ミニリンメルトOD錠低用量で新適応。低用量は男性のみの理由

薬剤師のしぐです。

今回は、少し前のベオーバ錠に引き続き、泌尿器系の医薬品ミニリンメルトOD錠についてです。

一応自分の薬局は総合病院の門前なんですけど、なぜかこのミニリンメルトOD錠の全規格を取り揃えております。謎に、全て処方がでるのです。

25μg、50μg、60μg、120μg、240μgの5つでミニリンメルトOD錠の全規格。

今回は新発売となりましたミニリンメルトOD錠の低用量規格である25μgと、50μgについてまとめるよーーー。

ミニリンメルトOD錠25μg・50μgの適応、効能効果

男性における夜間多尿による夜間頻尿

そう、このミニリンメルトOD錠低用量規格の1番のポイント!!

適応が男性のみなんです!!!

たまにあるよねーこの性別限定の適応。

昔はイリボーもそうでした。男性のみの適応。
今は女性に対する適応も取得しましたが、低用量での承認となっています。イリボーについても書きたいと思ってるので、これはまたの機会に。

新発売の低用量ミニリンメルトOD錠について、効果の判定には8〜12週間を要するみたい。効果がでるのは服用開始数日みたいですが、効果が落ち着くまでしばらくかかるんだそうです。

低用量ミニリンメルトOD錠の適応が「男性」のみの理由

理由はいくつかあるみたいなのですが、男性限定である1番の理由

「女性ではプラセボとの比較で有効性が認められなかったから」

らしいです。

プラセボも、ミニリンメルトもどっちも比較的効きすぎちゃうらしいです。

このミニリンメルトに限らず、同様の実験でプラセボのみだけみても、男性より女性の方が高い効果が出るのが一般的なんだとか。

基本的に女性の方がこういったものには敏感なんですよね。
良くも悪くも、繊細ってことですね。女の子はね。なんだか、いろいろと考えさせられる理由でございます。

ちなみにこの低用量ミニリンメルトにおける男性限定の適応は、「日本のみ」です。
海外では男女での違いはありません。

ミニリンメルトOD錠の有効成分

デスモプレシン

他の剤形では点鼻用噴霧剤とか、点鼻液があるよね。

ミニリンメルトOD錠25μg・50μgの用法用量

成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50µgを経口投与する。

年齢、体重、血清ナトリウム値、心機能等の状態から低ナトリウム血症を発現しやすいと考えられる場合には、デスモプレシンとして25µgから投与を開始することを考慮すること

ミニリンメルトOD錠の作用機序

腎集合管のバソプレシンV2受容体に作用し、水の再吸収を促進し、尿を濃縮することで尿量を減少し、抗利尿作用を示します。

昇圧作用をほとんど示さず、用量依存的に抗利尿作用を発揮するのが特徴です。

夜間多尿および夜間頻尿について

夜間多尿は「24時間の尿量のうち、夜間尿量の割合が多い状態」とされ、夜間頻尿は「夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという訴えであり、そのことにより困っている状態」と定義されています。

また、夜間の排尿回数が2回以上になるとQOLに障害を起こしやすくなるため臨床的に問題となり、治療の対象になることが多いとされています。

また、夜間頻尿の改善とは「1週間の夜尿回数が半分以下に減少すること」を指すみたい。

他規格のミニリンメルト

60μg、120μg、240μgの規格があり、適応症は「夜尿症・中枢性尿崩症」です。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉各規格の薬価

  • ミニリンメルトOD錠25μg:59.5円/錠
  • ミニリンメルトOD錠50μg:100円/錠
  • ミニリンメルトOD錠60μg:110.3円/錠
  • ミニリンメルトOD錠120μg:186.5円/錠
  • ミニリンメルトOD錠240μg:312.6円/錠

こんなに規格が多い医薬品も珍しいですよね。

ラモトリギン〈ラミクタール錠〉くらいかな。パッと思いつく規格が多い医薬品。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉による水中毒

