こんにちは、しぐです。
今回は、緑内障・高眼圧症の治療に使われる点眼薬、
「ロープレッサ点眼液0.02%」
について取り上げてみたいと思います。
ロープレッサの一般名はネタルスジルメシル酸塩。
患者向医薬品ガイドでは、
**「緑内障・高眼圧治療剤」**として、他の緑内障治療薬で十分な効果が得られない場合や、他剤を使用できない場合に使用される薬とされています。
緑内障の点眼薬はすでにたくさんありますが、
「この薬は、どうやって眼圧を下げるんだろう?」
というところは、薬剤師としてもしっかり押さえておきたいところ。
そこで今回はロープレッサについて見ていきながら、
そもそも緑内障とはどんな病気なのか?
についても、改めておさらいしてみたいと思います。
そもそも「緑内障」ってどんな病気?
緑内障は、少しずつ視野(見える範囲)が欠けていく病気です。
しかも厄介なのが、
かなり進行するまで、自分では気づきにくい
というところ。
片方の眼の視野が欠けていても、もう片方の眼が補ってしまうため、日常生活では意外と気づかないことがあります。
患者さん向け資料でも、正常な見え方から症状が進行するにつれて、徐々に見えない部分が広がっていく様子が写真で紹介されています。
そして、いったん欠けてしまった視野を元に戻すことは難しいとされています。
だからこそ緑内障は、
「症状が出てから治す」というより、「今ある視野をできるだけ守っていく」
ことがとても大切な病気なんですね。
緑内障治療で、なぜ「眼圧」を下げるの?
緑内障治療の大きな目的は、
眼圧を下げて、視野障害の進行を抑えること。
です。
点眼薬をきちんと使っていても、その患者さんに適した眼圧まで下がらなければ、視野障害が進んでしまう可能性があります。
資料でも、
- 現在の治療で十分な眼圧まで下がらない
- 視野が欠けてくる
- 日常生活に支障をきたす
という経過を防ぐため、必要に応じて治療薬を変更・追加しながら、患者さんに合った眼圧まで十分に下げることの重要性が説明されています。
つまり、
「眼圧が何mmHgなら全員OK」ではなく、その人の眼を守れるところまで下げる
という考え方なんですね。
そもそも眼圧って、何で決まっている?
眼の中には**房水(ぼうすい)**と呼ばれる液体があります。
この房水は眼の中で作られ、そして眼の外へ排出されています。
つまり、
作られる房水の量と、出ていく房水の量のバランス
によって眼圧が変化します。
緑内障治療薬は大きく考えると、
- 房水を外へ出しやすくする
- 房水が作られる量を減らす
といった方法によって眼圧を下げています。
ここを知っておくと、ロープレッサの特徴がとても分かりやすくなります。

ロープレッサはどうやって眼圧を下げる?
ロープレッサ点眼液0.02%には、大きく2つの作用があります。
① 主経路からの房水流出を促進
眼の中の房水は、線維柱帯などを通って排出されます。
ロープレッサは、この主経路から流れ出る房水の量を増やすことで、眼圧を下げます。
② 房水の産生を抑える
さらに、
毛様体で作られる房水の量を減らす
作用もあります。
つまり、
「出口から出しやすくする」+「作る量を減らす」
という2方向から眼圧を下げていく薬なんですね。
患者向医薬品ガイドにも、房水の産生を抑えるとともに排出を促進することで眼圧を下げる薬と記載されています。
資料の模式図を見ると、線維柱帯からの房水流出を促進する部分と、毛様体での房水産生を抑える部分が色分けされていて、とても分かりやすく説明されています。
個人的には、
「出す+作らない」
と覚えておくとイメージしやすいかなと思います。
ロープレッサの使い方は「1日1回1滴」
用法は、
1回1滴、1日1回点眼
です。
毎日使用する緑内障治療では、点眼回数が多くなってくると患者さんの負担も増えてきます。
特に複数の緑内障点眼薬を使用している患者さんでは、
「朝はこれ、夜はこれ、この薬は朝夕……」
と、なかなか大変です。
その意味でも、1日1回という用法は確認しておきたいポイントですね。
点眼したあとは「目頭を押さえる」
これはロープレッサに限ったことではありませんが、点眼方法も大切です。
点眼後はすぐにパチパチまばたきをするのではなく、
1~5分間まぶたを閉じる、または目頭の少し鼻側にある涙嚢部を軽く押さえる
ことが推奨されています。
また、ほかの点眼薬も使用する場合は、
5分以上間隔をあける
必要があります。
複数の点眼薬が処方されている患者さんでは、ここは薬局でもぜひ確認しておきたいですね。
点眼を忘れたら、2回分まとめて使わない!
緑内障治療は長期になるので、
「昨日の夜、点眼忘れちゃった!」
ということもあります。
ロープレッサでは、
その日のうちに気づいた場合
→ 気づいた時点で1回1滴
翌日になって気づいた場合
→ 前日の分は飛ばして、通常どおり1回1滴
とされています。
1回に2滴入れたり、1日2回点眼したりしてはいけません。
「忘れた分を取り戻そう!」
と倍量にする必要はありません。

