モビコールLD・HDの違いは?飲み方・水の量・副作用と薬局での注意点

こんにちは、薬剤師のしぐです。
慢性便秘症の治療で使われるモビコール。「LDとHDは何が違う?」「何mLの水に溶かす?」「飲んでいるのに、まだ出ないんだけど……」。薬局でも、こういった相談を受ける薬ですよね。
まず結論です。HD 1包は、成分量としてLD 2包に相当します。ただし、HDにすると飲む水の量まで半分になるわけではありません。 LDは1包あたり約60mL、HDは1包あたり約120mLの水に溶かします。
そして、便秘治療の目標は「とにかく毎日出すこと」だけではありません。硬い便で痛い思いをせず、過度にいきまず、日常生活に支障なく排便できること。薬の特徴と、実際に飲み続けられるかの両方を見ていきたいところです。
この記事では、LD・HDの違いから、飲み方、年齢別の用量、副作用、保険薬局での確認ポイントまで整理します。内容は2026年10月2日時点です。
モビコールとは?便の水分を保つ慢性便秘症の薬
モビコールは、マクロゴール4000と電解質を配合した処方箋医薬品です。効能・効果は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」です。
主にマクロゴール4000の浸透圧作用によって消化管内に水分を保持し、便の排出を促します。マクロゴール4000は、口から服用してもほとんど吸収されません。
患者さんに説明するなら、「便の水分を保って、出しやすくするお薬です」という言い方がわかりやすいと思います。
センナやピコスルファートなどの刺激性下剤とは、作用の仕組みが異なります。ただし、「刺激性ではないから腹痛も下痢も起こらない」という意味ではありません。服用後の便の状態と体調を確認する必要があります。
薬局では「何日出ていないか」と一緒に、「出るけれど硬いのか」「排便時に痛いのか」「出してもすっきりしないのか」を聞きたいですね。同じ便秘でも、困っていることは患者さんごとに違います。

モビコールLDとHDの違い|HD 1包はLD 2包分
LD・HDは、別の作用を持つ薬ではありません。配合される成分の種類は同じで、HDにはLDの2倍量が入っています。
| 比較項目 | モビコールLD 1包 | モビコールHD 1包 |
|---|---|---|
| 1包の内容量 | 6.8523g | 13.7046g |
| マクロゴール4000 | 6.5625g | 13.1250g |
| 塩化ナトリウム | 0.1754g | 0.3508g |
| 炭酸水素ナトリウム | 0.0893g | 0.1786g |
| 塩化カリウム | 0.0251g | 0.0502g |
| 溶かす水の目安 | 約60mL | 約120mL |
| 成分量の対応 | LD 2包がHD 1包に相当 | HD 1包がLD 2包に相当 |
たとえば、LD 2包を飲んでいた方が、処方変更でHD 1包になった場合。袋の数は減りますが、成分量は対応しています。「薬が減った」「弱くなった」と思われないよう、規格の違いを説明しておきたいところです。
HDに替えても、必要な水の総量は減らない
ここが大切です。
- LD 2包:合計約120mLの水に溶かす
- HD 1包:約120mLの水に溶かす
HDは、開封する袋の数を減らせる規格です。同じ成分量を服用する際の水の量は変わりません。「120mLを飲むのが大変だからHDに変更すれば解決」とはならないんですね。
開封が大変なのか、味が気になるのか、飲む量が多いのか。負担の中身を聞くことで、相談する方向が変わります。
規格変更時は「袋の数」で覚えない
LDからHDに変更されたのに、以前と同じ袋数を飲んでしまうと、成分量が増えてしまいます。逆の変更では、以前の袋数のままでは成分量が減ることがあります。
薬局では、処方の規格・1回量・1日量を確認したうえで、患者さんに「今回の薬は、1回何包ですか?」と言葉にしてもらうと確認しやすいと思います。残っているLDと新しいHDが自宅で混在していないかも、忘れずに聞きたいところです。

