
薬剤師のしぐです。
今回は、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩〈ロンサーフ〉についてまとめます。
レジメンで「TAS-102」「FTD/TPI」と書かれている、あの内服抗がん薬ですね。
以前の記事では、胃がんの適応追加や、少し特殊な飲み方を中心に紹介しました。その後、大腸がんではベバシズマブ〈アバスチン〉との併用を裏づけるデータが充実し、見ておきたいポイントも変わってきました。
ただ、薬局で大切なのは「併用すると効果が高い」という知識だけではありません。
いつから飲むのか。何錠飲むのか。休薬中に何を見ておくのか。
このあたりが患者さんの生活の中でつながってこそ、治療を支える説明になると思っています。
今回は、作用機序・適応・飲み方から、最新の研究、薬局での確認まで整理します。
- トリフルリジン・チピラシル塩酸塩〈ロンサーフ〉はどんな薬?
- 大腸がんと胃がんに使う。ただし治療の位置づけには注意
- 最新の話題:ベバシズマブ併用を支えるSUNLIGHT試験と2026年の研究
- 飲み方は「5日服用・2日休薬」を2回。その後14日休薬
- 用量と錠数:T15・T20の組み合わせまで確認する
- 一番押さえたい副作用は骨髄抑制。休薬中も観察を続ける
- 下痢・吐き気・食欲低下は、生活への影響まで聞く
- ベバシズマブ併用時は、血圧・出血・腹痛も確認
- 休薬・再開・減量は、検査値と症状を合わせて判断する
- 薬局で確認したい5つのポイント
- フォローアップで使える質問例
- 病院へ情報提供する記載例
- レゴラフェニブ〈スチバーガ〉とは、単純な優劣で比べない
- 薬の費用は、1錠の価格だけで判断しない
- よくある質問
- まとめ:治療を支えるのは「飲み方+休薬中の備え」
- ロンサーフ錠の用法用量
- 休薬基準
- ロンサーフ錠の副作用
- TAS-102とは
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩〈ロンサーフ〉はどんな薬?
2つの成分を組み合わせた内服抗がん薬です。
開発コードがTAS-102で、FTD/TPIという略称も使われます。
がん細胞に働く成分と、その働きを支える成分
トリフルリジン(FTD)はDNAに取り込まれ、DNAの機能を障害することで抗腫瘍作用を示します。
一方、チピラシル(TPI)は、FTDの分解に関わるチミジンホスホリラーゼを阻害します。FTDが速やかに分解されてしまうのを抑え、体内で作用するための濃度を保つ役割ですね。
がん細胞に働くFTDと、その働きを支えるTPI。
2成分を組み合わせる意味が、ここにあります。フルオロウラシル〈5-FU〉などとは主な作用機序が異なる点も特徴です。
T15とT20は、FTDの含有量を表す
| 規格 | FTD | チピラシル塩酸塩 |
|---|---|---|
| ロンサーフ配合錠T15 | 15mg | 7.065mg |
| ロンサーフ配合錠T20 | 20mg | 9.42mg |
用量計算の基準となるのはFTDの量です。
なお、7.065mg・9.42mgは「チピラシル塩酸塩」の含有量。チピラシルそのものの量と混同しないようにしたいところです。
大腸がんと胃がんに使う。ただし治療の位置づけには注意
国内の適応は、次の2つです。
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
電子添文では、一次・二次治療、術後補助療法としての有効性・安全性は確立していないとされています。基本的には、前治療を受けた患者さんの後方ラインで検討される薬です。
元の記事では「切り札感がある」と書きました。
その感覚は残る一方で、現在は単に「最後に使う飲み薬」と捉えるだけでは足りません。前治療、全身状態、骨髄機能、腎機能、併用治療の可否まで含めて考える選択肢になっています。
大腸がんの併用データを、そのまま胃がんへ広げない
大腸がんでは、ベバシズマブ〈アバスチン〉との併用について電子添文にも記載があります。
一方、胃がんでは、他の抗悪性腫瘍剤との併用の有効性・安全性は確立していません。
「同じ薬だから、胃がんでも同じ併用でよい」という理解にはしない。
この区別は、今回の更新で特に押さえておきたいポイントです。
最新の話題:ベバシズマブ併用を支えるSUNLIGHT試験と2026年の研究
SUNLIGHT試験で、単剤に対する併用の有用性が示された
SUNLIGHT試験は、前治療を受けた転移性大腸がん患者492人を対象に、FTD/TPI+ベバシズマブとFTD/TPI単剤を比較した第III相ランダム化試験です。
| 評価項目 | 併用群 | 単剤群 |
|---|---|---|
| 全生存期間の中央値 | 10.8か月 | 7.5か月 |
| 無増悪生存期間の中央値 | 5.6か月 | 2.4か月 |
死亡のハザード比は0.61で、併用群で良好な結果が示されました。
ただし、これは試験に参加した集団の結果です。患者さん個人の余命を示す数字でも、「誰でも3.3か月延びる」という意味でもありません。また、レゴラフェニブ〈スチバーガ〉などとの直接比較ではないため、この試験だけで薬の順位を決めることもできません。
それでも、内服薬と点滴薬を組み合わせる意味が、比較試験で示されたことは大きな変化ですね。
ベバシズマブの作用や注意点は、コチラでも整理しています。

