調剤ベースアップ評価料とは?薬局の賃上げは|【2026年度調剤報酬改定】

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こんばんは。薬剤師のしぐです。

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そんな中、2026年度調剤報酬改定の中で、薬局現場として気になる項目のひとつが、調剤ベースアップ評価料です。

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調剤ベースアップ評価料

名前だけ見ると、

「薬局スタッフの給料が上がる加算?」

「薬剤師も対象になるの?」

「会社はどう動くの?」

「現場には何か変化があるの?」

と、かなり気になるところだと思います。

今回の改定では、物価高や人件費上昇への対応として、医療・介護・薬局などの現場で働く職員の賃上げを後押しする目的で、ベースアップ評価料が整備されています。厚労省の改定概要でも、令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%、看護補助者や事務職員については5.7%のベースアップを支援する措置とされています。 

ただし、ここで大切なのは、

「加算ができた=全員の給与が一律に上がる」わけではない

という点です。

薬局としては、施設基準を満たして届出を行い、得られた収入を対象職員の賃金改善に充てる必要があります。厚労省のベースアップ評価料ページでも、届出は地方厚生局の都道府県事務所ごとの専用メールアドレスへExcelファイルで提出する形が示されています。 

意外とこの事務作業が、細かくてめんどくさいみたいで、、、

なかなか企業として「この加算は算定しない!」と割り切っちゃう会社も多いとか。


調剤ベースアップ評価料の概要

調剤ベースアップ評価料は、ざっくり言うと、

保険薬局で働く対象職員の賃金改善を目的とした評価料

です。

通常の調剤報酬は、薬局の業務や体制、患者対応を評価するものが中心ですが、ベースアップ評価料は少し性格が違います。

これは、薬局の収益改善そのものというよりも、

そこで働く人の賃金を引き上げるための原資として使うことが求められる評価料

と考えるとわかりやすいと思います。

疑義解釈でも、ベースアップ評価料で得られる収入は、対象職員の基本給、または決まって毎月支払われる手当の引き上げ、それに伴う賞与・時間外手当・法定福利費などの増加分に使うことが示されています。 

