
こんにちは、薬剤師のしぐです。
「ネオメドロールEE軟膏を注文しているのに、全く納品されない」「プレドニン眼軟膏も入ってこない。眼軟膏の流通は、一体どうなっているの?」。眼軟膏を確保できず、処方箋を前に頭を抱えている薬局もあるのではないでしょうか。
小さなチューブが1本。しかし、その1本がないだけで、卸への在庫確認、処方元への相談、患者さんへの説明が必要になります。薬を探す時間が長くなるほど、患者さんの待ち時間も、薬局の業務負担も増えていきます。今回は、2026年10月27日に確認できた公開情報をもとに、主要な眼軟膏の供給状況と、薬局での対応を整理します。
最初に結論です。ネオメドロールEE軟膏とプレドニン眼軟膏は限定出荷が続いています。一方、通常出荷の眼軟膏もあり、「眼軟膏という剤形がすべて供給停止」という状況ではありません。ただし、薬の成分も治療上の役割も違うため、入荷する製品へ自由に変更できるわけではありません。
この記事で確認しているのは、メーカーの案内と公開された供給区分です。卸の各支店の実在庫、薬局別の割当、今日の納品可否は公開情報だけではわかりません。「入ってこない」という薬局の実感と、メーカーの「出荷している」という情報は、両立することがあります。
まず確認したい、眼軟膏の供給状況
主要製品について、確認できた公表内容を並べます。製品ごとに情報の日付や確認方法が違うため、過去の解除通知と現在の供給表示も区別することが大切です。
| 製品 | 確認できた供給情報 | 薬局での読み取り方 |
|---|---|---|
| ネオメドロールEE軟膏 | 2026年9月のメーカー通知でA-②。出荷量通常・限定出荷継続。通常出荷再開予定は2027年中頃 | 出荷量が戻っても自由な受注・納品に戻ったわけではない |
| プレドニン眼軟膏 | メーカー製品ページに限定出荷案内を掲載。2026年10月23日時点の厚労省データ転載でもA-②、解除見込み未定 | 通常量の出荷表示と限定出荷が併存している |
| 眼・耳科用リンデロンA軟膏 | メーカーが2025年6月27日に限定出荷解除を案内。2026年10月の公開供給データでも通常出荷 | 治療上の候補となるか、実際に入荷できるかを別々に確認する |
| デキサメタゾン眼軟膏0.1%「ニットー」 | メーカーが2024年1月16日からの通常出荷再開を案内。2026年9月25日付の供給状況対象製品一覧に掲載なし | 古い限定出荷の検索結果だけで判断せず、現行包装と受注状況を確認する |
| サンテゾーン0.05%眼軟膏 | 2026年10月の厚労省データ転載で通常出荷を確認 | ステロイド単剤。濃度や成分が異なるため単純な置換はしない |
| タリビッド眼軟膏0.3% | 2026年10月の厚労省データ転載で通常出荷を確認 | 抗菌薬単剤であり、ステロイドの代わりにはならない |
ネオメドロールEEの供給経緯はメーカーの現行通知で確認しました。プレドニンなどの最新供給区分の補足には、厚労省公表データの転載情報を使用しています。通常出荷と表示されていても、個別薬局への納品を保証する表ではありません。また、眼軟膏全製品を網羅した一覧ではありません。
ネオメドロールEE軟膏は、なぜ入らないのか
原薬製造の遅延で限定出荷が始まった
ネオメドロールEE軟膏は、フラジオマイシン硫酸塩とメチルプレドニゾロンを含む配合剤です。抗菌薬とステロイドを一つの製剤に含むことが特徴です。
2026年4月に限定出荷が始まった理由は、海外の原薬委託製造所での製造遅延でした。9月には出荷量の区分が「減少」から「通常」に変わりましたが、限定出荷は継続しています。
対象包装は3gチューブ×10本。2026年9月の案内では、新規採用を辞退し、既存の医療機関・薬局にも必要数量での購入を求めています。したがって、「別の眼軟膏が入らないので、ネオメドロールEEを新規採用しよう」と考えても、簡単に確保できる状況ではありません。
通常出荷再開の予定は2027年中頃へ
当初は2026年9月頃の通常出荷再開が案内されていましたが、現行の予定は2027年中頃です。しかも、これは予定であり、確定した納品日ではありません。
ここで押さえたいのは、限定出荷の解除見込みと、目の前の患者さんに渡せる時期は別だということです。「来年には戻る予定です」という説明だけでは、今日の処方への対応は決まりません。入荷見込みが立たない場合は、治療をどうつなぐかについて処方元へ相談する必要があります。
プレドニン眼軟膏も限定出荷が続いている
プレドニン眼軟膏は、プレドニゾロン酢酸エステルを0.25%含むステロイド単剤です。ネオメドロールEEと異なり、抗菌薬は含まれていません。
メーカー製品ページには、2024年1月、3月、6月の限定出荷に関する案内が掲載されています。さらに、2026年10月23日時点の厚労省供給データの転載情報では、出荷量通常・自社事情による限定出荷を示すA-②が続き、解除見込みは未定です。
ただし、ネオメドロールEEと同じ製造所の問題が起きている、同じ原料が不足している、といった説明までは確認できません。二つの製品が同時に入荷しにくくても、原因まで同じだと決めつけないことが必要です。
薬局で確認したいのは、メーカーの全体的な供給区分に加えて、取引卸で受注できるのか、入荷予定があるのか、その入荷分が自局への納品につながるのか、という点です。解除時期が未定なら、納品を待つ期限を決めずに処方箋を抱え続けることは避けたいところです。

「出荷量通常」なのに薬局に届かないのはなぜ?
