【2026年改定】バイオシミラーの説明で10点|特定薬剤管理指導加算3(ロ)の算定要件

薬剤師のしぐです。
2026年度の調剤報酬改定で、薬局のバイオシミラーに関する説明が、特定薬剤管理指導加算3(ロ)・10点の対象に加わりました。
「バイオシミラーについて説明したら算定できるんだね!」
まずはそう捉えてよいのですが、実際の処方箋を前にすると、ちょっと迷うんですよね。
一般名処方だけ? 銘柄名でもよい? インスリンは対象? 毎回算定できる? ハイリスク薬の加算と一緒に算定してよい?
特定薬剤管理指導加算は1・2・3があり、さらにイ・ロも登場するので、名前だけで覚えようとすると混ざりがちです。
今回は、バイオシミラーの説明を中心に、処方箋の確認から患者説明、薬歴記載、算定回数まで、薬局で迷いやすいところを整理します。
※2026年10月3日時点の告示・通知と疑義解釈をもとに整理しています。
2026年度改定で何が変わった?
2026年6月1日から、特定薬剤管理指導加算3(ロ)の対象に、バイオ後続品の品質・有効性・安全性などに関する説明が追加されました。
新しい「バイオシミラー説明加算」が独立してできたわけではなく、既存の3(ロ)の対象が広がったという変更です。点数は10点です。
対象となるのは、次のいずれかの処方箋を受けた患者さんです。
- バイオ医薬品の一般名処方による処方箋
- バイオ後続品の銘柄名処方による処方箋
その患者さんに、調剤前にバイオ後続品の品質・有効性・安全性などを説明・指導することがポイントです。
つまり、処方箋にBS製剤が載っているだけで自動的に算定できるものではありません。薬剤師が重点的な説明の必要性を判断し、患者さんが薬を理解して選択・使用できるよう支援することが前提です。
特定薬剤管理指導加算1・2・3を整理
まず、全体を見ておきましょう。
| 区分 | 点数 | 主に評価する内容 |
|---|---|---|
| 1(イ) | 10点 | 特に安全管理が必要な医薬品が新たに処方された際の指導 |
| 1(ロ) | 5点 | 対象薬の用法・用量変更、副作用・服薬状況などの変化を踏まえ、必要と判断して行う指導 |
| 2 | 100点・月1回まで | 要件を満たす外来がん治療患者への管理・調剤後の確認・医療機関への文書による情報提供 |
| 3(イ) | 5点 | RMPに基づく資材などを用いた、特に必要な安全性の説明・指導 |
| 3(ロ) | 10点 | 調剤前の医薬品選択に関する、特に必要な説明・指導 |
1はハイリスク薬の安全管理、2は外来がん治療での連携、3は特定の場面で必要となる重点的な説明、と考えると整理しやすいと思います。
ただし、これは役割を理解するための早見表です。対象薬、患者の条件、記録、施設基準などは区分ごとに違います。
「ハイリスク薬が出ているから毎回1」「抗がん薬が出ているから2」「説明したから3」にはならないところは、押さえておきたいですね。
外来がん治療の連携については、こちらの記事で詳しくまとめています。

特定薬剤管理指導加算3(ロ)は3つの場面
今回追加されたバイオシミラーの説明も含め、3(ロ)は次の3つに分けて確認すると便利です。
| 場面 | 対象と説明のポイント |
|---|---|
| 長期収載品の選定療養 | 選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者への説明 |
| 供給不安による銘柄変更 | 前回の銘柄の必要量を確保できず、別銘柄での交付が必要となる患者への説明 |
| バイオ後続品の説明【2026年度追加】 | バイオ医薬品の一般名処方、またはバイオ後続品の銘柄名処方を受けた患者への品質・有効性・安全性などの説明 |
同じ10点でも、算定の入口はそれぞれ違います。
特に供給不安の場合は、単に薬局の在庫がないことと、供給が不安定で前回の銘柄を必要量確保できないことを混同しないようにしましょう。
バイオシミラーの説明は、どの処方箋で算定対象になる?
一般名処方と、バイオ後続品の銘柄名処方が対象
| 処方箋の内容 | バイオ後続品の説明による3(ロ)の扱い |
|---|---|
| バイオ医薬品の一般名処方 | 要件を満たせば対象 |
| バイオ後続品の銘柄名処方 | 要件を満たせば対象 |
| 先行バイオ医薬品の銘柄名処方のまま | 今回追加されたバイオ後続品の説明の対象には含まれない |
「銘柄名処方は対象外」と覚えてしまうと、バイオ後続品が製品名で処方されている患者さんを見落としてしまいます。
逆に、「バイオ医薬品なら全部対象」と覚えると、先行品の銘柄名処方まで広げてしまう。
一般名処方なのか、BSの銘柄名なのか、先行品の銘柄名なのか。
ここを最初に確認するだけでも、判断がかなりすっきりします。
先行品からBSへの変更は、通常のジェネリックと同じではない
先行バイオ医薬品が銘柄名で処方されている場合、処方医に事前確認せずに、薬局でバイオ後続品へ変更調剤することはできません。
「変更不可の記載がないから、患者さんが希望すれば変更できるよね?」と、通常の後発医薬品と同じ感覚で進めないことが大切です。
また、一般名処方であっても、先行品とバイオ後続品で効能・効果が異なることがあります。実際の処方目的が、調剤する製品の適応に含まれるか確認しましょう。
処方医への確認で処方が変更された場合も、説明前の処方箋だけでなく、確認後の処方内容と説明の時点を整理して判断する必要があります。

