ロンサーフ(TAS-102)の飲み方は?服用日・休薬日・食後1時間以内を薬局薬剤師が解説

こんにちは、薬剤師のしぐです。
ロンサーフは、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんや、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発胃がんに使用される経口抗がん剤です。
保険薬局で処方箋を見ると、15mg錠と20mg錠が組み合わされ、服用日と休薬日も複雑になっていることがあります。
患者さんからも、
「今週はいつまで飲むんだっけ?」
「休薬中に残った薬を飲んだほうがいい?」
「朝ごはんを食べられなかった日はどうする?」
と相談されやすい薬です。
ロンサーフは、単に「朝夕2回飲む薬」と説明するだけでは不十分です。服用する日、休薬する日、食事との関係、残薬、副作用をセットで確認する必要があります。
今回は、ロンサーフ(TAS-102)の成分と作用、治療上の位置づけ、服用・休薬スケジュール、食後1時間以内に服用する理由、飲み忘れ時の対応、保険薬局でのフォローアップについてまとめます。
※治療スケジュール、休薬・減量基準、受診の目安は患者さんごとに異なります。実際の対応は、処方元医療機関から交付された治療計画書や指示を優先してください。
ロンサーフ(TAS-102)とは?
ロンサーフは、次の2成分を配合した経口抗悪性腫瘍薬です。
| 成分 | 略号 | 主な役割 |
|---|---|---|
| トリフルリジン | FTD | がん細胞のDNAに取り込まれ、腫瘍増殖を抑える |
| チピラシル塩酸塩 | TPI | FTDを分解するチミジンホスホリラーゼを阻害し、FTDの血中濃度を維持する |
「TAS-102」は開発時から使われてきた呼び方で、現在もレジメン名や医療現場で広く使われています。海外文献ではFTD/TPIと表記されることもあります。
ロンサーフにはT15とT20があり、数字は1錠中のトリフルリジン量を表します。T15は白色、T20は淡赤色のフィルムコーティング錠です。

ロンサーフはどのがんに使う?
電子添文上の効能・効果は次の2つです。
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
- がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん
一次治療・二次治療や術後補助療法としての有効性・安全性は確立していません。実際には、前治療歴や全身状態などを踏まえて使用されます。
大腸がんでは、ロンサーフ単剤のほか、ベバシズマブと組み合わせる治療も行われます。
ロンサーフ+ベバシズマブ併用療法
国際共同第3相SUNLIGHT試験では、治療歴のある切除不能進行・再発大腸がん患者を対象に、FTD/TPI+ベバシズマブ群とFTD/TPI単剤群が比較されました。
中央値は次のとおりでした。
| 評価項目 | FTD/TPI+ベバシズマブ | FTD/TPI単剤 |
|---|---|---|
| 全生存期間 | 10.8カ月 | 7.5カ月 |
| 無増悪生存期間 | 5.6カ月 | 2.4カ月 |
ただし、ベバシズマブを併用する場合は、ロンサーフによる骨髄抑制だけでなく、血圧上昇、蛋白尿、出血、血栓塞栓症、消化管穿孔、創傷治癒遅延などにも注意が必要です。
保険薬局では「ロンサーフの処方しか見えない」こともあります。病院の治療計画書や患者さんへの聞き取りから、点滴でベバシズマブを併用していないか確認できると、フォローアップの精度が上がります。

ロンサーフの服用日と休薬日
ロンサーフは、通常28日間を1コースとして繰り返します。
| 日程 | 服用・休薬 |
|---|---|
| 1~5日目 | 朝食後・夕食後に服用 |
| 6~7日目 | 休薬 |
| 8~12日目 | 朝食後・夕食後に服用 |
| 13~14日目 | 休薬(2日間) |
| 15~28日目 | さらに休薬(14日間) |
つまり、
- 5日間服用する
- 2日間休む
- もう一度5日間服用する
- もう一度2日間休む
- その後、さらに14日間休む
というスケジュールです。
したがって、2回目の服用終了後は、13~14日目の2日休薬と15~28日目の14日休薬が続き、合計16日間の休薬になります。「5日間服用・2日間休薬」を2回繰り返した後、さらに14日間休薬すると捉えると分かりやすいです。
休薬期間も治療の一部
休薬は「薬が余ったから休む期間」ではありません。骨髄などが回復するために、あらかじめ治療計画へ組み込まれた期間です。
服用日数がずれた場合でも、自己判断で13日目以降に残薬を飲んだり、次のコースへ持ち越したりしないよう説明します。
副作用や血液検査の結果によって、開始延期、休薬期間の延長、減量が行われる場合があります。処方日数が前回と違っていても、直ちに処方間違いとは限りません。

