ピロリ菌の除菌治療|クラリス販売終了・三次除菌解説と注意点

薬剤師のしぐです。
「ピロリ菌が見つかったので、1週間お薬を飲みましょう」
薬局でもよく出会う説明ですよね。でも、患者さんにとっては、普段の薬に加えて何種類もの薬をまとめて飲むことになるので、意外とハードルの高い治療です。
なぜ胃薬と抗菌薬を一緒に飲むのか。下痢が出たらどうしたらいいのか。飲み終わったら本当に治療は終了なのか。
さらに最近は、ピロリ菌と膵臓がんの関係を調べた研究や、除菌にも使う「クラリス錠200」の販売終了予定など、気になる話題も出てきました。
今回は、ピロリ菌の基本から最新の治療の考え方、薬局で確認したいことまでまとめます。
先に結論です。ピロリ菌の除菌は、薬を飲み切るだけで完結する治療ではありません。安全に服用すること、除菌成功を検査で確認すること、除菌後も胃の経過をみること。この3つをつなげて考えるのが大切です。
- ピロリ菌とは?胃にすみついて炎症を起こす細菌
- なぜ除菌するの?胃がんリスクを下げるためにも重要
- ピロリ菌の検査には何がある?血液検査だけで判断しない
- 除菌治療の基本は、胃酸を抑える薬と抗菌薬の組み合わせ
- 保険で除菌できる?感染胃炎では内視鏡による確認も必要
- 最新の考え方は「耐性を踏まえて、最初から成功しやすい治療を選ぶ」
- クラリス錠200が販売終了予定。ピロリ除菌はできなくなる?
- 2026年の重要な注意点:アゼルニジピンとクラリスロマイシンは併用禁忌
- 副作用が出たら?「飲み切る」と「我慢する」は分けて考える
- お酒・喫煙・ヨーグルトはどう考える?
- 薬を飲み終えた後の除菌判定が大切
- 二次除菌も失敗したら?専門医につなぐ選択肢がある
- ピロリ菌は膵臓がんにも影響する?大規模研究をどう読むか
- 除菌後も、胃の経過観察は続けよう
- 薬局での確認は「開始前・服用中・服用後」をつなげる
- まとめ:ピロリ除菌は、1週間の薬とその後の確認までがセット
- FAQ(本文のまとめ後に追加)
ピロリ菌とは?胃にすみついて炎症を起こす細菌
ピロリ菌の正式名称は、ヘリコバクター・ピロリです。胃の粘膜に感染し、慢性的な炎症の原因になります。
胃は酸性の強い環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を使い、尿素からアンモニアを作って周囲の酸を和らげながら生きています。
感染は主に幼少期に成立すると考えられています。感染していても自覚症状がないことがあり、「胃が痛くないからピロリ菌はいない」とは判断できません。
ピロリ菌は、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなどと関係します。胃MALTリンパ腫や免疫性血小板減少症など、胃の痛みだけでは捉えられない病気にも関わります。
ここで大切なのは、「感染している=必ずがんになる」ではないこと。ただし、症状がないから放置していい、とも言えません。感染の有無や胃の状態を確認し、治療の必要性を医師と相談します。
なぜ除菌するの?胃がんリスクを下げるためにも重要
除菌治療は、抗菌薬などを使ってピロリ菌を排除する治療です。胃や十二指腸の潰瘍の再発予防に加え、胃がんリスクを下げるためにも重要とされています。