何を説明すればよい?「安くなります」だけで終わらせない
通知が挙げている説明の中心は、バイオ後続品の品質・有効性・安全性などです。
価格の話はもちろん大切ですが、「こちらの方が安いです」だけでは、患者さんが一番気になるところに答えられていないかもしれません。
「安くなるのは嬉しい。でも、効き目が落ちたりしないの?」
薬局では、この不安を言葉にしてもらうことから始めたいですね。
品質:先行品との比較を経て承認された薬
バイオ医薬品は、細胞などの働きを利用して製造する、構造が複雑な薬です。
バイオシミラーは、先行品と品質・有効性・安全性について同等性・同質性が確認されたバイオ後続品です。
「普通のジェネリックと全く同じ仕組みです」と説明するより、バイオ医薬品の特徴と、先行品との比較による評価を経て承認されていることを伝える方が、誤解を減らせます。
有効性:価格と効果を結びつけない
「価格が低いから効き目も弱い」という理解にならないよう、先行品との比較評価を経ていることを説明します。
一方で、すべての患者さんで効果を保証するような言い方は避け、治療効果や体調を継続して確認する姿勢も伝えたいところです。
安全性:副作用がない薬ではない
バイオシミラーだから副作用がない、ということではありません。
実際に使用する製品の注意点を確認して、体調変化があったときの相談先や、受診が必要な症状を具体的に説明します。
インスリンであれば低血糖、免疫に作用する薬であれば感染症など、患者さんが使う薬に応じた話につなげることが大切です。
薬局では、デバイスと費用の確認も+αで
ここからは、算定要件の説明に加えて実務上確認したいところです。
自己注射製剤では、薬そのものへの不安に加えて、注射器の形や操作が変わることへの不安もあります。
- 操作や投与量の確認方法に違いはあるか
- 保管条件や使用開始後の取扱いはどうか
- 患者さんが実際に操作できるか
- 費用は、保険の負担割合や高額療養費なども踏まえてどう変わるか
薬価差があるからといって、患者さんの実際の支払いが必ず同じ割合で減るとは限りません。費用はその患者さんの条件で確認して伝えましょう。
バイオシミラーの基本を詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

毎回10点?「初回」の扱いが大事

3(ロ)は、同じ薬について説明を繰り返すたびに算定する加算ではありません。
原則は、患者1人につき、その品目に関して最初に処方された1回に限るという扱いです。
ただし、「新しく治療を始めた患者さんにしか算定できない」と考えるのも少し違います。
2024年6月18日の疑義解釈では、継続して使用している医薬品であっても、重点的な服薬指導が必要と判断し、加算の要件を満たす説明・指導を行った場合は、初回に限り算定可能とされています。
そのため、処方開始日だけで判断せず、過去の説明内容と算定履歴を確認することが大切です。
「説明を担当した薬剤師が変わった」「新しい月になった」という理由で、初回扱いがリセットされるわけではありません。
2026年の選定療養には、再説明の特別な取扱いがある
ここは、バイオシミラーとは別の話ですが、3(ロ)の回数で迷いやすいので補足です。
2026年4月1日の疑義解釈では、同年6月から選定療養の特別の料金が薬価差の2分の1相当へ変わることを踏まえ、過去に説明済みでも、変更について改めて説明した場合、自己負担額が変更となる医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定可能とされています。
この取扱いは、選定療養の負担変更についてのもの。BSの説明も改定のたびに再算定できる、という意味ではありません。
原則と、疑義解釈で示された個別の取扱いを分けて覚えたいですね。