ロンサーフは食後1時間以内に服用
ロンサーフは、朝食後と夕食後の1日2回服用します。患者向け情報では、朝食後・夕食後のそれぞれ食後1時間以内を目安に服用するよう案内されています。
電子添文では、空腹時投与で食後投与よりFTDの最高血中濃度(Cmax)が上昇したことから、空腹時投与を避けるよう定められています。

食事が取れなかったら?
食欲不振や悪心で食事が取れない場合、自己判断で空腹時に服用せず、処方元の医師・看護師・薬剤師へ相談します。
薬局では「食欲はありますか?」だけでなく、
- 普段の何割くらい食べられているか
- 朝食と夕食の両方を取れているか
- 水分は取れているか
- 体重が減っていないか
- 制吐薬を適切に使用できているか
まで確認すると、服薬継続の可否を判断する材料になります。

ロンサーフを飲み忘れたら?
飲み忘れた分は飛ばし、次の服用時から指示どおり服用します。
- 夕食後に朝の分までまとめて飲まない
- 翌日に1日3回飲まない
- 休薬日に振り替えて飲まない
飲み忘れを取り戻そうとすると、予定より多く服用することになり、副作用のリスクが高まります。
飲んだか分からない場合
服用したか分からない場合も、念のため追加服用しません。治療日記や服薬カレンダーへ記録し、次回から通常のスケジュールへ戻します。
服用後に吐いた場合
服用後に嘔吐しても、飲み直しはしません。どの程度吸収されたか判断できず、追加服用で過量になるおそれがあるためです。
嘔吐した時刻、服用から嘔吐までの時間、その後の食事・水分摂取状況を記録し、症状が続く場合は医療機関へ連絡します。
初回投与量は体表面積で決まる
通常、成人ではトリフルリジンとして約35mg/㎡/回を基準に、体表面積から1回量を決定します。最大の初回基準量は75mg/回です。
| 体表面積 | 初回基準量(1回量) |
|---|---|
| 1.07㎡未満 | 35mg |
| 1.07~1.23㎡未満 | 40mg |
| 1.23~1.38㎡未満 | 45mg |
| 1.38~1.53㎡未満 | 50mg |
| 1.53~1.69㎡未満 | 55mg |
| 1.69~1.84㎡未満 | 60mg |
| 1.84~1.99㎡未満 | 65mg |
| 1.99~2.15㎡未満 | 70mg |
| 2.15㎡以上 | 75mg |
患者さんの状態や前コースの副作用に応じて減量されることがあります。
なお、50mg/日まで減量して投与する場合は、電子添文上、朝食後20mg・夕食後30mgとする規定があります。朝夕の錠数が異なる処方では、取り違えが起きないよう特に丁寧な説明が必要です。
最も注意したい副作用は骨髄抑制
ロンサーフで最も注意したい副作用は骨髄抑制です。
電子添文では、重大な副作用として好中球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、発熱性好中球減少症などが記載されています。症状だけでは分からないことも多いため、定期的な血液検査が欠かせません。
好中球減少・感染症
薬局では、次の症状を確認します。
- 38℃以上の発熱
- 悪寒
- 咳や喉の痛み
- 排尿時痛や残尿感
- 強い倦怠感
38℃以上の発熱や感染症を疑う症状があれば、患者さん個別の指示に従い、速やかに治療施設へ連絡するよう案内します。
貧血
- 動悸
- 息切れ
- めまい
- 立ちくらみ
- 強い疲労感
「年齢やがんの影響だろう」と我慢している場合もあるため、以前との変化を具体的に確認します。
血小板減少
- 鼻血や歯肉出血
- あざが増えた
- 出血が止まりにくい
- 血尿や黒色便
などがないか確認します。
消化器症状と脱水にも注意
ロンサーフでは、悪心、嘔吐、食欲低下、下痢、口内炎、腹痛などがみられます。
下痢や嘔吐が続くと、脱水や腎機能悪化につながります。腎機能障害のある患者では骨髄抑制などの副作用が強く現れるおそれがあるため、食事量、水分量、尿量まで確認したいところです。
「下痢はありますか?」だけでなく、
「普段より何回増えましたか?」
「夜中にもトイレへ行きますか?」
「水分や食事は取れていますか?」
と具体的に聞くことが大切です。
相互作用で確認したい薬剤
電子添文では、次の薬剤との併用により重篤な骨髄抑制などが現れるおそれがあるため、併用注意とされています。
- フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬:S-1、カペシタビン、5-FU、UFTなど
- フルシトシン
- 葉酸代謝拮抗薬:メトトレキサート、ペメトレキセドなど
- その他の抗悪性腫瘍薬や放射線照射
ここは「併用禁忌」ではなく、電子添文上は併用注意です。ただし重篤な骨髄抑制につながる可能性があるため、院内投与薬や他院処方も含めた確認が必要です。
保険薬局で確認したい10項目