2026年には、米国の実臨床データも報告
2026年2月にオンライン公開された研究では、米国の診療記録・請求データを用いて、併用療法と単剤の実臨床での成績を比較しています。
患者背景をそろえる傾向スコアマッチング後は各群472人で、実臨床の全生存期間中央値は、併用群8.9か月、単剤群5.8か月でした。
SUNLIGHT試験と方向性が一致する結果で、実際の診療でも併用の意義を考える材料になります。
ただし、こちらは観察研究。背景を調整しても、測定できない違いや治療選択の偏りが残ります。ランダム化試験と同じ強さで因果関係を断定することはできません。
しぐとしては、新しい数字を紹介すること以上に、併用療法になった患者さんへの説明を更新することが大切だと感じます。内服日だけでなく、点滴日、検査日、連絡すべき症状をひとつの予定として整理したいですね。
2026年のALTAIR試験:「早く使えばよい」とは限らない
もうひとつ、2026年6月に報告されたALTAIR試験も気になる話題です。
手術・標準治療後に、画像では再発が確認されていないものの、血液中のctDNA(がん由来のDNA)が陽性となった大腸がん患者243人を対象に、FTD/TPIによる早期介入をプラセボと比較しました。
無病生存期間の中央値は9.3か月対5.6か月でしたが、主要評価項目で統計学的な有意差は認められませんでした(ハザード比0.79、P=0.107)。
つまり、この研究をもって「ctDNAが陽性なら、すぐにロンサーフを使うのが標準」とは言えません。追加解析の所見も、今後の検証が必要です。
再発リスクを早く見つけることと、その段階で薬を使う利益が証明されることは、別の課題。
新しい検査や研究の話題を患者さんに説明するときも、ここを分けて伝えたいですね。進行・再発大腸がんでのSUNLIGHT試験とは、対象も治療目的も異なります。

飲み方は「5日服用・2日休薬」を2回。その後14日休薬
通常は、FTDとして約35mg/m²/回を基準に、朝食後・夕食後の1日2回服用します。
標準的な1コースは28日です。
| コース内の日数 | 標準的な予定 |
|---|---|
| 1〜5日目 | 朝・夕の1日2回服用 |
| 6〜7日目 | 休薬 |
| 8〜12日目 | 朝・夕の1日2回服用 |
| 13〜28日目 | 休薬 |
「28日分の治療」と「28日間毎日飲む」は、まったく違います。
標準スケジュールで実際に服用するのは、1コース10日間。
処方箋の「日数」だけを見ると勘違いしやすいので、開始日と休薬日を具体的な日付に落とし込むことが大切です。夕食後から開始する場合などは区切りが変わるため、この表をそのまま当てはめず、病院から示された服用予定を確認します。
食後1時間以内を目安に。空腹時服用は避ける
空腹時には、食後と比較してFTDの最高血中濃度が上がるため、空腹時服用を避けます。患者向け資材では、朝食後・夕食後それぞれ1時間以内が目安です。
「効かせたいから空腹で飲む」という考え方にはしないでください。
食事が取れないときは、自己判断で空腹のまま服用を続けず、治療先に相談します。食事量の低下は、悪心だけでなく脱水や全身状態の変化を見つける手がかりにもなります。
飲み忘れ・嘔吐時の対応も、最初に説明しておく
| 状況 | 基本的な対応 |
|---|---|
| 飲み忘れた | その分を飛ばし、次の予定分から服用。2回分をまとめない |
| 飲んだ後に吐いた | 飲み直さない |
| 飲んだか分からない | 念のため追加で飲まない |
| 多く飲んでしまった | すぐに医療機関へ連絡 |
| 食事が取れない | 服用してよいか治療先に相談 |
飲めなかった分を、休薬日に自分で足して帳尻を合わせることもしません。服用できなかった日時を記録し、医療者に伝えてください。
用量と錠数:T15・T20の組み合わせまで確認する
通常の初回基準量は、体表面積に応じて次のように設定されています。
| 体表面積 | 1回量(FTDとして) | 1回の錠数例 |
|---|---|---|
| 1.07m²未満 | 35mg | T15×1錠+T20×1錠 |
| 1.07以上〜1.23m²未満 | 40mg | T20×2錠 |
| 1.23以上〜1.38m²未満 | 45mg | T15×3錠 |
| 1.38以上〜1.53m²未満 | 50mg | T15×2錠+T20×1錠 |
| 1.53以上〜1.69m²未満 | 55mg | T15×1錠+T20×2錠 |
| 1.69以上〜1.84m²未満 | 60mg | T20×3錠 |
| 1.84以上〜1.99m²未満 | 65mg | T15×3錠+T20×1錠 |
| 1.99以上〜2.15m²未満 | 70mg | T15×2錠+T20×2錠 |
| 2.15m²以上 | 75mg | T15×1錠+T20×3錠 |
患者さんの状態により減量されるため、この表と異なる量が処方されることもあります。初回基準量の表だけで、増量すべきと判断しないことが大切です。
また、減量後に1日50mgとなった場合は、朝20mg・夕30mgとする記載があります。朝夕が必ず同じ量とは限りません。
薬局ではmg数だけでなく、「朝はどの錠剤を何錠、夕は何錠」と患者さん自身が説明できるところまで確認したいですね。