薬歴には何を残す?
通知では、薬剤服用歴等に対象となる医薬品が分かるように記載することが求められています。
実務では、それに加えて、なぜ説明が必要だったか、何を説明したか、患者さんがどう受け止めたかを残しておくと、次の担当者も状況を把握しやすくなります。
「BSについて説明。理解あり。」だけでは、後から見たときに内容がほとんど分からないんですよね。
薬歴の記載例
以下は、バイオ後続品が銘柄名で処方され、初めて要件を満たす説明を行った場合を想定した例です。実際に確認・指導した内容に合わせて記載します。
対象薬:○○BS皮下注○mg「○○」。BSの銘柄名処方であることを確認。患者より「以前の薬より効き目が弱くならないか」と質問あり。調剤前に、先行品との比較評価を経て品質・有効性・安全性が確認された薬であること、価格が低いことが効果の弱さを意味しないことを説明。製品の注意点、体調変化時の連絡先を案内。デバイスの操作方法を確認し、患者の理解状況を確認。説明・算定履歴を確認し、今回が当該品目について要件を満たす説明の初回であることを確認。
「不安なし」「操作可能」といった結論を、実際に確認せずに定型文で入れないことも大切です。
テンプレートは記載漏れを減らすために便利ですが、患者さんの言葉と、その日に行った説明を残してこそ役立ちます。
摘要欄の薬剤名記載は、供給不安の場面を確認
3(ロ)のうち、供給不安を踏まえて説明した場合は、レセプト摘要欄に、必要な数量を確保できなかった薬剤名を記載する必要があります。
この特別な薬剤名記載の要件を、BSの説明にもそのまま当てはめないようにしましょう。BS説明の算定では薬歴の対象薬・説明内容を明確にし、請求時は現行の記載要領とシステムの入力項目を確認します。
1・2との併算定、複数薬の扱いは?
3と1、または3と2は、各要件を満たせば算定可能
3を算定する場合でも、それぞれの所定の要件を満たせば、特定薬剤管理指導加算1または2を算定できます。
ただし、BSの説明を行ったことだけで、1や2の要件まで満たすわけではありません。
たとえばインスリンBSであれば、バイオ後続品の品質・有効性・安全性の説明と、低血糖などを踏まえたハイリスク薬の管理は、確認すべき内容が異なります。
対象薬・指導の必要性・実施内容・回数を、それぞれ独立して確認しましょう。
同じ区分を、薬の数や説明理由の数だけ増やさない
対象となる薬が複数処方されていても、3(ロ)を薬の数だけ算定するものではありません。
また、BSの説明と供給不安の説明の両方を行ったからといって、3(ロ)を2回算定することもできません。
一方、3(イ)と3(ロ)の対象薬が別々に処方された場合については、必要な説明をそれぞれ行うことで両区分を算定できるという疑義解釈があります。さらに、同一の医薬品がイ・ロ両方に該当する場合も、それぞれの観点で必要な説明を行えば算定可能とする疑義解釈があります。したがって、イ・ロの併算定を一律に禁止と覚えるのも誤りです。各区分の説明内容と初回の条件を確認します。
インスリンBSと、バイオ後続品調剤体制加算の違い
ここも混ざりやすいところです。
| 比較項目 | 特定薬剤管理指導加算3(ロ) | バイオ後続品調剤体制加算 |
|---|---|---|
| 基本の点数 | 10点 | 50点。特別調剤基本料Aは5点 |
| 加算先 | 服薬管理指導料 | 調剤基本料 |
| 中心となる評価 | 患者への重点的な説明・指導 | BSを調剤し、適切に説明できる薬局の体制 |
| 施設基準の届出 | 3(ロ)自体の施設基準届出は不要 | 必要 |
| インスリン製剤 | BS説明の項目に除外規定はない | 除外 |
「インスリンは除外」は、バイオ後続品調剤体制加算の話です。
3(ロ)のBS説明の要件には、インスリンを除くという記載はありません。処方形態や説明内容、初回などの条件を満たすかで判断します。
また、体制加算の届出がない薬局でも、3(ロ)の要件を満たせば、その説明に対する算定を検討できます。
体制加算については、対象品目や施設基準も別に確認する必要があります。50点と10点をひとつの制度として覚えない方がよいですね。
算定前に確認したい7項目
- バイオ医薬品の一般名処方、またはBSの銘柄名処方か。
- 重点的な説明・指導が必要と判断したか。
- 調剤前に品質・有効性・安全性などを説明したか。
- 当該品目の説明・算定履歴を確認したか。
- 薬歴に対象薬と実際の説明内容を残したか。
- 複数薬・複数理由による3(ロ)の重複算定になっていないか。
- 服薬管理指導料の区分と、加算できない条件に該当しないか。