出荷量と出荷対応は別の項目
供給状況には、大きく分けて「どれくらい出荷しているか」と「注文にどう対応しているか」という二つの情報があります。たとえば、A-②は出荷量が通常でも、出荷対応は限定出荷という組み合わせです。
| 確認する言葉 | 表していること | それだけではわからないこと |
|---|---|---|
| 出荷量通常 | 比較対象となる期間や計画に対するメーカー出荷量の区分 | 各薬局が希望量を買えるか |
| 限定出荷 | 受注・出荷に制限がある状態 | 自局にいつ何本届くか |
| 通常出荷 | メーカーの出荷対応が通常であること | 卸支店の在庫や当日の配送可否 |
| 通常出荷再開予定 | 制限解除の見通し | 解除の確約、薬局への入荷日 |
「通常」の文字だけを見ると、もう以前と同じように注文できると感じてしまいます。しかし、確認すべきなのは出荷量と対応状況の両方です。特にA-②という表示を、A-①の通常出荷と読み違えないようにしたいですね。
メーカーから薬局まで、確認する場所が複数ある
医薬品がメーカーから出荷されても、それが直ちに自局の発注にひもづくとは限りません。卸の在庫、入荷予定、取引条件、既存の購入実績、出荷調整の運用など、確認すべき段階があります。
ここから先は、今回の各卸について確認できた事実ではなく、納品が滞るときに切り分けたい実務上のポイントです。メーカー在庫がないのか、卸への入荷が少ないのか、入荷分に対して注文が多いのか、自局の注文が受注対象になっていないのか。止まっている場所によって、次に必要な行動が変わります。
「欠品です」で会話を終えると、発注を続けて待つべきなのか、早く処方変更を相談すべきなのか判断できません。見込みが不明なら、不明であること自体を処方元と共有することが大切です。
供給制限への対応は便秘治療薬でも共通します。関連する実務は、モビコールLD/HDの長期供給制限と薬局対応でも整理しています。
眼軟膏なら何でも代わりになる?答えは「ならない」
眼軟膏は剤形の名前です。同じチューブの軟膏でも、抗菌薬、ステロイド、抗ウイルス薬など、治療目的は違います。製品を探す際は、まず「何の治療を続ける必要があるのか」に立ち返ります。
| 製品例 | 主な成分の位置付け | 変更を考える際の確認点 |
|---|---|---|
| ネオメドロールEE軟膏 | 抗菌薬+ステロイド | 抗菌作用と抗炎症作用の両方が必要か |
| プレドニン眼軟膏 | ステロイド単剤 | 炎症の部位、病態、用法、治療期間 |
| 眼・耳科用リンデロンA軟膏 | 抗菌薬+ステロイド | 配合成分が異なり、同一成分の後発品ではない |
| サンテゾーン眼軟膏/デキサメタゾン眼軟膏 | ステロイド単剤 | 成分・濃度・用法を確認し、単純換算しない |
| タリビッド眼軟膏 | 抗菌薬単剤 | ステロイドによる抗炎症作用は含まれない |
これは「代替可能」と判定した一覧ではなく、処方医と相談するための分類です。供給状況だけでなく、適応、患者背景、使用部位、アレルギー歴、併用薬、実際の入手可否を確認して候補を絞ります。
ネオメドロールEEから抗菌薬だけにすると何が変わる?
