週1回インスリン「オンスイク」承認|アウィクリとの違いは?切り替え・投与量・打ち忘れ対応を整理

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週1回インスリン「オンスイク」承認|アウィクリとの違い・切り替え・打ち忘れを薬剤師向けに整理

週1回インスリンのオンスイク承認をイメージした画像

こんにちは、薬剤師のしぐです。

2026年9月16日、日本イーライリリーの週1回持効型溶解インスリンアナログ製剤「オンスイク注ミリオペン総量1500単位」が製造販売承認を取得しました。

一般名はインスリン エフシトラ アルファ(遺伝子組換え)。国内ではアウィクリに続く週1回のBasalインスリンですが、同じ「週1回」だから同じ感覚で扱えるわけではありません。

特に注意したいのが、適応、製剤濃度、1回の設定単位、連日投与のBasalインスリンから切り替える際の初回量、打ち忘れ時の対応です。

オンスイクでは、切り替え直前の空腹時血糖値が120mg/dL以下か、120mg/dLを超えるかによって、初回投与量の考え方が変わります。薬局では「1日量×7」の確認だけでは不十分です。

この記事では、オンスイクの基本情報からアウィクリとの違い、導入・切り替え、曜日変更、打ち忘れ、服薬指導のポイントまで、薬剤師向けに整理します。

※本記事は2026年9月20日時点の電子添文・公表資料をもとに作成しています。実際の投与量は、患者ごとの血糖値や低血糖リスクなどを踏まえて医師が決定します。発売日・薬価は記事作成時点で未確定です。

  1. オンスイクとは?週1回投与の新しい持効型インスリン
  2. オンスイクはなぜ1週間作用する?
  3. オンスイクとアウィクリの違い
  4. インスリン未使用患者にオンスイクを導入するとき
    1. 標準的な導入
    2. 低血糖リスクが懸念される場合
  5. 連日投与のBasalインスリンからオンスイクへ切り替える方法
    1. まず確認するのは切り替え前の空腹時血糖値
      1. 空腹時血糖値が120mg/dL以下
      2. 空腹時血糖値が120mg/dLを超える
    2. 単位刻みとの整合性にも注意
  6. オンスイクを打ち忘れたときは?
  7. 投与曜日を変更したいとき
  8. 薬剤師が監査・服薬指導で確認したいポイント
    1. 1.2型糖尿病であること
    2. 2.毎日ではなく「週1回」であること
    3. 3.初回量と第2週以降の量を分けて確認すること
    4. 4.空腹時血糖120mg/dLの確認
    5. 5.他の週1回注射薬との取り違え防止
    6. 6.500単位/mLを患者に換算させない
    7. 7.低血糖と高血糖の両方を説明する
    8. 8.注射部位を毎回ずらす
    9. 9. 使用開始後は16週間使用できる
  9. オンスイクの臨床試験は?
  10. オンスイク|商品名の由来は
  11. まとめ|週1回でもオンスイクとアウィクリは別物
  12. FAQ
    1. オンスイクは1型糖尿病にも使用できますか?
    2. オンスイクとアウィクリは同じ週1回インスリンですか?
    3. 毎日10単位の基礎インスリンから切り替えると、オンスイクは70単位ですか?
    4. オンスイクを打ち忘れた場合はどうしますか?
    5. 投与曜日は変更できますか?
    6. オンスイクは発売されていますか?

オンスイクとは?週1回投与の新しい持効型インスリン

オンスイクは、1週間に1回皮下注射する持効型溶解インスリンアナログ製剤です。

項目内容
販売名オンスイク注ミリオペン総量1500単位
一般名インスリン エフシトラ アルファ(遺伝子組換え)
効能・効果インスリン療法が適応となる2型糖尿病
投与方法通常、成人に1週間に1回皮下注射
初期用量通常1回30~140単位(導入方法には別途詳細あり)
維持量他のインスリンを含め通常週30~560単位。必要により超えることがある
濃度500単位/mL
総量1500単位/3mL/1キット
用量設定30~150単位を【5単位刻み・1クリック5単位】で設定
承認日2026年9月16日
製造販売元日本イーライリリー株式会社

最大の特徴は、毎日のBasalインスリン注射を週1回に減らせる可能性があることです。年間365回前後だった基礎インスリンの注射が、理論上は年間約52回になります。

一方で、週1回製剤は投与後の影響が長く続きます。誤って連日投与したり、導入時の増量分を翌週以降も繰り返したりすると、重大な低血糖につながるおそれがあります。「注射回数が減る=管理が簡単になる」とは限りません。

さらに、オンスイクは、定常状態における消失半減期が約17日とされています。初回3倍量を用いずに開始した場合は定常状態への到達まで8~10週、初回3倍量を用いた場合は4~6週かかるとされています。そのため、開始直後の血糖値だけで効果を判断し、急いで増量しないことが重要です。

オンスイクはなぜ1週間作用する?

