RMPが薬機法上の義務へ|2027年5月20日施行、薬局で押さえる変更点

こんにちは、薬剤師のしぐです。
新しい薬を調べるとき、電子添文と一緒に「RMP」という言葉を目にすることがあります。正式には医薬品リスク管理計画。薬の安全性について、何を調べ、どんな対策を行うかをまとめた計画です。
このRMPに関する規定が、2027年5月20日から改正薬機法に基づく仕組みとして施行されます。厚生労働省は2026年9月30日、関連する通知を発出しました。
薬局でまず押さえたいのは、今回のRMPの作成・報告・実施義務の主体が「医薬品の製造販売業者」であることです。薬局が取り扱うすべての薬について、自らRMPを作成して提出する制度になるわけではありません。
それでも、保険薬局にとって関係の深い改正です。患者さんが自宅で薬を使い始めた後の変化を拾い、必要な受診や情報提供につなげる。その仕事に、RMPをどう生かすかが問われます。
この記事では、法制化の概要から、電子添文との違い、服薬指導とフォローアップへの取り入れ方まで整理します。
今回のニュースを先に整理
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 施行日 | 2027年5月20日 |
| 根拠となる規定 | 改正薬機法第68条の2 |
| 義務の主体 | 医薬品の製造販売業者 |
| 主な内容 | 必要な場合のRMP作成、作成・変更等の報告、計画に基づくリスク管理の実施 |
| 薬局での活用 | 重要なリスクと資材を確認し、説明・フォローアップ・情報提供に反映 |
「義務化」という見出しだけを見ると、これまでは任意だったようにも感じます。しかし、従来も承認条件や製造販売後安全管理の仕組みを通じてRMPの作成・実施が求められていました。今回の変更は、法律上の規定として製造販売業者の対応を位置づけるものです。
RMPとは?薬の安全性を継続して確認する計画
RMPはRisk Management Planの略です。
承認時に得られている安全性情報には限界があります。実際の医療現場では、さまざまな年齢、合併症、併用薬を持つ患者さんが薬を使います。発売後の情報も踏まえ、重要なリスクを確認し、対策を見直す必要があります。
RMPでは、主に次の内容が整理されます。
- どのような安全性上の懸念を検討するか
- その懸念について、どのように情報を集めるか
- 副作用などのリスクを減らすために、どのような対策を行うか
必要に応じて、有効性に関する調査・試験の計画も含まれます。薬の注意点を並べるだけでなく、情報収集と対策を結びつけていることが特徴です。