ただし、除菌に成功しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。
感染によって起きた胃粘膜の萎縮などが残ることもあります。「菌がいなくなったから、今後は胃カメラを受けなくていい」と自己判断しないことが大切です。
また、除菌薬は今ある胃がんを治す薬ではありません。胃の病変を調べる検査と、感染を治療する除菌は、それぞれ役割が違います。
薬局では、どうしても1週間分の薬の説明が中心になります。でも、その先にある検査や経過観察まで一言つなげておくと、患者さんが治療の全体像を理解しやすくなります。
ピロリ菌の検査には何がある?血液検査だけで判断しない
検査には、尿素呼気試験、便中抗原検査、抗体検査、胃カメラで採取した検体を使う検査などがあります。
| 検査 | 主な特徴・注意点 |
|---|---|
| 尿素呼気試験 | 呼気を調べる。除菌前の診断や除菌後の判定に使われる |
| 便中抗原検査 | 便に含まれるピロリ菌由来の抗原を調べる。除菌判定にも使われる |
| 血液などの抗体検査 | 感染の手がかりになるが、過去の感染や除菌後でも陽性が残ることがある |
| 内視鏡に関連する検査 | 胃粘膜の状態を確認し、必要に応じて迅速ウレアーゼ試験、培養、核酸増幅法などを行う |
抗体が陽性だったという情報だけで、現在も感染しているか、除菌が必要かを決められるとは限りません。過去の除菌歴や胃の所見も含めて判断されます。
もう一つ見落としやすいのが、服用中の薬です。胃酸を抑える薬や抗菌薬は、一部の検査結果に影響することがあります。
2024年の見直しでは、PPIを飲んだまま実施できる検査について保険診療上の取り扱いも整理されました。一方、尿素呼気試験や迅速ウレアーゼ試験では、PPIによる影響を考慮する必要があります。
「胃薬は全部やめる」「どの検査も胃薬を飲んだままでいい」と一括りにせず、検査方法と薬の種類に応じて確認しましょう。市販の胃薬や、他院から処方された薬も伝えてください。

除菌治療の基本は、胃酸を抑える薬と抗菌薬の組み合わせ
日本でよく行われる除菌治療は、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせ、通常7日間服用する方法です。
胃酸を抑える薬は、胃の症状を和らげるためだけに入っているわけではありません。抗菌薬が働きやすい環境を作り、除菌を支える役割があります。
そのため、「胃は痛くないから胃薬はいらない」「抗菌薬だけ飲めばいい」という飲み方は避けましょう。
一次除菌と二次除菌の違い
| 段階 | 日本の標準的な組み合わせ | ポイント |
|---|---|---|
| 一次除菌 | 胃酸を抑える薬+アモキシシリン+クラリスロマイシン | 最初に行う標準的な治療。薬剤耐性や相互作用を確認する |
| 二次除菌 | 胃酸を抑える薬+アモキシシリン+メトロニダゾール | 標準的な一次除菌が不成功だった場合に用いる。飲酒に注意する |
| 三次除菌以降 | 感受性や治療歴などに応じて専門医が選択 | 標準的な保険診療とは異なる対応を含むため、費用や適応も確認する |
これは一般的な整理であり、全員が同じ組み合わせになるわけではありません。アレルギー、腎機能、併用薬、菌の感受性によって治療の選択が変わることがあります。
ボノサップ・ボノピオンとは?