ロープレッサで特に知っておきたい「充血」
ロープレッサを使ううえで、かなり特徴的なのが、
眼の充血
です。
国内第Ⅲ相長期投与試験では129例中113例(87.6%)に副作用が認められ、主なものとして、
結膜充血 78例(60.5%)
渦巻き角膜 60例(46.5%)
アレルギー性結膜炎 43例(33.3%)
が報告されています。
60%を超える患者さんに結膜充血が認められているので、
ロープレッサを初めてお渡しするときには、
「点眼後に眼が赤くなることがありますよ」
とあらかじめ説明しておくことは大切だと思います。
知らずに真っ赤になると、
「この薬、合ってないんじゃない?」
とびっくりして自己判断で中止してしまう可能性もありますからね。
もちろん、充血だからすべて薬のせいとは限りません。
痛みや目やになどがある場合には感染症との鑑別も必要になるため、受診が必要とされています。
「渦巻き角膜」って何?
資料を見ていて、
「渦巻き角膜って何?」
と思った方もいるかもしれません。
ロープレッサでは、角膜に変化が現れることがあります。
さらに患者向医薬品ガイドでは、重大な副作用として
角膜上皮浮腫
が記載されています。
症状としては、
- 視力の低下
- 目のかすみ
- 物が見えにくい
などです。
「緑内障だから見えにくくなったのかな?」
と考えてしまいそうですが、点眼薬による角膜への影響という可能性もあります。
ロープレッサ使用中に、
霧がかかったように見える、急に見えにくくなった
といった症状が出た場合には、自己判断で様子を見ず受診してもらいたいところです。
ソフトコンタクトレンズを使っている人も注意
ロープレッサには添加剤としてベンザルコニウム塩化物が含まれています。
ソフトコンタクトレンズを装着している場合には、
レンズを外してから点眼し、5~10分あけて再装着
します。
ベンザルコニウム塩化物がソフトコンタクトレンズに吸着する可能性があるためです。
コンタクトを使っている患者さんには、忘れず確認しておきたいですね。
そして意外と大事なのが「保管方法」
ロープレッサは、未開封時には
遮光して冷蔵(2~8℃)
で保管します。
一方、遮光して直射日光・湿気を避ければ、
室温(1~30℃)でも1か月以内であれば使用可能
とされています。
毎日冷蔵庫から取り出すのが負担になる患者さんもいると思いますので、
「室温なら1か月以内」
という点も知っておくと服薬指導で役立ちそうです。
ちなみに容器は5mL用ですが、中に入っている薬液は2.5mL。
「新品なのに半分しか入っていない!」
と驚かれる可能性もありそうなので、ここも説明しておくと安心ですね。
緑内障は「自覚症状がないからこそ」治療継続が大事
緑内障治療で個人的に一番難しいと思うのが、ここです。
眼圧が下がっても、
「今日はよく見える!」
と実感できるわけではありません。
逆に治療をやめても、すぐに困る症状が出るとは限りません。
だから、
「別に点眼しなくても変わらないし……」
となりやすい。
でも、緑内障の治療は、
今よりよく見えるようにするためというより、今の見え方をできるだけ長く守るための治療
です。
患者向医薬品ガイドでも、自己判断で使用を中止したり量を加減すると病気が悪化することがあり、指示どおりに使用を続けることが重要とされています。
このあたりは、薬局からも繰り返し伝えていきたいところですね。
ロープレッサ点眼液まとめ
今回は、
ロープレッサ点眼液0.02%
について、緑内障の基本と一緒におさらいしてみました。
ロープレッサは、
主経路からの房水流出を促進しながら、房水の産生も抑えることで眼圧を下げる点眼薬。
1日1回1滴という使い方ですが、結膜充血や角膜への影響など、使用開始時に知っておいてもらいたいポイントもあります。
そして何より、
緑内障治療で大切なのは、
「見えなくなってから治療する」のではなく、「今の見え方を守るために治療を続ける」こと。
症状を感じにくい病気だからこそ、毎日の点眼を続けてもらう意味を、私たち薬剤師もしっかり伝えていきたいなと思います。
ロープレッサという新しい選択肢について知ることをきっかけに、
「そもそも緑内障ってどんな病気だったっけ?」
と改めて振り返ってみるのもいいですね。
それでは、また!しぐでしたー


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