なお、服薬管理指導料4のロ・ハを算定する場合は、特定薬剤管理指導加算3を算定できません。服薬管理指導料の特例を算定する薬局も加算できないため、外来の対面指導の感覚を、そのまま在宅・オンラインのすべてに当てはめないようにしましょう。
しぐ的には「説明に価値がついた」ことが大事
BSへの切り替えは、薬価や医療費の話に注目が集まりがちです。
でも、薬局で患者さんが気になるのは、もっと具体的なことだったりします。
「今まで効いていた薬を変えて大丈夫?」
「注射器の使い方が変わったら、うまくできるかな?」
「病院で聞いたけど、もう一度説明してほしい」
この疑問に答えるのは、薬を渡す直前に患者さんと向き合う薬局薬剤師の大切な仕事です。
今回の10点は大きな点数とはいえませんが、薬を理解して使うための説明が、具体的に評価の対象になったことには意味があると思っています。
薬局の中では、対象処方箋を事務さんとも共有しつつ、説明の必要性と内容の判断は薬剤師が行う。薬歴には、次の担当者へつながる情報を残す。
こういう流れを作っておくと、算定漏れを減らしながら、患者さんの不安にもきちんと対応できます。
必要な説明をしっかり行い、その仕事を適切に評価してもらう。
今回の改定は、そのために薬局の説明と記録を見直す、よい機会だと思います。
よくある質問
Q. バイオシミラーが処方されたら自動的に10点を算定できますか?
できません。処方形態の条件に加え、薬剤師が重点的な説明の必要性を判断し、調剤前に品質・有効性・安全性などについて必要な説明・指導を行うことが前提です。初回の扱いや記録も確認します。
Q. 一般名処方だけが対象ですか?
いいえ。バイオ後続品が銘柄名で処方されている場合も対象です。先行品の銘柄名処方のままの場合は、今回追加された説明の対象には含まれません。
Q. インスリンのBSも対象ですか?
3(ロ)のバイオ後続品説明の項目には、インスリンを除外する規定はありません。インスリン製剤を除外するのは、別の「バイオ後続品調剤体制加算」です。
Q. 継続使用中の患者さんには算定できませんか?
継続薬でも、要件を満たす重点的な説明・指導を初めて行う場合は、初回に限り算定可能とする疑義解釈があります。既に算定済みの同じ品目について、毎回説明したことを理由に繰り返し算定するものではありません。
Q. 先行品から、薬局の判断でBSへ変更できますか?
先行品が銘柄名で処方されている場合は、処方医への事前確認なしにBSへ変更調剤できません。一般名処方であっても、適応の違いなどを確認します。
Q. 患者向けパンフレットを渡すことが必須ですか?
3(ロ)のBS説明の項目には、特定のパンフレットを用いることを必須とする記載はありません。患者さんに分かりやすく説明するために資材を活用することは有用ですが、渡すだけで説明・指導を行った扱いにはしないようにしましょう。RMP資材を用いる3(イ)の要件とは区別します。
Q. 2種類のBSを説明したら20点になりますか?
同じ処方箋受付で3(ロ)を薬の数だけ算定することはできません。対象薬が複数でも、同区分は受付1回につき1回です。
Q. 特定薬剤管理指導加算1や2との併算定はできますか?
3との併算定は、それぞれの所定の要件を満たせば可能です。BSの説明だけで1や2まで自動的に算定できるわけではありません。
Q. 薬局の体制加算の届出がなくても算定できますか?
3(ロ)自体に施設基準届出は求められていません。バイオ後続品調剤体制加算の届出とは別に、3(ロ)の条件を確認します。
Q. 10点で患者さんの支払いはどのくらい増えますか?
10点は医療費として100円です。加算分だけの単純計算では、1割負担10円、2割負担20円、3割負担30円に相当します。窓口での実際の額は、会計全体の端数処理、公費や負担上限などで変わります。
まとめ
2026年度改定で、バイオ医薬品の一般名処方、またはバイオ後続品の銘柄名処方を受けた患者さんへの品質・有効性・安全性などの説明が、特定薬剤管理指導加算3(ロ)・10点の対象に加わりました。
確認のポイントは、処方形態、調剤前の説明、初回、薬歴、重複算定です。
そして、インスリンを除外する体制加算との混同や、先行品からの無断変更調剤にも注意が必要です。
患者さんが納得して治療を続けられるように、必要な説明を行い、記録して、適切に算定する。薬局として、ここを丁寧に積み重ねていきたいですね。
ではでは、しぐでしたっ。

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