バイオシミラーが先行品と同額・高薬価でも算定可!特薬管3(ロ)の疑義解釈を解説

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バイオ医薬品のバイアルを配置したコーラル色のイメージ

こんにちは、薬剤師のしぐです。

「バイオシミラーなのに、先行品と薬価が同じ。場合によっては高い……。この場合、説明しても特薬管3(ロ)は算定できないの?」

薬局でバイオシミラーを扱っていると、こんな疑問が出てきますよね。

この点について、2026年10月28日付の厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その14)」で、取り扱いが明確になりました。

バイオ後続品の薬価が先行バイオ医薬品と同額、または高い場合でも、対象となる患者さんに品質・有効性・安全性等を説明した場合は、特定薬剤管理指導加算3(ロ)を算定して差し支えありません。

今回は、この疑義解釈のポイントと、薬局で説明するときに押さえておきたいことを整理します。

今回明確になったこと――薬価の高低だけでは判断しない

今回の根拠は、疑義解釈「その14」の別添3・調剤報酬点数表関係の問2です。

先行品と比べて薬価が高い、あるいは同額のバイオ後続品についても、品質・有効性・安全性等の説明を行った場合に特薬管3(ロ)を算定できるか、という問いに、算定してよいと回答しています。

先行品との薬価比較特薬管3(ロ)の考え方
バイオ後続品のほうが安い処方形式・説明内容等の要件を満たせば算定対象
同額薬価が同額であることだけを理由に除外しない
バイオ後続品のほうが高い薬価が高いことだけを理由に除外しない

ここで大事なのは、「高薬価のバイオ後続品が処方されれば、自動的に算定できる」という意味ではないこと。必要な説明・指導を行い、ほかの算定要件も満たすことが前提です。

なお、これは10月28日から新しい加算が始まったという話ではありません。令和8年度改定で追加されたバイオ後続品の説明について、薬価が同額以上の場合の解釈が示されたものです。

異なる高さの台に並ぶ二つの医薬品のイメージ

対象は「一般名処方」または「バイオ後続品の銘柄名処方」

バイオ後続品の説明に関する特薬管3(ロ)の対象は、次のいずれかの処方箋を受けた患者さんです。

  • バイオ医薬品の一般名処方
  • バイオ後続品の銘柄名処方

その患者さんに、バイオ後続品の品質・有効性・安全性等について説明します。

たとえば、バイオ後続品が銘柄名で処方されていて、薬価を確認したところ先行品と同額だった場合。「同じ金額だから今回は対象外」と切り捨てる必要はありません。

一方、先行バイオ医薬品の銘柄名処方であるというだけでは、このバイオ後続品の説明の項目には当てはまりません。 また、先行品の銘柄名処方を、処方医に事前確認せずバイオ後続品へ変更できるという話でもありません。加算の要件と変更調剤の可否は、それぞれ確認が必要です。

「安くなります」だけでは説明しきれない

バイオシミラーの説明というと、つい薬剤費の話から入りたくなります。

もちろん費用は大切です。でも、患者さんが知りたいのは、「薬が変わっても大丈夫なの?」「効き方や副作用はどうなるの?」ということでもありますよね。

バイオシミラーは、先行バイオ医薬品との同等性・同質性が評価されて承認される医薬品です。患者さんには、品質や効果、安全性が確認されていることを、理解に合わせて伝えたいところです。

私が今回の疑義解釈から実務上読み取りたいのは、薬価差がない場面でも、薬を理解して選ぶための説明には意味がある、ということです。 これは制度の趣旨についての私の考察ですが、患者さんへの説明を考えるうえで大事な視点だと感じます。

同額の場合なら、こんな伝え方が考えられます。

今回のお薬は、先行するバイオ医薬品と品質・効果・安全性が同等と評価されて承認されたバイオシミラーです。今回の製品・規格では、先行品と薬価が同じなので、お薬代が安くなるとは限りません。使い方や気をつけたい症状も、一緒に確認していきましょう。

製品によっては、適応、注入器の操作、保管条件などの確認も必要です。「同じような薬だから、使い方も全部同じ」とまとめず、実際の製品情報に沿って説明しましょう。

薬の説明をイメージしたノートと注入器

薬価と患者さんの窓口負担も分けて考える

もう一つ気をつけたいのが、「薬価が同じ=窓口で支払う金額も必ず同じ」とは言い切れないことです。

窓口負担には、使用量、ほかの薬剤、調剤報酬、公費、高額療養費なども関わります。

特薬管3(ロ)は10点です。1点10円なので医療費としては100円。単純計算では3割負担で30円、2割で20円、1割で10円に相当しますが、実際の支払額は全体の計算や端数処理、各種制度によって異なります。