抗菌薬単剤へ変更すると、もともとの配合剤に含まれていたステロイドの作用がなくなります。一方、ステロイド単剤へ変更すると抗菌薬がなくなります。見た目が似た眼軟膏であっても、治療内容そのものが変わる可能性があります。
「抗菌薬とステロイドを別々に処方すればよい」という提案についても、薬局だけで決められることではありません。そもそも両方が必要なのか、剤形や投与回数はどうするのか、患者さんが使い分けられるかまで、処方医の判断が必要です。
濃度の数字だけで強さは比べられない
プレドニン0.25%、サンテゾーン0.05%、デキサメタゾン0.1%。数字だけを見て「濃いから強い」「薄いから弱い」とは判断できません。成分が異なれば、その数字をそのまま横並びにはできないからです。
皮膚用ステロイドで使う強さのランクを、そのまま眼科の代替薬選びに当てはめることも避けます。同じステロイドという括りでも、目の治療では病態と製剤ごとの特徴を確認する必要があります。
眼軟膏を皮膚用軟膏で置き換えない
同じ成分に見えても、皮膚用軟膏を眼の中へ使えるという意味にはなりません。眼軟膏は無菌性など、眼に使うことを前提とした製剤です。一般の皮膚用軟膏を自己判断で結膜嚢内へ使用することは避けてください。
また、「まぶたに塗る」と「下まぶたの内側へ入れる」も同じではありません。患者さんに実際の使用場所を尋ね、処方意図と一致しているか確認します。眼の周囲に使う薬だからこそ、曖昧な説明のまま交付しないことが大切です。
点眼液への変更も、処方医との相談が必要
「眼軟膏がないなら、点眼液で対応できないか」と考える場面もあると思います。しかし、軟膏と液剤では使い方が異なり、投与したい部位や治療の狙いも確認しなければなりません。
変更を相談するときは、どの部位の炎症に使っているのか、抗菌薬が必要なのか、眼軟膏を選んだ理由があるのか、点眼操作が可能なのかを整理します。高齢の患者さんでは、細かい操作を家族が手伝っていることもあります。製剤の変更が、毎日の治療を続けられるかどうかに影響することも見逃せません。
点眼薬の使い方や順番については、カリーユニの名称変更と点眼時の注意点も関連する記事です。名称や容器が変わる場面でも、「何をどう使うか」の説明が重要になります。
薬局でまず確認したいこと
1.患者さんがいつ困るのかを把握する
供給確認より先に、患者さんの手元に薬が残っているかを確認したいところです。初回処方なのか、継続なのか、残りはどれくらいか、症状が悪化していないか。ここがわからないと、対応の優先度が決まりません。
ただし、残薬があるから長く待てるとは限りません。開封時期や保管状況も確認し、以前の使い残しを自己判断で使い続けるよう勧めないことが大切です。使用頻度を減らして長持ちさせることも、患者さんだけで決めないよう説明します。
2.卸には「入る?」から一歩踏み込んで尋ねる
確認内容は、製品名だけでなく規格・包装までそろえます。そのうえで、現在の受注可否、注文残の扱い、次回入荷予定、自局への納品見込み、必要数量の相談ができるかを確認します。
| 卸への確認項目 | 確認する目的 |
|---|---|
| 注文自体を受け付けているか | 発注を続ける意味があるか把握する |
| 次回入荷予定は確定か、未定か | 患者さんに説明できる情報を整理する |
| 入荷予定と自局への納品予定は同じか | メーカー・卸の入荷を納品確約と誤認しない |
| 現行の包装・商品コードは合っているか | 包装変更などによる発注の行き違いを避ける |
| 代わりに相談できる製品は実際に確保できるか | 処方変更後に再び欠品で困ることを防ぐ |
確認日時、担当者、回答内容も残しておくと、次に対応するスタッフが同じ問い合わせを繰り返さずに済みます。「入荷予定あり」と「納品確約あり」を区別して記録するだけでも、引き継ぎの精度は上がります。
3.処方元には、変更候補と入手可能性をセットで伝える
「欠品なので変更してください」だけでは、処方元も判断に困ります。薬の役割を整理し、現在の供給状況、手元の残薬、候補となる製品の入手見込みを添えて相談したいところです。
たとえば、「ネオメドロールEEが限定出荷で、当薬局への納品見込みが立っていません。患者さんの残薬は本日確認した範囲で○日程度です。抗菌薬とステロイドの両方の継続が必要かを含め、代替治療をご検討いただけますか。候補製品の入手可否は確認してお伝えします」という形です。
候補の在庫が一時的なものなら、その点も共有します。今回分が確保できても、次回も必ず同じ薬を渡せるとは限りません。継続処方が見込まれる場合は、その後の入手見通しまで確認しておきたいですね。
患者さんへの説明は「ない」で終わらせない
薬がないと伝えると、「治療をやめても大丈夫なの?」「薬局を変えればあるの?」と不安を感じる患者さんもいます。説明したいのは、入荷に制限があること、現在どこまで確認したか、次にどう対応するかです。
