
こんにちは、薬剤師のしぐです。
「ゾレアのバイオシミラーは、いつ使えるようになるの?」
2026年5月に薬価収載されたオマリズマブBS皮下注「CT」について、12月の発売を予定していることが報じられました。発売が後ろ倒しになった背景には、情報提供の制限や想定を上回る需要が挙げられています。
治療の選択肢が増えることは、患者さんにとっても医療現場にとっても大切なニュースです。ただし、薬価収載、発売、薬局への入荷は、それぞれ別の段階。まずは今回のポイントを整理します。
まず押さえたい今回のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品 | オマリズマブBS皮下注「CT」 |
| 位置付け | ゾレアの国内初のバイオシミラー |
| 製造販売元 | セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン |
| 承認 | 2026年3月23日 |
| 薬価収載 | 2026年5月20日 |
| 発売の見通し | 2026年12月発売予定と報道 |
| 製剤 | 75mg・150mgのシリンジ/ペン、計4製品 |
※2026年10月23日確認。12月という時期は報道に基づく見通しで、確定した発売日や各製剤の入荷日は今後の正式案内で確認が必要です。
なぜ発売が遅れている?確認できた範囲を整理
今回の報道では、発売の遅れに関係する要因として、情報提供の制限と、想定を上回る需要が挙げられています。
ただし、公開されている記事の範囲では、情報提供制限の具体的な対象や経緯、供給準備の詳しい状況までは確認できません。「安全性に問題が起きた」「製造不良があった」などと原因を結び付けることはできません。
薬局で患者さんへ説明する際も、「12月の発売を予定していると報じられています。実際に手配できる時期は、正式な案内と入荷状況を確認します」と伝えるのが適切です。
薬価収載されていても、すぐに処方・調剤できるとは限らない
薬価収載は、保険診療における公定価格が設定される段階です。一方、発売には製品供給や流通の準備が必要で、発売後も卸や薬局への入荷には差が出る可能性があります。
レセコンに医薬品名が出てくることと、現物を確保できることも別です。処方元から採用や切り替えの相談があった場合は、規格・剤形ごとに卸へ納期を確認し、次回投与日に間に合うかを具体的に相談しておきたいところです。

オマリズマブは、どのような薬?
オマリズマブは、アレルギー反応に関わるIgEを標的とする抗体医薬品です。遊離IgEに結合することで、IgEが受容体へ結合するのを妨げ、アレルギー反応を抑える方向に働きます。
抗ヒスタミン薬や吸入薬などで十分な効果が得られない場合に、適応条件を確認して追加する治療です。喘息の急な発作を、その場で止めるための薬として使うものではありません。
今回のBSも、先行品と同等/同質の品質・安全性・有効性を持つことを確認して承認されるバイオ後続品です。「安いから効き目が弱い」という意味ではありません。

適応は喘息・季節性アレルギー性鼻炎・慢性蕁麻疹
| 適応 | 主な対象条件 |
|---|---|
| 気管支喘息 | 既存治療でも症状をコントロールできない難治例 |
| 季節性アレルギー性鼻炎 | 既存治療で効果不十分な重症・最重症例 |
| 特発性の慢性蕁麻疹 | 既存治療で効果不十分な例 |
同じ成分でも、疾患ごとに対象条件や投与量の決め方が異なります。実際の導入では、電子添文と、該当する最適使用推進ガイドラインに沿った確認が必要です。
花粉症なら誰でも使えるわけではない
「花粉症の注射が安くなる」と聞くと、一般的な花粉症にも広く使えるように感じるかもしれません。しかし、BSになっても重症度や既存治療歴などの条件がなくなるわけではありません。
季節性アレルギー性鼻炎では、原因花粉に対する検査結果、これまでの鼻噴霧用ステロイド薬などの治療、体重、初回投与前の総IgE濃度などを確認します。用法・用量の対象は成人と12歳以上の小児です。
次の花粉シーズンに向けて相談を受けた場合も、まずはこれまで使った薬の名前、使用期間、使い方、症状が残っている程度を整理し、受診時に伝えられるよう支援したいですね。

