です。
1.処方入力では、濃度と製品名の末尾まで見る
薬品検索で「ラクツロース」と入力したとき、同じ成分の別製品が候補に出ることがあります。
成分名だけで選ばず、販売名・濃度・剤形・包装まで確認しましょう。採用品目を追加する際は、薬品マスターや棚の表示も合わせて見直すと、入力から調剤までの取り違え予防につながります。
2.棚の注意表示は「適応差あり」まで伝える
単に「濃度注意」と表示するだけでは、成分量さえ調整すればよいと受け取られる可能性があります。
「65%/60%」「適応差あり」と表示し、同じ棚に置く場合は区切りを設けるなど、選ぶ段階で気づける工夫が役立ちます。包装の色や見た目だけに頼らず、採用している実物で確認することが前提です。
3.代替相談の前に、治療目的を確認する
| 処方・患者背景 | 確認したいこと |
|---|---|
| 小児の便秘 | 便秘の治療目的か、年齢・体重、現在の用量、継続して飲める剤形 |
| 成人の便秘 | 慢性便秘症か、別の治療目的もあるか、切替候補の適応 |
| 高アンモニア血症 | 症状や治療経過、処方目的、薬が途切れないための手配 |
| 産婦人科術後 | 排ガス・排便促進の目的か、継続期間、変更の必要性 |
薬歴、患者さんからの聞き取り、処方医への確認を組み合わせて判断します。適応や用量に疑問があるときは疑義照会し、薬局だけで自動的に置き換えないことが基本です。
照会するときも「モニラックがありません」だけでなく、残薬が何日分あるか、卸からの入荷見込み、現在の便性状、患者さんが使える剤形まで伝えると、次の対応を具体的に相談しやすくなります。
4.残薬確認で、相談できる時間をつくる
供給が不安定なときこそ、次回処方まで何日分あるかを確認したいところです。薬がなくなる当日に対応するより、余裕を持って処方医・卸と相談できます。
一方、必要以上の買い込みは、別の患者さんの薬を確保しにくくする可能性があります。実際の使用量と継続予定をもとに、必要量を手配することが大切です。

変更後は「出たか」だけでなく「どう出たか」を確認
薬を変更したら、薬が手に入ったところで対応を終えず、排便の状態を確認しましょう。
排便回数に加えて、便の硬さ、いきみ、腹痛、お腹の張り、水様便の有無、計量や服用で困っていないかを聞くと、変更前後の違いがつかみやすくなります。
水様便が続く場合は、脱水などにもつながるため相談が必要です。特に高アンモニア血症の治療中は、患者さんが便の状態だけを見て自己調整しないよう、処方医からの指示を確認します。
「便秘を改善するための変更だったのに、今度は下痢がつらい」とならないよう、服用後の生活まで見ていきたいところです。
患者さんには、こんな説明を
「今のお薬は入荷に制限がかかっています。ただ、同じ成分のお薬でも、濃さや認められている使い方が違います。今の治療目的に合う方法を先生と確認しますので、残りのお薬が何日分あるか教えてください」
供給事情の説明だけでは、患者さんは「似た薬なら自分で替えてもよいのかな」と感じるかもしれません。なぜ確認が必要なのかまで説明することで、変更までの見通しを共有できます。
まとめ:供給が厳しいときほど、成分名の先まで確認する
モニラック65%は、2026年10月1日の特約店への出荷分から限定出荷となりました。メーカーが示している背景は、他社同効薬の限定出荷に伴う需要増です。モビコールの影響は考えられますが、直接の原因として名指しされてはいません。
そして、今回いちばん押さえておきたいのは、同じラクツロースでも適応が違うことです。
モニラック65%とラクツロース60%は、濃度が違うだけではありません。便秘治療の代替を考えるなら、患者さんの年齢と治療目的まで戻って確認する必要があります。
薬が入るかどうかを確認する力と、その薬が患者さんに合うかを確認する力。供給不安が続く今、薬局にはその両方が求められています。
FAQ
Q.モニラックは販売中止になったのですか?
A.今回の案内は限定出荷です。販売中止や全面的な出荷停止の案内ではありません。ただし、注文数量どおりに納入されない場合があります。
Q.モニラックの限定出荷はモビコールが原因ですか?
A.メーカーは「他社同効薬の限定出荷による影響」と説明していますが、モビコールを名指ししていません。直接の因果関係は確認できません。
Q.モニラック65%をラクツロース60%に変更できますか?
A.同一成分でも濃度と適応が異なるため、単純に置き換えられません。治療目的や用量を確認し、必要に応じて処方医へ照会します。
Q.ラクツロース60%「コーワ」に便秘の適応はありますか?
A.ありません。承認された効能は、高アンモニア血症に伴う精神神経障害・脳波異常・手指振戦の改善です。
Q.モニラック65%なら成人の慢性便秘症に使えますか?
A.成人の慢性便秘症の適応はありません。小児便秘、産婦人科術後の排ガス・排便促進、高アンモニア血症に伴う症候の改善が適応です。
Q.ラグノスNFなら小児にもそのまま変更できますか?
A.小児便秘の個別適応・小児用量の設定はなく、小児等を対象とした臨床試験未実施の記載があります。小児のモニラックからの自動的な置き換えはできません。
Q.限定出荷はいつ解除されますか?
A.モニラックの通知では解除時期は未定です。モビコールの再開見込みと混同せず、最新の案内を確認してください。


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