薬剤師のしぐです。
今回は、腎性貧血に用いる新薬バダデュスタット〈バフセオ錠〉について!
以前まとめたことのある同薬効のロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉についてはコチラ
腎性貧血。正直、腎疾患の患者さんが通院する病院は結構限定されます。それに伴い、腎疾患治療薬の処方箋を応需する薬局さんも限られてきます。
自分の薬局も、まだこのロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の処方は受け付けていません。
そんな中、この腎性貧血に適応を持つHIF-PH阻害剤の新薬バダデュスタット〈バフセオ錠〉が田辺三菱さんから製造販売承認となりましたので、まとめてみます!
〈バフセオ錠〉の有効成分
バダデュスタット
〈エベレンゾ錠〉はロキサデュスタット。
もう1つ、新規承認となったHIF-PH阻害剤〈ダーブロック錠〉はダプロデュスタットです。
バフセオ錠はバダデュスタット。〜デュスタットが鍵になりそうですね!
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の適応、効能効果
腎性貧血
腎性貧血の適応を持つ内服薬は、実はこのバダデュスタット〈バフセオ錠〉のみです。
保存期及び、腹膜透析を含む透析期どちらの腎性貧血でも使用可能なのが、このバダデュスタット〈バフセオ錠〉ということですね〜
先ほど紹介したロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の適応、効能効果は「透析施行中の腎性貧血」。透析施行中という1文が入るんですよね。
この1文で、だいぶ処方できる幅が狭まってしまいます、、、。
効能又は効果に関連する注意
赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合の本剤投与開始の目安は、保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満、血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とする。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の用法用量
通常、成人にはバダデュスタットとして、1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回600mgまでとする。
保存期、透析期とも同じ用法・用量となる。
用法用量における注意点
- 増量する場合は、増量幅は150mgとし、増量の間隔は4週間以上とすること。
- 休薬した場合は、1段階低い用量で投与を再開すること。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の重要な基本的注意
- 本剤投与開始後は、ヘモグロビン濃度が目標範囲で安定するまでは、2週に1回程度ヘモグロビン濃度を確認すること。
- 本剤投与中は、ヘモグロビン濃度等を4週に1回程度確認し、必要以上の造血作用があらわれないように十分注意すること。赤血球造血刺激因子製剤の臨床試験においてヘモグロビンの目標値を高く設定した場合に、死亡、心血管系障害及び脳卒中の発現頻度が高くなったとの報告がある。
- ヘモグロビン濃度が、4週以内に2.0g/dLを超える等、急激に上昇した場合は速やかに減量又は休薬する等、適切な処置を行うこと。
- 血液透析患者において、赤血球造血刺激因子製剤から本剤への切替え後にヘモグロビン濃度が低下する傾向が認められていることから、切替え後のヘモグロビン濃度の低下に注意すること。
- 本剤投与により肝機能障害があらわれるおそれがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。
- 本剤投与により血圧が上昇するおそれがあるので、血圧の推移に十分注意しながら投与すること。
- 造血には鉄が必要であることから、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の食事による影響
健康成人に、バダデュスタット450mgを空腹時又は食後に単回投与した時のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(%)(食後/空腹時)とその90%信頼区間は、73%[68%, 79%]及び94%[90%, 98%]であった。空腹時と比較して、バダデュスタットのtmaxの中央値は食後投与で約1.5時間延長した
若干、影響は受けるようですが、空腹時、食後で固定する必要がないくらい、わずかな影響のようですね。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉との併用について
多価陽イオンを含有する経口薬剤との併用
カルシウムや鉄、マグネシウムやアルミニウムを含む多価陽イオン製剤との併用により、バダデュスタット〈バフセオ錠〉の吸収が低下することがあるので、バダデュスタット〈バフセオ錠〉の服用前後2時間以上あけて投与する。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の作用機序
バダデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)-αの分解に関わるプロリン水酸化酵素(PHD)活性を阻害することでHIF-αを安定化する。その結果、内因性エリスロポエチンの産生が亢進し、ヘモグロビン及び赤血球産生亢進作用を発揮する。
バダデュスタットは、PHDアイソフォームであるヒトPHD1、PHD2及びPHD3をいずれも阻害した。
HIF-PHD阻害薬とは
ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉をまとめた時に書いた内容がコチラ!
えーと、いろいろとわからないことばかりでどれから説明したらいいのか迷うのですが、、、まずHIF(Hypoxia-Inducible Factor:低酸素誘導因子)について。
HIFは、体内が低酸素状態に陥ったときに誘導される因子で、低酸素状態に対応するために様々な蛋白質の発現を促す作用があります。
通常の状態では、HIFは、HIF-プロリン水酸化酵素(PHD)によって水酸化され、分解へと導かれます。HIFの分解を抑制してHIFを安定化させることで、低酸素状態への対応に必要な様々な蛋白質を活性化することができる。
というのがこのHIF-PHD阻害薬というお薬のコンセプト。
HIF-PHD阻害薬の作用機序として、HIFはエリスロポエチン(EPO)を誘導し、骨髄での赤血球の産生を促すほか、鉄代謝を刺激し、ヘモグロビンの産生刺激にも関与します。
HIF-PHD阻害薬を投与することでHIFの不活性化を抑制し、赤血球の産生を促すことができるということですね。
ちなみに、この「低酸素応答」のメカニズムを解明した3人の研究者が、2019年のノーベル賞を受賞してます。
ホントにスゴイ発見だったんだね!!
HIF-PHD阻害薬と腎性貧血
バダデュスタット〈バフセオ錠〉は低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤です。
慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PHD阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらすとされています。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の特徴
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の特徴はなんといっても適応、効能効果が「腎性貧血」であることですね。
ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉よりも適応範囲が広いことで、使いやすくなることは間違いなしです。
ただ、ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉も適応拡大の申請を行なっているという噂もあるので、この適応の違いはそこまで重要ではないかもしれません。
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
これのみ!使いやすい!!
バダデュスタット〈バフセオ錠〉の薬価決定!
薬価が決まりましたので、更新してます。
- バフセオ錠150mg:213.5円/錠
- バフセオ錠300mg:376.2円/錠
今回は、こんな感じですねー。
一応、腎疾患関連の内容がコチラ!
腎性貧血も、内服薬で対応する時代が来たんですねー。
今回はバダデュスタット〈バフセオ錠〉についてでした!
ではではーしぐでしたっ
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