エサキセレノン〈ミネブロ錠〉。MRブロッカーの作用機序・特徴

薬剤師のしぐです。

今回は、高血圧治療の新薬エサキセレン〈ミネブロ錠〉について!

投与日数制限が2020.3から解除になり、自分の薬局でも初めての処方がありました。

初処方で、90日分!!!

「ミネブロ錠ってどこの棚だっけー?」という薬剤師の声が多数。

セララ錠からの切り替えでした。

開いてない100錠があったからよかったけど、、、その後も処方が出るたびに90日分。せ、先生、、、。

新薬の処方制限がそんなにイヤだったのかな、、、。

そんなこんなで、まとめていきますよー

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エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の概要

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉は、第3世代のMR拮抗薬に位置づけられる。

本態性高血圧症患者を対象に実施した国内第3相臨床試験の結果にもとづき2019年1月「高血圧症」を適応として第一三共が承認取得した。

本態性高血圧症は、ある特定の原因疾患により発症する二次性高血圧症に対して、原因が特定できず、遺伝素因や生活習慣等の複数の要因により発症する(一次性)高血圧症のことで、高血圧症の90%近くを占める。

ミネブロ錠は臨床試験で中等度腎機能障害の患者やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併する患者においても安全性が確認されており、選択的アルドステロン阻害薬を投与できなかった慢性腎臓病(CKD)や糖尿病の患者にも使用できる

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の適応、効能効果

高血圧症

これのみです。

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の用法用量

通常、成人にはエサキセレノンとして2.5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる。

用法及び用量に関する注意

  1. 本剤の投与中に血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止すること。
  2. 中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)のある患者及びアルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者では、1.25mgを1日1回投与から開始し、血清カリウム値など患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に2.5mgを1日1回投与へ増量する。効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる。

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の食事による影響

健康成人男性23例にエサキセレノン5mgを空腹時あるいは食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUCに食事の影響は認められなかった。

ここは結構大事だったりしますよね。高血圧治療薬の中には食事の影響を受ける薬剤もあるので、、、。注意が必要です。

今回紹介するエサキセレノン〈ミネブロ錠〉は食事の影響を受けません!!

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の作用機序

ミネラルコルチコイド受容体(MR)は、血液中の電解質のバランスを制御するステロイドホルモンの受容体。

高血圧症には、MRの過剰な活性化が関与していることが知られている。

ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は、体液量の恒常性の維持に関与する降圧薬。腎臓の尿細管に存在するMRを阻害することで降圧効果を発揮する。

作用機序はスピロノラクトンとほぼ一緒だが、エサキセレノンに利尿作用は全くない

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の最終産物であるアルドステロンは腎臓の尿細管にあるミネラルコルチコイド受容体に結合して、尿中ナトリウム(Na)及び水分の再吸収を促進するとともに尿中へのカリウム(K)排泄を促進し、血中電解質量や循環血液量を調節している。

またアルドステロンは心臓や血管、脳などにも作用し、心筋の線維化や心臓を肥大化する作用、血管の炎症反応などを亢進させる作用、腎臓障害に関わる作用をもつとされ、これらの作用によっても血圧を上げるとされ、血圧上昇や心臓の肥大などに関わる体内物質。

セララやミネブロは、このミネラルコルチコイド受容体に結合して、アルドステロンの作用を抑える。

このアルドステロンは「体液量の恒常性維持に寄与する」と言われています。

そのため、尿中にナトリウムと水分が多く排出されるようになり、血圧低下作用を示す。この際、カリウムを尿中に排泄する作用を抑えるので、カリウム(K)保持性利尿薬とも呼ばれる。