モビコールの飲み方|LDは約60mL、HDは約120mL
モビコールは、粉のまま飲む薬ではありません。水に溶かして服用します。
| 使用する量 | 溶かす水の目安 |
|---|---|
| LD 1包 | 約60mL |
| LD 2包/HD 1包 | 約120mL |
| LD 3包 | 約180mL |
| LD 4包/HD 2包 | 約240mL |
「コップの3分の1」と言われても、コップの大きさによって量が違いますよね。最初に計量カップで60mL・120mLを確認し、普段使うコップで目安を決めておくと、毎回の準備が楽になります。
飲む量を減らしたくても、自己判断で溶かす水を少なくせず、医師・薬剤師に相談してください。
水以外の飲み物に溶かしてもよい?
基本は水ですが、味が気になって飲みにくい場合には、他の飲料に溶かす方法もあります。温かい飲料を使う場合は30~40℃まで冷ましてから溶かし、水以外に溶かした場合はなるべく速やかに服用します。
「何でも混ぜてよい」と一括りにせず、普段使いたい飲料を薬局で具体的に相談してもらうと安心です。薬のために無理に新しい飲み物を用意するより、続けやすい方法を一緒に探したいですね。
一度に飲み切れない場合は?保存は?
溶かした後は、速やかに飲むのが基本です。やむを得ずすぐ飲めない場合は、ラップなどでふたをして冷蔵庫で保管し、できるだけ早く服用します。
一度に飲み切れない場合は、溶かした液を数回に分けて飲む方法もあります。その日の服用量はその日中に飲み切るようにします。ただし、処方された1回量・1日量を超えてよいという意味ではありません。
数日分をまとめて作り置きする運用は避け、毎日の服薬方法を医師・薬剤師と確認しましょう。
溶かす水だけで、普段の水分補給は済まない
モビコールを溶かすための水とは別に、適切な水分補給も必要です。ただし、心不全や腎疾患などで水分制限の指示がある方は、その指示に従ってください。
「便秘だから水をたくさん飲めばよい」と一律に勧めず、持病や生活に合わせて確認する。こういうところも、薬局の出番だと思います。
年齢別の用量|2026年9月に1歳児の用法・用量が追加
2026年9月改訂の電子添文では、1歳児の用法・用量が追加されています。古い資料の「2歳以上」の説明だけで判断しないようにしたいところです。
以下は電子添文の標準的な用量です。実際には処方された量と医師の調整指示に従います。最大量は、そこまで増やすべきという意味ではありません。
| 年齢 | 初回用量(1日1回) | 1回の最大量 | 1日の最大量 |
|---|---|---|---|
| 1歳 | LD 1包 | LD 2包/HD 1包 | LD 2包/HD 1包 |
| 2~6歳 | LD 1包 | LD 2包/HD 1包 | LD 4包/HD 2包 |
| 7~11歳 | LD 2包/HD 1包 | LD 2包/HD 1包 | LD 4包/HD 2包 |
| 12歳以上(成人を含む) | LD 2包/HD 1包 | LD 4包/HD 2包 | LD 6包/HD 3包 |
「/」は成分量が対応する規格の選択肢を示しており、両方を足して飲む意味ではありません。1歳児と2~6歳児の初回用量はLD 1包です。
初回は1日1回。その後は症状に応じ、1歳児では1日1~2回、2歳以上では1日1~3回に調整します。
増量する場合は、2日以上の間隔をあけます。1日量の増量幅は、1~11歳ではLD 1包まで、12歳以上ではLD 2包またはHD 1包までです。
たとえば成人の「1日最大HD 3包」を、「HD 3包を一度に飲んでよい」と読み替えてはいけません。1回の最大量はHD 2包です。薬局では1日の合計だけでなく、いつ・何包ずつ飲むかまで確認したいですね。
なお、低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施されていません。1歳児への追加を、1歳未満にも同じように使えるという意味で受け止めないことが大切です。
いつ効く?「今日出ないから、すぐ追加」は避けたい
効果の出方には個人差があります。「必ず何時間後に出る」とは言い切れません。服用後の排便回数だけでなく、便の硬さや腹部症状を見ながら用量を調整する薬です。
「飲んだけど出なかった」と聞くと、つい量を増やしたくなりますよね。でも、その前に確認したいことがあります。
- 飲み始めたのはいつか、実際に何包飲んだか
- 指示された水の量で溶かし、飲み切れているか
- 最後の排便はいつか、便は硬いか
- 他の便秘薬や市販薬を追加していないか
- 腹痛・嘔吐・強いお腹の張りがないか
増量には電子添文上の間隔があります。医師から調整指示が出ている場合も、「何日待つか」「何包ずつ増やすか」「どの症状で相談するか」を確認しておくと迷いにくくなります。
薬が効かないように見えて、実は飲み切れていない。そんな場合は、量を増やすより服用方法の見直しが先かもしれません。処方箋に書いてある量と、体に入っている量は、必ずしも同じではないんですよね。
副作用と、早めに相談したい症状
下痢・腹痛・お腹の張り
モビコールでは、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心などが起こることがあります。症状に応じて減量・休薬・中止を検討するため、医師・薬剤師に相談してください。
「便が出たから効いている」で終わらせず、「水のような便が続いていないか」「トイレが近すぎて外出できないか」まで聞きたいところです。排便回数が増えていても、生活がつらくなっていれば治療の見直しが必要です。
下痢や嘔吐が続くと、脱水や電解質の異常につながる場合があります。特に高齢者や、食事・水分がとりにくい方では注意します。電子添文には、高カリウム血症・低カリウム血症も頻度不明の副作用として記載されています。
息苦しさ・じんましん・顔の腫れはすぐ対応
重大な副作用として、ショック・アナフィラキシーが記載されています。呼吸困難、じんましん、顔の腫れなどが現れた場合は服用を中止し、速やかに医療機関へ連絡してください。息苦しさなどが強い場合は、救急要請が必要です。
強い腹痛や嘔吐があるときは、下剤を増やす前に受診
腸閉塞、腸管穿孔、重症の炎症性腸疾患が確認されている場合や、その疑いがある場合は禁忌です。
強い腹痛、嘔吐、著しいお腹の張り、排ガスが止まるなどの症状があるときは、単なる便秘と自己判断して下剤を追加せず、早めに医療機関へ相談してください。