安全性検討事項の3つの区分
| 区分 | 意味 | 薬局で読むときの視点 |
|---|---|---|
| 重要な特定されたリスク | 医薬品との関連について十分な根拠がある重要なリスク | 症状、検査、受診の目安を具体的に確認する |
| 重要な潜在的リスク | 関連が疑われるものの、確認が十分でない重要なリスク | 確定した副作用として断定せず、疑わしい変化を丁寧に拾う |
| 重要な不足情報 | 安全性を評価するために重要で、まだ十分に得られていない情報 | 対象集団や使用状況など、何の情報が不足しているかを見る |
「潜在的リスク」は、必ず起こる副作用という意味ではありません。「不足情報」も、その患者さんに使えないという意味ではありません。禁忌や使用上の注意、承認された用法・用量は電子添文で確認し、RMPは安全性上の課題を理解するために併せて読みます。
2027年5月20日から何が変わる?
厚生労働省の通知では、安全性に関する懸念が生じた際に、リスクの特性に応じた迅速な対応を可能にすることが改正の趣旨として示されています。
製造販売業者の作成・報告・実施を法律上に位置づける
必要な場合にRMPを作成し、作成・変更等について報告し、計画に基づくリスク管理を実施する仕組みになります。厚生労働大臣への報告は、規則に基づきPMDAに行います。
ここで大切なのは、書類を提出して終わりという理解にしないこと。情報収集の結果を評価し、必要な措置や計画の見直しにつなげるところまでが、安全対策の流れです。
新薬だけでなく、新たな安全性の懸念にも対応する
通知では、新薬、バイオ後続品、RMPが作成されている先発品に対する後発品の承認申請時などが、作成の検討が必要な時点として示されています。
また、RMPが作成されていない薬や、RMPが終了した薬で新たな安全性の懸念が判明した場合も、作成を検討する対象です。既存のRMPがある薬では、変更を検討します。
「以前から使われている薬だから、RMPは関係ない」と決めつけないことが必要です。ただし、すべての医療用医薬品に一律にRMPの作成を求めるものではありません。対象は医療用医薬品のうち、体外診断用医薬品を除き、追加の安全性監視活動やリスク最小化活動などが必要となる場合です。
既存のRMPはどうなる?経過措置も確認
施行日に、既存品のRMPが一斉に新しい仕組みへ切り替わるわけではありません。
2027年5月20日時点でRMPの作成等が承認条件として付されている医薬品は、承認条件の解除まで従前の扱いとする経過措置があります。
さらに、同日から適用される新しい指針・取扱い通知では、次のような移行の考え方が示されています。
- 再審査期間中の医薬品は、一部変更申請や、再審査終了後もRMP継続が必要と判断された時点などの節目で、原則として新しい通知に基づく対応へ変更する。
- 再審査期間が終了していて、RMPの作成・実施が承認条件となっている医薬品は、新通知適用後1年を目途に変更する。
- 2027年11月30日までに承認申請される医薬品は、経過措置として旧指針等に基づくRMPの作成も認められる。
移行にはPMDAとの相談が必要です。薬局では、一律に「旧RMPは使えなくなる」と考えず、その製品について公開されている最新版のRMPと資材を確認しましょう。
電子添文とRMPはどう使い分ける?
| 情報 | 主に確認したいこと |
|---|---|
| 電子添文 | 効能・効果、用法・用量、禁忌、相互作用、副作用、検査などの注意事項 |
| RMP | 重要な安全性上の課題、情報収集の計画、リスクを減らす活動 |
| RMPに基づく追加の資材 | 個別のリスクについて、医療者や患者さんに伝える具体的な内容 |
薬局で使いやすい読み方は、まず電子添文で処方と注意事項を確認し、次にRMPで重要な安全性検討事項を把握し、必要な資材を開く順番です。
RMPは電子添文を置き換える資料ではありません。一方、電子添文だけでは把握しにくい、評価中の安全性上の課題や情報の不足を理解する助けになります。
患者向けのパンフレットなら、すべてRMP資材?
患者向けパンフレットには、病気の説明、生活上の工夫、服用方法など、さまざまな目的のものがあります。すべてがRMPに基づく追加のリスク最小化活動として作られた資材とは限りません。
RMP本文の追加のリスク最小化活動や、公開されている資材の位置づけを確認しましょう。RMPマークも確認の手がかりになります。また、患者向医薬品ガイドは通常のリスク最小化活動に位置づけられています。名称が似ていても、資料の役割を区別しておくと説明が整理しやすくなります。
薬局ではどう動く?実務に取り入れる5つのポイント
ここからは、制度を踏まえた薬局での実務提案です。今回の改正により、以下の手順が薬局に一律に新設されるという意味ではありません。
1.初めて扱う薬は、RMPと追加資材の有無まで確認する
新薬を採用するときや、初めて処方箋を受け付けるときは、電子添文に加え、RMPと追加資材の有無を確認します。
忙しい薬局では、まず抗がん薬など、重篤な副作用の早期発見が特に重要な薬から着手する方法もあります。薬名ごとに「RMPの更新日」「患者向け資材」「重点確認事項」の保存先をそろえると、担当者が変わっても参照しやすくなります。
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2.リスクの名前を、患者さんが答えられる質問へ変える
「副作用は大丈夫ですか?」だけでは、患者さんが薬との関連を思いつかず、症状が話題に上がらないことがあります。
たとえば、呼吸器症状を重点的に確認する薬なら、「最近、新しく咳が出るようになっていませんか」「いつもの動作で息切れしませんか」と尋ねます。下痢を確認する場合は、普段との差、回数、飲水、食事、尿量などを聞きます。
確認項目は薬ごとの電子添文・RMP・資材に合わせます。同じ「抗がん薬」という分類でも、必要な質問は異なります。
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3.資材は、読んでもらって次の行動まで確認する
患者さんに資材を渡すときは、今回の説明で特に大切なページを一緒に確認します。
「この症状が出たら、どこへ連絡することになっていますか?」と尋ねると、受診・連絡先が具体的になっているかが分かります。家族の支援が必要な場合は、本人の意向を踏まえて共有方法も考えます。
資材を渡した記録に加え、説明した症状や連絡先、患者さんの理解状況を残すと、次の担当者の確認にもつながります。

