ビスラーゼ注射液10mg・20mgが限定出荷へ|2027年6月に在庫消尽予定、薬剤師が確認したい対応

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青い背景に置かれた黄色い薬液入りのアンプルを表すイメージ

こんばんは、薬剤師のしぐです。

「まだ在庫があるなら、少し先の話かな」。供給に関するお知らせを読んで、そう感じることはないでしょうか。毎日の業務で限定出荷や欠品の連絡が続くと、目の前の処方への対応だけで精いっぱいになりがちです。しかし、今回のビスラーゼ注射液については、在庫が残っている今の段階から、次の治療につなぐ準備が必要です。

トーアエイヨーは2026年10月28日、ビスラーゼ注射液10mg・20mgについて、新規注文の辞退と限定出荷を案内しました。対象は10mgの1mL×50管と、20mgの2mL×50管です。両規格とも同社保有在庫の消尽予定は2027年6月とされています。

今回押さえておきたいのは、限定出荷に加えて、保有在庫がなくなり次第、供給停止へ移ること、さらに現時点では停止後の再開の目処が立っていないことです。この記事では、メーカー公表資料で確認できる内容と、それを踏まえた薬剤師の実務上の考え方を分けて整理します。

今回の供給情報を先に確認

確認項目公表内容
対象製品ビスラーゼ注射液10mg・20mg
対象包装10mg:1mL×50管/20mg:2mL×50管
現在の対応新規注文辞退、既採用施設を優先した限定出荷(出荷数割当運用)
理由製造委託先での製造継続が困難となり、供給継続の見通しが立たないため
在庫消尽予定両規格とも2027年6月
在庫消尽後供給停止へ移行
供給再開現時点で目処なし

在庫消尽予定は、メーカーが保有する在庫についての見込みです。「2027年6月までは、どの施設でも必要量を購入できる」という保証ではありません。出荷数を割り当てる運用になるため、自施設への納入状況や卸の在庫は個別に確認する必要があります。また、メーカーの在庫消尽予定と、医療機関の手持ち在庫がなくなる時期は同じではありません。

なぜ限定出荷から供給停止に進むのか

メーカーは、製造委託先で製造を続けることが困難となり、今後の供給継続を見通せない状況を理由に挙げています。既に採用している医療機関への供給を優先するため、新規注文を辞退し、特約店に対して出荷数を割り当てる方針です。

公表資料で示されている現在の分類は、出荷量が「B:出荷量減少」、対応状況が「②限定出荷(自社の事情)」です。在庫消尽後は、それぞれ「C:出荷停止」「⑤供給停止」に移ります。今ある在庫をどのように届けるかという対応と、その先の供給をどうするかという問題が、同時に示されたお知らせといえます。

一方、製造継続が難しくなった具体的な設備事情や、製造移管に関する詳細までは、この案内には記載されていません。品質不良や回収が理由だと読み替えることはできません。また、供給停止後の再開の目処がないことと、正式な販売中止や薬価削除の日程が決定したことも分けて受け止める必要があります。今回の資料にない日程を推測して伝えないことが大切です。

ビスラーゼ注射液はどのような薬か

ビスラーゼ注射液は、リボフラビンリン酸エステルナトリウムを有効成分とするビタミンB2製剤です。電子添文では、10mg製剤は1管1mL中、20mg製剤は1管2mL中に、リボフラビンとしてそれぞれ10mg、20mgを含むとされています。

ビタミンB2が不足している場合の予防・治療や、必要量が増えて食事からの摂取で足りない場合の補給などに用いられます。口角炎や口唇炎などについても適応がありますが、ビタミンB2の欠乏または代謝障害の関与が推定される場合という条件があります。症状名だけを見て、すべての患者に同じように使う薬と捉えないようにしたいところです。

供給停止への対応を考える際には、まず「その患者さんに、どのような目的で使われているか」を確認することが出発点になります。単に同じビタミンを補充すればよいのか、注射という投与経路が必要なのか、ほかの栄養管理や治療内容とどう関係しているのか。背景を整理することで、処方医への相談内容も具体的になります。

アンプルと空いた収納スペースによる医薬品在庫確認のイメージ

対象規格・包装と在庫消尽予定

製品名対象包装統一商品コード在庫消尽予定
ビスラーゼ注射液10mg1mL×50管1421321192027年6月
ビスラーゼ注射液20mg2mL×50管1421322182027年6月

発注時には、製品名と規格に加えて包装単位まで確認したいところです。過去のお知らせや古い採用品目一覧と、今回の対象を混同すると、既に扱っていない包装の情報を追ってしまうことがあります。今回の案内で対象として示されているのは、上表の各50管包装です。