本剤投与中に低ナトリウム血症による水中毒症状を来すことがあるので、以下の点に注意すること。

  • 飲水制限を行い、点滴・輸液による水分摂取量も考慮すること。
  • 本剤投与開始前に血清ナトリウム値の測定を行い、投与の適否を判断すること。
  • 本剤投与中は投与開始又は増量から1週以内(3~7日)、1ヵ月後、及びその後は定期的に血清ナトリウム値の測定を行い、血清ナトリウム値が急激な低下を認めた場合や目安として135mEq/L未満を認めた場合には、投与を中止すること。
  • 本剤投与中は定期的に患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)が認められた場合には、直ちに投与を中断し、血清ナトリウム値を測定すること。

水中毒とは、原因は違うが体内が熱中症と同じような状態になってしまっています。

熱中症の場合は、発汗が原因で、ナトリウムが汗と共に体外へ失われています。その結果、血液内のナトリウムが不足する状態が起こります。

一方、水中毒の場合は従来の血液内のナトリウムは変わりませんが、水の摂取量過多等により水で薄められた結果、低ナトリウム血症となるのです。

原因は違いますが、結果的に体内のナトリウムが薄められてしまっています。

これが水中毒の状態です。症状としては、頭痛や吐き気、痙攣や呼吸困難など。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉の食事の影響

日本人健康成人男性16人に本剤120μgを食後に経口投与したとき、空腹時と比較し平均AUCは27%に、平均Cmaxは26%に減少した。

27%「に」減少したって、やばいよね?効果1/4になってる。

ミニリンメルトは、必ず空腹時に飲まなきゃ。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉の服用上の注意点

服用の際は、水なしだよ!!

これまでの60μg、120μg、240μg同様服用時は

「水を飲まずに口腔内で溶かして服用する。」

その作用機序から、水中毒のリスクがあるので寝る前の服用時は水ではなく、水なしで口腔内で溶かして服用することになっています。

添付文書にも書いてあるんだよね!

ほら、ココね。ココ。

服薬指導の時はぜひお伝えください。

ちなみに、OD錠のこのお薬。「上部消化管で3割、下部消化管で7割が吸収される」とのこと。口内で溶かすことがポイントなんだよね。

口内で溶かすのも、舌下で溶かすのも効果に差はないらしく、小児に60μg、120μg、240μgはを用いる場合は間違って溶かさずに飲み込んでしまわないように「舌下に入れて溶かしてね」と指導する医師も多いんだとか。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉指導箋の有無について

実は、このミニリンメルトの60、120、240μgの規格には「水なしで服用するように」の指導箋が入ってます。

が、しかし。25μgと50μgの規格には入ってないんです。メーカーさんに聞いたところ、意外な理由がありました。

メーカーさん
メーカーさん

25、50μgはわれわれキッセイとフェリングさんで販売してるけど、60、120、240μgは協和キリンさんとフェリングさんで販売してるんです。

なので、協和キリンさんとキッセイの方針の違いとしか言えないです、、、。

ホント、医薬品っておもしろいよね。

同じ名前のお薬なのに、規格によって適応も販売会社も違うんだよね。

ミニリンメルトOD錠の25μgと50μgは新薬扱いで、14日の処方制限ありだよ

これは、そのまま。

適応が全く変わってるので新薬扱いです。

気をつけてね。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠25μg、50μg〉の処方日数制限解除!

ついにこの時がやってきました。

ミニリンメルトOD錠25μg、50μg

2020年10月1日より

投薬期間制限が解除されます

これから処方日数制限がなくなるので、処方数も増えていくのでしょうか。

デスモプレシン〈ミニリンメルトOD錠〉についてのまとめ

  • 男性における夜間頻尿」には25μg、50μg
  • 「夜尿症・中枢性尿崩症」には60μg、120μg、240μg
  • 服用の際は水なしで!
  • 新薬なので、14日の処方日数制限がありますが、2020.10/1で解除!

こんな感じーー!

適応が男性のみである理由や、指導箋の有無等、なかなかのボリュームになりました。

同じ成分だけど、規格違いで適応が異なる薬剤ですね。

このデスモプレシンの他にも、ゾニサミドが有名。
少し触れてあったイリボーもそうなんですよね、実は。

そのうちまとめます。

と、いうわけで、今回は男性のみ限定での適応をもつ低用量ミニリンメルトOD錠についてでした!!

ではではーしぐでしたっ

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