「バイオシミラーだから安いですよ」と先に言い切らず、まず製品・規格と現在の薬価を確認する。そのうえで患者さん自身の負担を説明する。この順番を大切にしたいですね。

バイオ後続品調剤体制加算とは区別しよう

今回、特に混同しやすいのが、バイオ後続品調剤体制加算です。

令和8年3月5日付の対象品目に関する通知では、先行品と同額・高薬価になっているバイオ後続品の除外が規定されています。また、バイオ後続品調剤体制加算では、対象リストに掲げる製品のうちインスリン製剤を除く取り扱いがあります。

一方、今回の疑義解釈は、特薬管3(ロ)の患者説明についてのものです。

確認する加算実務での確認ポイント
特薬管3(ロ)対象となる処方形式、品質・有効性・安全性等の説明、算定履歴など。今回、同額・高薬価でも可と明確化
バイオ後続品調剤体制加算施設基準・届出、最新の対象品目リスト、インスリン製剤の除外などを別に確認

「特薬管3(ロ)が算定できるから、調剤体制加算も算定できる」とは判断できません。 薬価の逆転がある製品では、どの加算の話かをそろえて確認することが大切です。

薬局の記録をイメージしたクリップボードとバイアル

薬歴は「BSについて説明」から一歩具体的に

留意事項では、薬剤服用歴等に対象となる医薬品が分かるよう記載することとされています。

実務では、それに加えて「何を不安に感じていたか」「何を説明したか」「どのような反応だったか」が分かると、その後の支援につながります。

以下は、実際にその説明・確認を行った場合の記録例です。

対象:〇〇BS注〇mg「△△」(バイオ後続品の銘柄名処方)。患者より先行品との効果・費用の違いについて質問あり。品質・有効性・安全性に関する承認時の評価の考え方を説明。現在の当該規格の薬価は先行品と同額であり、薬剤費の低下を保証するものではないと説明した。製品の使用方法、保管方法、注意すべき症状を確認。患者の理解を確認した。

これは必須の定型文ではありません。確認していない内容や患者さんの反応を、例文のまま記載しないようにしましょう。

また、この加算は毎回の説明で繰り返し算定するものではありません。当該医薬品についての初回に関する規定を踏まえ、過去の算定・指導履歴を確認します。今回の疑義解釈が出たことだけで、既に算定した薬を再算定できるわけではありません。

よくある質問

Q1.先行品と同額でも、特薬管3(ロ)は算定できますか?

はい。対象となる処方箋を受けた患者さんに、バイオ後続品の品質・有効性・安全性等を説明し、ほかの要件も満たせば算定できます。

Q2.先行品より高薬価の場合も同じですか?

はい。今回の問2では、先行品より高い場合についても算定して差し支えないと示されています。

Q3.「バイオシミラーです」と伝えるだけで算定できますか?

名称を伝えただけで算定要件を満たすとはいえません。患者さんに必要な、品質・有効性・安全性等の説明・指導を行うことが前提です。

Q4.先行品の銘柄名処方でも、この説明の項目で算定できますか?

通知に挙げられているのは、バイオ医薬品の一般名処方とバイオ後続品の銘柄名処方です。先行品の銘柄名処方だけを根拠に、この項目に該当すると判断しないようにしましょう。

Q5.次回も同じ説明をしたら、また算定できますか?

毎回算定する加算ではありません。当該医薬品の初回に関する規定と算定履歴を確認します。継続的な説明・フォローは、算定の有無にかかわらず必要に応じて行います。

Q6.調剤体制加算の対象外品目でも、特薬管3(ロ)は算定できるのですか?

同額・高薬価であることを理由に特薬管3(ロ)から除外する必要はありません。ただし、それぞれの加算の要件は別です。今回の回答を、調剤体制加算の対象拡大と読み替えないことが大切です。

まとめ

今回の疑義解釈で、バイオ後続品が先行品と同額・高薬価でも、必要な説明を行った場合に特薬管3(ロ)を算定できることが明確になりました。

薬局では、処方形式、説明内容、算定履歴、薬歴への記録を確認する。そして、バイオ後続品調剤体制加算とは分けて判断する。この流れを押さえておきたいですね。

バイオシミラーの説明は、値段の話だけでは終わりません。「この薬を安心して使っていけそう」と患者さんが思えるように、疑問を一つずつ確かめていく。その積み重ねを大切にしたいと思います。

ではではー。しぐでしたっ。

参考資料

  1. 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その14)」2026年10月28日、別添3 問2。https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001763780.pdf
  2. 厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」区分10の3・8、区分00・5(0619訂正後)。https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713883.pdf
  3. 厚生労働省「診療報酬における加算等の算定対象等となるバイオ後続品」2026年3月5日。https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9805&dataType=1
  4. 日本バイオシミラー協議会「Q&A集(医療関係者向け)」。https://biosimilar.jp/qa_medical.html
  5. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」調剤報酬点数表。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

※2026年10月29日時点。本文中の患者説明・薬歴は実務向けの作成例です。

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