また、2027年6月という予定を院内の切替期限として、そのまま置くのも避けたい対応です。実際には採用の検討、処方医との協議、発注先の確認、オーダーの変更などに時間がかかる場合があります。自施設の在庫量と使用量から必要な準備期間を考え、余裕を持って検討を始めることが重要です。

10mgには代替品の案内、20mgには代替品なし

今回の通知では、ビスラーゼ注射液10mgの代替品として、コーアイセイの「ビタミンB2注1%『イセイ』」1mL×50管が記載されています。一方、ビスラーゼ注射液20mgについては、代替品はないとされています。

規格メーカー通知での代替品の扱い
10mgビタミンB2注1%「イセイ」1mL×50管を案内
20mg代替品なしと記載
ホスフラン注-5mg・10mg・20mg代替品としての了承は得られていないと明記

代替品として名前が記載されていることと、今後の需要増加を含めて、どの施設にも必要量が届くことは別の話です。ビタミンB2注1%「イセイ」を候補にする場合も、最新の供給状況、取引卸からの納入可否、施設として必要な数量を確認したうえで検討を進める必要があります。本記事は同製品の現在の入手可能性を保証するものではありません。

20mgについては、10mg製剤を使えばそのまま解決すると決めつけないことが大切です。含量を合わせる考え方だけでは、必要な管数、実際の供給量、調製や投与の運用まで整理できません。別規格の使用を検討する場合は、処方内容と患者背景を確認し、処方医と協議して決定します。薬剤師の判断だけで機械的に置き換えるものではありません。

また、メーカーは他のビタミン製剤や、同様の効能・効果を持つ薬剤への切替も検討するよう求めています。ただし「ビタミン製剤だから同じ」「同じmg数なら同等」とは限りません。成分、適応、投与経路、用量などを候補ごとに確認する必要があります。特にホスフランについては、代替品としての了承が得られていないとの記載があるため、メーカーが推奨した代替先であるかのように紹介するのは避けましょう。

大きさの異なるアンプルと虫眼鏡による製剤確認のイメージ

薬剤師が今から進めたい5つの確認

1.採用と使用実態を把握する

最初に確認したいのは、自施設での採用の有無と実際の使用状況です。規格別の在庫数、直近の使用量、継続して使用している患者の有無を整理します。採用品目一覧に残っていても最近は使っていない場合と、一定数を継続使用している場合では、対応の優先順位が変わります。

使用量は、発注した箱数だけで判断せず、できれば投与に使った管数でも確認すると、規格別の状況を共有しやすくなります。もっとも、過去の平均使用量は将来の必要量を保証しません。予定されている治療や患者の状況も踏まえて、薬剤部門と診療側で確認することが大切です。

2.卸に納入見込みを確認する

次に、既存の取引卸へ、現在の納入状況と今後の見込みを確認します。今回の限定出荷は出荷数割当運用であり、通常時と同じ発注をしても、同じ数量が届くとは限りません。メーカーの在庫消尽予定だけでなく、自施設がいつ、どの程度受け取れる見込みなのかを知る必要があります。

確認した情報には、確認日と情報源を残しておきます。「以前は入った」という経験が、次の発注にも当てはまるとは限らないためです。過剰な確保を前提にするのではなく、通常使用量や実際の治療予定を示しながら、必要な量と継続可能性を相談する姿勢が求められます。

3.処方医と治療目的を共有する

代替製品の名前を探す前に、投与の目的、投与経路の必要性、治療期間を処方医と確認します。継続が必要な患者さんについては、供給停止が現実になる前に次の方針を共有しておきたいところです。現在の投与を見直す場合も、単に在庫が少ないという理由だけで結論を出さず、患者さんの状態を踏まえて判断します。

経口薬への変更が検討される場面もあり得ますが、飲めるかどうかだけでなく、吸収の問題や治療上の必要性なども関係します。すべての患者さんで注射から内服に切り替えられるわけではありません。供給情報をきっかけに、治療上必要な条件を改めて確認することが、適切な選択肢につながります。

4.切替時の処方・調製・投与を確認する

切替先が決まったら、電子添文に基づいて、成分、含量、投与量、投与経路、添加剤、取扱いを確認します。注射薬では、処方の入力だけが変われば終わりというわけではありません。採用登録やオーダー名称、取りそろえ、調製、投与時の確認まで、関係する業務を見渡す必要があります。

規格や必要管数が変わる場合には、医師、薬剤師、看護師の間で認識をそろえておくことが重要です。現行品と切替後の製品が並行して存在する期間も想定し、取り違えを防ぐ表示や保管方法を施設の運用に沿って検討します。変更内容は「薬が変わる」だけでなく、現場で何を確認すべきかまで伝えると共有しやすくなります。

