ロキソニンSが第1類→指定第2類へ?日薬は反対|薬剤師なしでも買えるようになるのか

こんにちは、薬剤師のしぐです。
「薬剤師がいないので、ロキソニンSは販売できません」
ドラッグストアで、そんな案内を受けたことがある方もいると思います。痛いときに買いたいのに、薬剤師がいる時間に出直さなければならない。購入する側からすると、なかなかもどかしい場面です。
そのロキソニンSなどに含まれるロキソプロフェンについて、第1類医薬品から指定第2類医薬品への変更が検討されています。一方、日本薬剤師会は2026年10月1日の会見で、変更案への反対意見を提出したことを明らかにしました。
しぐ的には、安全を確保する仕組みを整えたうえで、登録販売者へ任せられる仕事を広げることは、とてもよい方向だと考えます。薬を必要とする人の利便性が高まり、薬剤師も専門性が必要な仕事に時間を使える。すばらしいタスクシフトにつながる可能性があります。
ただし、薬剤師側には少し耳の痛い話もあります。
「薬剤師がいなければ売れない」という制度上の役割が減っていくなら、資格を持っているだけで必要とされる時代は、今より厳しくなるかもしれません。
今回のニュースは、買いやすさの話であると同時に、薬剤師が日々の仕事でどんな価値を提供するのかを考える話でもあります。
まず結論:現時点では「もう薬剤師なしで買える」ではありません
2026年10月2日時点で確認できたメーカーの製品情報では、内服のロキソニンSは第1類医薬品です。今回確認した公表情報からは、正式な区分変更の適用日を確認できていません。
したがって、「指定第2類への変更が検討されている」と「すでに指定第2類になった」は分けて考える必要があります。
| 確認したいこと | 現時点での整理 |
|---|---|
| ロキソニンSの現在の区分 | メーカーの公開情報では第1類医薬品 |
| 指定第2類への移行 | 変更案が検討され、パブリックコメントの対象となっている |
| 日薬の立場 | 現在の指定第2類の販売体制での変更には反対 |
| いつから変わるのか | 今回確認した情報では正式な適用日を確認できない |
| 今すぐ登録販売者だけで販売できるか | 現在の第1類の扱いではできない |
7月29日の安全対策調査会では、適正使用のための対応を条件に、指定第2類への移行が適当との方向が示されました。その後、告示改正案について意見募集が行われています。調査会での判断が、そのまま店頭の販売ルール変更を意味するわけではありません。
購入時には、その時点の製品表示と販売店の案内を確認してください。

第1類と指定第2類では、何が変わる?
いちばん分かりやすい違いは、販売に対応できる専門家です。
| 項目 | 第1類医薬品 | 指定第2類医薬品 |
|---|---|---|
| 販売に対応できる専門家 | 薬剤師 | 薬剤師または登録販売者 |
| 販売時の情報提供 | 原則として義務 | 第2類として努力義務 |
| 購入者から相談を受けた場合の対応 | 義務 | 義務 |
| 位置づけ | 使用に特に注意を要する医薬品 | 第2類の中でも特別の注意を要する医薬品 |
| 購入時の注意 | 薬剤師による確認・情報提供を受ける | 禁忌等を確認し、専門家への相談を勧める表示等が設けられる |
指定第2類の「指定」は、単なる飾りではありません。第2類の中でも特に注意して使う必要があることを示しています。
正式に指定第2類へ変更されれば、制度上は登録販売者も販売に対応できることになります。そのため、薬剤師が不在でも購入できる場面が広がる可能性があります。ただし、ロキソプロフェンについて最終的に求められる安全確保策や運用は、正式な告示・通知を確認する必要があります。
また、「薬剤師なし」は「専門家なし」と同じ意味ではありません。登録販売者も、一般用医薬品の販売に関わる専門家です。無資格のスタッフだけで自由に販売できるようになる、という理解は適切ではありません。
リスク区分の変更は、胃もたれ改善薬のイラクナでも話題になりました。イラクナの記事では、薬剤師と登録販売者の役割も整理しています。

