最新インフルエンザ治療薬特集!ゾフルーザやイナビル懸濁用キット等の特徴

薬剤師のしぐです。

前回はインフルエンザについてまとめました。

今回はインフルエンザ治療薬について
最新の治療薬であるイナビル吸入懸濁用セットやゾフルーザ錠まで紹介します。

これからインフルエンザの流行に比例して処方する病院さん、調剤する薬局さん、服用する患者さんが増えてくると思いますので〜〜ぜひみてみてください。

タミフル(オセルタミビル)  2001年発売

●投与経路:経口  ●服用回数:1日2回 5日間

1番有名な抗インフルエンザ薬。

このタミフルには、カプセルとドライシロップがあり、小児のインフルエンザに臨機応変に対応できる優れものです。あまりに処方されすぎて、今では「インフルエンザによる高熱が原因なのでは」という考え方が主流である異常行動を、このタミフルの副作用なのではないかと考えられ10歳以上〜20歳未満は原則投与しないという通知が出されてしまいました。

添付文書の警告欄にも「10歳以上の未成年患者は使用を差し控えること」という注意書きの記載を余儀なくされた悲しい過去があります。
が、2018年にやっと10歳代患者への使用も解禁されました。
いろんな調査データの集積で、科学的な判断をするに足る十分なエビデンスが得られたからだとか。大人の事情ってやつですね。

ドライシロップは抗インフルエンザ薬の中で唯一の粉薬なので、1歳〜4歳では第1選択薬と考えられることが多いみたいです。

透析患者では「5日間で1カプセルのみ」の服用となります。自分は今までに2回この処方を見たことがありますが、最初はやっぱり処方ミスかと思っちゃいますよね。

ちなみに、抗インフルエンザ薬で唯一ジェネリック医薬品が発売してる医薬品です。

リレンザ(ザナミビル)    2001年発売

●投与経路:吸入  ●服用回数:1日2回 5日間

吸入薬で、治療終了まで計10回の吸入を行う。
吸入手技を覚える必要があるが、1回の失敗程度では治療効果に大きな影響はないと考えられる。
成人・小児での用量が同じなので、体格のいい小児にも十分量を投与可能。

慢性呼吸器疾患のある患者では気管支攣縮が起きる可能性がある。
乳製品に対して過敏症を持つ患者には慎重投与になってます。

イナビル(ラニナミビル)   2010年発売

●投与経路:吸入  ●服用回数:1回のみ (成人は2キット、10歳未満の小児は1キット)

吸入粉末剤で、1回で投与が終わるため利便性が高く病院や薬局で治療を完結することが可能。
「1回きりで完結」というのが最大のメリットであり、反対に「失敗が許されない」という最大のデメリットでもある。咳症状もあるため、小・中学生の患者さんでは結構失敗することがあります、、、。

吸入キットの手技確認も必要だが、病院や薬局での服薬指導が多く、その場で手技確認して吸入・完結するためそこまで手技で間違うことはないです。

稀にいる自宅で吸入しますという患者さんが、鼻から吸入してしまうというミスの報告もあるみたいですが。

慢性呼吸器疾患のある患者では気管支攣縮が起きる可能性がある。
乳製品に対して過敏症を持つ患者には慎重投与になってます。

イナビル吸入懸濁用キット 2019年6月発売

イナビルをネブライザーで使用する製剤として新発売。
上記メリットはそのままに、ネブライザーを用いることで自発呼吸での吸入が可能となり失敗の可能性がほぼほぼなくなります。

なので自分での吸入が困難な低年齢の小児患者や呼吸器疾患を合併する患者等はこちらの製剤を用いての治療が推奨されます。

また、乳糖を含まないため乳製品に対して過敏症を持つ患者にも比較的安心して使用ができるという改善点もあります。

イナビル吸入粉末剤とは成分量が異なるけど、効果は同等なんだとか。
また、懸濁用キットになると成人でも小児でも同じ用量になります。

ネブライザーを使用するので薬局で取り扱うことは少ないかもですね。

ラピアクタ(ペラミビル)   2010年発売

●投与経路:点滴  ●1回のみ(重症化の恐れがある場合のみ、連日反復投与可)

