東京都の地域フォーミュラリはどう進む?推奨薬リストの仕組みと薬局への影響

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東京都の地域フォーミュラリはどう進む?推奨薬リストの仕組みと薬局への影響

東京の街並みと医療施設、地域の薬の選択を象徴するカプセル

薬剤師のしぐです。

東京都でも、地域フォーミュラリの策定に向けた動きが進んでいます。

「地域で使う薬をそろえるってこと?」「いま飲んでいる薬も変更になる?」「薬局の在庫が減らせるのかな?」

薬局で働いていると、気になるのはこのあたりですよね。

地域フォーミュラリは、地域の医師や薬剤師などが協力し、薬の効果、安全性、費用などを評価してまとめる推奨薬リストと、その使い方の方針です。薬を選ぶ際に地域で共有できる判断の土台になります。

まず押さえたいのは、東京都全域の推奨薬が決まり、運用が始まったというニュースではないこと。今回は、策定に向けた検討の体制づくりが中心です。

この記事では、東京都の最新の動きと、地域フォーミュラリの基本、薬局で準備しておきたいことを整理します。

東京都で何が動いた?検討の場づくりが今回のポイント

東京都は2026年9月30日、10月7日に開催する令和8年度第1回「東京都後発医薬品安心使用促進協議会」の議題を公表しました。地域フォーミュラリに関する講演と、策定に係る検討の場の設置が協議事項に挙げられています。

さらに、10月8日の薬局業界報道では、7日の協議会で、この協議会を地域フォーミュラリ策定に向けた検討の場として活用することが了承されたと伝えられています。次回会合は2027年1~2月ごろを予定し、設置要綱を改正すること、策定可能な地域の検討は2027年度以降となることが報じられました。

ただし、会議後の了承内容と今後の日程は報道で確認できた情報です。今回の確認では、会議後の公式議事録・決定内容までは取得できていません。都の開催発表で確認できる議題と、会議後の報道を区別して受け止める必要があります。

確認した項目現時点の整理
2026年10月7日の会議都の開催発表で地域フォーミュラリを議題として確認
検討の場既存の後発医薬品安心使用促進協議会を活用すると報道
今後の手続き次回会合で設置要綱を改正する予定と報道
策定可能な地域の検討2027年度以降と報道
東京都として今回策定する具体的な推奨薬確認した情報では未公表
運用開始日・参加地域・対象薬効群今回の情報からは確定できない

「東京都で導入決定」「来年度から全薬局で統一」とまで話を広げないことが大切です。都内の各医療機関にある院内の取組と、今回の都としての策定検討も分けて考えましょう。

地域フォーミュラリとは?リストと使用方針をセットで共有する仕組み

薬の名前だけが並んだ一覧では、患者さんごとの使い分けができません。

たとえば、ある薬効群の推奨薬を示すなら、どのような患者さんで使いやすいのか、どのような場合には別の薬を検討するのか、という判断まで共有できると実務に役立ちます。

似ている言葉主に示すもの地域フォーミュラリとの違い
院内採用薬リストその病院で採用している薬採用品目の一覧が中心。選定根拠や使用方針を含む院内フォーミュラリとは区別が必要
病院フォーミュラリ病院内で共有する薬の選択・使用方針地域フォーミュラリは病院、診療所、薬局などの関係者で共有する
診療ガイドライン疾患の診断や治療についての推奨地域フォーミュラリはガイドラインなどを参照し、地域で活用する薬の選択肢を整理する
一般名処方商品名ではなく成分名での処方処方の記載方法であり、地域の推奨薬を決める仕組みとは異なる
後発医薬品への変更同じ有効成分の後発品などへの変更地域フォーミュラリは同種同効薬の成分間の比較も含み得る

ここは、患者さんへの説明でも重要です。「地域で推奨される薬」と「同じ成分のジェネリック」は、意味が違います。

なぜ今、東京都でも検討するの?国が2026年度中の体制づくりを依頼

厚生労働省は2026年3月30日の通知で、各都道府県に対し、2026年度中に地域フォーミュラリ策定に向けた検討の場を設けるよう協力を求めています。

新しい会議を必ず立ち上げる必要はなく、後発医薬品安心使用促進協議会や保険者協議会など、既存の会議体で議題として扱うことも可能とされています。

ここでも、2026年度中に求められているのは「検討する場」の設置です。すべての都道府県で年度内にリストを完成させ、運用を始めるという意味ではありません。

国の通知は、地域の薬剤利用の実態や取組の意義を共有し、策定の必要性や候補地域を検討して合意形成へ進む、という順序を示しています。東京都の動きも、この全国的な流れの中に位置づけられます。