高血圧症の他、慢性心不全などの治療に使われる場合もある。心臓にもアルドステロン受容体がある。

※高血圧状態が長く続くと血管が硬く、厚くなり、かなりの力を加えないと血液を拍出できなくなる。この状態が続くことで、心筋を多く必要とするために心肥大に繋がる。

エサキセレノンはより選択的にアルドステロン受容体に作用(拮抗)することで、同じ様な抗アルドステロン作用をもつスピロノラクトン(主な商品名:アルダクトンA)に比べ、黄体ホルモンの様な作用(黄体ホルモンが作用するプロゲステロン受容体に対しての作用など)が少なく、一般的に女性化乳房や月経不順などといった副作用への懸念が少ないとされる。

あと、薬効とは全然関係ないのですが、錠剤に斑点がみられることがあるようです。

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

上記作用機序であるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬【MRB】は治療抵抗性の高血圧をはじめ、低レニン性高血圧症、心筋梗塞や心不全を合併している高血圧症、二次性高血圧である原発性アルドステロン症に対しての使用が推奨されています。

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の類似薬との比較

現在、MR拮抗薬としてスピロノラクトンとエプレレノンが臨床使用されている。スピロノラクトンは、MR阻害作用は強いものの、MR選択性が低いことから、性ホルモンを介した副作用(女性型乳房、月経異常など)が報告されている。

エプレレノンはMR選択性が高く、性ホルモン受容体関連の副作用が軽減された薬剤であるが、中等度以上の腎障害患者、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者への投与は禁忌となっている。

MR選択性、非ステロイド骨格という点で今までのMRBとは異なるエサキセレノン。この薬剤を期待しているのはどうも糖尿病のドクターらしい。

現行のMR拮抗薬が副作用や禁忌事項のために使用しにくかったため、これまでの糖尿病性腎臓病(DKD)治療はMRをブロックするという側面が抜け落ちており、高血糖によりMRへの作用が亢進した状態を放置せざるを得なかった。

アルドステロン非依存経路への対策が遅れており、使いやすいMRBの登場が待たれていたわけだ(そういった訳で、現在、第3相試験中のフィネレノンはDKDの適応取得を目指している)。

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の副作用

使いやすい、とはいえ、薬理作用は同じ。ということは、高カリウム血症という副作用は必ずついて回ることになる。MRをブロックすることで、尿中へのカリウム排泄量が減ってしまうのだから。

という理由で、注意点として「血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止する」 となっている。

ふむふむ。自分的には、利尿作用が全くないということにビックリしました。

あと、このミネブロ錠女性化乳房のリスクをスゴく抑えてるみたいだね。

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の禁忌

カリウム保持性利尿剤

  • スピロノラクトン(アルダクトンA)
  • トリアムテレン(トリテレン)
  • カンレノ酸カリウム(ソルダクトン)

アルドステロン拮抗剤

  • エプレレノン(セララ)

カリウム製剤

  • 塩化カリウム(塩化カリウム、スローケー)
  • グルコン酸カリウム(グルコンサンK)
  • アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム、アスパラ)
  • ヨウ化カリウム(ヨウ化カリウム)
  • 酢酸カリウム(酢酸カリウム)

やはり、最も注意すべきポイントは血中カリウム値ということですね!!

エサキセレノン〈ミネブロ錠〉の薬価

規格薬価
ミネブロ錠1.25mg47.8円/錠
ミネブロ錠2.5mg91.6円/錠
ミネブロ錠5mg137.4円/錠

このブログを見てくれた薬剤師の方や、医薬品関係者の方で、他にもこういったところがポイントだよ〜とか、こう言った特徴があるよ〜ってのあれば、教えてください!!

今回はこんな感じ。

自分の薬局では結構処方が増えてきています。エサキセレノン〈ミネブロ錠〉。

すでにアリスキレン〈ラジレス錠〉よりも処方が出ていることは間違い無いです。

ではではっしぐでした〜

利尿薬の作用機序や、効能効果、比較をキレイにまとめてくれてるのがこの1冊!

少し前の2014年発刊になるけど、とっても勉強になる内容でした。

利尿薬の新薬はなかなかないからね。

サムスカ錠についても記載があるし、けっこう満足できる内容になってます!

コメント

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