「現在、この薬は出荷が制限されていて、当薬局への入荷時期がはっきりしていません。治療が途切れないよう、処方された医療機関に代わりの治療を相談します。使う回数を減らしたり、別の軟膏へ置き換えたりする前にご相談ください」。このように、次の行動まで伝えることが安心につながります。
ほかの薬局の在庫を探す場合も、患者さんに何軒も回ってもらう前に、電話などで確認する工夫が必要です。受け渡しの可否、処方箋の扱い、必要な連携を整理したうえで案内します。探す負担を患者さんだけに背負わせないことも、薬局の大事な役割です。
ステロイド眼軟膏は、供給不足のときこそ安全管理を
プレドニン眼軟膏には、連用による眼圧上昇や緑内障への注意があり、長期連用を避け、定期的な眼圧検査を行う必要があります。また、感染症などの病態によっては悪化させるおそれがあります。「目の赤みを抑える薬」という理解だけで、長期間使い続けることは避けたいところです。
薬が変わるときには、使用部位、回数、期間、受診予定も再確認します。痛みが強い、急に見えにくくなった、症状が急速に悪化したといった場合は、入荷を待つ相談だけで済ませず、眼科への速やかな相談につなげます。
使い方の説明も省略できません。プレドニン眼軟膏では、容器の先端が眼に触れないようにし、ほかの点眼剤を併用するときは少なくとも5分以上あけ、眼軟膏を最後に使います。変更先の製品についても、その薬の指示を確認して案内します。
しぐの視点:不足しているのは、在庫だけではない
「また入らないのか……」。供給不安の連絡を見るたびに、現場ではそんな気持ちになります。今回のような眼軟膏は、錠剤のように同じ成分・同じ規格の銘柄をいくつも探せるとは限りません。代わりを考えるにも、抗菌薬が必要か、ステロイドが必要か、軟膏である必要があるかを整理する時間がかかります。
しかも、その時間は処方箋の枚数には表れません。卸に電話し、在庫を探し、処方元に相談し、患者さんへ説明する。薬を渡すまでの見えにくい仕事が、一本のチューブの不足から生まれています。
だからこそ、薬局内で「欠品」という一言だけを共有するのでは足りないと感じます。いつ確認したか、何がわかったか、次に誰が動くか。ここまで共有しておくことが、同じ作業の繰り返しを減らし、患者さんへの説明もそろえてくれます。
一方で、入る製品が見つかったからと必要以上に抱え込めば、別の場所で困る患者さんが増える可能性があります。目の前の患者さんに必要な数量を確保しながら、処方元や地域の薬局とつながる。大変ではありますが、ここを丁寧に続けていきたいですね。
製造体制と安定供給の関係については、アサコール製造会社の買収と安定供給強化でも考えています。薬局から見えるのは最後の納品段階ですが、その手前の製造・原料調達・在庫計画も、患者さんの治療につながっています。
まとめ
ネオメドロールEE軟膏は、出荷量が通常へ戻っても限定出荷が続き、通常出荷再開予定は2027年中頃です。プレドニン眼軟膏も限定出荷が続いており、入荷に困る現場の状況は、公開された供給情報と矛盾しません。
一方、眼軟膏全体が供給停止になっているわけではありません。通常出荷の製品もありますが、成分や治療目的が違うため、在庫だけで代替を決めないことが大切です。メーカーの供給区分、卸の納品見込み、患者さんの治療上の必要性。この三つを確認し、処方元と相談しながら治療をつないでいきましょう。
FAQ
Q1.ネオメドロールEE軟膏は供給停止ですか?
2026年9月のメーカー通知では、出荷量通常・限定出荷継続です。供給停止とは異なりますが、必要な数量を薬局が確保できるとは限りません。
Q2.通常出荷はいつ再開しますか?
ネオメドロールEE軟膏は2027年中頃の予定です。確定した納品日ではありません。プレドニン眼軟膏の限定出荷解除見込みは、確認した公開情報では未定です。
Q3.プレドニン眼軟膏とネオメドロールEE軟膏は同じ薬ですか?
異なります。プレドニンはステロイド単剤、ネオメドロールEEは抗菌薬とステロイドの配合剤です。そのまま相互に置き換えることはできません。
Q4.タリビッド眼軟膏で代用できますか?
タリビッドは抗菌薬単剤で、ステロイドは含みません。元の治療目的と異なる可能性があるため、処方医への確認が必要です。
Q5.皮膚用のステロイド軟膏を眼の中に使えますか?
自己判断で使わないでください。眼軟膏と皮膚用軟膏は製剤としての条件が異なります。まぶたの皮膚と結膜嚢内でも使用部位が違うため、指示を確認します。
Q6.入荷しない間、薬の回数を減らしてもよいですか?
自己判断で減らしたり中止したりせず、薬局・処方元へ相談してください。強い眼痛や急な視力低下などがあれば、入荷を待たず眼科へ速やかに相談しましょう。

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