薬の効果や安全性を比較することを表す錠剤と拡大鏡

推奨薬はどう選ぶ?価格に加えて、効果・安全性・使いやすさを見る

国の運用指針では、薬の有効性・安全性を重視し、経済性、製剤の特徴、安定供給なども考慮して選定するとされています。最も安い薬を必ず選ぶという考え方ではありません。

原則として成分名で表記し、特定の製品名を示す場合には、製剤の特徴や品質確保、安定供給などの合理的な理由が必要です。

薬局実務から見ると、比較するときには次のような視点も欠かせないと考えます。

比較する視点薬局から共有したい具体例
適応・用法用量同じ薬効群でも承認された使い方が違う。成分が違えば用量をそのまま置き換えられない
安全性腎機能・肝機能、併用薬、副作用歴などで使用しにくい患者がいる
服用のしやすさ服用回数、錠剤の大きさ、剤形、嚥下の状態、実際の飲み忘れ
継続性入退院や転院での薬の変更、患者が混乱した経験
供給規格・包装ごとの入手状況、代替候補の調達、供給変更時の負担
費用日々の使用量に応じた薬剤費。実際の自己負担は保険負担割合や公費なども考慮

「効く」「安い」だけでなく、「その患者さんが続けられる」まで含めて考えると、薬局の経験が生きてきます。

対象になる薬は?東京都の具体的なリストはまだ確認できない

国の運用指針は、同種同効薬が多い領域として、降圧薬、糖尿病用薬、高コレステロール血症治療薬、抗アレルギー薬などを例示しています。

ただし、これらは国の指針にある例です。東京都で今回採用する対象薬効群や推奨成分が決まったという意味ではありません。

他地域のリストを見て「東京もこの薬になる」と予測するのも、現段階では早いと思います。患者さんの特徴、病院と診療所の連携、処方の実態、地域での合意によって、検討すべき内容は変わります。

いま飲んでいる薬は変更必須?治療の継続を大切にする

国の運用指針では、導入によって処方が制限されるものではなく、医学的・薬学的に必要な場合は収載薬以外も使用できるとされています。すでに治療を始めている患者さんについても、収載薬への切り替えは必須ではありません。

推奨薬が示されても、現在の治療で安定している方、副作用歴がある方、剤形の工夫が必要な方などでは、個別の判断が必要です。

薬局では、リストとの一致だけを見るのではなく、今の薬を使っている理由を確認したいですね。以前の薬で困った経験が、お薬手帳や薬歴に残っていることもあります。

患者さんには、たとえば次のように説明できます。

地域の医師や薬剤師が、効果や安全性、費用などを比べて、薬を選ぶときの目安を共有する取組です。いまのお薬が一律に変更になるわけではありません。変更を検討する場合も、これまでの治療や体調を確認して判断します。

薬局で推奨薬に変更できる?別成分への変更は処方医との確認が必要

地域の推奨薬リストがあることだけを理由に、薬局が処方薬を別の成分へ自由に変更できるわけではありません。薬剤師法第23条第2項は、処方箋に記載された薬の変更には処方医の同意が必要であることを定めています。

同じ成分の後発医薬品への変更調剤と、同じ薬効群に属する別成分への変更は、分けて考えましょう。後発品への変更にも、処方箋の変更可否や変更調剤のルールなどの確認が必要です。

たとえば、同じ降圧薬の仲間であっても、成分が違えば用量、承認された適応、併用薬との関係などが変わります。「この地域ではこちらが推奨」というだけで、そのまま置き換えることはできません。

問い合わせを簡素化する取決めがある場合も、具体的な合意内容と適用条件を確認する必要があります。フォーミュラリの存在自体を、包括的な変更許可と捉えないことがポイントです。

病院と地域の施設が薬の使用方針を共有することを表す模型

薬局に期待できることは?退院後の継続と在庫管理に可能性

国は、治療方針の共有、薬剤の継続利用、在庫の最適化、患者負担や薬剤費の適正化などをメリットとして挙げています。

薬局で特に期待したいのは、病院と地域で薬の選び方を共有できることです。入院前、入院中、退院後で薬が変更されると、患者さんの理解や残薬の整理に時間がかかることがあります。変更理由を共有できれば、服薬指導や病院への情報提供も進めやすくなります。

また、処方される薬の種類がある程度まとまれば、在庫管理を見直せる可能性があります。ただし、今回の東京都の動きだけで、直ちに在庫を減らす段階ではありません。

広い範囲の医療機関から処方箋を受ける薬局では、地域の推奨薬以外も必要になります。個別の患者さんの処方と供給状況を踏まえ、実際の運用が見えてから調整することが大切です。

+α:供給不安が続く今、推奨薬に需要が集中したらどうする?