つまり、会社側から見ると、

  • 届出をする
  • 算定する
  • 得た収入を対象職員の賃金改善に使う
  • 賃金改善の実績を管理・報告する

という流れになります。

単に「加算を取る」だけではなく、

取った分をきちんと賃上げに回したか

まで見られる制度です。


実際の会社としての動き

会社としては、まず対象職員の確認が必要になります。

疑義解釈では、調剤ベースアップ評価料の賃金改善対象から、

事業主、使用者、開設者、管理者、40歳以上の薬剤師、業務委託により勤務する者は除く

とされています。さらに、管理薬剤師については対象にならないことが明確に示されています。 

ここは、現場としてかなり重要なポイントです。

薬局では、実際に現場を支えている管理薬剤師も多いですが、制度上は管理薬剤師は対象外とされています。そのため、会社としては、

「誰が対象で、誰が対象外なのか」

「薬剤師と事務職員でどう配分するのか」

「既存の手当で対応するのか、基本給を上げるのか」

「店舗ごとに管理するのか、法人全体で管理するのか」

といった整理が必要になります。

特に保険薬局では、薬剤師だけでなく、医療事務・調剤補助的な業務を担うスタッフの存在がかなり大きくなっています。

現場感覚としては、今回のベースアップ評価料は、

薬剤師のためだけの制度というより、薬局全体を支える職員の処遇改善の制度

と捉えた方が近いと思います。


新規開設薬局では給与支払い実績が必要

疑義解釈では、新設した保険薬局が調剤ベースアップ評価料の届出を行う場合、対象職員に対する給与の支払い実績が必要とされています。

調剤ベースアップ評価料については、

届出前1か月における給与の支払い実績が必要

とされています。 

これは、新規開局したばかりの薬局が、すぐに届出できるのかという疑問に対する回答です。

つまり、薬局を開設して、対象職員への給与支払い実績がない状態では、原則として届出はできないということになります。

会社としては、開局スケジュール、給与支払い月、届出時期、算定開始月をセットで考える必要があります。


調剤ベースアップ評価料による賃金改善はいつから必要なのか

疑義解釈では、ベースアップ評価料について、

原則として算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月においては継続する必要がある

とされています。 

ここはかなり大事です。

「加算を算定してから、あとで給与に反映する」

というより、原則は、

算定開始と賃金改善はセット

です。

ただし、6月から翌年5月までの1年間に算定した評価料による収入を、その年の4月から翌年3月の賃金改善に充てることは差し支えないとされています。 

また、条例改正が必要など、やむを得ない理由で算定開始月からの賃金改善が難しい場合は、同年度末までに算定開始月、または当該年4月まで遡及して賃金改善を行えば、算定開始月から実施したものとみなせるとされています。 

つまり、会社側にはかなり実務的な管理が求められます。


3.2%・5.7%を達成できなかったら算定できないのか?

ここは、現場でもかなり疑問が出やすいところだと思います。

「3.2%のベースアップを支援する制度なら、3.2%上げられなかったらアウトなの?」

という疑問です。

疑義解釈では、

ベースアップ評価料を算定しても3.2%や5.7%のベースアップを達成できない場合でも、算定は可能

とされています。 

ただし、その場合でも、ベースアップ評価料によって得られる収入はすべて対象職員の賃金改善に使う必要があります。 

ここが制度の肝です。

つまり、

目標率を達成できないから算定不可、ではない

けれど、

得た収入を別用途に使うことはできない

ということです。

会社としては、ベースアップ評価料の収入だけで十分な賃上げ原資になるとは限りません。物価高、人件費上昇、採用難がある中で、どこまで会社として上乗せできるかが問われることになります。


調剤ベースアップ評価料の対象職員は誰なのか

調剤ベースアップ評価料で現場が一番気になるのは、やはり

誰の給与が上がるのか

だと思います。

疑義解釈上、対象から除かれる人として、

  • 事業主
  • 使用者
  • 開設者
  • 管理者
  • 40歳以上の薬剤師
  • 業務委託により勤務する者
  • 管理薬剤師

が示されています。 

この中でも特に現場で引っかかりやすいのが、

40歳以上の薬剤師

管理薬剤師

です。

まさに、「わたくし管理薬剤師しぐのこと」です

薬局現場では、40歳以上の薬剤師や管理薬剤師が、投薬、監査、疑義照会、在宅、後輩指導、クレーム対応まで担っていることも多いです。

それでも制度上の対象からは外れる。

ここには、現場感覚とのズレを感じる人も少なくないと思います。

一方で、事務職員や若手薬剤師など、これまで賃金改善が進みにくかった層に対して、一定の原資を向ける制度とも言えます。


調剤ベースアップ評価料|本部職員・エリアマネージャーは対象になるのか

疑義解釈では、本部職員やエリアマネージャーなど、調剤業務等に直接従事していない管理的業務に専従する者は、対象職員に含めないとされています。

ただし、保険薬局における調剤業務や保険請求事務等を主として実施しながら、本部やエリアの管理業務を兼務する人については、対象職員として取り扱ってよいとされています。 