薬局でのフォロー|「出ましたか?」から、もう一歩
モビコールの説明は、「水に溶かして飲んでください」で終わりやすいかもしれません。でも、実際にはその後の確認が大事です。
| 確認したいこと | 聞き方の例 | 次の対応につながる点 |
|---|---|---|
| 便の硬さ・痛み | 「硬くて痛い感じは残っていますか?」 | 回数だけではわからない改善度 |
| 飲み切れているか | 「作った分は、毎回飲み切れていますか?」 | 服用方法と実際の服用量 |
| 規格と包数 | 「今はLD・HDのどちらを、何包ですか?」 | 規格変更後の取り違え |
| 下痢・腹痛 | 「出すぎたり、お腹が痛くなったりしていませんか?」 | 調整や受診の必要性 |
| 他の下剤 | 「頓服や市販の便秘薬も使っていますか?」 | 重複と自己調整の状況 |
| 続けやすさ | 「準備や味、飲む量で困っていませんか?」 | 治療を続ける工夫 |
小児では、保護者が準備した量だけでなく、本人が実際に飲んだ量も確認します。コップに残る、途中で嫌がる、飲む時間が毎日ばらばらになる。そうした日常の情報が、治療を考える手掛かりになります。
便が出るようになった後も、自己判断ですぐにやめると再び便秘になることがあります。一方で、漫然と続けるのも適切ではありません。状態を見ながら、減量や継続の必要性を医師と相談していきます。
がん治療中は、便秘になったタイミングも確認
外来がん治療中の方なら、治療日や制吐薬の服用、オピオイドの開始・増量、食事量の変化なども合わせて聞きたいところです。
「治療後の数日だけ困る」のか、「ずっと便が硬い」のかでは、処方元に伝えたい情報が変わります。モビコールが全員の第一選択というわけではなく、原因と症状に合わせて治療を検討します。
薬局で集めた情報を「便秘あり」の一言で終わらせず、いつから・どんな便で・どれくらい困っているかまで伝える。その方が、次の処方を考える材料になりますよね。
供給制限の情報は、薬の基本とは分けて確認
2026年10月2日時点では、LDは小児患者への供給確保を目的とした限定出荷、HDは2026年12月から一時出荷停止となる予定です。通常出荷の再開は2027年6月頃が予定されていますが、確約された時期ではありません。
成分量として「LD 2包=HD 1包」であっても、供給制限中に成人のHDをそのままLDへ置き換えられるとは限りません。 残薬と次回受診日を確認し、薬がなくなる前に処方元・薬局へ相談してください。
供給スケジュールや代替薬、薬局での対応は、コチラにまとめています。

