
こんばんは、薬剤師のしぐです。
最近は、てんかん領域での新薬も熱い!
2026年9月16日、小野薬品工業は抗てんかん剤「エキスコプリ錠」(一般名:セノバメート)の国内製造販売承認を取得したと発表しました。
対象となるのは、てんかん患者における部分発作。二次性全般化発作も含まれます。
エキスコプリは海外ではすでに広く使用され、2026年9月時点で欧米を含む45以上の国・地域で承認されている抗てんかん発作薬です。
国内でも、既存の薬を使用しているにもかかわらず発作を十分にコントロールできない患者さんにとって、新たな選択肢となることが期待されます。
この記事では、エキスコプリ錠の特徴や作用機序、特徴的な増量スケジュール、臨床試験の結果、保険薬局で確認したい副作用・相互作用・服薬フォローについてまとめます。
- エキスコプリ錠が2026年9月16日に国内承認
- 一般名はセノバメート
- 成人の部分発作に1日1回投与
- 12.5mgから始め、2週間以上かけて段階的に増量
- 400mg群では6週間の維持期における発作消失率52.4%
- めまい・眠気だけでなく、皮疹、肝障害、相互作用にも注意
この記事のポイント
エキスコプリ錠とは?
エキスコプリ錠は、セノバメートを有効成分とする新しい抗てんかん発作薬です。
国内では次の4規格が承認されました。
- エキスコプリ錠12.5mg
- エキスコプリ錠50mg
- エキスコプリ錠100mg
- エキスコプリ錠200mg
製造販売元は小野薬品工業です。
なお、承認された規格は12.5mg・50mg・100mg・200mgですが、増量途中では25mgや150mgを使用します。実際の処方では、複数錠や異なる規格の組み合わせが必要になると考えられます。
調剤時には、規格だけでなく「現在が増量の何段階目なのか」まで確認する必要がありそうです。
エキスコプリ錠の効能・効果
承認された効能・効果は次のとおりです。
てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
いわゆる焦点発作を対象とした薬です。
今回発表された用法・用量は成人を対象としており、小児に対する国内適応は現時点ではありません。
小野薬品工業は、小児の部分発作を対象とした第3相試験、成人および青年期の全般性強直間代発作を対象とした第3相試験も国内で実施しています。
今後、対象となる年齢や発作型が広がる可能性にも注目です。
エキスコプリ錠の作用機序

エキスコプリの詳細な作用機序は、まだ完全には解明されていません。
現在は、主に次の2つの作用によって神経細胞の過剰な興奮を抑えると考えられています。
電位依存性ナトリウム電流を阻害する
神経細胞の興奮が繰り返される際には、ナトリウムチャネルが重要な役割を果たします。
セノバメートは電位依存性ナトリウム電流を阻害し、反復的な神経発火を抑制すると考えられています。
GABA-A受容体を正に調節する
GABAは、中枢神経系における代表的な抑制性神経伝達物質です。
セノバメートには、GABA-Aイオンチャネルを正に調節する作用もあります。
つまりエキスコプリは、
- 神経細胞の興奮を抑える
- 神経の抑制系を強める
という2つの方向から、発作を抑える可能性がある薬です。
エキスコプリ錠の用法・用量
通常、成人にはセノバメートとして12.5mgから開始し、1日1回経口投与します。
その後は、2週間以上の間隔をあけて、1段階ずつ増量します。
| 段階 | 1日投与量 |
|---|---|
| 1 | 12.5mg |
| 2 | 25mg |
| 3 | 50mg |
| 4 | 100mg |
| 5 | 150mg |
| 6 | 200mg |
維持用量は1日1回100~200mgです。
患者さんの状態に応じて適宜増減できますが、200mgを超えて増量する場合も、2週間以上の間隔をあけて50mgずつ増量します。
最高用量は1日1回400mgです。
とにかく「ゆっくり増量」が重要
エキスコプリは、12.5mgという少量から治療を開始します。

