
こんにちは、薬剤師のしぐです。
レボホリナート点滴静注用25mg・100mg「トーワ」が、限定出荷となっています。2026年10月29日更新の供給区分は、両規格とも「出荷量通常」「限定出荷(他社品の影響)」です。
「出荷量は通常なのに、限定出荷?」と感じるかもしれません。ここは、出荷する量と、注文に対応できる範囲を分けて考えると理解しやすくなります。
レボホリナートは、5-FUを含むがん治療を支える薬です。採用施設では、治療予定と規格別の在庫・納期を早めに照合しておきたい変更です。
限定出荷の対象は25mg・100mgの2規格
| 製品名 | 出荷量 | 出荷対応 |
|---|---|---|
| レボホリナート点滴静注用25mg「トーワ」 | A:出荷量通常 | ③:限定出荷(他社品の影響) |
| レボホリナート点滴静注用100mg「トーワ」 | A:出荷量通常 | ③:限定出荷(他社品の影響) |
供給一覧の更新日は2026年10月29日で、更新履歴にも両規格の「限定出荷追加」が掲載されています。この更新日を、各施設での欠品開始日と同じ意味で受け取ることはできません。
今回の区分は供給停止ではありません。一方で、すべての注文に対応できる状態でもないため、「今までと同じように発注すれば届く」とは限らない点に注意が必要です。解除時期や施設ごとの割当量・納期は、この一覧だけでは分かりません。
出荷量が通常でも限定出荷になるのはなぜ?
「出荷量通常」は、需要をすべて満たしているという意味ではありません。
出荷量通常は、比較対象期間の出荷量、または市場予測による予定出荷量の概ね90%以上110%未満の出荷状況を表します。一方、限定出荷(他社品の影響)は、他社品の影響等によってすべての受注に対応できない状況です。
たとえば、通常の量を出荷していても、他社品からの切替注文が増えれば、必要とされる量が供給できる量を上回ることがあります。これは区分を理解するための一般的な例です。
今回、東和薬品が示している理由は「他社品の影響」です。影響元となる具体的な製品名や、製品ごとの需要増加量までは明記されていません。特定メーカーの販売中止だけを今回の原因と断定するのは避けたいところです。
関連して、レボホリナート「NP」では販売中止の案内も出ています。供給を考える際の関連情報として、こちらも確認しておくと整理しやすくなります。
関連記事:レボホリナート「NP」が販売中止へ|100mgの消尽予定と代替薬を解説

レボホリナートは何のために使う薬?
レボホリナートは活性型葉酸製剤で、フルオロウラシル(5-FU)の抗腫瘍効果を高める目的で使います。
細胞内で葉酸関連の物質へ変化し、5-FUの活性代謝物と標的酵素がつくる複合体を安定させます。結果として、DNA合成を妨げる作用を強めます。「葉酸だから栄養を補う点滴」という理解では、がん治療での役割を捉えきれません。
また、ホリナートがメトトレキサートの毒性軽減に使われる場面の知識と混同し、今回も「副作用を軽くするための薬」と説明しないようにしたいところです。5-FUとの併用では、抗腫瘍効果を増強する位置づけになります。
電子添文では、胃がん、結腸・直腸がんなどにおける5-FUの抗腫瘍効果の増強が効能・効果として定められています。具体的な投与量やスケジュールは、疾患、併用療法、院内で承認されたレジメンに従って確認します。
治療を継続するために確認したいこと
在庫は「総mg数」と「規格別の本数」で見る
まず、直近の治療予定から必要量を見積もり、現在庫・入荷予定・使用期限を照合します。在庫の合計量だけでなく、25mgと100mgをそれぞれ何本使う予定なのかを確認することが大切です。
たとえば100mg相当量を25mg製剤で用意する場合、含量の計算上は4バイアルが必要です。ただし、これは投与量の変更を勧めるものではありません。規格構成が変われば、開封・溶解・確認の回数や廃棄量も変わるため、施設の調製手順を含めて検討します。
100mgの不足を25mgだけで補おうとすると、25mgの需要も増えます。必要以上の買い込みを避けながら、治療予定に基づいて具体的な納入量を相談したいところです。
卸には「いつ・どの規格を・何本必要か」を伝える
「入りますか?」だけでなく、治療予定日、規格別の必要本数、継続的に必要になる量を伝えると調整しやすくなります。既存採用分の扱い、新規採用や増量注文への対応、次回納入見込みも個別に確認します。