自主回収については供給制限とは別に、コチラも確認してください。

よくある質問
モビコールLDとHDは、どちらが強い薬ですか?
1包同士で比較すると、HDにはLDの2倍の成分量が入っています。成分の種類は同じで、HD 1包とLD 2包が対応します。袋の数だけで強さを判断せず、規格と服用量を確認してください。
HDに替えれば、飲む水の量は減りますか?
減りません。LD 2包もHD 1包も、溶かす水は約120mLです。減るのは開封する袋の数です。
モビコールを粉のまま飲んでもよいですか?
水に溶かして服用する薬です。粉のまま服用せず、LD 1包は約60mL、HD 1包は約120mLの水に溶かしてください。
水以外の飲み物に溶かせますか?
基本は水ですが、飲みにくい場合には他の飲料を使う方法もあります。温かい飲料は30~40℃まで冷ましてから使用し、水以外に溶かした場合はなるべく速やかに飲みます。使いたい飲料は医師・薬剤師に相談してください。
溶かした後、すぐ飲めない場合はどうしますか?
ふたをして冷蔵庫で保管し、できるだけ速やかに飲みます。一度に飲み切れない場合は分けて飲む方法もありますが、その日の服用量はその日中に飲み切るようにします。
飲んでも出ない場合は、すぐ増やしてよいですか?
自己判断で追加しないでください。増量は2日以上の間隔をあけ、年齢ごとの増量幅と最大量を守ります。医師から調整指示がある場合は、その内容を確認してください。
子どもは何歳から使えますか?
2026年9月改訂の電子添文には、1歳児の用法・用量が追加されています。1歳児の初回量はLD 1包を1日1回です。年齢ごとに最大量などが異なるため、必ず処方と指示に従ってください。
便が出るようになったら、やめてもよいですか?
減量や休薬のタイミングは医師と相談してください。早くやめすぎると再び便秘になることがあります。定期的に状態を確認し、継続の必要性も見直します。
モビコールが手に入りにくいとき、代わりの薬は?
モビコールの供給制限により、今後の治療について相談が必要になる場合があります。特に小児では、便を軟らかくする効果だけでなく、味、服用量、飲みやすさ、排便時の痛みまで含めて代替薬を考える必要があります。
マグミットやピコスルファートも候補になりますが、それぞれ特徴が異なり、モビコールと同じ使い方で置き換えられるわけではありません。
「今の薬ならうまく飲めている」という情報も、次の治療を選ぶ大切な手がかりです。薬がなくなる前に、残っている量と現在の便の状態を医師・薬剤師へ伝えてください。

まとめ|規格・水の量・便の状態をセットで確認
モビコールHD 1包は、成分量としてLD 2包に相当します。LD 1包は約60mL、HD 1包は約120mLの水に溶かします。同じ成分量なら、HDに替えても必要な水の量は変わりません。
ただ、ここまで覚えて終わりではないんですよね。
処方された量を飲めているか。便が硬くないか。痛くないか。下痢で困っていないか。準備を含めて、続けられているか。 そこまで確認して、初めて患者さんの便秘治療を支えられると思います。
「毎日出る」を目指すだけでなく、無理なく排便できる生活を目指す。そのために、規格と水の量を正しく伝え、服用後もフォローする。モビコールを扱う薬局で大切にしたいのは、こういうことです。
ではでは、しぐでしたっ。


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