5.患者説明と情報更新の担当を決める

患者さんにとっては、メーカーの製造体制よりも「これからの治療はどうなるのか」が気になる点です。説明するときは、供給が難しくなる予定であることと、必要な治療を続けるために医療機関側で検討していることを、分かる範囲で具体的に伝えます。切替がまだ決まっていない段階で、変更後の効果や入手を約束する説明は避けたいところです。

また、供給状況の確認を一度で終わらせず、誰が情報を更新し、どこに記録するかを決めておくと対応が続きます。担当者だけが把握していると、休みの日や異動時に情報が途切れることがあります。院内掲示、共有フォルダ、採用品目管理など、日常的に確認する場所にまとめておくことが実務上役立ちます。

患者さんへの説明は、治療の見通しと一緒に

例えば、まだ切替の検討段階なら、次のような説明が考えられます。

「この注射薬は、製造の事情で今後の供給が難しくなると案内されています。現在の治療の目的を確認しながら、必要に応じて別のお薬や投与方法を先生と検討します。変更が必要になった場合は、内容が決まり次第ご説明しますので、気になることがあればお知らせください。」

これは一般的な説明例です。実際には、その患者さんの治療内容と、自施設で決まっている方針に合わせて調整します。既に変更先や変更時期が決まっているなら、その内容を伝える方が安心につながります。反対に、施設として確認していないことまで「問題ありません」と言い切るのは避けたい対応です。

ビタミンという言葉から、患者さんが市販薬やサプリメントで補えると考える可能性もあります。しかし、今回使用している注射薬の目的と、個人で購入する製品の役割が同じとは限りません。変更を希望する場合は、使用目的を医師・薬剤師と確認してから相談してもらうことが大切です。

ノートとカレンダーとアンプルによる治療継続準備のイメージ

薬局薬剤師として感じる、供給情報の先にある仕事

注射薬の供給情報は、調剤薬局では直接の発注につながらない場合もあります。それでも、患者さんから「病院でいつもの注射が変わると言われた」と相談されたとき、背景を把握していることには意味があります。処方変更の理由が、病状の変化なのか、供給の事情なのかによって、患者さんの受け止め方が変わるからです。

薬局側から治療変更を決めることはできませんが、お薬手帳や受診時の説明を確認し、患者さんが何を不安に感じているのかを整理することはできます。必要に応じて医療機関へ確認し、分かったことを分かりやすく伝える。その積み重ねが、供給の事情で生まれる戸惑いを小さくする助けになります。

今回の案内には、2027年6月という予定が示されています。その日付を見て待つのではなく、今の使用状況と今後の選択肢を考えるための時間として捉えたいところです。薬を確保する視点に加え、治療をどうつなぐかという視点を持つことが、薬剤師の役割だと考えます。

よくある質問

Q1.ビスラーゼ注射液は、すぐに供給停止になるのですか?

今回の案内は、新規注文辞退と限定出荷を実施し、メーカー保有在庫がなくなった段階で供給停止に移るという内容です。両規格とも在庫消尽予定は2027年6月ですが、それまで各施設に必要量が届くことを保証する日付ではありません。

Q2.供給が再開する予定はありますか?

2026年10月28日に公表された資料では、供給停止後の再開の目処は立っていないとされています。その後の変更は、メーカーの医療関係者向けサイトなどで確認する必要があります。

Q3.10mgの代替品は何ですか?

メーカーは「ビタミンB2注1%『イセイ』」1mL×50管を案内しています。採用や切替にあたっては、最新の供給状況、納入可否、電子添文、患者背景を確認します。

Q4.20mgの代替品や、ホスフランへの切替はどう考えますか?

通知では20mgの代替品はないとされ、ホスフラン注-5mg・10mg・20mgも代替品としての了承は得られていないと明記されています。別の製剤を検討する場合は、成分や適応、投与経路などを確認し、処方医と協議します。

Q5.患者側で内服薬やサプリメントに変更してよいですか?

自己判断で置き換えず、注射が使われている目的と、変更の可否を医師・薬剤師に確認してください。供給情報だけを理由に、予定されている治療を自己判断で変更することは避けましょう。

今のうちに、必要な治療をつなぐ準備を

ビスラーゼ注射液10mg・20mgは、各50管包装が限定出荷の対象となり、メーカー保有在庫の消尽後に供給停止へ移る予定です。両規格とも在庫消尽予定は2027年6月で、停止後の再開の目処は立っていません。

10mgにはメーカーが案内する代替品がありますが、20mgには代替品がないとされています。まずは規格別の使用状況と納入見込みを確認し、処方医と治療目的を共有することが大切です。供給情報を在庫の話だけで終わらせず、患者さんの治療と説明につなげていきたいと思います。

出典・確認先

※本記事は2026年10月29日時点で確認した情報に基づきます。メーカーの公表内容と、薬剤師としての実務上の考察を併記しています。個別の採用・処方変更は、最新資料と患者背景を確認して判断してください。

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