
こんにちは、薬剤師のしぐです。
2027年3月から始まる予定の、OTC類似薬を対象とした「一部保険外療養」。
これまで「薬剤費の4分の1を別途負担する」「対象は77成分」などの方向性が示されてきましたが、今回、制度の施行に向けた療養担当規則や処方箋様式の改正が答申されました。
薬局にとって大きいのは、単に患者さんの薬代が変わるだけではありません。
- 処方箋に「一部保険外療養」欄が追加される
- 対象なら「○」、対象外なら「-」が記載される
- 薬局窓口で別途負担を説明し、徴収する
- レセコン・会計システムの改修が必要になる
- 旧様式の処方箋には当面の経過措置が設けられる
と、処方箋受付から会計、患者説明まで実務全体に影響します。
今回は、今回の答申で何が決まり、薬局は何を準備すべきなのかを、現時点で断定できない部分も含めて整理します。
この記事の結論
2027年3月1日から、対象となるOTC類似薬には「薬剤費の4分の1」の別途負担が発生する予定です。ただし、薬価の25%がそのまま従来負担へ上乗せされるわけではありません。具体的な対象品目や対象外となる条件は、今後の告示・通知を必ず確認する必要があります。
過去の関連内容はコチラ



OTC類似薬の「一部保険外療養」とは?
今回の制度でいう一部保険外療養とは、要指導医薬品または一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品を処方・調剤した場合に、薬剤費の一部を保険給付の対象から外し、患者さんに別途負担してもらう仕組みです。
重要なのは、対象薬が保険診療から完全に外れる制度ではないことです。
対象となる薬剤費のうち、4分の1を「別途の負担」とし、残る4分の3相当について保険外併用療養費の仕組みを使います。
2027年3月1日開始予定|今回の答申で見えた5つのポイント
薬局がまず押さえておきたいのは、次の5点です。
| 項目 | 今回押さえたい内容 |
|---|---|
| 施行時期 | 2027年3月1日予定 |
| 別途負担 | 対象医薬品の薬剤費の4分の1 |
| 処方箋 | 「一部保険外療養」欄を追加 |
| 薬局窓口 | 別途負担の説明・徴収が必要 |
| 未確定事項 | 具体的な対象品目、対象外条件、請求実務などは今後の告示・通知を確認 |
「制度の骨格が決まった」ことと、「全品目・全実務が確定した」ことは分けて考えなければなりません。
特に、現段階で個別の成分名や製品名を見て、追加負担の対象・対象外を一律に断定するのは安全ではありません。
「薬価の4分の1」はどう計算する?

ここは患者さんにも誤解されやすい部分です。
「薬価の4分の1を負担する」と聞くと、従来の自己負担額へ薬価の25%がそのまま上乗せされるように見えますが、実際の考え方は異なります。
対象医薬品について、
- 薬剤費の4分の1を別途負担として計算する
- 残る部分を保険対象となる費用として計算する
- その保険対象部分に通常の自己負担率を掛ける
という仕組みです。
厚労省資料の計算例
厚生労働省資料では、薬価16.50円の錠剤を1回1錠、1日2回、30日分使用する例が示されています。
- 薬価の4分の1:4.13円
- 4.13円×2錠×30日=247.8円
- 1円単位を四捨五入し、別途負担は250円
- 残る保険対象費用:600円
- 3割負担の場合:600円×30%=180円
- 患者負担の総額:250円+180円=430円
つまり、別途負担分だけで250円、通常の一部負担金が180円となり、合計430円です。
なお、別途負担に対する消費税の扱いは資料作成時点で政府内検討中とされています。最終的な窓口金額は、正式な告示・通知とレセコンの計算仕様を確認する必要があります。
処方箋様式はどう変わる?