複数の薬を1日分ずつまとめたパック製剤もあります。
- ボノサップパック:ボノプラザン、アモキシシリン、クラリスロマイシンの組み合わせ。
- ボノピオンパック:ボノプラザン、アモキシシリン、メトロニダゾールの組み合わせ。
ボノプラザンは「タケキャブ」の成分で、P-CABと呼ばれる胃酸分泌を抑える薬です。
例えばボノサップパック400では、1回にボノプラザン20mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mgを同時に、1日2回、7日間服用します。パック800はクラリスロマイシンが1回400mgです。「400」「800」はクラリスロマイシンの1日量の違いで、患者さんが選んで増減するものではありません。
ボノピオンは、1回にボノプラザン20mg、アモキシシリン750mg、メトロニダゾール250mgを同時に、1日2回、7日間服用します。
単剤を組み合わせる処方もあります。商品名だけで判断せず、「どの成分を、何mg、何回、何日間飲むか」を確認するのが基本です。
保険で除菌できる?感染胃炎では内視鏡による確認も必要
国内の標準的な保険診療では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、免疫性血小板減少症、早期胃がんの内視鏡治療後、ピロリ菌感染胃炎などが対象です。
感染胃炎として治療する場合は、ピロリ菌が陽性であることに加え、内視鏡検査で感染胃炎を確認することが必要です。「市販の検査で陽性だったので、薬だけ保険でもらえる」とは限りません。
検診で指摘された方は結果を持って受診し、必要な検査を相談しましょう。三次除菌などの費用も、実施する医療機関へ事前に確認してください。
最新の考え方は「耐性を踏まえて、最初から成功しやすい治療を選ぶ」
日本ヘリコバクター学会の2024改訂版ガイドラインでは、除菌前の薬剤感受性検査と、それに基づく治療選択が重視されています。2026年には英語版も公表されました。
注目したいのは、クラリスロマイシンが効きにくいピロリ菌の存在です。薬をきちんと飲んでも、菌の耐性が治療不成功の原因になることがあります。
最新ガイドラインでは、ボノプラザンを含む治療の位置づけに加え、感受性に応じて抗菌薬を選ぶ考え方が示されています。ただし、ガイドラインで提案される方法と、薬の承認内容・保険診療の取り扱いは、必ずしも同じではありません。
「最初から全員メトロニダゾールに変更」「海外の治療をそのまま日本で使う」という話ではなく、患者さんごとの条件に合わせて医師が選択します。
薬局でできることとしては、過去に除菌を受けたことがあるか、使った薬は何か、飲み切れたか、副作用があったかを確認すること。過去の抗菌薬の使用歴も、診療側に伝える情報になります。
除菌が失敗したときも、すぐに「患者さんが飲み忘れたから」と決めつけない。服用状況と菌の耐性の両方を考える視点が必要ですね。

クラリス錠200が販売終了予定。ピロリ除菌はできなくなる?
2026年9月、大正製薬は「クラリス錠200」の販売中止予定を案内しました。
| 項目 | メーカー案内の内容 |
|---|---|
| 対象 | クラリス錠200のPTP100錠・500錠 |
| 販売終了の時期 | 在庫がなくなり次第 |
| 代替製品 | AG製品のクラリスロマイシン錠200mg「大正」 |
| 小児用製剤 | クラリス錠50小児用、クラリスドライシロップ10%小児用は販売継続 |
| 経過措置期間満了日 | 2028年3月末予定。確定情報は今後確認が必要 |
ここで大切なのは、「クラリス錠200という製品の販売終了予定」と、「クラリスロマイシンという成分がなくなること」は別という点です。
メーカーは同じ成分のAGを代替製品として案内しています。販売終了の発表だけを理由に、ピロリ菌の一次除菌ができなくなると考える必要はありません。
また、この案内から、クラリシッドや除菌パック製剤まで販売終了すると判断することもできません。それぞれの製品について別に確認する必要があります。
