薬剤師のしぐです。
乾燥の季節。いろいろな薬局さんでいろいろな保湿剤を調剤、販売する季節です。
今回のテーマはそんな保湿剤の中で定番中の定番ヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉です。
数年前から、「医療関係者が化粧下地に使ってる」やら「処方患者ではない家族が使用する」やらで結構処方量を制限されるているこの医薬品。
このヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉シリーズは、意外と薬価が高かったりするので、こどもの皮膚の乾燥で処方してもらい、こども医療で手に入れる、、、という、よくない親御さんもいるとかいないとか。
実は、今話題の、アンサングシンデレラでもこのヒルドイド・ヘパリン類似物質にはふれられています!!
各剤形の特徴や、ヒルドイドソフト軟膏でかぶれちゃったパラベンアレルギーの患者への対応についてもまとめていきます〜
ヒルドイドはゲルから軟膏、クリーム、外用液、泡などイロイロありますからね、、、
ヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉について
ヘパリン類似物質はムコ多糖類の一種で、皮膚組織の血流増加や吸湿による角層への水分付与により、血流増加、血行促進作用、抗炎症作用、保湿作用を示します。
これらの作用により、皮脂欠乏症や乾皮症、外傷後の腫脹等に広く使用されます。
ちなみに、なんでヘパリン類似物質に保湿効果があるのか。ヘパリン類似物質の保湿作用は、角質細胞間脂質のラメラ構造の回復促進、天然保湿因子の増加が関与していると考えられてるみたいです。まあ、難しいので、しっかりした根拠のある保湿効果ってことで。
ヘパリン類似物質製剤〈ヒルドイド〉には、ゲル・クリーム・ローション・フォーム等複数剤形があり、医療用医薬品・一般用医薬品・医薬部外品の外用剤があります。
ヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉各種剤形について
それぞれの剤形の特徴だよ。
ゲル:ヒルドイドゲル、ビーソフテンゲルetc
ベタつきが少なく、乾燥して薄い膜を形成する。
- 先発品:12.9円/g
- 後発品:6.1円/g
っていうか、ヒルドイドゲルってあるんだね!!知らなかったーーーー。
みたことあります?自分はこの10年以上の薬剤師人性で1度もない。ヒルドイドのゲル製剤。
このまとめ作ってる時に初めてみた。あーーーびっくり。
いろんな本で確認しちゃったよ。でも、ホントにあるっぽい。
ほらほら。今日の治療薬2019にのってるから間違い無いです
そして、このヒルドイドゲルが他のヒルドイド製剤にくらべてあまり目にしない理由。ご存知ですか??
そこは、その適応症にあるのでした、、、
W/O型クリーム:ヒルドイドソフト軟膏、ヘパリン類似物質油性クリームetc
油中水型ってやつ。軟膏とクリームの間な使用感。
軟膏という名称がついてる分ベタつきが多いけど、それだけ皮膜効果も高いです。
- 先発品:22.2円/g
- 後発品:5.3〜8.0円/g
1番よく見るよね。ヒルドイドソフト軟膏。ちなみにこのヒルドイドソフト軟膏。
名前は軟膏だけど、実際はクリーム剤なんだよね。
混乱するけど、ヒルドイドソフト軟膏はクリームなんです。
ヒルドイドソフト軟膏が発売されたのは1996年。
この頃にはまだ軟膏とクリームの明確な基準がなかったんだとか。それで軟膏という薬品名で販売されたけど、現代の細かな基準で分類すると、クリーム剤に分類されちゃうっていうこと。
ヒルドイドを含めて、結構古くからあるお薬は先発品でも後発品でもない「準先発品」っていうくくりになるんですよね。知ってましたか?この言葉。
ヒルドイド類以外にも、「強力ポステリザン軟膏」だったり「マーズレン配合顆粒」だったりがこの準先発品にあたります。
O/W型クリーム:ヒルドイドクリーム、ヘパリン類似物質クリームetc
水中油型ってやつ。ヒルドイドのクリーム。ベタつきは比較的多め。皮膜効果も高め。
- 先発品:22.2円/g
- 後発品:5.3〜8.0円/g
ヒルドイドソフト軟膏のが主流すぎて、あんまりみないですよね。
以前までは20gチューブだったんだけど、比較的最近25gチューブに統一されました。
たぶん同じくらいの時かな?それまでけっこうきつめだった臭いが改善されて、無臭に近づきました。
ちなみにウチの子どもも、自分も、ヒルドイドクリームを顔に使用するとヒリヒリ?ちくちく?する体質みたい。なんか保湿剤なのにカピカピするんだよね。
ただ、自分的にこのヒルドイドクリームが1番いい感じ。保湿剤としての効果は他のヘパリン類似薬よりも劣る感ありますが、テカテカせず、肌になじんでイイ感じ。
これぞまさに「化粧下地」という感じがします!使いませんけどね?
