薬剤師のしぐです。
今回は聞き慣れない言葉「グルカゴノーマ」について!
気づいてくれた方。ありがとうございます!!
自分のブログを、複数回見てくれているの中には気づいてくれている方がいるかと思うのですが、数日前に「インスリノーマ」についてまとめました。
今回の「グルカゴノーマ」と「インスリノーマ」は、その響きの通り「グルカゴン」と「インスリン」の関係にある疾患なんですよね。
膵臓にあるランゲルハンス島のα細胞とβ細胞の、あれですね。
と、いうわけで、簡単にまとめていきますよー。
グルカゴノーマとは
グルカゴノーマは、グルカゴンというホルモンを分泌する膵ランゲルハンス島α細胞の腫瘍であり、グルカゴンが異常に分泌されることによる高血糖と非常に特徴的な発疹を引き起こします。
頻度は2千万人に1人以下と腫瘍の中でも希少な腫瘍です。
グルカゴン産生腫瘍とも呼ばれていて、直径は1cmから35cmとの報告があり、通常3 cm以上であることが多いと言われています。
グルカゴノーマの大きさと症状の強さは相関せず、小さいものでも肝転移やリンパ節転移を有します。特に、肝臓などへの転移が多いようです。
グルカゴノーマは膵臓内分泌腫瘍の一種で、およそ80%は悪性腫瘍(がん)です。
腫瘍の増殖が遅いため、多くの人が診断後15年以上生存すると言われています。
症状が出始める平均年齢は50歳前後で、グルカゴノーマの患者は約80%が女性です。
小児慢性特定疾患の1つに登録されており、申請を行えば状況次第で医療費の補助を受けることができます。
グルカゴンの作用
グルカゴンは、正常時には血糖値が低下したときに膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンです。
グルカゴンは肝臓を刺激して、貯蔵された炭水化物を分解して血液中のグルコースを増加させるように促します。
グルカゴノーマの特徴的な症状
症状は糖尿病によるものに似ていて、具体的には喉の渇きや体重減少、排尿の増加などがみられます。
グルカゴノーマによる発疹
最も顕著な臨床的特徴は四肢の慢性発疹で、90%の患者さんで慢性的な赤褐色の発疹が見られます。
グルカゴノーマと壊死性遊走性紅斑
強い痒みと表皮壊死を伴う、剥脱性紅斑性病変は壊死性遊走性紅斑と呼ばれていて、鼠径(そけい)部から始まって殿部、前腕、手、足、脚へと移動します。
さらに、滑らかで光沢のある朱色の舌と口唇炎という非常に際立った特徴がみられます。
グルカゴノーマの診断
グルカゴノーマは臨床症状と血中グルカゴン値の上昇から判断することになります。
血中グルカゴン値で1000pg/mL(正常値:50〜200pg/mL)を超えると、グルカゴノーマと考えられることが多いようです。
腹部CTとそれに続いて超音波内視鏡検査を行い、CT検査で判明しない場合にはMRI検査またはPET検査を行うこともあります。
腫瘍本体の位置を、血管造影、CT、MRI、PET、超音波内視鏡検査等の画像で特定します。
と、いうわけで確定診断のために実施する検査をまとめるとこんな感じ。
- 血液検査:グルカゴンや血糖の値を測定する
- 画像検査:下記検査にて腫瘍の有無や位置を確認する
- 腹部超音波検査
- 腹部CT・MRI検査
- 超音波内視鏡検査
グルカゴノーマの治療
治療の第一選択は、外科的切除です。
腫瘍の切除により全ての症状が軽減・もしくは治癒することも期待できますが、根治的切除が行えるのは30 %前後とも言われています。
根治的な手術ができない場合にも、グルカゴン分泌量の減少を目的に可及的な切除術を行います。切除不能病変には薬物療法を行います。
ストレプトゾシン〈ザノサー点滴静注〉
添付文書から、かんたんにご紹介。
ストレプトゾシンはニトロソウレア系薬剤であり、DNAをアルキル化し鎖間架橋を形成し、DNA合成を阻害することにより殺細胞作用を示すと考えられている薬剤です。
ドキソルビシン〈アドリアシン注〉
腫瘍細胞のDNAとcomplexを形成することによって、DNA polymerase反応、RNA polymerase反応を阻害し、DNA、RNAの双方の生合成を抑制することによって抗腫瘍効果を示す薬剤です。
切除不能例、転移例、および再発例については、ストレプトゾシン〈ザノサー〉とドキソルビシン〈アドリアシン〉の併用により治療します。
薬物療法により、グルカゴンの血中濃度が低下し、症状を軽減することが可能となります。
新しい治療
グルカゴノーマを対象に検討されている新規の化学療法として、テモゾロミドをベースとするレジメン、エベロリムス、スニチニブなどがある。
グルカゴン産生抑制
オクトレオチドを注射することで、グルカゴン産生が部分的に抑制され、紅斑の軽減・食欲不振と体重減少を迅速に回復させる効果が期待できる。
しかし、オクトレオチドはインスリン分泌を低下させる作用もあるため、耐糖能も低下することがある。
これらの治療は腫瘍消失を目的とするものではなく、症状の進行を抑えることを目的としている。
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グルカゴノーマに対する他薬物治療
紅斑の治療に対して、亜鉛の服用、軟膏塗布、または静脈内投与が行われることがあります。発疹はアミノ酸や脂肪酸の静脈内投与で治療を行うこともあります。
グルカゴノーマ治療まとめ
- 第一選択は外科的切除
- 外科的切除不可の場合に化学療法
- 他薬物療法も行う
今回はこんな感じですねー
「インスリノーマ」と「グルカゴノーマ」。
どうせ学ぶなら一緒に学んじゃいましょう。
ではではーしぐでしたっ
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