さらに、それぞれの段階を2週間以上あけながら増量するため、200mgへ到達するまでには最短でも10週間程度かかります。
このゆっくりとした増量は、副作用を抑えながら安全に治療を進めるための重要なポイントです。
患者さんが「早く効かせたいから」と自己判断で増量したり、飲み忘れた分をまとめて服用したりしないよう、丁寧な説明が必要です。
抗てんかん薬を含む薬の飲み忘れについては、コチラでも解説しています。

臨床試験では発作消失率52.4%
国内承認の根拠となったのは、日本・韓国・中国で実施された国際共同第3相試験「YKP3089C035試験」です。
対象は、1~3種類の抗てんかん発作薬を使用しても部分発作がみられる18~70歳の成人患者です。
既存治療に加えて、次のいずれかが1日1回投与されました。
- プラセボ
- セノバメート100mg
- セノバメート200mg
- セノバメート400mg
6週間の維持期における発作頻度の減少率(中央値)は、次の結果でした。
| 投与群 | 発作頻度の減少率 |
|---|---|
| プラセボ群 | 25.9% |
| 100mg群 | 42.6% |
| 200mg群 | 78.3% |
| 400mg群 | 100% |
さらに、6週間の維持期における発作消失率は次のとおりです。
| 投与群 | 発作消失率 |
|---|---|
| プラセボ群 | 2.6% |
| 100mg群 | 12.4% |
| 200mg群 | 30.1% |
| 400mg群 | 52.4% |
400mg群では、半数を超える患者さんが6週間の維持期に発作消失を達成したことになります。
これは非常に期待を持てる結果です。
ただし、あくまで既存の抗てんかん発作薬に追加した併用試験であり、評価期間も6週間の維持期です。「400mgを服用すれば必ず発作が完全になくなる」という意味ではありません。
有効性と副作用のバランスをみながら、患者さんごとに適切な用量を判断する必要があります。
エキスコプリ錠の副作用
国内第3相試験で20%以上に認められた有害事象は、次の2つでした。
- 浮動性めまい
- 傾眠
特に治療開始時や増量後は、眠気、ふらつき、転倒などに注意が必要です。
患者さんには、自動車の運転や危険を伴う機械の操作について、医師からの指示を必ず確認するよう説明します。
海外で注意されている重篤な副作用
国内の電子添文やRMPの詳細は、発売に向けて改めて確認する必要があります。
海外の製品情報では、次のようなリスクが注意喚起されています。
- DRESS(薬剤性過敏症症候群)
- 重篤な肝障害
- QT間隔の短縮
- 自殺念慮・自殺行動
- 中枢神経系の副作用
発熱、発疹、顔の腫れ、リンパ節の腫れ、強い倦怠感、黄疸、褐色尿などがみられた場合は、次回受診を待たずに医療機関へ相談する必要があります。
海外では重篤な肝障害の報告を受け、肝機能モニタリングに関する注意喚起も強化されています。国内での具体的な検査スケジュールについては、発売時の電子添文・適正使用資材を確認したいところです。
相互作用にも注意が必要
セノバメートは、海外の製品情報においてCYP2C19を阻害し、CYP3Aなどを誘導することが示されています。
そのため、併用薬によっては血中濃度が上昇または低下する可能性があります。
特に確認したい薬として、次のようなものがあります。
- クロバザム
- フェニトイン
- フェノバルビタール
- カルバマゼピン
- ラモトリギン
- 経口避妊薬
- その他の眠気を生じる薬
クロバザムやフェニトインなどは、作用や副作用が強くなる可能性があります。
一方、CYP3Aで代謝される薬や経口避妊薬では、作用が弱くなる可能性にも注意が必要です。
ただし、国内における相互作用の正式な扱いは、発売時の電子添文を基準に判断してください。
抗てんかん薬は処方元が複数になりにくい一方で、他院の薬、睡眠薬、市販薬、サプリメントなどが見落とされる可能性があります。薬局では併用薬を一度ゼロから確認するくらいの姿勢が必要かもしれません。
保険薬局で確認したいフォローアップ

