デルモゾールGクリームが自主回収|対象は5AY10、異物混入で薬局が確認したいこと

こんにちは、薬剤師のしぐです。
岩城製薬の「デルモゾールGクリーム」で、自主回収のお知らせが出ています。
毎日の調剤で扱う塗り薬だけに、「薬局の在庫は対象?」「すでにお渡しした患者さんにはどう対応する?」と気になるニュースです。
今回、最初に押さえたいのは、回収対象が5g×50包装の製造番号「5AY10」であること。製品名だけで判断せず、包装とロットを照合する必要があります。
重篤な健康被害が生じる可能性はまず考えられないと説明され、この事象による健康被害も現時点で報告されていません。ただし、対象品は回収されます。「健康被害の報告がない」という説明と、対象品の回収対応は、どちらも大切です。
今回は、回収の内容と、患者さんへの説明、薬局での確認ポイントを整理します。
自主回収の対象を一覧で確認
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売名 | デルモゾールGクリーム |
| 対象包装 | 5g×50 |
| 対象ロット・製造番号 | 5AY10 |
| 使用期限 | 2028年9月 |
| 回収区分 | クラスⅡ |
| 回収開始日 | 2026年10月5日 |
| 対象数量 | 1,052箱 |
| メーカーからの出荷期間 | 2026年5月14日~9月3日 |
| 製造販売元 | 岩城製薬株式会社 |
出荷期間は、メーカーから出荷された期間です。薬局での納品日や患者さんへの交付日と同じとは限りません。交付履歴を調べるときは、この期間だけに絞って終わらせず、実際の納品・在庫の動きを確認します。

また、「5g×50」は販売包装の情報です。患者さんに5gのチューブを1本だけお渡ししていても、元の箱が対象包装・対象ロットであれば確認が必要になります。
回収理由は微細なポリウレタン片の混入
医療機関から、製品内に異物が見られたとの品質情報が寄せられました。
調査の結果、異物は微細な樹脂片、具体的にはポリウレタンで、チューブへの薬剤充填作業中に混入したことが分かっています。
メーカーは偶発的に生じた事象と考えていますが、ほかのチューブにも混入している可能性を完全には否定できないため、該当ロットを自主回収することになりました。
ここで気をつけたいのは、見た目で異物が見つからなかったからといって、対象ロットをそのまま使えると判断しないことです。今回の回収は、異物を見つけたチューブだけを選び出す対応ではありません。
クラスⅡとは?「回収」と聞いて慌てる前に
医薬品の回収は、健康への影響に応じてクラスⅠ~Ⅲに区分されます。
クラスⅡは、一時的・医学的に治癒可能な健康被害につながる可能性がある場合、または重篤な健康被害のおそれはまず考えられない場合に該当する区分です。
今回の公表内容では、重篤な健康被害の可能性はまず考えられないとされ、これまでに本事象に起因する健康被害は報告されていません。
薬局で説明するときは、「危険な薬が出回った」とひとまとめにするより、何が起きたか、どの製品が対象か、今どう対応するかを順番に伝える方が、患者さんも状況を理解しやすいですよね。
一方で、「心配ないので使い続けてください」と案内するのも適切ではありません。対象品は回収の案内に沿って対応します。
医薬品の品質情報が出たときも、製品によって回収や使用に関する対応は異なります。セルトラリンのニトロソアミン検出では、回収を行わないという案内が出ています。

手元にデルモゾールGクリームがある患者さんへ
まず、調剤を受けた薬局へ連絡し、お手元の薬が回収対象に当たるか確認してください。
チューブに表示された製造番号が読める場合は、その番号を伝えると確認が進めやすくなります。表示が分からない場合は、チューブや薬袋、お薬手帳を用意して相談しましょう。
対象ロットだと分かった場合は、その製品の使用をいったん控え、交換・回収と治療を続ける方法を薬局や処方医に相談するという対応をおすすめします。これは本記事での実務上の提案です。公表内容だけから、すべての患者さんに一律の受診や検査が必要とされているわけではありません。
薬は自己判断で捨てずに保管してください。実物があると、対象確認や回収対応に役立ちます。
すでに使っていた場合も、まずは落ち着いて相談を。塗布した部位に新たな赤み、かゆみ、刺激感などが出ている場合は、使用した薬と症状、出現した時期を医師・薬剤師に伝えてください。
薬局での対応は「棚を確認」で終わらせない