抗インフルエンザ薬で唯一の静注薬。投与は経口・吸入が困難な症例や重症例に限られる。
点滴なので薬局でみることはないですね、、、。

ゾフルーザ(バロキサビル)  2018年発売

ゾフルーザの投与経路

●投与経路:経口  

ゾフルーザの用法用量

●1日1回のみ

作用機序

ゾフルーザは、これまで紹介してきた抗インフルエンザ薬の中で唯一作用機序が異なる医薬品です。

タミフルやイナビルなど、既存の抗インフルエンザ薬の作用機序は「ノイラミニダーゼ阻害作用(NAI)」です。

ノイラミニダーゼとは、「宿主細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが、細胞外へ飛び出すのに必要となる酵素」です。

NAIはこの酵素の働きを阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。

一方、ゾフルーザの作用機序はキャップ依存性エンドヌクレアーゼ(CEN)というインフルエンザ特有の酵素を選択的に阻害するという作用機序を持っています。

このCENは、「キャップ構造を持つ宿主細胞のmRNA前駆体を切断するインフルエンザウイルス特有の酵素」であり、ウイルスのmRNA合成に必要なプライマーとなるRNA断片を生成する働きがあります。

CENを阻害することで、ウイルスのmRNA合成を阻害し、増殖抑制作用を発揮するってわけ。

ちなみにプライマーとはDNAやRNA複製時の起点となる短鎖DNAや短鎖RNAのこと。

ゾフルーザのまとめ

1回完結の内服薬としても唯一の製剤。

昨年、満を辞して発売されましたがやはりこれまでの使用成績が少ないことや、耐性ウイルス発現の観点から使用を控えられる状況のようです。でも患者側から処方してほしいという要望は結構あるんだとか。

あと、患者の体重で用量設定が細かく決められている点もなかなか大変。

恥ずかしながら、自分はまだゾフルーザの処方を見たことがないのです、、、。
発売と同時に在庫はしてるんですけどね。なかなか処方されません。

今度このゾフルーザの勉強会をやることになったので、また新しい情報が聞けたら更新します!

麻黄湯

インフルエンザの初期治療として使われる漢方。

免疫活性化作用により体内のインフルエンザウイルス減少作用や、発汗を促す作用により発熱や悪寒・頭痛にも効き目があると言われています。症状はしっかりあるけど、迅速診断検査で陰性が出てしまった際にとりあえず麻黄湯を処方し、また翌日受診してねっていう処方のされ方が多い印象ですね。

麻黄湯単独・タミフル単独・リレンザ単独の比較検討試験で、解熱までの時間に差がなかったという報告もあるみたいです。

その他

上記以外にも、「インフルエンザではA型にしか適応がないこと」と「ウイルスが耐性化する確率が高い」という理由でほとんど(全く)処方されないシンメトレル(アマンタジン)や、「新作用機序で効果は間違いないが、催奇形性のリスクがあること」と「季節性インフルエンザには既に治療薬があること」という理由から「新型または再興型インフルエンザ感染症(ただし、他の抗インフルエンザ薬が無効または効果不十分のものに限る)」という限定的な適応で切札的に承認はされたものの、国が流通を制限しているアビガン(ファビピラビル)などもあります。

このアビガンは、数年前に「エボラ出血熱の治療薬になりうる」として注目をあびた知る人ぞ知るお薬。

あとはそれぞれの症状に合わせた対症療法のお薬が処方されるくらいですかね。
解熱鎮痛剤とか抗アレルギー薬とか鎮咳薬とか。

インフルエンザ治療薬についてはこんな感じですかねーーー。

大事なのは「高齢者では二次感染による肺炎に注意」「小児ではインフルエンザ脳症に注意」ということ。

迅速検査の精度を高めるのに発症後12時間は必要で、抗インフルエンザ薬の効果を最大限発揮するためには発症後48時間以内に投与することが推奨されている、といったタイミングがなかなか難しいインフルエンザの治療。

発症後48時間経過しても効果が徐々に良くなっていくだけで、ちゃんと抗インフルエンザ薬は服用したほうがいいとも言われてます。発症後96時間までは有効であるという報告もあるみたいですよ。

長くなりましたが、みなさんインフルエンザにはかからないことが1番大事だよ!
ウチの薬局でも少しずつこの薬たちが処方されるようになってきてます。

みんなでできる、手洗いうがい、マスク、加湿、栄養とってしっかり睡眠をとる!!

これが1番の予防策ですよね。
しっかり予防しようね〜〜ってことで。

そんなこんなで、新剤形のインフルエンザ予防接種についてもまとめたよ〜

みてみてね〜

さらにさらに、ウイルス除菌率99.9%の効果があるとも言われている「クレベリン」についてもまとめたよーーーこっちもみてみてね

ではではーーしぐでしたっ

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コメント

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