ここからは、薬局実務から考える課題です。

地域で使う薬がまとまることには利点がありますが、推奨薬に需要が集中したり、その薬が限定出荷になったりすれば、地域全体で影響を受ける可能性もあります。

そのため、推奨薬の選定と一緒に、供給が不安定になったときの連絡方法や代替候補の検討手順を共有しておくと、使える仕組みに近づくと思います。

運用で確認したいこと理由
供給情報の確認・共有担当変更に気づく時期が施設によってずれるのを防ぐ
推奨薬が入手できないときの対応治療を途切れさせず、処方医への相談を進める
対象となる患者と例外個別の事情がある患者の治療を守る
更新日・見直しの条件古い薬価や安全性情報のまま使い続けることを防ぐ
変更後の評価と情報提供費用だけでなく、治療の継続や体調も確認する

供給変更による代替薬の検討では、薬効だけでなく使い方や患者さんの生活まで変わることがあります。コチラでも、この視点を整理しています。

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薬局は今、何を準備するとよい?現場の困りごとを共有できる形に

現段階では、対象薬を先回りして絞り込むよりも、地域で検討するときに役立つ情報を整理しておくのが現実的だと考えます。

  1. 処方の実態を知る:よく使われる薬効群、品目の広がり、入退院での変更を把握する。
  2. 患者さんの困りごとを整理する:飲み忘れ、飲みにくさ、変更後の混乱、副作用歴などを振り返る。
  3. 供給対応の負担を見えるようにする:調達や問い合わせに時間がかかった場面をまとめる。
  4. 地域の方針を確認する:都や地区の薬剤師会、連携病院から対象地域・対象薬効群・参加方法などの案内が出るか確認する。
  5. 変更とフォローの流れを考える:処方医との確認、患者説明、薬歴記載、変更後の評価まで共有する。

検討の場に提供する場合は、個人情報の扱いにも配慮し、地域として共有できる集計や課題にまとめましょう。

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しぐの視点:薬局の仕事は、決められた薬をそろえるところで終わらない

地域フォーミュラリで大切なのは、地域で薬の選び方を共有しながら、患者さん一人ひとりの事情を治療に反映できることだと思います。

薬局には、飲み忘れの理由、飲みにくさ、生活の変化、過去の副作用、実際に手に入る薬など、処方箋だけでは見えにくい情報が集まります。

その情報を検討の場に届け、運用後にも見直しにつなげられれば、推奨薬リストは現場で使える仕組みになります。採用品目や薬剤費の数字に加え、患者さんが薬を続けやすくなったか、治療の混乱が減ったかも見ていきたいですね。

東京都の今回の動きは、そのための体制づくりです。今後は、公式な議事録、候補地域、対象薬効群、運用方法の公表に注目していきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 東京都の地域フォーミュラリはもう運用されていますか?

今回確認した情報は、都として策定を検討する場の整備に関するものです。都全域で使う統一リストの完成や運用開始を確認したものではありません。個々の病院の院内フォーミュラリとは区別してください。

Q. 推奨薬以外は使えなくなりますか?

国の運用指針は、医薬品の使用を制限する仕組みではないとしています。医学的・薬学的に必要な場合には、収載薬以外も使用できます。

Q. 今飲んでいる薬は変更しなければいけませんか?

一律の変更は必要ありません。すでに使用している薬を継続することも可能であり、治療の状態や副作用歴などを踏まえて判断します。自己判断で中止しないでください。

Q. 安いジェネリックにそろえる取組ですか?

効果、安全性、経済性、使いやすさや供給などを総合的に検討する取組です。国の指針でも、最も安価な薬を必ず選ぶ必要はないとされています。

Q. 薬局が推奨薬へ変更してよいですか?

リストがあるだけで、別成分へ自由に変更できるわけではありません。処方医の同意など、処方変更に必要な手続きを確認します。同じ成分の後発品への変更にも、変更調剤のルールが適用されます。

Q. 東京都の推奨薬や対象地域はどこで確認できますか?

今後の都の公式発表や協議会の公表内容、関係団体からの案内を確認します。今回確認した情報では、都として策定する具体的な対象地域・対象薬効群・推奨薬は確定できません。

Q. フォーミュラリに参加すると加算が算定できますか?

参加だけで自動的に算定できるとは捉えないでください。調剤報酬はそれぞれの施設基準や算定要件、実際の指導内容などを個別に確認する必要があります。

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