一番押さえたい副作用は骨髄抑制。休薬中も観察を続ける
注意したいのは、好中球減少、貧血、血小板減少などの骨髄抑制です。
2024年10月改訂の電子添文では、好中球減少58.2%、貧血29.6%、血小板減少18.0%、発熱性好中球減少症2.4%と記載されています。
これらは電子添文にまとめられた頻度であり、併用療法を受ける患者さん個人の発現確率をそのまま表すものではありません。
「薬を飲んでいないから、副作用も終わり」とは限らない
元の記事では、骨髄抑制の時期を「3〜4週」と紹介していました。
ただ、実際の発現時期には個人差があり、前治療や腎機能、併用薬なども関わります。特定の週だけを注意期間として固定する説明は避けたいところです。
休薬は治療スケジュールの一部。検査と体調確認までお休みになるわけではありません。
好中球が減っていても、本人に分かりやすい症状がないことがあります。「元気だから大丈夫」と判断せず、予定された血液検査を受ける必要があります。
詳しくは、コチラもあわせてどうぞ。

発熱・悪寒は、次の受診日まで待たない
発熱、悪寒、のどの痛み、咳などは感染症のサインになることがあります。
患者さんには、治療先が指定した発熱時の連絡基準を確認しておいてもらいます。夜間・休日の連絡先も、初回に共有したいですね。
「とりあえず解熱薬で様子を見よう」と連絡を先延ばしにしないことが大切です。特に強い悪寒、息苦しさ、意識の変化を伴う場合は、速やかな医療対応が必要です。
下痢・吐き気・食欲低下は、生活への影響まで聞く
悪心、嘔吐、下痢、食欲低下、疲労なども見られます。
「少し気持ち悪いです」という返答でも、詳しく聞くと食事がほとんど取れていないことがあります。副作用の名前を確認するだけで終わらないようにしたいところです。
- 普段と比べて食事はどのくらい取れているか
- 水分は飲めているか、尿が減っていないか
- 下痢の回数は普段よりどのくらい増えたか
- 制吐薬や止瀉薬を指示どおり使えているか
- 家事や外出など、いつもの生活に支障が出ていないか
繰り返す嘔吐、水分が取れない状態、強い腹痛、血便、発熱を伴う下痢などは、我慢せず治療先へ相談します。こうした場合は、止瀉薬だけで様子を見続ける判断にはしません。
また、咳・息切れ・発熱が続くときは、感染症だけでなく間質性肺疾患も考慮されるため、医療機関での評価が必要です。
ベバシズマブ併用時は、血圧・出血・腹痛も確認
併用療法では、FTD/TPIによる骨髄抑制や消化器症状に加え、ベバシズマブに関連する高血圧、蛋白尿、出血、血栓塞栓症、消化管穿孔、創傷治癒の遅れなどにも注意が必要です。
薬局での聞き取りも、内服薬だけに絞らず広げます。
| 確認すること | 患者さんへの聞き方の例 |
|---|---|
| 血圧 | 家で測った血圧は、いつもより高くなっていませんか? |
| 出血 | 鼻血が止まりにくい、血便などはありませんか? |
| 腹痛 | 普段とは違う強いお腹の痛みはありませんか? |
| 処置・手術 | 抜歯や手術の予定はありませんか? |
| 点滴・検査 | 次の点滴日と検査日は、いつですか? |
強い腹痛や止まらない出血、突然の胸痛・息苦しさ、片側の手足の麻痺などは、速やかな受診が必要です。
抜歯や手術の際は、治療チームと処置を行う医療者の双方に、ベバシズマブを使用していることを伝えます。患者さん自身で休薬日数を決めないようにしましょう。