インスリン エフシトラ アルファは、ヒトIgG2のFc領域を融合させたインスリン融合タンパク質です。分子量を大きくし、主にFcRnを介した再循環によって体内からの消失を遅らせることで、週1回投与を可能にしています。

ここが、脂肪酸側鎖によるアルブミン結合を利用するインスリン イコデク(アウィクリ)との大きな構造上の違いです。

オンスイクとアウィクリの作用持続化の違いをイメージした画像

オンスイクとアウィクリの違い

オンスイクとアウィクリの比較表

どちらも週1回のBasalインスリンですが、薬局実務では次の違いを押さえておく必要があります。

比較項目オンスイクアウィクリ
一般名インスリン エフシトラ アルファインスリン イコデク
適応2型糖尿病のみインスリン療法が適応となる糖尿病
1型糖尿病使用しない適応に含むが低血糖リスクへ十分注意
作用持続化の考え方IgG2 Fc領域との融合、FcRnを介した再循環アルブミン結合などにより緩徐に作用
製剤濃度500単位/mL700単位/mL
1本の総量1500単位300単位/700単位の2規格
設定単位30~150単位、5単位刻み10~700単位、10単位刻み
Basal未使用患者の導入初回300単位→第2週100単位が目安。低血糖リスク等では150単位→50単位を検討通常70単位から開始
連日Basalからの切り替え空腹時血糖120mg/dLを境に初回量が変わる原則1日量×7。初回のみ50%上乗せを検討する場合あり
打ち忘れ忘れた日から4日以内なら直ちに投与。4日超ならスキップ気づいた時点で投与し、その後は投与間隔を4日以上確保
曜日変更前回から4日以上あける前回から4日以上あける

最も分かりやすい違いは適応です。オンスイクは2型糖尿病に限定され、電子添文には1型糖尿病患者には使用しないことが明記されています。

また、オンスイクは5単位刻みです。処方箋の単位数が5の倍数になっているか、毎週投与になっているか、初回だけ増量する指示が翌週以降と明確に分けられているかを確認したいところです。

なお、オンスイクとアウィクリを直接切り替える際の換算データは得られていません。週1回製剤同士だから「同じ単位で置き換える」と考えず、処方医への確認と切り替え後の慎重な血糖モニタリングが必要です。

インスリン未使用患者にオンスイクを導入するとき

Basalインスリンを使用していない患者では、電子添文上、次の用量が目安です。

標準的な導入

  • 第1週:300単位
  • 第2週:100単位
  • 第3週以降:目標血糖値、特に空腹時血糖値を参考に調整

低血糖リスクが懸念される場合

低血糖リスクが懸念される患者、体重60kg以下、または開始時HbA1c 7.5%以下では、次の導入を検討します。

  • 第1週:150単位
  • 第2週:50単位
  • 第3週以降:目標血糖値をもとに調整

ここで最重要なのは、初回量を第2週以降も繰り返さないことです。第1週は早期に有効濃度へ到達させるための導入量であり、「毎週300単位」または「毎週150単位」という意味ではありません。

連日投与のBasalインスリンからオンスイクへ切り替える方法

初回のオンスイクは、原則として連日投与していたBasalインスリンの最終投与日の翌日に投与します。

まず確認するのは切り替え前の空腹時血糖値

空腹時血糖値が120mg/dL以下

第1週・第2週は、原則として次の計算です。

それまでのBasalインスリン1日総投与量×7

ただし、次の製剤から切り替える場合は、まず従来の1日総投与量を80%にしてから7倍します。

  • インスリン グラルギン300単位/mL製剤
  • 1日2回投与の中間型インスリン

従来の1日総投与量×0.8×7

この導入では、オンスイクの効果が十分に立ち上がるまで一過性に血糖値が上昇するおそれがあります。高血糖だけを見て急いで増量せず、切り替え直後から数週間は十分な血糖モニタリングが必要です。