化粧しないし。あまり言うと非難を浴びます。化粧下地。
ってか化粧下地には保湿効果が高い方がいいのかな。わかりません、、、。
ローション(乳剤性):ヒルドイドローション、ヘパリン類似物質ローション「ラクール」
よくない人たちから、乳液と例えられるやつ。ベタつき、皮膜効果は真ん中くらい。
- 先発品:22.2円/g
- 後発品:5.3〜8.0円/g
ローション(溶液性):ビーソフテンローション、ヘパリン類似物質ローションetc
よくない人たちから、化粧水と例えられるやつ。ベタつき少なめ、皮膜効果少なめ。
- 先発品:22.2円/g
- 後発品:5.3〜8.0円/g
ここの乳剤性と溶液性の違いにこだわってる処方医は意外と多く、先発品のヒルドイドローションとビーソフテンローションを使い分けてる処方も多々みますよね。
なので、同じ処方箋内でヒルドイドローションとビーソフテンローションの両方が処方されることもあります。
後、調剤薬局泣かせなのが「ヒルドイドローションには25g包装と50g包装があるけど、 GEには50g包装しかない」こと。
ヒルドイドローション25g刻みでの処方があると、必然的にGE変更が難しくなるんだよね。
最後にココ関連の小ネタも書いたので最後までお付き合いくださいね〜
もとが準先発品なので、そこまでガンバって変更する必要があるのかって言われるとね。まあそうなんですけどね。可能な限り変更していきたいですよね。調剤報酬的にね。
フォーム(泡状スプレー):ヒルドイドフォーム、ヘパリン類似物質外用泡状スプレーetc
比較的新しい剤形。伸びがよく、広い範囲に使いやすい。ベタつき、皮膜効果少なめ。
あ、ちなみに「外用スプレー」と「外用泡状スプレー」がありますが、ここの一般名は同じなんです。【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3%で処方が来た場合は、どちらで調剤してもいいってこと。
外用の難しいところですよね。
ローションの乳剤タイプと溶液タイプといいね。
- ヒルドイド:22.2円/g
- ヘパリン類似:14.7円/g
ヘパリン類似物質外用泡状スプレーの方が先に発売した異例の剤形。
そして、ヘパリン類似物質の方は全て100g/本なのに対して、ヒルドイドフォームは92g/本という、すごく、GE変更できないようにしたのでは!?と疑ってしまう量。
コチラのヒルドイドフォームとヘパリン類似物質外用泡状スプレーのGE変更について、いろいろな関係各所へ確認を行い、薬局でのGE変更の可否についてまとめた内容がコチラ!!
ヒルドイドフォームだけ「ガスタイプ」。他の泡状スプレーは「ノンガスタイプ」です。
それぞれ使用時の注意点が異なるので、一覧にしてみたよ。
フォームスプレー【ガスタイプ】:ヒルドイド
- 使用時は容器をよく振る
- 横向き、逆さでの使用はしない
- 火気の近くでは使用しない
- 廃棄する際はガス抜きをする
フォームスプレー【ノンガスタイプ】
- 使用時に容器は振らない
- 逆さにして使用しない
- 水で洗わない
- 初回使用時は、まっすぐ立てて3〜4回空噴霧する
とりあえずヒルドイド関連のご紹介はこんな感じーーーー。
保湿剤は入浴後やシャワーの後、水分が角質に残っているうちに塗布するのが効果的!という考え方が主流なのですが。最近の研究では「入浴直後と一定時間後に塗布した場合の保湿効果に大きな差はない」という報告も出ています。
パラベンアレルギー患者へのヒルドイドの処方
そしてこの話。
正直、パラベンって全く知らなかったわたし。
今お勉強していて、まとめてるところです。
数日中には、まとめますので。しばしお待ちください。
んで、前回ヒルドイドクリームを初めて処方された患者さんが、処方箋を持ってきてこう言いました。
「前回のお薬が肌に合わなくて、先生に相談したら『パラベンの関係かな?薬局で【ラクール】のGEを用意してもらうといいよ』と言われてる。取り寄せをお願いできますか?」
なんだって。それは、つまり、そういうことだよね?
世にいう、パラベンフリーってやつでしょ?そういうこと??
ちなみにパラベンって「パラオキシ安息香酸エステルの総称」で、医薬品や化粧品に用いられる防腐剤なんだよね。殺菌力の強さは下記の通り。
イソブチルパラベン → ブチルパラベン →
プロピルパラベン → エチルパラベン → メチルパラベン
そして、ヒルドイドクリームやらの添付文書がこんな感じ。
まずはヒルドイドクリームと、ソフト軟膏。
おおー。パラベン入ってるね。
ちなみに、得意な菌の範囲が少し違ったりするので数種類のパラベンを混ぜるんだって。
あと、あれなんですね。添付文書上成分はどっちも「ヘパリン類似物質クリーム」ですね。
そこは、細かく表記はしないんだ。
ヒルドイドソフト軟膏に入ってる「サラシミツロウ」。
この謎の成分で、油性を高めるらしい。
そしてヒルドイドのGEで1番有名?メジャー??な日医工さんのものがこちら。
おおーーーー。パラベン!!
そして成分表記にはちゃんと「油性」ってついてるんだね。ちゃんと?なのかな。
そして話題のラクールさんがこちら!
すごいなーラクールさん。まさにパラベンフリー。
それを知ってる先生もまたすごい。日々勉強ですね。ホントに。
ローションには入ってるんだね。パラベン。
あ、あともう1つ自分がこのラクールさんを尊敬&疑問視してるところ。
さっきは「ない」って書いたけど、実はヒルドイドローションのGEの25g包装。このラクールさんは作ってくれてるんです!!それがこちら!
なんじゃこの包装、、、。え?クリーム入ってんの?これ?
まさか使いまわし??どゆこっちゃ。
なんか、いろんな意見や質問、不安等出ちゃいそうなので、自分の薬局では採用を見送っているのでした、、、。
今回はこんな感じーーー!
実際こどもにけっこう使用してるのですが、、、サラサラしてるビーソフテンローションがのびもよくて使いやすいかな。
効果的にはたしかにヒルドイドソフト軟膏が1番かな。感覚的に。
医療関係者が「化粧下地」だったりに使って問題になり、今や保険請求の上限量が少量になってきているこの薬剤。
ホントに必要な人への処方量にも上限があったり、いろいろ厳しくなってきてます。
ではではーーーしぐでしたっ
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