薬局では、採用品目、卸の在庫、処方箋の記載、変更調剤の可否、患者さんへの説明を確認します。パック製剤の処方を勝手に単剤の組み合わせへ置き換えることは避け、処方内容に応じて医療機関と調整しましょう。
患者さんには、「商品名が変わっても、同じ成分の薬が使われることがあります。今回の薬の成分と飲み方を一緒に確認しましょう」と伝えると、販売終了という言葉だけで不安になりにくいと思います。

2026年の重要な注意点:アゼルニジピンとクラリスロマイシンは併用禁忌
除菌処方で見逃したくないのが、普段飲んでいる薬との相互作用です。
2026年3月の改訂で、アゼルニジピンとクラリスロマイシンの併用は禁忌となりました。クラリスロマイシンによってアゼルニジピンの血中濃度が上昇し、副作用が懸念されるためです。
アゼルニジピンは高血圧の薬です。単剤だけでなく、配合剤に含まれていることもあります。
「除菌は1週間だけだから大丈夫」「薬歴やレセコンで警告が出ていないから大丈夫」とは判断できません。短期間の除菌処方でも、最新の電子添文と実際の併用薬を確認する必要があります。
患者さんが自分で血圧の薬を中止するのではなく、薬局から処方医へ確認し、除菌薬や併用薬の対応を調整します。
また、クラリスロマイシンは、ほかにも相互作用の多い薬です。抗凝固薬、脂質異常症の薬、抗がん薬なども、具体的な成分名と用量を確認します。販売終了に伴って別メーカーの同成分製剤に変わっても、この相互作用がなくなるわけではありません。

副作用が出たら?「飲み切る」と「我慢する」は分けて考える
除菌中は、下痢、軟便、腹部の不快感、吐き気、口の苦味などが起こることがあります。
軽い症状で治療を続けられる場合もありますが、すべてを「よくある副作用だから大丈夫」と扱うのは危険です。
| 症状の例 | 対応の目安 |
|---|---|
| 軽い軟便、口の苦味など | 状態を確認し、困る場合や続く場合は薬局・医療機関へ相談する |
| 頻回の水様便、強い腹痛、発熱、血便、水分がとれない | 速やかに医療機関へ連絡する。残りの薬を無理に飲み進めない |
| 発疹、じんましん | 次の服用前に医療機関へ連絡する。拡大や全身症状にも注意する |
| 息苦しさ、顔・唇の腫れ、意識が遠のく | 服用を中止し、救急対応を求める |
飲み切ることは重要です。でも、重い副作用の可能性があるときまで飲み切ることを優先するわけではありません。
薬局では「下痢が出ることがあります」で終わらせず、「どんな症状なら連絡するか」「夜間や休日はどこへ相談するか」まで伝えておきたいところです。
飲み忘れ・飲んだ後の嘔吐はどうする?
飲み忘れた分をまとめて2回分飲むことは避けましょう。気づいた時刻と次の服用までの間隔を踏まえ、渡された説明書や薬剤師の案内に沿って対応します。
服用後に吐いた場合も、すぐに同じ薬を追加で飲むとは限りません。服用から何分後だったか、吐いた回数、薬が見えたかなどを伝えて相談してください。
1回忘れたら必ず失敗する、というわけではありません。一方で、何度も抜けたり途中で自己中断したりすると、治療が不十分になるおそれがあります。失敗したかどうかを自己判断せず、服用状況を伝え、判定検査につなげましょう。
お酒・喫煙・ヨーグルトはどう考える?
メトロニダゾールを使う除菌では飲酒を避ける
二次除菌などで使うメトロニダゾールは、飲酒によって腹痛、嘔吐、顔の赤みなどが起こるおそれがあり、電子添文でも投与期間中は飲酒を避けるよう記載されています。
「一次除菌でも二次除菌でも、理由は同じ」とは説明せず、処方薬に応じて注意点を伝えます。一次除菌でも、体調や飲み忘れへの影響を考え、治療中の飲酒は控える相談をしましょう。
飲み会の予定があるからといって、自分で服用を中断したり、開始日をずらしたりしないこと。予定どおり治療できない事情がある場合は、開始前に処方医や薬剤師へ相談してください。
喫煙についても、除菌をきっかけに禁煙を考えることは大切です。ただし、「禁煙できないから薬を増やす」と患者さんが判断するものではありません。
ヨーグルトだけで除菌できるわけではない