ただし条件があります。

対象にできるのは、

主として保険薬局の調剤業務等に直接従事した実績のある月のみ

です。

さらに、1人の本部職員やエリアマネージャーが複数の保険薬局で調剤業務等に直接従事した場合、重複して対象職員として取り扱ってはいけません。 

ここは法人薬局ではかなり実務的に重要です。

たとえば、エリアマネージャーが人員不足の店舗に入って投薬や監査をしている場合、その月の取り扱いをどうするか。

複数店舗をまたぐ場合、どの薬局の対象職員として扱うのか。

このあたりは、会社の勤怠管理や給与管理とセットで整理する必要があります。


調剤ベースアップ評価料|出向職員の扱い

出向元が賃金を支払っていて、出向先の保険薬局で勤務する対象職員についても、疑義解釈で取り扱いが示されています。

出向先の保険薬局が出向元と協議し、対象職員の賃金と賃金改善額を把握したうえで、出向先における賃金改善の実績に含めてよいとされています。 

また、出向先がベースアップ評価料で得た収入については、出向先から出向元に支払うなど、合議により適切に精算することとされています。 

これも、グループ薬局や法人内異動がある会社では重要です。

単純に「勤務している店舗で算定しているからOK」ではなく、

実際に誰が給与を支払っているのか

賃金改善額をどこで把握するのか

評価料収入をどう精算するのか

まで整理が必要です。


調剤ベースアップ評価料|現場では何が変わるのか

では、薬局の現場では何が変わるのでしょうか。

患者さんへの対応そのものが大きく変わるわけではありません。

ただし、会社側の動きとしては、

  • 対象職員の洗い出し
  • 給与支払い実績の確認
  • 届出書類の作成
  • 算定開始月の管理
  • 賃金改善額の管理
  • 実績報告に向けた記録整備

が必要になります。

現場スタッフとしては、

「自分は対象なのか」

「いつから給与に反映されるのか」

「手当なのか、基本給なのか」

「管理薬剤師や40歳以上薬剤師はなぜ対象外なのか」

「事務職員にはどのように反映されるのか」

といった疑問が出てくると思います。

会社としては、制度上の対象・対象外をきちんと説明しないと、現場に不公平感が出やすい加算でもあります。

特に薬局は、薬剤師と事務職員が一体で業務を回している職場です。

処方箋受付、入力、ピッキング補助、患者対応、在庫確認、電話対応、会計、保険請求。

このどれかが止まるだけで、薬局の流れは一気に悪くなります。

だからこそ、ベースアップ評価料は、単なる算定項目ではなく、

薬局のチーム全体をどう支えるか

という視点で考える必要があると思います。


調剤ベースアップ評価料|現場目線で感じる疑問と、疑義解釈での整理

Q1. 管理薬剤師は対象になる?

対象になりません。疑義解釈で、管理薬剤師は対象とならないと明確に示されています。 

Q2. 40歳以上の薬剤師は対象になる?

対象職員から除かれるとされています。 

Q3. 3.2%上げられないと算定できない?

算定は可能です。ただし、評価料で得た収入はすべて対象職員の賃金改善に使う必要があります。 

Q4. 賃金改善は算定開始月から必要?

原則として、算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月は継続する必要があります。 

Q5. 新規開設薬局でも届出できる?

届出には給与の支払い実績が必要です。調剤ベースアップ評価料では、届出前1か月の給与支払い実績が必要とされています。 

Q6. 本部業務を兼務している人は対象になる?

保険薬局での調剤業務や保険請求事務等を主として行っている月であれば、対象職員として取り扱ってよいとされています。ただし、複数薬局で重複して対象にすることはできません。 

Q7. 出向職員はどう扱う?

出向先薬局が出向元と協議し、賃金と賃金改善額を把握すれば、出向先での賃金改善実績に含めることができます。評価料収入の精算も、出向元・出向先で適切に行う必要があります。 


まとめ:ベースアップ評価料は「取る加算」ではなく「どう還元するか」が問われる加算

調剤ベースアップ評価料は、薬局にとって新しい収入項目ではあります。

ただ、通常の加算と違って、薬局の利益を増やすためのものではなく、

対象職員の賃金改善に使うことが前提の評価料

です。

そのため、会社としては、届出や算定だけでなく、賃金改善の設計、対象職員の整理、現場への説明がとても重要になります。

一方で、現場としては、

「自分は対象なのか」

「どのくらい反映されるのか」

「なぜ管理薬剤師は対象外なのか」

という疑問が出るのは自然なことだと思います。

個人的には、今回のベースアップ評価料は、薬局業界にとって、

人件費を“コスト”として見るのではなく、現場を支えるための投資として考えるきっかけ

になる制度だと感じます。

薬局の業務は、年々複雑になっています。

対人業務、在宅、医薬品供給、出荷調整対応、疑義照会、フォローアップ、地域連携。

それを支えているのは、薬剤師だけではなく、事務職員を含めた薬局全体のチームです。

だからこそ、ベースアップ評価料が単なる制度対応で終わるのではなく、現場で働く人が「少し報われた」と感じられる形で運用されることが、何より大切なのではないかと思います。

何はともあれ、我々会社員。会社の方針を信じて、働き続けるしかないのです。

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