今回の対象は、ロキソニンという名前の製品すべてではない
ロキソニンには内服薬のほか、テープやゲルなどの外用薬もあります。同じブランド名でも、剤形や配合成分、リスク区分は一律ではありません。
今回の変更案は、ロキソプロフェンを含む一般用医薬品のうち、外用剤と、かぜの諸症状の緩和を目的とするものを除く範囲が対象です。
つまり、今回の話を聞いて「ロキソニンの名前がついていれば全部同じ扱いになる」と考えるのは早計です。シリーズ製品を選ぶときも、名前や価格だけでなく、その製品の成分と説明書を確認したいところです。
日薬はなぜ反対しているのか
日薬が重視しているのは、購入者の背景まで含めて安全性を判断できる販売体制です。
報道で紹介された意見では、持病、脱水、併用薬、重複使用、使用頻度などを組み合わせた評価が必要であり、定型的な確認だけでは十分に判断できない場面があるとしています。
また、仮に移行する場合にも、薬剤師が勤務して必要時に対応できる店舗での販売や、登録販売者から薬剤師へ確実に引き継ぐ仕組み、研修、変更後の検証などを求めています。
ここは、日薬の要望と決定済みの制度を混同しないことが大切です。「指定第2類になるとしても、必ず薬剤師がいる店でしか売れない」と決まったわけではありません。
反対意見を、単に薬剤師の仕事を守る主張と決めつけるのも適切ではないでしょう。安全をどう確保するかという論点には、しっかり向き合う必要があります。
そのうえでしぐ的には、安全に必要な判断を明確にし、任せられる部分は任せ、難しい場面では薬剤師や医療機関へつなぐ体制を育てたいと考えます。
市販薬として使えるようになることと、販売上のリスク区分が変わることは別の話です。ビラノアやアレジオン点眼のOTC化についても、こちらで整理しています。

しぐ的には、タスクシフトは歓迎したい
薬剤師にしかできないことを、薬剤師が担当する。
登録販売者が対応できることは、登録販売者に任せる。
役割を整理することは、患者さんや購入者にとっても、働く側にとっても利点があるはずです。もちろん、研修や相談体制が実際に機能することが前提になります。
薬剤師が不在という理由だけで購入を諦めたり、別の店を探したりする負担が減るなら、生活者にとって分かりやすい改善です。
薬剤師側も、その時間を使って、複雑な併用薬の評価、副作用のフォロー、医療機関への情報提供、受診が必要な症状の相談などに取り組めます。
ここで気をつけたいのは、「空いた時間ができるはず」で終わらないことです。実際に何を増やし、患者さんにどんな変化をもたらしたのか。それが見えるところまで仕事を進めて、初めてタスクシフトの効果が伝わります。
登録販売者へ仕事を移すなら、引き継ぎ先になる薬剤師も、相談を受け止める準備が必要です。「それは薬剤師に聞いて」で止まらず、聞けば判断が進む、患者さんの次の行動が決まる。そんな関係をつくりたいですね。
区分が変わっても、薬そのものが変わるわけではない
指定第2類への変更は、販売上の区分の変更です。薬の成分が変わったり、副作用がなくなったりするわけではありません。
ロキソニンSは、ロキソプロフェンを含むNSAIDsの解熱鎮痛薬です。痛みや発熱を抑えますが、その原因をすべて治療できる薬ではありません。
通常のロキソニンSは15歳以上が対象で、1回1錠。服用間隔は4時間以上あけ、通常1日2回まで、症状が再び出た場合は3回目が可能です。なるべく空腹時を避けます。この用量を、別のシリーズ製品へそのまま当てはめないでください。
服用できない人や、事前の相談が必要な人もいます。特に、解熱鎮痛薬などでぜんそくを起こしたことがある人、腎臓病などで治療中の人、出産予定日12週以内の妊婦などは、説明書の「してはいけないこと」を確認する必要があります。他の解熱鎮痛薬やかぜ薬との重複、飲酒、長期連用も避けます。
「いつも使っているから大丈夫」という判断は、体調や治療薬が変わったときほど見直したいところです。

薬局では「いつもの痛み止め」に一歩踏み込みたい
保険薬局でも、市販薬の使用を聞き取る機会があります。
処方薬は薬歴にある。でも、帰り道に買った痛み止めは載っていない。本人にとっては「病院の薬」と「市販薬」が別枠なので、薬を尋ねても市販薬が話題に上がらないことがあります。
そこで、「市販の痛み止めやかぜ薬は使っていますか」と具体的に聞く。使用していれば、商品名、何の症状に、何回、何日使ったかまで確認する。
このひと手間は、区分変更の有無にかかわらず必要です。
以下は、薬局での聞き取りや、登録販売者との連携を考える際の実務提案です。決定済みの販売条件を示したものではありません。
| 場面 | 聞き取りの例 | 薬剤師が考えたいこと |
|---|---|---|
| 何度も購入している | 「今月は何日くらい使いましたか」 | 痛みが続く理由、使用頻度、受診の必要性 |
| 別の市販薬も使う | 「箱や写真、お薬手帳を見せてもらえますか」 | 商品名が違っても成分・薬効が重複していないか |
| 食事や水分が取れない | 「食べたり飲んだりできていますか」 | 自己判断での使用を続けてよい状態か |
| 治療中の病気がある | 「今、どんな治療を受けていますか」 | OTCで対応できるか、医師への確認が必要か |
| 毎回強い痛みがある | 「前より強くなっていませんか」 | 痛み止めの追加より先に評価が必要ではないか |
「効く薬を紹介できる」ことに加えて、「今回は薬を買うより受診を優先したほうがよい」と説明できることも、薬剤師の大切な仕事です。
その判断を本人が納得できる言葉で伝え、必要なら受診につなげる。単に販売を断るだけでは、購入者は別の店で同じ薬を探すかもしれません。次に何をすればよいかまで伝えることが、相談の価値になります。
登録販売者との連携は「何かあったら相談」で終わらせない
タスクシフトを進めるなら、日々の連携を具体化したいところです。
たとえば、薬剤師へ引き継ぐときには「年齢・症状・持病・併用薬・使用状況・迷っている理由」を短く共有する。薬剤師は判断と対応を返し、必要な情報を記録する。
相談に対応できる薬剤師がいない場合の連絡先や、判断がつかないときの対応も、あらかじめ決めておきます。販売を急ぐために確認を飛ばす運用になってしまえば、せっかくのタスクシフトが続きません。
また、研修は薬の説明を一方的に聞く形式だけでなく、「どんな購入者なら迷うか」「どこまで確認すれば次に進めるか」を事例で共有すると、現場に結びつきやすくなります。
薬剤師も登録販売者から学ぶことがあります。売り場でどんな質問が多いのか、どの説明なら伝わるのか。互いの得意なことを持ち寄るほうが、生活者にとって使いやすい相談体制をつくれると思います。