休薬・再開・減量は、検査値と症状を合わせて判断する
電子添文には、投与開始・再開、休薬、減量の基準が示されています。医療者が確認する代表的な血液検査の基準は次のとおりです。
| 項目 | 投与開始・再開の基準 | 休薬基準 |
|---|---|---|
| 血色素量 | 8.0g/dL以上 | 7.0g/dL未満 |
| 好中球数 | 1,500/mm³以上 | 1,000/mm³未満 |
| 血小板数 | 75,000/mm³以上 | 50,000/mm³未満 |
これは基準の一部です。肝機能・腎機能や非血液毒性なども合わせて確認します。
好中球数500/mm³未満、血小板数50,000/mm³未満は減量基準に含まれます。減量は1日量として10mg単位で行い、最低投与量は30mg/日とされています。
患者さんが検査値の表を見て、自分で中止・再開するためのものではありません。予定の開始日になっても、治療先から延期を指示されている場合は、その指示を優先します。
腎機能が落ちている患者さんでは、特に慎重に
腎機能障害があると、骨髄抑制などの副作用が強く出るおそれがあります。重度の腎機能障害では、投与の可否や減量を慎重に検討する必要があります。
薬局でも、腎機能と血球数の推移、食事・水分摂取、下痢や嘔吐の有無を合わせて見たいですね。検査値が処方箋にない場合は、お薬手帳や検査結果、薬薬連携で確認することが支えになります。

薬局で確認したい5つのポイント
処方箋を見たときは、次の5点をひとつながりに確認します。
- 治療内容:単剤か併用か、治療するがん種は何か。
- 日付:今回の開始日、服用日、休薬日、次回の検査日。
- 量:減量の有無、T15・T20の錠数、朝夕の違い。
- 安全性:血球数・腎機能・症状、前治療薬の残薬。
- 連絡先:発熱時の基準、夜間・休日に相談する先。
特に治療変更時は、以前の内服抗がん薬を「余っているから」と一緒に飲んでいないか確認します。フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、フルシトシン、メトトレキサート、ペメトレキセドなどとの併用には、重篤な骨髄抑制への注意が示されています。
そして服薬カレンダーには、飲む日だけでなく、飲まない日も書く。
ここは地味ですが、大切です。次のコースが延期されたときは、以前のカレンダーが誤服用の原因にならないよう、開始日を更新します。
残薬確認は「何錠あるか」だけでは足りない
残薬があった場合は、
- 何日目の朝または夕に飲み忘れたか
- 食事が取れずに服用しなかったのか
- 副作用のため自分で中止したのか
- 病院から休薬を指示されたのか
まで確認します。
理由によって、次回の服薬支援や病院への情報提供内容が変わります。
フォローアップで使える質問例
「今日は治療カレンダーの何日目ですか?」
「朝と夕方、それぞれ食後に飲めていますか?」
「飲まなかった分を、別の日に追加していませんか?」
「38℃以上の熱、寒気、咳、喉の痛みはありませんか?」
「息切れやめまい、あざ、鼻血は増えていませんか?」
「下痢や嘔吐で、水分が取りにくくなっていませんか?」
「病院ではロンサーフ以外に、ベバシズマブの点滴も受けていますか?」
「副作用はありませんか?」という一言では、患者さんが副作用だと認識していない症状を拾えません。症状名と生活への影響を分けて尋ねることがポイントです。