空腹時血糖値が120mg/dLを超える

第1週は、上記で求めた週用量の3倍、第2週は通常の週用量が目安です。

例:グラルギンU100を1日10単位使用している場合

  • 基本となる週用量:10単位×7=70単位
  • 第1週:70単位×3=210単位
  • 第2週:70単位
  • 第3週以降:空腹時血糖値をもとに調整

初回の3倍量は、2回目以降に繰り返してはいけません。処方箋が「初回210単位、次回から70単位」のように明確になっているかが重要です。

単位刻みとの整合性にも注意

オンスイクは単位刻みのため、計算結果が必ずしも設定可能な単位になるとは限りません。端数を薬局判断で丸めることはせず、処方された単位数と電子添文上の導入方法に疑義がある場合は処方医へ確認します。

連日Basalインスリンからオンスイクへ切り替える確認フローのイメージ

オンスイクを打ち忘れたときは?

打ち忘れ対応は、オンスイクとアウィクリで特に混同しやすいポイントです。

オンスイクでは、予定していた曜日からの経過日数で判断します。

  • 忘れた日から4日以内:気づいた時点で直ちに投与
  • 4日を超えた:忘れた分は投与しない
  • どちらの場合も、その後は元の予定曜日に戻す

たとえば、毎週月曜日が投与日の場合、水曜日に気づけば直ちに投与し、次回は予定どおり翌週月曜日に投与します。一方、土曜日に気づいた場合は4日を超えているため、その週の分は投与せず、次の月曜日に戻します。

患者説明では、「4日以内なら打つ」だけで終わらせず、その後は元の曜日に戻すところまで伝えることが大切です。

投与曜日を変更したいとき

やむを得ず曜日を変更する場合は、前回の投与から4日間以上あけます。変更後は、新しい曜日で週1回投与を継続します。

打ち忘れ対応と曜日変更は似ていますが、同じではありません。患者が自己判断で投与日を動かさないよう、迷った場合は医療機関または薬局へ連絡するよう案内します。

薬剤師が監査・服薬指導で確認したいポイント

1.2型糖尿病であること

オンスイクは1型糖尿病には使用しません。インスリン分泌能が著しく低下した2型糖尿病でも、適用の可否を慎重に判断するとされています。

2.毎日ではなく「週1回」であること

連日投与は重大な低血糖につながるおそれがあります。処方箋、薬袋、自己注射カレンダーで曜日を一致させましょう。

3.初回量と第2週以降の量を分けて確認すること

導入時には初回だけ300単位、150単位、または週用量の3倍となるケースがあります。初回量がそのまま継続処方になっていないかを確認します。

4.空腹時血糖120mg/dLの確認

連日Basalインスリンから切り替える場合、初回3倍量を用いるかどうかの分岐です。切り替え前の空腹時血糖値が処方内容と整合しているか、必要に応じて確認します。

5.他の週1回注射薬との取り違え防止

アウィクリ、週1回GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬とは、薬効も設定単位も異なります。「週1回の注射」という共通点だけで扱わず、製品名、投与曜日、単位数を毎回確認します。

6.500単位/mLを患者に換算させない

オンスイク専用ミリオペンでは、濃度から投与量を換算せず、指示された単位数をそのまま設定します。薬液をシリンジで抜き取る行為は過量投与につながるため行いません。

7.低血糖と高血糖の両方を説明する

低血糖症状、ブドウ糖の携帯、家族の対応に加え、切り替え初期には一過性の高血糖にも注意します。口渇、多尿、悪心、嘔吐、腹痛、強い倦怠感など急性代謝失調を疑う症状があれば、直ちに医療機関へ連絡・受診するよう伝えます。

オンスイクは作用が長く持続するため、低血糖がいったん回復した後も再発する可能性があります。電子添文でも、低血糖からの回復が遅れるおそれと、継続的な観察の必要性が注意喚起されています。

8.注射部位を毎回ずらす

腹部、臀部、大腿部または上腕部に皮下注射し、前回の注射箇所から少なくとも2~3cm離します。硬結や腫瘤がある場所への注射は避けます。

9. 使用開始後は16週間使用できる

  • 使用開始後:112日間(16週間)以内
  • 室温30℃以下:累積14日以内
  • 室温保存後も、条件内なら再び2~8℃で冷蔵可能
  • 未使用時:2~8℃、遮光、凍結を避ける

「室温保存は累積14日」という部分は、結構ポイントかも。

オンスイクの投与曜日と単位数を薬局で安全確認するイメージ

オンスイクの臨床試験は?