以下は、今回の回収情報を踏まえた薬局実務上の提案です。返品や患者さんへの具体的な対応は、メーカー・取引卸の案内と薬局の手順に沿って進めます。
1.対象在庫を見つけて、調剤から外す
外箱だけでなく、開封済みの箱、調剤台のチューブ、予備在庫、取り置き分も確認します。
対象品は通常在庫と分け、誤って交付しない状態にしておきます。返品数量と確認日、対応者を記録しておくと、その後の引き取りや照合がスムーズです。
2.交付した可能性がある患者さんを確認する
納品履歴、調剤履歴、在庫の回転を照らし合わせ、対象品をお渡しした可能性のある期間を確認します。
同じ品名の在庫が複数ロット混在していた場合、調剤日だけでロットを断定するのは難しいことがあります。「該当する」「対象外」「判断できない」を分け、分からない部分は卸・メーカーにも確認します。
患者さんに連絡した場合は、対象確認の結果だけでなく、手元に薬が残っているか、使用中か、症状があるか、交換・回収の案内まで記録しておきたいところです。
3.小分け・混合調剤した分も追跡する
チューブのままお渡しするケースだけとは限りません。軟膏容器へ小分けしたり、ほかの外用剤と混合したりしている薬局もあると思います。
その場合、患者さんの容器には元のロットが残りません。使用したチューブの記録、調製記録、作業日などから、対象品を使った可能性を確認します。
混合すれば異物の問題が解消するわけではありません。対象ロットを使った混合薬がある場合は、回収・交換の扱いをメーカーへ確認し、必要に応じて処方医とも治療継続を相談します。
今回を機に、外用剤でも「どの製品・どのロットを使ったか」が追える記録になっているか、見直しておく価値があります。
代替を考えるときは、成分と剤形をセットで確認
デルモゾールGクリームは、ベタメタゾン吉草酸エステルとゲンタマイシン硫酸塩を配合した外用剤です。
1g中に、ベタメタゾン吉草酸エステル1.2mg、ゲンタマイシン硫酸塩1mg(力価)を含みます。炎症を抑えるステロイド成分と、抗菌薬成分を組み合わせた薬です。
代替を検討するときは、単に「ステロイドの塗り薬」として選ぶと、抗菌薬成分の有無を見落とす可能性があります。
| 確認すること | 薬局でのポイント |
|---|---|
| 配合成分 | ステロイドと抗菌薬の両方を確認 |
| 含量 | 同じ成分名でも濃度まで確認 |
| 剤形 | クリーム・軟膏・ローションを区別 |
| 処方上の条件 | 変更の可否や処方医への確認を判断 |
| 入手可能性 | 取引卸に現在の供給状況を確認 |
| 患者さんの使い方 | 塗布部位、残量、混合薬の使用も確認 |
同じ成分でも、剤形が変わると使用感が変わります。交換の説明では「別の薬をお渡しします」だけで終わらず、塗り方や患者さんが感じる違いも確認したいですね。
軟膏・ローションも回収される?
今回公表されている対象は、デルモゾールGクリームの5g×50、ロット5AY10です。
この回収情報を、そのまま軟膏やローション、ほかのロットへ広げて解釈することはできません。
また、特定ロットの自主回収と、製品全体の販売中止・供給停止は別の情報です。今後の入荷については、最新の供給案内や取引卸への確認が必要になります。
医薬品の販売中止と自主回収では、患者さんへの説明や在庫の扱いも異なります。販売中止の事例は、クラリチン レディタブの記事でも整理しています。

しぐの視点:塗り薬も「お渡しした後」を追えることが大切
回収のお知らせを受け取ると、まず在庫の箱を探します。もちろん、そこが最初の一歩です。
でも薬局で大切なのは、対象品が棚に残っているかだけではなく、すでにお渡しした薬や、混合した薬まで確認できるかだと思います。
塗り薬は残量が見えにくく、患者さんが以前のチューブを自宅に保管していることもあります。「最近処方されていないから関係ない」と決めつけず、手元に残っている薬まで確認したいところです。
今回の結論は、包装とロットを照合し、対象品の回収対応と治療継続の相談を進めること。必要以上に不安を広げず、必要な対応を確実に進める。そのための確認と説明が、薬局の役割ですね。

よくある質問
Q.デルモゾールGクリームは全部回収ですか?
今回の対象は5g×50包装のロット5AY10です。ほかのロットまで一律に回収する内容ではありません。
Q.5gのチューブを1本だけもらいました。関係ありますか?
元の販売包装が対象であれば、1本単位で交付された薬も確認が必要です。調剤を受けた薬局へ製造番号を伝えて相談してください。
Q.異物が見えなければ使ってもよいですか?
見た目だけで対象外にはできません。対象ロットの場合は回収の案内に沿って対応するため、薬局へ相談してください。
Q.すでに塗ってしまいました。健康被害が心配です。
現時点でこの事象による健康被害は報告されていません。症状がある場合や不安がある場合は、使用した製品と状況を医師・薬剤師へ伝えてください。
Q.混合された塗り薬では、ロットが分かりません。
調剤した薬局へ確認を依頼してください。調製記録などから対象品を使った可能性を調べ、必要な対応を相談します。
Q.対象品は捨てればよいですか?
自己判断で廃棄せず保管し、調剤した薬局へ相談してください。実物が対象確認や回収対応に役立ちます。

コメント