新しい処方箋様式には、「一部保険外療養」の欄が追加されます。
対象となるOTC類似薬を処方する場合、医療機関側が次のように記載する方針です。
| 記載 | 意味 |
|---|---|
| ○ | 別途負担の対象 |
| - | 別途負担の対象外 |
薬局はこの記載を確認し、対象であれば患者さんへ制度と金額を説明したうえで、別途負担を受け取る流れになります。
必要に応じて疑義照会を行うことも想定されていますが、薬局が処方内容だけから医学的必要性を一から判定する制度ではありません。医師が対象・対象外を判断し、その結果を処方箋へ反映することが基本です。
旧様式の処方箋はすぐ使えなくなる?
今回の資料では、変更前の処方箋様式について、当面の間は使用できる経過措置を設ける方針も示されています。
これは現場にとって重要です。
制度開始直後は、
- 新様式の処方箋
- 旧様式の処方箋
- 電子処方箋
- システム対応前後の医療機関
が混在する可能性があります。
旧様式で対象薬が処方された場合に、対象・対象外をどのコメントやコードで確認するのか、どの場面で疑義照会が必要かなど、運用の詳細は今後示される全国共通のQ&Aや通知を確認したいところです。
長期収載品の選定療養と重なる薬はどうなる?
対象薬が長期収載品でもある場合、二つの「特別の料金」が重複するのか気になるところです。
厚労省資料では、OTC類似薬の一部保険外療養の別途負担が発生する場合、長期収載品の選定療養における特別の料金は求めない整理が示されています。
つまり、両方を二重に徴収する仕組みではありません。
一方、OTC類似薬の別途負担が対象外で、患者希望により長期収載品を選ぶ場合には、長期収載品の選定療養が適用される可能性があります。
処方箋には「変更不可(医療上必要)」「患者希望」「一部保険外療養」と複数の確認欄が並ぶため、受付時の見落とし防止が重要になりそうです。
薬局実務はどう変わる?