- 対象となるがん種と治療ライン
- ロンサーフ単剤かベバシズマブ併用か
- 今回のコース開始日
- 1~5日目・8~12日目の服用日
- 1回量とT15・T20の錠数
- 朝夕とも食事が取れているか
- 飲み忘れ、嘔吐、残薬の有無
- 発熱、咳、喉の痛みなど感染症状
- 息切れ、出血、下痢、食欲低下
- 腎機能と併用薬の変化
残薬確認は「何錠あるか」だけでは足りない
残薬があった場合は、
- 何日目の朝または夕に飲み忘れたか
- 食事が取れずに服用しなかったのか
- 副作用のため自分で中止したのか
- 病院から休薬を指示されたのか
まで確認します。
理由によって、次回の服薬支援や病院への情報提供内容が変わります。
フォローアップで使える質問例
「今日は治療カレンダーの何日目ですか?」
「朝と夕方、それぞれ食後に飲めていますか?」
「飲まなかった分を、別の日に追加していませんか?」
「38℃以上の熱、寒気、咳、喉の痛みはありませんか?」
「息切れやめまい、あざ、鼻血は増えていませんか?」
「下痢や嘔吐で、水分が取りにくくなっていませんか?」
「病院ではロンサーフ以外に、ベバシズマブの点滴も受けていますか?」
「副作用はありませんか?」という一言では、患者さんが副作用だと認識していない症状を拾えません。症状名と生活への影響を分けて尋ねることがポイントです。
病院へ情報提供する記載例
ロンサーフ第2週の服用終了後から38.2℃の発熱と咽頭痛がみられています。悪寒もあり、水分摂取量は通常の半分程度です。最終服用は○月○日夕食後です。骨髄抑制に伴う感染症が懸念されるため、患者さんへ治療施設に連絡するよう案内しました。
報告時には、次の情報をそろえると伝わりやすくなります。
- コース数と服用何日目か
- 最終服用日時
- 症状が始まった日時
- 体温や下痢回数などの客観的情報
- 食事・水分摂取量
- 残薬数
- 支持療法薬の使用状況
- ベバシズマブ併用の有無
- 薬局で行った対応
まとめ
ロンサーフ(TAS-102)は、トリフルリジンとチピラシルを組み合わせた経口抗がん剤です。
服用スケジュールは、1~5日目に服用して6~7日目に休薬、8~12日目に再び服用して13~14日目に休薬し、その後15~28日目はさらに14日間休薬する28日サイクルです。空腹時を避け、朝食後・夕食後それぞれ食後1時間以内を目安に服用します。
保険薬局で特に確認したいのは、
- 服用日と休薬日のずれ
- T15・T20の錠数
- 食事が取れているか
- 飲み忘れや嘔吐後の追加服用
- 発熱など骨髄抑制に関連する症状
- 腎機能と脱水
- ベバシズマブ併用の有無
です。
休薬期間を含めて治療スケジュールを一緒に確認し、患者さんの生活の中で起きた変化を病院へつなぐことは、保険薬局だからこそできる支援です。
ロンサーフが処方されたときは、薬の説明だけで終わらず、「今日が治療カレンダーの何日目か」まで患者さんと共有していきたいと考えます。
FAQ
ロンサーフとTAS-102は同じ薬ですか?
はい。TAS-102は開発時から用いられている呼称です。ロンサーフは、トリフルリジン(FTD)とチピラシル(TPI)を配合した薬剤で、FTD/TPIとも表記されます。
ロンサーフは毎日服用しますか?
毎日ではありません。通常は1~5日目に服用して6~7日目に休薬し、8~12日目に再び服用して13~14日目に休薬、その後15~28日目はさらに14日間休薬します。患者さんごとの治療計画を優先してください。
なぜ食後1時間以内に飲むのですか?
空腹時に服用すると、食後よりFTDの最高血中濃度が上昇することが確認されているためです。空腹時は避け、朝食後と夕食後に服用します。
飲み忘れた分を休薬日に飲んでもよいですか?
飲んではいけません。忘れた分は飛ばし、休薬日へ振り替えたり、次回にまとめたりしません。
服用後に吐いた場合は飲み直しますか?
飲み直しません。嘔吐した時刻やその後の状態を記録し、症状が続く場合は医療機関へ相談します。
休薬期間中なら副作用は起こりませんか?
休薬期間中にも骨髄抑制などが明らかになることがあります。発熱、悪寒、息切れ、出血などがあれば、次回受診日を待たずに治療施設へ連絡します。
ベバシズマブを併用することはありますか?
治癒切除不能な進行・再発大腸がんでは、ロンサーフとベバシズマブを併用する治療があります。併用時は血圧や蛋白尿、出血など、ベバシズマブに関連する副作用も確認します。



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