乳酸菌やプロバイオティクスを除菌治療に併用する研究はありますが、製品や菌株、摂取方法、治療の組み合わせによって結果は異なります。
「このヨーグルトなら必ず除菌率が10%上がる」「副作用を防げる」と一律に説明することはできません。
食べられるものを無理なく取り入れることと、除菌薬の代わりとして使うことは別です。基本は処方された治療を適切に受けること。ヨーグルトやサプリメントだけで治そうとしないでください。

薬を飲み終えた後の除菌判定が大切
7日分の薬を飲み終えたら、まず一つの区切りです。ただし、それだけで除菌に成功したとは判断できません。
除菌判定には、主に尿素呼気試験や便中抗原検査が使われます。通常、治療終了から少なくとも4週間以上あけて行います。
尿素呼気試験では、抗菌薬は検査前4週間、PPI・P-CABは検査前2週間の中止が目安となりますが、具体的な休薬は検査を行う医師の指示に従います。検査方法によって取り扱いも異なります。
「除菌薬は飲み終えたけれど、いつものタケキャブは続けている」「別の感染症で抗菌薬を飲んだ」という場合は、検査前に必ず伝えましょう。
薬局では、服用開始日、終了予定日、判定検査の予定を確認しておくと、治療を途中で途切れさせにくくなります。
胃の調子がよくなったことと、菌がいなくなったことは別。症状だけで成功を判断しないことが大切です。
二次除菌も失敗したら?専門医につなぐ選択肢がある
二次除菌まで不成功だった場合も、「もう何もできない」と決まったわけではありません。
三次除菌では、これまでの治療歴や感受性、アレルギーなどを踏まえ、専門医が治療を検討します。2024改訂版ガイドラインでは、ボノプラザン・アモキシシリン・シタフロキサシンを使う方法などが取り上げられています。
ただし、標準的な保険診療の除菌治療とは異なり、適応外使用や自費診療を含むことがあります。実施施設、費用、治療の見通しを確認する必要があります。
「人生で2回しか除菌できない」と考えるより、標準的な一次・二次除菌の後には、専門医に相談する段階があると理解する方が適切です。余った抗菌薬でやり直すことは避けましょう。
ピロリ菌は膵臓がんにも影響する?大規模研究をどう読むか
ピロリ菌といえば胃がんですが、膵臓がんとの関係も研究されています。
2026年のEuropean Journal of Cancer掲載研究では、北欧5か国でピロリ菌の除菌治療を受けた成人661,827人を対象に、膵臓がんの発生を追跡しました。最大24年間の追跡で、2,331人に膵臓がんが発生しています。
年齢、性別、暦年、国を対応させた一般人口と比較した標準化罹患比(SIR)は、次の結果でした。
| 除菌治療からの期間 | 膵臓がんの標準化罹患比(95%信頼区間) |
|---|---|
| 1〜5年 | 1.14(1.07〜1.21) |
| 6〜10年 | 0.99(0.92〜1.07) |
| 11〜24年 | 1.00(0.92〜1.08) |
SIRが1前後というのは、比較した一般人口とおおむね同程度という意味です。研究では、除菌治療後の長期経過で、膵臓がんの発生リスクが一般人口と同程度になったと報告されています。
ただし、これは「除菌した人」と「感染していて除菌しなかった人」を無作為に振り分けた試験ではありません。除菌成功者だけを比較した試験でもなく、除菌治療を受けた集団の経過をみた観察研究です。
背景の病気や生活習慣、検査を受けるきっかけなどの影響を完全に取り除けるわけではないため、この結果だけで、除菌が膵臓がんを予防する、あるいは何%減らすと断定することはできません。
ピロリ菌感染と膵臓がんの関係そのものも、研究結果は一様ではありません。2025年の系統的レビュー・メタ解析でも、感染全体と膵臓がんとの関連について、単純に一つの結論へまとめられない状況が示されています。
しぐ的には、こういう話題はとても気になります。ただ、患者さんへの説明では、期待を伝えることと、効果が確立したように伝えることを分けたいところ。
現時点では、**「胃がんリスク低減などのために適切な除菌を行うことが重要。膵臓がんへの影響は、研究が進んでいるテーマ」**という受け止め方がよいと思います。
