オノアクト点滴静注!敗血症に伴う頻脈性不整脈で世界初の適応取得

薬剤師のしぐです。

今回は、小野薬品さんが世界初の適応・効能効果を取得する

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉についてです!

以前から短時間型のβブロッカーとして存在していたこのオノアクト点滴静注。

世界初の適応・効能効果追加【敗血症に伴う・心房細動・心房粗動・洞性頻脈―の頻脈性不整脈】ということで、まとめてみたいと思います。

オノアクト点滴静注の有効成分

ランジオロール

βブロッカー特有の、【〜ロール】ですね。

カルベジロール、ビソプロロール、アテノロール。

心疾患には必須の薬効分類です。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の適応・効能効果

手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

心房細動、心房粗動、洞性頻脈

手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

心房細動、心房粗動、洞性頻脈

心機能低下例における下記の頻脈性不整脈

心房細動、心房粗動

生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合

心室細動、血行動態不安定な心室頻拍

今回、ここに【敗血症に伴う・心房細動・心房粗動・洞性頻脈―の頻脈性不整脈】が追加になるということです。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の用法用量

手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

心房細動、心房粗動、洞性頻脈

ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01〜0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。

手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

心房細動、心房粗動、洞性頻脈

ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5〜10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01〜0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。

心機能低下例における下記の頻脈性不整脈

心房細動、心房粗動

ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1〜10μg/kg/minの用量で適宜調節する。

生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合

心室細動、血行動態不安定な心室頻拍

ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1〜10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の作用機序

短時間作用型アドレナリンβ1受容体遮断薬。

主に心臓に存在するβ1受容体に作用し、交感神経終末及び副腎髄質より遊離されるノルアドレナリン及びアドレナリンによる心拍数増加作用に拮抗することで抗不整脈作用を発現する。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の投与方法

本剤は輸液以外の薬剤とは別経路で投与すること。(患者の心拍数・血圧の変化に応じて本剤の投与速度を適宜調節する必要がある。)

精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)の誤操作により、過量投与の可能性があるので、投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の調製方法

本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。

10mg/mLを超える濃度で点滴すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。精密持続点滴装置使用に際しては、バッグあるいはシリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の禁忌

  • 心原性ショックの患者
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者
  • 房室ブロック(II度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者
  • 肺高血圧症による右心不全のある患者
  • 未治療の褐色細胞腫の患者
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • うっ血性心不全のある患者【手術時、後の緊急処置時のみ】

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉のその他の注意

β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告、並びにグルカゴン静注が有効であったとの報告がある。

コレ、ご存知でしたか?

自分はかの有名な薬剤師漫画「アンサングシンデレラ」を読んでいて初めて知りました。

現場の知識が得られるので、こういった漫画はとっても勉強になります。

ランジオロール〈オノアクト点滴静注〉の薬価

  • オノアクト点滴静注用50mg:4730円/瓶
  • オノアクト点滴静注用150mg:12999円/瓶

敗血症とは

感染症がきっかけとなって起きる、二次的な症状のこと。

具体的には、何らかの感染症を起こしている細菌などが増殖して炎症が全身に広がり、その結果、重大な臓器障害が起きて重篤になっている状態です。肺の感染症(肺炎)、尿路感染症(腎臓)、皮膚および腸管の感染を原因とすることが多いようです。

敗血症を引き起こしたもととなる原因(菌)を見つけ、その治療を早期に開始しなければ、命に関わる危険もあります。

どんな感染症でも敗血症を起こす引き金になる可能性があり、特に、免疫力がまだついていない乳幼児や、高齢者、糖尿病などの慢性疾患やがんなどの基礎疾患がある人や、病気治療中で免疫力が低下している人は、感染症から敗血症を起こすリスクが高くなります。

白血球の中の一種である好中球が減少する「好中球減少症」の状態だと、感染症にかかりやすくなり、敗血症を起こす可能性が高くなります。好中球減少症は、遺伝性による先天的なものと、後天的なものがあり、抗がん剤による化学療法を受けているがん患者にもよく見られます。

敗血症と頻脈性不整脈

敗血症患者において頻脈性不整脈の合併はしばしば見られます。

敗血症における頻脈性不整脈の発生機序は不明と言われていますが、敗血症患者の10〜40%で新しく心房細動が発生するとの報告もあるようです。

静注用β遮断薬としてインデラル注射液やブレビブロック注が上市されているが、敗血症に伴う頻脈性不整脈の適応を持つ薬剤は今までありませんでした。

さらに、オノアクトの今回の【敗血症に伴う・心房細動・心房粗動・洞性頻脈―の頻脈性不整脈】という適応は海外でも承認されていない世界初の適応・効能効果になるというわけですね!

オノアクト点滴静注の名前の由来

オノアクトは小野薬品工業の薬であることから、ONO(小野)ACTIVE(効果を示す)な化合物であるという意味をこめて、オノアクトと命名されたそうです。

小野薬品さんっぽいですね。小野薬品さんは、「オノ」ってつける印象。

「オノン」とかね。

バイエルさんの「バイ」と同じ感じ。

「バイアスピリン」や「グルコバイ」、「バイナス」とかね。

医薬品の名前の由来。知ってるとなんだか愛着が湧くよね!

今回はこんな感じ。

イロイロ書いたけど、ようするに、

オノアクト点滴静注で世界初の適応・効能効果「敗血症による頻脈性不整脈」を取得

ということです。

ではではーしぐでしたっ

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