イバブラジン〈コララン錠〉について!心不全治療の新薬。作用機序や特徴まとめ

薬剤師のしぐです。

少し前に小野薬品さんから発売された、コララン錠についての勉強会を行ったのでかんたんにまとめていきます。

ちなみに、適応症であるこの心不全という疾患。

虚血性心疾患や不整脈、高血圧などありとあらゆる心疾患により心筋が疲弊し、血液を拍出する力が弱まることでその状態を補おうと心筋が厚くなり、さらに拍出の効率が悪くなるという悪循環に陥ってしまう疾患。

様々な心疾患の最終段階と言われています。

イロイロな心疾患を学んでいくうちに、どの心疾患も最終的にはこの心不全にたどりついてしまう。うーむ。心不全とはなかなか奥が深い疾患なわけですね。

ってなわけで、自分が心不全を学ぶのに1番イイ参考書だと思うものがコチラ。

心不全という疾患の基礎的な部分から、各種使用薬剤の使い分けまで学べます。

後半には合併する疾患をどうフォローしていくかも記載されていて、心不全の全容から治療まで、細かく理解できてスゴクオススメです!

ただ、やっぱり心臓に対する治療で、薬物療法はほんの一部でしかないんですよね。

学べば学ぶほど、知れば知るほど、循環器に特化した病院で働いてみたいという欲が出てきてしまいます、、、。

そんなこんなで、イバブラジン〈コララン錠〉まとめます!

イバブラジン〈コララン錠〉の効能効果

洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全
ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

β遮断薬の最大忍容量が投与されても安静時心拍数が75回/分以上の患者に投与すること。また、β遮断薬に対する忍容性がない、禁忌である等、β遮断薬が使用できない患者にも投与できる。

気管支喘息である患者さんで、心不全を合併した際の選択肢として活躍する可能性大な気がしますね!!

イバブラジン〈コララン錠〉の用法用量

通常、成人にはイバブラジンとして、1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始する。

開始後は忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、必要に応じ、2週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。

1回投与量は2.5、5又は7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量においても、1日2回食後経口投与とする。なお、患者の状態により適宜減量する。

食事の影響に関しては、添付文書に下記記載があります。

「日本人健康成人男性(各用量:9例)にイバブラジン2.5mg又は5mgを食後単回経口投与したとき、イバブラジンのCmax及びAUC0-12は、空腹時単回経口投与と比較して、それぞれ1.08〜1.16倍及び1.28〜1.34倍であった。」

まあ、少し効きすぎちゃうのかな。少しだよね??

用法及び用量に関する注意事項

  • 本剤の維持量は、安静時心拍数及び忍容性を基に個々の患者に応じて設定すること。目標とする安静時心拍数は50~60回/分とし、安静時心拍数が60回/分を超える場合は段階的に増量、安静時心拍数が50回/分を下回る又は徐脈に関連する症状(めまい、倦怠感、低血圧等)が認められた場合は段階的に減量する。
  • 1回2.5mg、1日2回食後経口投与において継続して安静時心拍数が50回/分を下回る又は徐脈に関連する症状が認められた場合は、本剤を中止すること。
  • 本剤を休薬した後、投与を再開する場合には休薬前の用量を超えない用量で再開すること。安静時心拍数が本剤投与開始前値付近の場合には、低用量から投与を開始し、段階的に増量することが望ましい。

目標とする安静時心拍数は50~60回/分であることが多いみたいです。

イバブラジン〈コララン錠〉の作用機序

本剤は、HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル遮断薬であり、洞結節のペースメーカー電流Ifを構成するHCN4チャネルを阻害し、活動電位の拡張期脱分極相における立ち上がり時間を遅延させ、心拍数を減少させる作用が期待できます。

HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネルとは

HCNとは、Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated のこと。

訳すと、過分極活性化環状ヌクレオチド依存性ってなるわけですね。

過分極で活性化される洞結節のHCNチャネルは、心臓や中枢神経をはじめ様々な場所に発現し、ペースメーカーチャネルとしての役割や細胞の興奮性の調節など生理学的に重要な役割をはたしていることが明らかとなっています。

HCNチャネルは過分極によりゆっくりと活性化し、cAMPによって活性化を受けるという特徴的な性質があります。

HCN4は心筋に最も多く発現している洞結節の過分極に関与する陽イオンチャネルです。

イバブラジン〈コララン錠〉の特徴

投与後6週間時点の安静時心拍数において、イバブラジン2.5mg投与後ではベースラインから−16.4回/分の有意な減少効果がみられました。また、イバブラジン5mg投与群では−16.0回/分の有意な減少がみられました。