1.処方箋受付時の確認項目が増える
対象薬が含まれている場合は、「一部保険外療養」欄の○・-を確認します。
長期収載品にも該当する薬では、選定療養の記載との組み合わせも確認しなければなりません。
2.レセコン・会計システムの改修が必要になる
窓口では、通常の一部負担金と別途負担を分けて計算する必要があります。
また、レセプト上の記載、領収証や明細書への表示、返金・再請求時の処理なども整理が必要です。
厚生労働省は、対象医薬品に係る薬剤コードやレセプト記載例など、システム改修に必要な情報を制度開始前に示す方針です。
3.患者説明が増える
患者さんからは、
- なぜ前回より高くなったのか
- OTCを買うのとどちらが安いのか
- 同じ薬なのに、なぜ今回は対象なのか
- 子どもや慢性疾患でも負担するのか
といった質問が予想されます。
「保険から外れた薬です」と説明すると誤解につながります。
対象となる薬剤費の一部だけが保険給付の対象外となり、残る部分には保険が適用される制度です。
という説明を、薬局内で統一しておく必要があります。
4.疑義照会の判断基準をそろえる
処方箋の記載漏れや、対象薬と対象外理由の組み合わせに疑問がある場合、疑義照会が必要になる可能性があります。
ただし、処方医の医学的判断まで薬局側で置き換えないことも大切です。
制度開始までに、
- どの記載漏れなら照会するか
- 旧様式では何を確認するか
- 医療機関へ何を問い合わせるか
- 患者さんへどう説明するか
を店舗内で手順化しておきたいところです。
5.掲示義務は課されない方向
一部保険外療養は、全ての保険医療機関・保険薬局で一律の内容・費用として行われるため、選定療養などとは異なり、院内掲示・ウェブサイトへの掲示義務は課さない方針が示されています。
ただし、掲示義務がないことと、患者周知が不要なことは別です。窓口の混乱を防ぐため、厚労省の患者説明用資料が公表されたら、薬局でも案内方法を検討したいところです。
対象医薬品と対象外ケースは「今後の告示」を確認
ここが今回、最も慎重に扱いたいポイントです。
これまでの資料では、77成分、約1,100品目を対象とする考え方が示され、対象外となる患者・治療についても具体化が進んでいます。
しかし、最終的にどの製品が対象となるのか、どの条件で対象外になるのか、実際の請求でどう判断するのかは、告示・通知や対象医薬品リストを確認する必要があります。
たとえば、がん、指定難病、公費負担医療、医療上必要な長期使用、処置・手術・検査に伴う短期処方などは対象外となる方向で整理されていますが、薬局が成分名だけで判断するものではありません。
アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法と追加負担の考え方のように、同じ成分でも疾患や治療目的、使用方法によって扱いが変わり得ます。
「この薬は対象」「この患者さんは対象外」と先走って断定せず、正式な対象リストと運用通知を待つのが安全です。
薬局が今から準備したいチェックリスト
- 制度開始日と院内スケジュールを共有する
- レセコンベンダーの対応時期を確認する
- 新処方箋様式の「○」「-」の意味を周知する
- 旧様式処方箋の確認手順を決める
- 長期収載品の選定療養との組み合わせを確認する
- 患者説明の定型文を準備する
- 疑義照会が必要なケースを店舗内でそろえる
- 告示後に対象品目マスターを更新する
- 領収証・明細書の表示と返金処理を確認する
大学病院前の薬局では、がん、指定難病、公費負担医療、複数診療科の処方が多く、対象外理由の確認が複雑になる可能性があります。
制度開始直前になってから慌てないよう、対象品目の確定を待つ間にも、受付・監査・会計・患者説明の動線は整理しておけそうです。
よくある質問
OTC類似薬はすべて保険適用外になりますか?
いいえ。対象薬を保険診療から完全に除外する制度ではありません。薬剤費の4分の1を別途負担とし、残る部分には保険外併用療養費の仕組みが適用されます。
患者負担は従来より薬価の25%分だけ増えますか?
単純な25%上乗せではありません。薬剤費の4分の1を別途負担とし、残る保険対象部分に通常の自己負担率を掛けて患者負担総額を計算します。
対象となる薬は77成分ですか?
これまでの資料では77成分が示されていますが、最終的な対象製品は告示や対象医薬品リストで確認する必要があります。成分だけで一律に断定しない方が安全です。
処方箋には何が記載されますか?
「一部保険外療養」欄が追加され、別途負担の対象なら「○」、対象外なら「-」を記載する方針です。
旧様式の処方箋は使えなくなりますか?
当面の間、変更前の様式も使用できる経過措置が設けられる予定です。旧様式での具体的な確認方法は、今後の通知やQ&Aを確認する必要があります。
長期収載品の選定療養と二重に請求されますか?
OTC類似薬の一部保険外療養の別途負担が発生する場合、長期収載品の選定療養における特別の料金は求めない整理です。
まとめ
OTC類似薬の一部保険外療養は、2027年3月1日の施行に向け、処方箋様式や薬局窓口での取り扱いまで具体化してきました。
薬局が押さえたいポイントは、次の5つです。
- 2027年3月1日開始予定
- 対象薬の薬剤費の4分の1を別途負担
- 処方箋に「一部保険外療養」欄を追加
- 薬局が患者説明と別途負担の徴収を担う
- 対象品目・対象外条件・請求実務は今後の告示・通知を確認
個人的には、制度そのもの以上に、開始直後の窓口説明が大きな課題になると感じています。
同じ薬でも、患者さんの年齢、疾患、治療目的、長期使用の必要性などによって負担の有無が変わる可能性があります。「前回と同じ薬なのに、なぜ今回は高いのか」という疑問へ、薬局が制度をかみ砕いて説明する場面は確実に増えそうです。
対象品目一覧、レセプト記載方法、全国共通Q&A、患者説明用資料が公表されたら、あらためて最新情報へ更新していきます。





コメント