薬剤師のしぐです。
今回は新薬「キャブピリン配合錠」についてです。
キャブピリン。すごく、言いづらい。
でも循環器系疾患治療ではあると助かる配合剤。
コンプライアンス向上に一役買ってくれるこのキャブピリン配合錠。
では、まとめていきます。
キャブピリン配合錠の成分
キャブピリン配合錠は、名前の通り2種類の医薬品が配合されています。
ボノプラザン〈タケキャブ錠〉:10mg
ボノプラザンは、酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合する形でH+,K+-ATPaseを可逆的に阻害し、酸分泌抑制作用を発揮する、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)に分類されます。
このカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)は、既存のPPIに比べて酸に安定で水溶性に優れており、酸による活性化を必要としないため作用発現が速やかで、かつ遺伝子多型のある酵素で代謝されないことなどが特徴となっています。
これまでのPPIは、効果が安定するまでに3〜4日かかると言われていたが、このP-CABになると投与初日から強力な酸分泌抑制作用が期待できるというのが最大の特徴です。
ちなみに、配合されている規格は10mgなんですね。
余談になるかもしれませんが、このボノプラザン〈タケキャブ錠〉の登場で最も恩恵を受けているのが消化性潰瘍でも逆流性食道炎でもなく、「ピロリ菌除菌」と言われています。
詳細はコチラにまとめています。
アスピリン〈バイアスピリン錠〉:100mg
低用量アスピリンは、COX-1阻害作用によりTXA2の合成を阻害し血小板凝集抑制作用を示す医薬品。
安価にもかかわらず、優れた抗血小板作用を持つ。心筋梗塞や非心原性脳梗塞の再発予防で最も推奨度が高い薬の1つです。
以前まとめたことのある抗血小板薬でも記載してます。
この2種類の成分の配合剤というわけですね。
アスピリンの長期投与により胃潰瘍や十二指腸潰瘍が引き起こされることがあり、アスピリンの継続投与の際は潰瘍発症を抑制することが重要とされています。
特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往患者に対してPPIを併用投与することが推奨されており、配合薬にすることでアドヒアランスの向上につなげることができます。
武田さんと大塚製薬さんが共同販促するようです。
キャブピリン配合錠の用法用量
通常、成人には1日1回1錠(アスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mg)を経口投与する。
キャブピリン配合錠の適応・効能効果
下記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制
(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)
- 狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
- 冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後
タケルダ配合錠と全く同じですね。
(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)
って部分。意外と、知らない薬剤師さんもいるので注意してください。
キャブピリン配合錠の名称について
上記「タケルダ配合錠」の名称の由来は、みていただけたでしょうか。
このキャブピリン配合錠。
薬剤師ならほぼほぼ、間違いなく、ネーミングの由来がわかってしまう。
もう少し、ひねってほしかった、、、。
タケキャブ錠の、「キャブ」
バイアスピリンの、「ピリン」
合わせて、キャブピリン。
、、、。
タケルダ配合錠を90点とするなら、このキャブピリン配合錠は、3点。
はっ。
完全に、独断と偏見です。
わ、わかりやすくてイイ名前だよね!!
P-CABとは
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker : P-CAB)であるボノプラザン。
消化にとって重要な臓器である胃の表面には、胃酸を分泌するプロトンポンプが発現しています。このプロトンポンプが、細胞内のエネルギーを利用してH+(プロトン)を胃の内部へと輸送することで、胃の内部を強い酸性環境にしています。
これは消化にとって重要であると同時に、胃潰瘍の原因にもなるため胃酸抑制剤のターゲットとされています。
胃プロトンポンプは、胃壁細胞の細胞膜で働いています。
プロトンポンプは、胃の中にH+を輸送し、反対方向にK+を輸送します。このような働きから、別名H+,K+-ATPase(ATPのエネルギーを使ってH+とK+を輸送するタンパク質)と呼ばれます。
P-CABは非常に強くプロトンポンプに結合し、この活性を阻害します。この薬剤は、以前まで主流であったPPIとは異なる仕組みで胃プロトンポンプを阻害する薬剤です。
P-CABはPPIと比べ、迅速に胃酸分泌を抑制し、PPIよりも高い治療効果が期待されています。
キャブピリン配合錠の禁忌
禁忌は下記の通り。
- 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- アタザナビル〈レイアタッツ〉、リルピビリン〈エジュラント〉を投与中の患者
- 消化性潰瘍のある患者[アスピリンのプロスタグランジン生合成抑制作用により胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある。]
- 出血傾向のある患者
- アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
- 出産予定日12週以内の妊婦
併用禁忌はレイアタッツと、エジュラント。どちらも抗HIV薬ですね。
キャブピリン配合錠の添付文書
添付文書はコチラ→https://www.otsuka-elibrary.jp/product/di/cpt/index.html
製剤写真、インタビューフォームもみれます。便利ですよねーー
インターネットの世界はすごいですね。
キャブピリン配合錠剤への新薬14日処方日数制限について
既存医薬品の配合錠のため、この新薬処方日数制限は適応されないようですね。
配合錠のいいところですね。
今回はこんな感じ。
また詳細わかり次第追記していきます。
ではではーしぐでしたっ
コメント
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