こういった試験から、イバブラジン服用により心疾患系死・心不全悪化等リスクを低下させるという結果が得られています。

錠剤への印字も、1包化の鑑査なんかで助かる商品名の印字。

最近は小野薬品さんのこういった薬局だったり薬剤師向けへの配慮はとても嬉しく思ってます。

イバブラジン〈コララン錠〉各規格での薬価

  • コララン錠2.5mg: 82.9円/錠
  • コララン錠5mg :145.4円/錠
  • コララン錠7.5mg:201.9円/錠

新規作用機序の新薬としては、思ってたほどの薬価ではなかったです。

コララン錠の商品名の由来

ラテン語で心臓を意味する「COR」と、フランス語で遅いを意味するlentから、「LAN」

COR+LANで、CORALAN「コララン」です。

心拍数をゆっくりにするからね。

コララン。かわいくて、イイお名前ですね。

イバブラジン〈コララン錠〉の副作用と安全性

トルサード・ド・ポアンツ(TdP)

QT延長により致死性不整脈の1つであるTdPを引き起こす恐れがあります。

その原因としては、hERG1チャネルの阻害作用によるQT延長作用がによるものと考えられています。

下記初期症状に十分注意して服用しましょう

  • 心拍数がいつもより少ない(50回/分以下等)
  • 倦怠感を感じる
  • 手足の冷え
  • 息切れ
  • ボーッとする、フラフラする

などなど。

徐脈(8.0%)

作用機序上、当然の副作用になります。

光視症(2.8%)、霧視(0.4%)

投与3ヶ月以内で現れることがある副作用。機序は不明。不思議な副作用ですよね。

他にも、房室ブロックや心房細動等々。

コララン錠と併用禁忌薬剤

ココが問題ですよねー。禁忌が多い、、、。

一覧がこちら!

あと、薬局で必ず併用をみかける事になるであろう頻出薬剤をピックアップしました。

クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)

でましたクラリス

以前紹介しました、ベルソムラとも禁忌なこの有名な抗生剤。

まあ、逆にこうやって禁忌が多い薬剤として認識されればより注意する薬剤になるのでいいかなっても思うけど。

フルボキサミントリアゾラムデュロキセチンとか。

よく処方されるけど、禁忌が多い薬剤の仲間入りかな。クラリスロマイシンも。

ベラパミル(ワソラン)

これね。心疾患の適応があるお薬の禁忌に、心疾患のお薬があるってなかなかイヤラシイ。

このコララン錠以外にも、プラザキサカプセルリクシアナなんかとの併用でも減量が必要だったりと、なかなか併用に注意が必要なこのベラパミル。

うーーむ。こことの併用も必ず出てくると思いませんか??

困ったもんだ。

ジルチアゼム(ヘルベッサー)

上記ベラパミルと同じ理由でイヤラシイよね。

ベラパミルほどよく処方されるものではないけど。循環器の処方を受ける薬剤師さんならほぼ間違いなく知ってるお薬。困ったもんだ。

上記分以外でも、イトラコナゾール(イトリゾール)やボリコナゾール(ブイフェンド)も調剤薬局では普通に扱う医薬品なので注意が必要ですかね。

発売日、新薬14日処方制限解除日

発売日が、2019.11/19です。小野薬品さんからの発売になってます。

14日処方制限解除になるのは2020.12からですかね。

とりあえず、コララン錠について今回はこんな感じ!

心不全療養指導士

薬剤師のみなさん。

昨今の薬剤師業界は結構な逆風に晒されていまして、、、

ただ単に薬剤師の国家資格を持ってるだけでは生き残っていけなくなってきています。

自分も現在「外来がん治療認定薬剤師」「地域ケア専門薬剤師」の認定を目指してイロイロとお勉強していますが、また1つ取得したい認定制度がスタートします。

2021年春にスタートする「心不全療養指導士」

詳細はコチラをみてみてね。→ http://www.j-circ.or.jp/chfej/

あと、自分なりにまとめてみたよ。

今回の内容の初めに「慢性心不全スタートブック」を紹介させていただきましたが、もう1つオススメしたい書籍がコチラ。

どちらかというと医師向けな感はあるけど、心不全診療ガイドラインを少し噛み砕いてわかりやすくした内容になってます。

略語集なんかもついていて、心不全を学ぶのにはオススメな1冊となります!

ではではーしぐでした

コメント

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