学校薬剤師が行う「黒板面の色彩」検査とは?色票の使い方・判定基準・9か所の見方を詳しく解説

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学校薬剤師が行う黒板の色彩検査とは?色票の使い方・判定基準・9か所の見方

学校薬剤師が行う黒板面の色彩検査をイメージした画像

こんにちは、薬剤師のしぐです。

学校薬剤師の仕事というと、教室の照度や二酸化炭素濃度、飲料水、給食室などの検査を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、学校環境衛生検査には、教室で毎日使われている黒板面の色彩を確認する項目もあります。

「黒板の色を見るだけ?」と思われそうですが、調べるのは単に緑色か黒色かではありません。長年の使用で板面が白っぽくなっていないか、色むらが生じていないかを専用の色票で確認し、文字が見えやすい状態を保てているかを評価する検査です。

今回は、学校薬剤師が年1回行う黒板面の色彩検査について、検査の目的、明度・彩度の意味、9か所を調べる理由、判定基準、基準外だった場合の対応まで、紹介します。

最初に確認
黒板面の色彩は、国の「学校環境衛生基準」に以前から定められている検査項目です。

黒板面の色彩検査は何のために行う?

黒板の文字が読みやすいのは、白いチョークと暗い黒板面の間に十分なコントラストがあるためです。

ところが、黒板は毎日の筆記と拭き取りを繰り返すうちに、表面が摩耗したり、チョークの粉が残ったりして、少しずつ白っぽくなります。部分的な色むらや光沢が生じることもあります。

板面が明るくなると、白い文字との色の差が小さくなり、特に教室の後方や斜め方向から文字が見えにくくなります。黒板面の色彩検査は、こうした変化を「まだ使えるから大丈夫」という感覚だけで済ませず、一定の基準で確認するためのものです。

学校環境衛生基準では、この検査は「教室等の備品の管理」に位置づけられ、毎学年1回、定期に実施するとされています。

判定に使う「明度」と「彩度」とは?

黒板面の明度と彩度の違いを表したイメージ

黒板面の色彩では、主に次の2つを確認します。

項目意味黒板で見るポイント
明度色の明るさ摩耗やチョーク粉で白っぽくなっていないか
彩度色の鮮やかさ緑やグレーなどの色味が基準から外れていないか

数字が大きいほど、明度は明るく、彩度は鮮やかになります。

一般的な緑色の黒板は「有彩色」なので明度と彩度の両方を確認します。黒色の黒板は「無彩色」であるため、確認するのは明度のみです。

国の判定基準

文部科学省の学校環境衛生基準では、次のように定められています。

黒板の種類判定基準
無彩色(黒色)明度が3を超えないこと
有彩色(緑色・グレーなど)明度および彩度が4を超えないこと

ここで迷いやすいのが「4を超えない」という表現です。4までは基準内で、5は基準外です。

なお、各自治体によって異なってくるかとは思いますが、検査票では色相を「グリーン・グレー・黒」から選び、有彩色は「明度/彩度」、無彩色は「明度/-」として記録できるようになっています。

検査に使うもの

  • 黒板検査用色票(または簡易版)
  • 自治体・学校薬剤師会の検査票
  • 筆記用具
  • 必要に応じてカメラやメモ

色票は、印刷物やスマートフォン画面で代用するのではなく、検査用に作られたものを使用します。画面の明るさやプリンターの発色が異なるため、一般の画像では正確に比較できません。

実際の検査手順

1.黒板の種類と色相を確認する

最初に、検査対象が有彩色か無彩色かを確認します。

  • 緑色・グレーなど:有彩色
  • 黒色:無彩色

検査票では、色相を「グリーン・グレー・黒」から選択します。

2.黒板面を9か所に分ける

検査票では黒板を次の9か所に分けて記録します。

中央
上段左上中上右上
中段左中中中右中
下段左下中下右下

黒板は、よく文字を書く中央部と端の部分で摩耗の程度が異なります。全体を一度だけ見て判断すると局所的な劣化を見逃すため、9か所を個別に確認します。

黒板面を9か所に分けて色彩を確認するイメージ

3.色票を黒板面に当てて比較する

色票を測定部分のすぐ近くに当て、色票と黒板面の明るさ・鮮やかさを目視で比較します。

検査時は、次の点に注意します。

  • 黒板面のチョーク粉を落とし、通常使用時に近い状態にする
  • 色票を黒板面に密着させるようにして比較する
  • 窓や照明の映り込み、強い光沢を避ける
  • 見る角度や距離をできるだけそろえる
  • 9か所を同じ条件で確認する