4.フォローアップは、薬ごとのリスクと患者背景で組み立てる
電話等によるフォローアップの時期と内容は、医薬品の特徴、治療開始時期、患者背景、医療機関との連携方法を踏まえて決めます。すべての薬に同じ日数、同じ質問を当てはめる必要はありません。
確認結果は、「問題なし」だけでなく、症状の有無、開始時期、程度、生活への影響、実施した対応まで整理します。薬局が把握できない検査情報は、確認できた範囲と未確認の範囲を区別しましょう。
5.疑わしい変化を、医療機関への共有や副作用報告につなげる
副作用が疑われる症状を認めた場合は、まず患者さんの状態と受診の必要性を判断します。強い呼吸困難や意識の異常など、緊急性が高い症状では、情報整理より緊急対応が優先です。
医療機関に伝える際は、薬名、服用開始・変更時期、症状が出た時期、症状の推移、併用薬、対応内容を整理すると伝わりやすくなります。副作用報告の必要性も検討します。
重要な潜在的リスクや不足情報に関連する症例は、安全性の理解を深める情報となり得ます。ただし、RMPに記載されていない事象も含め、報告の必要性を判断することが大切です。
+α:資材を渡した先まで見ることが、安全対策になる
新しい指針には、追加のリスク最小化活動の効果評価についての考え方も示されています。
情報が届いたか、理解されたか、リスクを減らす行動につながったか。さらに、実際のリスク低減効果を確認できるか。この視点は、薬局での説明を振り返る際にも役立ちます。
たとえば、同じ資材を繰り返し渡していても、患者さんが「どの症状で連絡するか」を理解できていなければ、説明の方法を変える余地があります。文字が読みにくい、専門用語が多い、家族に説明が届いていないなど、実際に使ってもらう段階で分かる課題もあります。
こうした気づきを医療機関や製造販売業者に伝えることも、現場からできる協力です。薬局での実務提案としては、「渡したか」だけでなく「使える状態になったか」を確認することをおすすめします。
しぐの考え:RMPは日々の質問を具体的にするために使いたい
RMPの法制化というと、製薬企業の制度対応の話に見えるかもしれません。でも、患者さんが薬を使い続ける場所は、診察室や病院の中だけではありません。
自宅で出ている症状、受診まで我慢している困りごと、自己判断で始めた市販薬やサプリメント。薬局での会話から分かる情報があります。
RMPを読むことで、薬剤師の質問が具体的になり、患者さんが困ったときの行動も明確になる。その使い方を大切にしたいと思います。
2027年5月20日の施行を機に、まずはよく扱う薬を一つ選び、最新版のRMPと資材を開いてみましょう。そこから、普段の服薬指導で追加したい質問を一つ決める。それだけでも、実務につながる一歩になります。

よくある質問(FAQ)
Q1.RMPの法制化はいつからですか?
2027年5月20日です。2026年9月30日に関連通知が発出されています。
Q2.薬局もRMPを作成して提出する必要がありますか?
今回のRMPの作成・報告・実施義務の主体は医薬品の製造販売業者です。薬局は公開されたRMPや資材を、服薬指導、フォローアップ、情報提供等に活用します。
Q3.これまではRMPを作らなくてもよかったのですか?
従来も承認条件や製造販売後安全管理の仕組みで作成・実施が求められていました。今回、法律上の規定として位置づけられます。
Q4.すべての薬にRMPが必要になりますか?
一律ではありません。対象となる医療用医薬品のうち、追加の安全性監視活動やリスク最小化活動等が必要となる場合に作成が求められます。
Q5.重要な潜在的リスクは、確定した副作用ですか?
医薬品との関連が疑われるものの、確認が十分でない重要なリスクです。確定した副作用と同じ扱いで断定しないことが必要です。
Q6.RMPが終了した薬は、安全性の確認が不要になりますか?
不要にはなりません。通常の安全対策は続きます。新たな安全性の懸念が判明した場合には、RMPの作成が再び検討されることもあります。
Q7.RMP資材を渡せば、調剤報酬の加算を算定できますか?
今回の法制化そのものが、薬局の新たな加算を創設するものではありません。RMP資材を用いた指導等に関係する既存の評価については、現行の点数表・通知の対象と要件を別途確認してください。資材を渡したことだけで算定できると判断しないようにしましょう。



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