他社品への切替は、入荷確認と院内の準備をセットに
同成分の他社製剤は切替候補になります。ただし、「製品が存在すること」と「自施設に必要量が届くこと」は別です。供給区分が通常出荷でも、新たな注文をすぐ受けられるとは限りません。
| 確認する項目 | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 供給 | 規格別の納期、割当量、新規採用への対応、継続供給の見通し |
| 製剤 | 含量、包装、添加剤、保存条件、使用期限 |
| 調製 | 最新の電子添文・配合変化情報に基づく溶解、希釈、配合上の注意 |
| システム | 薬品マスター、注射オーダー、レジメン、調製・監査システムの整合 |
| 情報共有 | 診療科、薬剤部、化学療法室への変更日と運用の周知 |
ホリナート製剤や内服のロイコボリン、一般的な葉酸サプリメントを、名前が似ているからと同じmg数で置き換えることはできません。供給状況を理由とした薬剤の省略、減量、治療スケジュールの変更も、自己判断では行わず治療チームで検討します。
保険薬局でも、点滴薬の供給情報を知っておきたい
注射薬の供給調整は病院の中の話に見えますが、外来治療中の患者さんから「次の点滴の薬が変わると聞いた」と相談されることがあります。
その際は、供給事情に伴う銘柄変更なのか、治療方針自体の変更なのかを確かめたいところです。供給区分だけを見て、患者さんに「治療ができなくなる」と伝える必要はありません。
同時に、5-FUを含む治療での副作用確認は継続します。激しい下痢、強い腹痛、発熱、口内炎で飲食が難しい状態、水分が取れない状態などは、治療施設から指示された連絡基準に沿って早めの相談につなげます。
レボホリナート・5-FU療法では、S-1の投与中および投与中止後7日以内は禁忌です。治療変更の場面では、処方歴だけでなく実際の最終服用日や残薬も確認し、必要な情報を治療施設へ共有します。

しぐの視点|「出荷量通常」で確認を止めない
今回、押さえておきたいのは「量が通常だから大丈夫」と判断しないことです。がん治療では、薬があるかどうかに加え、予定した日に必要な量をそろえられるかが大切になります。
抗がん薬そのものに目が向きがちですが、レボホリナートのような構成薬も治療を支えています。規格ごとの在庫と次の治療予定を結び付けて確認する。その一手間が、直前の調整を減らすことにつながると感じます。
FAQ
Q. 限定出荷は、出荷停止という意味ですか?
違います。今回の両規格は出荷量通常で、他社品の影響によりすべての注文に対応できない区分です。ただし、個々の施設に予定どおり入荷することを保証するものではありません。
Q. いつ通常出荷に戻りますか?
確認した10月29日更新の供給一覧には、両規格の解除予定日は示されていません。最新のメーカー情報と卸の納期を確認してください。
Q. 100mgを25mgに変更すれば対応できますか?
含量の計算だけで判断せず、必要本数、25mg製剤の供給量、調製負担、院内の手順を確認します。両規格とも限定出荷のため、一方へ需要を寄せれば解決するとは限りません。
Q. 他社品にはすぐ切り替えられますか?
規格別の入荷可否に加え、製剤情報、調製条件、薬品マスターなどの確認が必要です。特定の他社製品について、この記事で供給可能量を保証することはできません。
Q. 患者は治療を中断したほうがよいですか?
自己判断で中断する必要はありません。次回の治療や薬の変更について気になる場合は、治療施設に確認してください。
確認先・参考情報
供給情報の確認日:2026年10月30日。実際の納期・割当量は、取引卸およびメーカーへ個別にご確認ください。


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