薬剤師の「淘汰」を、他人事にしない
ここからは、制度上の事実ではなく、しぐとしての受け止めです。
今回の区分変更によって、近い将来、薬剤師の淘汰が必ず起きると断言することはできません。薬剤師の人数や雇用への影響は、今回確認した情報からは分かりません。
それでも、「資格があるから仕事がある」という安心感に寄りかかるのは、そろそろ危ういと感じます。
説明書に書いてある内容を、そのまま読む。
確認欄を埋めて、薬を渡す。
仕事がそこだけにとどまれば、役割が移るときに、自分の価値を説明するのが難しくなります。これは登録販売者との競争だけの話でもありません。業務の仕組みや技術が変われば、薬剤師に求められる仕事も変わっていきます。
だからこそ、制度が変わることを怖がるだけで終わらず、日々の仕事を磨きたい。
持病と併用薬を組み合わせて考える。分からないことを調べ、必要な相手へ確認する。患者さんが言葉にしていない困りごとを拾う。対応したあと、実際にどうなったのかを追う。
こうした積み重ねは、派手ではありません。でも、相談した人に「聞いてよかった」と思ってもらえる仕事につながります。
タスクシフトは歓迎する。その分、薬剤師は任された判断にきちんと応える。
気を引き締めて、日々精進せねば。今回のニュースは、そんな思いを強くする話題です。
しぐ的な結論:任せられる仕事は任せて、その先の価値をつくる
ロキソニンSなどの指定第2類への移行が実現すれば、登録販売者が対応できる場面が広がり、購入者の利便性向上につながる可能性があります。
安全を確保できる体制を整えながら進めるタスクシフトとして、しぐ的には前向きに受け止めたいニュースです。
一方で、薬剤師が制度上の独占業務に頼っていられる場面は、今後も変わっていくかもしれません。近い将来の淘汰を心配するなら、今日の仕事で、判断・説明・連携・フォローの質を一つずつ上げていくことが大切だと思います。
任せられる仕事は任せる。そして薬剤師は、相談した人の次の行動を支えられる専門家になる。
今回の区分変更を、薬剤師自身が成長するきっかけにもしていきたいですね。
OTC類似薬の追加負担と、今回の市販薬のリスク区分変更は別の制度です。費用負担の変更については、こちらの記事で解説しています。

FAQ(公開用)
Q. ロキソニンSはもう指定第2類になったのですか?
2026年10月2日時点で確認したメーカーの公開情報では、第1類医薬品です。移行案の検討は進んでいますが、今回確認した情報では正式な適用日を確認できていません。
Q. 指定第2類になれば薬剤師なしで買えますか?
指定第2類は、薬剤師または登録販売者が販売に対応できる区分です。正式に移行すれば購入できる場面が広がる可能性がありますが、ロキソプロフェンの最終的な販売条件・安全確保策は告示や通知で確認する必要があります。
Q. 日本薬剤師会は何に反対しているのですか?
現在の指定第2類の販売体制では、患者背景や併用薬などを総合して判断する仕組みが十分ではないとして、変更案に反対しています。移行する場合にも、薬剤師への確実な引き継ぎなどを求めています。
Q. 指定第2類になれば副作用の心配は小さくなりますか?
区分の変更だけで、成分や副作用が変わるわけではありません。用法・用量、服用できない人、重複使用や長期連用への注意は引き続き確認が必要です。
Q. ロキソニンのテープやかぜ薬も今回の対象ですか?
今回の変更案では、外用剤とかぜの諸症状を緩和する目的の製品は対象から除かれています。同じブランド名でも、個々の製品の区分を確認してください。
Q. 薬剤師の仕事はなくなりますか?
今回のニュースだけで、薬剤師の雇用への影響は判断できません。一方、任せられる業務が広がるほど、薬剤師には個別の判断、相談、医療機関との連携、フォローなどの価値を示すことが求められると考えます。


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