病院へ情報提供する記載例
ロンサーフ第2週の服用終了後から38.2℃の発熱と咽頭痛がみられています。悪寒もあり、水分摂取量は通常の半分程度です。最終服用は○月○日夕食後です。骨髄抑制に伴う感染症が懸念されるため、患者さんへ治療施設に連絡するよう案内しました。
報告時には、次の情報をそろえると伝わりやすくなります。
- コース数と服用何日目か
- 最終服用日時
- 症状が始まった日時
- 体温や下痢回数などの客観的情報
- 食事・水分摂取量
- 残薬数
- 支持療法薬の使用状況
- ベバシズマブ併用の有無
- 薬局で行った対応
レゴラフェニブ〈スチバーガ〉とは、単純な優劣で比べない
大腸がんの後方ラインでは、レゴラフェニブ〈スチバーガ〉なども治療候補になります。
FTD/TPIでは骨髄抑制、レゴラフェニブでは手足症候群や肝機能障害など、注意の置きどころが異なります。ただし、どちらの薬も複数の副作用があり、「こちらならこの副作用は起こらない」とは言えません。
前治療、全身状態、検査値、副作用への対応、通院の負担などを踏まえて、治療チームが選択します。
レゴラフェニブ〈スチバーガ〉も整理しています。比較するときは、効果の数字だけでなく、患者さんが治療を続けるうえで何を支えるか、という視点を持ちたいですね。

薬の費用は、1錠の価格だけで判断しない
内服薬でも、治療費の負担は小さくありません。
元の記事には古い薬価を掲載していましたが、薬価は改定されます。実際の負担は規格・錠数・減量の有無に加え、併用薬、検査、自己負担割合、高額療養費制度などでも変わります。
「飲む日が少ないから、思ったほど高額ではない」と一律に説明するのは避けたいところです。
費用が心配な場合は、薬局や病院の相談窓口で、処方内容に沿った見積もりや制度の利用方法を確認してください。費用への不安が、飲み控えにつながる前に相談できることが大切です。
よくある質問
Q. TAS-102とロンサーフは同じ薬ですか?
TAS-102は開発コードです。レジメンにFTD/TPIと書かれることもあり、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩〈ロンサーフ〉を指します。
Q. 毎日飲み続ける薬ですか?
標準的には、5日服用・2日休薬を2回繰り返し、その後14日休薬します。開始時間や休薬延長で予定が変わるため、具体的な日付を確認してください。
Q. 飲み忘れた分を、あとでまとめて飲んでもよいですか?
まとめて飲みません。忘れた分は飛ばし、次の予定分から服用します。服用期間を自己判断で延ばすこともしません。
Q. 飲んだ後に吐いたら、もう一度飲みますか?
飲み直しません。嘔吐した日時を記録し、繰り返す場合や水分が取れない場合は治療先へ相談してください。
Q. 休薬中も発熱に注意する必要がありますか?
必要です。休薬中も骨髄抑制や感染症への注意は続きます。治療先の発熱時の連絡基準と、夜間・休日の連絡先を確認しておきましょう。
Q. ベバシズマブとの併用は、胃がんでも同じように使いますか?
大腸がんの併用データを、そのまま胃がんへ当てはめません。胃がんでは、他の抗悪性腫瘍剤との併用の有効性・安全性は確立していません。
Q. T15とT20を両方もらいました。どちらも飲みますか?
処方された1回量を作るために、2規格を組み合わせる場合があります。朝夕それぞれの錠数を確認し、自己判断で片方を省いたり置き換えたりしないでください。
まとめ:治療を支えるのは「飲み方+休薬中の備え」
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩〈ロンサーフ〉は、大腸がん・胃がんの後方ラインで用いられる内服抗がん薬です。
大腸がんでは、ベバシズマブ〈アバスチン〉との併用について、SUNLIGHT試験に加え、2026年の実臨床研究も報告されています。
薬局で特に押さえたいのは、食後服用、服用・休薬日、規格ごとの錠数、そして休薬中の骨髄抑制と感染症への備えです。
「薬を渡した日」だけでなく、患者さんが自宅で過ごす日まで見据える。
特殊なスケジュールの薬だからこそ、カレンダー、検査、体調の記録、連絡先をつなげる支援が生きてくると思います。
ではでは、しぐでしたっ。
※本記事は2026年10月12日時点で確認した情報に基づく一般的な解説です。実際の服用量・日程・休薬や再開は、治療先の指示に従ってください。
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過去の内容で、おもしろい部分、残してます
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ロンサーフ錠の用法用量
通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて次の基準量とし(トリフルリジンとして約35mg/m2/回)、朝食後及び夕食後の1日2回、5日間連続経口投与したのち2日間休薬する。
これを2回繰り返したのち14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
| 体表面積(m2) | 初回基準量 (トリフルリジン相当量) |
| 1.07未満 | 35mg/回(70mg/日) |
| 1.07以上〜1.23未満 | 40mg/回(80mg/日) |
| 1.23以上〜1.38未満 | 45mg/回(90mg/日) |
| 1.38以上〜1.53未満 | 50mg/回(100mg/日) |
| 1.53以上〜1.69未満 | 55mg/回(110mg/日) |
| 1.69以上〜1.84未満 | 60mg/回(120mg/日) |
| 1.84以上〜1.99未満 | 65mg/回(130mg/日) |
| 1.99以上〜2.15未満 | 70mg/回(140mg/日) |
| 2.15以上 | 75mg/回(150mg/日) |
投与スケジュールはこの図がわかりやすいです。