承認はQWINTプログラムの結果などに基づきます。

インスリン未使用の2型糖尿病患者を対象としたQWINT-2試験では、52週時のHbA1c変化量についてインスリン デグルデクに対する非劣性が確認されました。基礎インスリン治療中の2型糖尿病患者を対象としたQWINT-3試験でも、26週時のHbA1c変化量でデグルデクに対する非劣性が確認されています。

Basal-Bolus療法中の2型糖尿病患者を対象としたQWINT-4試験では、26週時のHbA1c変化量はオンスイク群、グラルギン群ともに-1.07%で、非劣性が確認されました。

ただし、有効性が1日1回製剤に劣らないことと、誰にでも週1回製剤が向くことは別です。食事・運動・体調による血糖変動が大きい患者、低血糖リスクが高い患者、自己管理が難しい患者では、製剤特性を踏まえた慎重な選択と支援が必要です。

オンスイク|商品名の由来は

商品名「オンスイク(Onswik)」の由来は、

現時点で公表されている情報では「特になし」とされています。残念。

英語表記からは“once weekly(週1回)”を連想させますが、メーカーさんが公式に示した名称由来ではない感じですねー

ちょっと意外だよね。これだけ「週1回」が伝わりそうな名前なのに、公式には「特になし」という扱いみたい!

まとめ|週1回でもオンスイクとアウィクリは別物

オンスイクの承認により、国内の週1回Basalインスリンは2製品になります。

注射回数を大きく減らせる選択肢が増えることは、患者だけでなく、家族、訪問看護、介護現場にとっても大きな意味があります。一方で、オンスイクはアウィクリと適応、濃度、設定単位、導入方法、打ち忘れ対応が異なります。

薬局で特に押さえたいのは、次の5点です。

  1. 適応は2型糖尿病のみ
  2. 単位刻みの週1回投与
  3. 切り替え前の空腹時血糖120mg/dLが初回量の分岐
  4. 初回3倍量を翌週以降に繰り返さない
  5. 打ち忘れは4日以内なら投与、4日超ならスキップし、元の曜日へ戻す

週1回製剤では、1回の誤投与が長く影響する可能性があります。処方監査だけでなく、初回と第2週以降を見える化したカレンダー、患者本人による復唱、家族や訪問看護との共有まで含めて支援したい製剤です。

1クリック5単位で、投与量を5単位刻みに設定できます。初期用量の「30~140単位」と、ペンの設定間隔を混同しないよう注意が必要です。また、定常状態での半減期は約17日と長く、初回3倍量を使用しても定常状態への到達には4~6週かかります。開始直後の血糖値だけで急いで増量しないこと、一度改善した低血糖が再発する可能性も踏まえて継続的に観察することが重要です。


FAQ

オンスイクは1型糖尿病にも使用できますか?

使用できません。効能・効果は「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」で、電子添文には1型糖尿病患者には使用しないことが明記されています。

オンスイクとアウィクリは同じ週1回インスリンですか?

どちらも週1回の持効型溶解インスリンですが、成分、適応、濃度、設定単位、導入・切り替え方法、打ち忘れ対応が異なります。同じ単位数で単純に置き換えることはできません。

毎日10単位の基礎インスリンから切り替えると、オンスイクは70単位ですか?

単純計算では10単位×7日=70単位ですが、切り替え前の製剤、空腹時血糖値、低血糖リスクなどで初回量が変わります。オンスイクは30単位刻みのため、具体的な単位は医師の指示を確認してください。

オンスイクを打ち忘れた場合はどうしますか?

予定日から4日以内なら、気づいた時点で投与します。4日を超えた場合は忘れた分を投与せず、次の予定日に戻します。個別の状況では医療機関へ確認してください。

投与曜日は変更できますか?

変更できますが、前回投与から4日間以上あける必要があります。その後は変更後の曜日で週1回投与を続けます。

オンスイクは発売されていますか?

2026年9月16日に製造販売承認を取得しましたが、2026年9月20日時点では発売日と薬価は未確定です。承認と発売は同じではありません。


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