エキスコプリが発売されたら、保険薬局では単に残薬と服薬状況を確認するだけでなく、増量段階と副作用の変化を継続的に追うことが重要です。
1.現在の用量と増量日
- 現在の1日量
- 増量した日
- 次回増量予定日
- 処方日数と錠数
- 規格の組み合わせ
「前回は12.5mgだったのに、今回は50mgになっている」など、増量段階が飛んでいないか確認します。
25mgや150mgでは複数錠・複数規格を使用する可能性があるため、服用間違いにも注意が必要です。
2.眠気・めまい・ふらつき
- 日中に強い眠気がないか
- 立ち上がるときにふらつかないか
- 転倒していないか
- 増量後に症状が強くなっていないか
特に高齢者や、睡眠薬・抗不安薬などを併用している患者さんでは慎重に確認します。
3.皮疹や全身症状
- 発疹
- 発熱
- 顔面の腫れ
- リンパ節の腫れ
- 強い倦怠感
これらが組み合わさって現れた場合は、DRESSなどの重篤な薬剤過敏症も否定できません。
「次の予約日まで様子を見る」のではなく、速やかな受診につなげる必要があります。
ラモトリギンでも皮膚障害と増量方法は重要です。

4.肝障害を疑う症状
- 食欲低下
- 吐き気
- 強い倦怠感
- 皮膚や白目が黄色い
- 尿が濃い
国内の具体的な安全対策は発売時資料の確認が必要ですが、海外では重篤な肝障害が注意されています。
5.発作の頻度と変化
患者さん本人や家族に、次の項目を記録してもらうと評価しやすくなります。
- 発作が起きた日
- 発作の回数
- 発作が続いた時間
- 発作前後の様子
- 飲み忘れの有無
- 増量前後での変化
「発作が減った」だけでなく、転倒や意識消失を伴う発作が残っていないかも重要です。
6.自己判断で中止していないか
抗てんかん発作薬を急に中止すると、発作が増悪する可能性があります。
眠気やふらつきがあっても、自己判断で減量・中止せず、医師または薬剤師へ相談するよう説明します。
発売日・薬価は?
2026年9月16日時点で確認できるのは、国内製造販売承認の取得までです。
- 発売日:未発表
- 薬価:未収載
- 薬価収載日:未発表
新医薬品は薬価収載後、原則として一定期間、処方日数に制限が設けられます。エキスコプリの正式な発売日、薬価、投薬期間制限については、今後の発表を待つ必要があります。
まとめ|発作消失を目指す新たな選択肢に
エキスコプリ錠は、セノバメートを有効成分とする新しい抗てんかん発作薬です。
- 成人の部分発作に承認
- 1日1回投与
- 12.5mgから開始
- 2週間以上ごとに段階的に増量
- 維持用量は100~200mg
- 最高用量は400mg
- めまい、眠気、皮疹、肝障害などに注意
- 相互作用と併用薬の確認が重要
既存薬を使用しても発作が残る患者さんにとって、「発作を減らす」だけでなく「発作消失」を目指せる可能性を持った治療選択肢です。
その一方、ゆっくりとした増量、複数規格の使い分け、副作用や相互作用の確認など、保険薬局が関わるポイントも少なくありません。
発売日や薬価、国内電子添文、RMP、適正使用資材が公開されたら、改めて追記していきます。


FAQ
エキスコプリ錠の一般名は?
一般名はセノバメートです。
どのような発作に使用しますか?
成人の部分発作に使用します。二次性全般化発作も含まれます。
1日何回服用しますか?
1日1回です。通常は12.5mgから開始します。
なぜ少量からゆっくり増量するのですか?
眠気やめまい、重篤な薬剤過敏症などの副作用リスクを抑え、安全に治療を進めるためです。原則として2週間以上の間隔をあけて増量します。
エキスコプリ錠は単独で使用しますか?
国内承認の根拠となった第3相試験は、既存の抗てんかん発作薬に追加する併用療法として実施されました。実際の使用方法は、患者さんの発作型や治療歴を踏まえて医師が判断します。
発売日と薬価は決まっていますか?
2026年9月16日時点では未発表です。承認取得後、薬価収載を経て発売される予定です。
飲み忘れた場合、2回分をまとめて飲んでもよいですか?
自己判断で2回分をまとめて服用してはいけません。処方医や薬剤師から説明された対応に従ってください。


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