薬価はいくら?75mgは8,044円、150mgは14,602円
| 製品 | 薬価(1筒/1キット) |
|---|---|
| オマリズマブBS皮下注75mgシリンジ「CT」 | 8,044円 |
| オマリズマブBS皮下注150mgシリンジ「CT」 | 14,602円 |
| オマリズマブBS皮下注75mgペン「CT」 | 8,044円 |
| オマリズマブBS皮下注150mgペン「CT」 | 14,602円 |
薬価は患者さんが窓口で支払う金額そのものではありません。実際の支払いには、負担割合や診察・検査・注射等の費用、公費負担、高額療養費制度などが関係します。
例えば、150mg製剤を2本使う300mg投与なら、BSの薬剤費は1回29,204円です。3割負担で単純計算すると薬剤費部分は約8,761円ですが、実際の窓口負担は請求時の計算や他の費用によって異なります。
また、喘息と季節性アレルギー性鼻炎では、体重と初回投与前の総IgE濃度に応じて投与量・間隔が決まります。患者さんごとの条件を確認せずに、「月いくら」と一律に案内することは避けたいところです。
先行品との比較は「1本」より「1回の必要量」で
比較では、同じ投与量を確保するために、どの規格を何本使うかまで確認します。先行品の300mgペン1本と、BSの150mg製剤2本では、注射する本数も変わります。
費用の確認と同時に、注射回数や操作の負担も相談することが大切です。「安くなるか」だけでなく、「今までと同じように治療を続けられるか」まで含めて考えたいですね。

薬局で確認したい5つのこと
1.まずは次回投与日と、実際の納期
切り替えを検討するときは、次回投与日を先に確認します。発売予定だけを理由に現在の治療を中断したり、投与間隔を延ばしたりしないよう説明し、入荷の見通しと合わせて処方元へ相談します。
2.処方された規格・剤形・本数
75mgと150mg、シリンジとペンを区別し、1回の総投与量と本数を照合します。「前と同じ本数」と思い込まず、処方内容を単位まで確認することが大切です。
3.切り替えの方針を処方元と共有する
先行品からBSへの切り替えを、通常のジェネリックの変更と同じ感覚で進めないことも重要です。処方医の方針と処方内容を確認し、患者さんの理解と希望を共有して進めます。
とくに症状が落ち着いている方ほど、薬の名前が変わることに不安を感じる場合があります。「何が心配か」を聞いてから説明すると、必要な情報が伝わりやすくなります。
4.自己注射はデバイスの操作を改めて確認
自己注射として導入する場合は、医師の判断と必要な教育を前提に、実際に交付する製品の手順で確認します。見た目が似ていても、操作や投与完了の確認方法まで同じとは限りません。
2~8℃での保管、凍結回避、持ち帰り方法、使用済み器具の処理なども、最新の製品別説明に沿って案内します。室温に出しておける時間などは、先行品の経験をそのまま当てはめず確認します。
5.アナフィラキシーの説明と連絡方法
重大な副作用として、ショック・アナフィラキシーに注意が必要です。息苦しさ、舌や唇・のどの腫れ、強いふらつきや失神などがあれば、様子見をせず救急要請を含めた対応が必要です。
投与直後だけでなく時間がたってから起こることもあるため、帰宅後の行動まで伝えます。「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫」とは限りません。
しぐ的には、発売前の今こそ説明の準備を
新しいBSが使えるようになることは、治療の選択肢や費用を相談する機会につながります。
ただ、患者さんが知りたいのは「新しい薬が出る」という情報だけではないはずです。「自分も使えるのか」「いつ切り替えられるのか」「費用や注射の仕方はどう変わるのか」。そこまで一緒に確認できて、初めて実際の支援になります。
薬局としては、正式発売日と納期、処方元の採用方針、規格ごとの本数、説明用資材を準備し、治療を途切れさせずに相談できる体制を整えておきたいですね。

FAQ
Q.オマリズマブBSは、もう発売されていますか?
2026年10月23日時点では、12月発売予定と報じられています。5月の薬価収載だけをもって発売済みとは判断できません。正式な発売日と入荷は最新案内で確認してください。
Q.BSなら、軽い花粉症でも使えますか?
BSになっても適応条件はあります。季節性アレルギー性鼻炎では、既存治療で効果不十分な重症・最重症例が対象で、検査や治療歴などの確認が必要です。
Q.ゾレアより効果が弱くなるのですか?
BSは先行品と同等/同質の品質・安全性・有効性を持つことを確認して承認されます。価格が低いことを理由に、効果が弱いと考える必要はありません。
Q.薬局で希望すれば、その場で変更できますか?
先行品からBSへの変更は、処方医の方針や処方内容、適応、製剤、患者さんの理解などを確認して進めます。希望がある場合は、処方元と薬局へ相談してください。
Q.12月まで、今の注射を待ってもよいですか?
自己判断で中断や延期をしないでください。次回投与日を確認し、処方元と相談しながら現在の治療を継続します。
Q.安くなれば、自己負担も同じ割合で下がりますか?
必ずしも同じ割合にはなりません。投与量・本数、負担割合、公費負担や高額療養費制度などを含めて個別に確認します。
※本記事は2026年10月23日時点の情報です。発売・供給情報は変更される可能性があります。


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