ちなみに、しっかり食後に服用することが大切。
食後に服用することで、CmaxもAUCも低下してしまうのですが、安全性の観点から食後服用と規定しているとのことです。
添付文書はこちら

患者さんには「副作用の発現率が上がってしまうのでしっかり食後に服用するように」と指導する必要がありますね。
休薬基準
こちらも添付文書から。
各コース開始時、「投与開始基準」を満たさない場合は本剤を投与しない。また、「休薬基準」に該当する有害事象が発現した場合は本剤を休薬し、「投与再開基準」まで回復を待って投与を再開する。
| 投与開始基準 投与再開基準 | 休薬基準 | |
| 血色素量 | 8.0g/dL以上 | 7.0g/dL未満 |
| 好中球数 | 1,500/mm3以上 | 1,000/mm3未満 |
| 血小板数 | 75,000/mm3以上 | 50,000/mm3未満 |
| 総ビリルビン | 1.5mg/dL以下 | 2.0mg/dLを超える |
| AST(GOT)、ALT(GPT) | 施設基準値上限の2.5倍(肝転移症例では5倍)以下 | 施設基準値上限の2.5倍(肝転移症例では5倍)を超える |
| クレアチニン | 1.5mg/dL以下 | 1.5mg/dLを超える |
| 末梢神経障害 | Grade 2以下 | Grade 3以上 |
| 非血液毒性 | Grade 1以下 (脱毛、味覚異常、色素沈着、原疾患に伴う症状は除く) | Grade 3以上 |
(GradeはCTCAE v3.0に基づく。)
前コース(休薬期間を含む)中に、「減量基準」に該当する有害事象が発現した場合には、本剤の投与再開時において、コース単位で1日単位量として10mg/日単位で減量する。ただし、最低投与量は30mg/日までとする。
| 減量基準 | |
| 好中球数 | 500/mm3未満 |
| 血小板数 | 50,000/mm3未満 |
本剤50mg/日を投与する場合は、朝食後に20mgを、夕食後に30mgを投与する。


ロンサーフ錠の副作用
副作用の発現頻度80%以上と結構高いです。
骨髄抑制
好中球減少(52.9%)、貧血(31.8%)、白血球減少(27.4%)、血小板減少(18.1%)、リンパ球減少(4.8%)、発熱性好中球減少症(3.0%)等
この内容も見てみてね

注意が必要なのは、この骨髄抑制の好発時期。
イリノテカンやオキサリプラチンを含む治療レジメンの投与歴がある患者さんは、骨髄抑制の好発時期を投与後2週間前後と理解してることが予想されます。
ロンサーフ錠による骨髄抑制は投与開始後3週〜4週で出現するため、この理解の違いに注意が必要です。
自覚症状もでにくいため、血液検査の頻回実施が推奨されています。
感染症
肺炎(0.6%)、敗血症(0.6%)等
感染症は2週目以降に発症しやすくなっています。発熱や倦怠感に注意が必要です。
その他
悪心(39.6%)、疲労(28.1%)、食欲減退(26.5%)、下痢(23.6%)、嘔吐(20.1%)等
消化器症状については、軽症であることも多くメトクロプラミドやドンペリドン、ロペラミドといった医薬品で対応し、症状コントロールすることが多いです。
消化器症状は1週〜2週でみられやすい副作用となります。
TAS-102とは
開発コード:TAS-102
結構珍しいんですが、このロンサーフ錠のことを開発コードの「TAS-102」と呼ぶことが多々あります。レジメンなんかでも、「TAS-102+Bmab」といった感じで。
Bmabは、最初に紹介した「アバスチン」のことですねー。


コメント
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