色票自体を汚したり、折ったり、退色させたりしないことも大切です。

4.9か所それぞれの数値を記録する

有彩色なら「明度/彩度」、黒色なら「明度」を記録します。

例:

  • 緑色の黒板で明度3、彩度2 → 3/2
  • 黒色の黒板で明度3 → 3/-

簡易版色票では、基準となる色との比較によって適・不適を判定する方式もあります。使用する色票の説明書と、地域の検査票に従って記録します。

5.適・不適を判定する

9か所のうち一部だけが白っぽく摩耗していることもあります。色票の取扱説明では、1か所でも基準を外れる場合は不適として扱う方法が示されています。

最終判定は、自治体や学校薬剤師会の実施要領に従います。基準付近で迷う場合は、無理に適とせず、測定位置や照明条件を変えて再確認し、所見欄に状況を具体的に残すとよいでしょう。

色彩だけでなく、黒板周辺の状態も確認する

検査票には、参考情報として次の確認欄もあります。

  • 外観:割れ、反り、はがれ、腫れ、さび、ピンホール、ひびなど
  • 黒板面の拭き取り状況
  • 黒板拭き:拭き取り面の摩擦、破損など
  • 黒板拭きクリーナー:故障、清掃不良など

色彩の数値が基準内でも、拭き取りが悪くチョーク粉が残れば文字は見えにくくなります。黒板本体だけでなく、黒板拭きやクリーナーまで含めて確認することで、改善点が見つけやすくなります。

「白っぽい=すぐ塗り替え」とは限らない

黒板の清掃から塗り替えや交換までの対応をイメージした画像

色が明るく見える原因は、黒板面そのものの劣化だけとは限りません。

  1. チョーク粉の残留や清掃不足
  2. 黒板拭きの目詰まり・劣化
  3. 黒板拭きクリーナーの故障や清掃不良
  4. 板面の摩耗、傷、光沢、塗膜の劣化

まず清掃状態や用具を確認し、改善後に再検査します。それでも基準外なら、黒板面の塗り替え、張り替え、黒板本体の交換などを学校へ提案します。

所見欄には「不適」だけでなく、たとえば「中央部で明度が高い」「清掃後も白化が残る」「右下に光沢と拭きむらを認める」など、学校側が次の対応を判断できる表現を残すことが重要です。

検査結果は5年間保存

学校環境衛生基準に基づいて行った定期検査・臨時検査の結果は、検査日から5年間保存する必要があります。

判定結果だけでなく、検査日時、教室名、黒板の種類、9か所の測定結果、外観や清掃状態、助言した内容まで記録しておくと、翌年の結果との比較や修繕判断にも役立ちます。

電子黒板が増えても、黒板の確認は終わらない

学校では電子黒板や大型提示装置の導入が進んでいますが、従来の黒板と併用している教室は少なくありません。

黒板面の色彩検査は派手な検査ではありませんが、子どもたちが毎日見る「学習の背景」を整える仕事です。見えにくさは数値として訴えにくいため、学校薬剤師が年1回、客観的な基準で確認する意味があります。

黒板の9か所を色票と比較し、清掃用具も含めて状態を確認する。小さな検査に見えても、教室の後方に座る子どもまで文字を見やすくするための、大切な学校環境衛生活動です。

よくある質問(FAQ)

黒板面の色彩検査は年に何回行いますか?

学校環境衛生基準では、毎学年1回、定期に行います。異常が疑われる場合や修繕後などには、必要に応じて臨時検査や再確認を行います。

緑色の黒板は有彩色ですか?

はい。一般的な緑色の黒板は有彩色で、明度と彩度の両方を確認します。黒色の黒板は無彩色で、明度を確認します。

「明度・彩度が4を超えない」とは、4なら合格ですか?

基準上は4までが範囲内で、4を超える値は基準外です。ただし、専用色票の判定方法や地域の実施要領に従って最終判断します。

なぜ9か所も測るのですか?

黒板は位置によって使用頻度や摩耗が異なるためです。中央だけ、または一部分だけが白くなる場合があり、全体を一度に見るだけでは局所的な劣化を見逃します。

スマートフォンの写真や画面で判定できますか?

原則として代用できません。撮影条件、画面の明るさ、色補正によって見え方が変わるため、黒板検査用色票など所定の用具で確認します。

基準外なら、すぐ黒板を交換しますか?

まずチョーク粉、黒板拭き、クリーナーなど清掃面の原因を確認します。清掃・用具の改善後も基準外であれば、塗り替え、張り替え、交換などを検討します。

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