膵臓がんが心配だから自己判断で除菌薬を飲む、除菌したから膵臓がんの心配はなくなる、という話ではありません。
除菌後も、胃の経過観察は続けよう
除菌に成功しても、胃の状態に応じた内視鏡検査などの経過観察が必要です。間隔は胃粘膜の萎縮や病変、過去の治療歴などを踏まえて医師が判断します。
「毎年必ず同じ検査」と一律に決めるのではなく、次にいつ受診するかを確認しておきましょう。
また、体重減少、黒い便、持続する腹痛などがあるときは、次の定期検査まで待たずに相談してください。除菌歴があることだけで、症状の原因を説明できるわけではありません。
薬局での確認は「開始前・服用中・服用後」をつなげる
| タイミング | 確認したいこと |
|---|---|
| 開始前 | 除菌歴、薬剤アレルギー、腎機能、併用薬、飲み方、開始日、7日間続けられるか |
| 服用中 | 飲み忘れ、嘔吐、下痢や発疹の程度、食事・水分、相談先 |
| 服用後 | 飲み切れたか、副作用の経過、判定検査の予定、検査に影響する薬、今後の受診予定 |
「1週間だから簡単」と思われがちですが、短期間だからこそ、困ったときに相談する前に治療が終わってしまうこともあります。
服用中に不安があれば、次の受診まで我慢せず相談していい。この一言を添えておくことも、薬局の大事な役割だと思います。
まとめ:ピロリ除菌は、1週間の薬とその後の確認までがセット
ピロリ菌の除菌では、抗菌薬を飲むことだけでなく、薬剤耐性や併用薬を踏まえた治療選択、副作用への対応、除菌判定、除菌後の経過観察が大切です。
クラリス錠200の販売終了予定があっても、クラリスロマイシンという成分がなくなるわけではありません。一方で、同じ成分の別製品になっても相互作用は引き続き確認が必要です。
膵臓がんとの関連も興味深い話題ですが、研究段階の知見を、そのまま確立した予防効果として伝えないことも重要ですね。
しぐ的な結論は、「飲み切って終わり」から、「安全に飲み切り、成功を確認し、その後も胃を守る」へ。
薬局からその流れをつなげていきたいところです。
ではでは、しぐでしたっ。
FAQ(本文のまとめ後に追加)
Q. ピロリ菌を除菌すると胃がんにならなくなりますか?
胃がんのリスク低減は期待できますが、ゼロにはなりません。除菌後も胃の状態に応じた経過観察が必要です。
Q. ピロリ菌の除菌で膵臓がんも予防できますか?
除菌治療後の長期経過で、膵臓がんの発生が一般人口と同程度になった観察研究があります。ただし、除菌による予防効果が確立したとは言えません。
Q. クラリス錠200の販売終了で除菌治療はできなくなりますか?
販売終了予定は特定の製品に関する案内です。メーカーは同成分のAGを代替製品として案内しています。治療薬は処方内容と供給状況を確認して選ばれます。
Q. 除菌中に下痢が出たら薬をやめるべきですか?
症状によって対応が異なります。軽い軟便でも困る場合は相談し、強い腹痛、血便、発熱、頻回の水様便、水分がとれない状態では速やかに医療機関へ連絡してください。
Q. 二次除菌中にお酒を飲んでもいいですか?
メトロニダゾールを含む治療では、投与期間中の飲酒を避けてください。飲酒再開の時期も処方医や薬剤師に確認しましょう。
Q. 除菌判定前にタケキャブや胃薬を飲んでいても大丈夫ですか?
検査方法によって異なります。尿素呼気試験ではPPI・P-CABの影響に注意が必要です。自己判断で中止せず、検査を行う医療機関に薬の名前を伝えて指示を受けてください。
Q. ヨーグルトでピロリ菌を除菌できますか?
ヨーグルトは処方された除菌治療の代わりにはなりません。併用研究の結果も製品や菌株などで異なり、一律の効果は保証できません。
Q. 二次除菌まで失敗したら諦めるしかありませんか?
専門医が三次除菌などを検討する場合があります。治療歴や感受性、費用、適応外使用などを確認し、実施できる医療機関へ相談してください。


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