保険薬局の集団指導資料が2026年度版に更新

こんばんは、薬剤師のしぐです。
厚生労働省の集団指導用資料「保険調剤の理解のために」が令和8年度版になりました。関東信越厚生局も管内向けの令和8年度版を公開しています。改定項目の点数だけでなく、処方箋を受けてから請求するまでの基本動作を、薬局全体で見直す機会です。
実は、わたくししぐの薬局も、今年か、来年か、、、それなりの1枚単価があり、もう5年以上個別指導が来ておりませんので、ビクビクしております。
さて、資料は令和8年度当初の内容に基づいて作成されています。以後の疑義解釈や通知を反映した最終判断は、算定時点の取扱いで確認してください。以下は2026年9月時点で公開されている資料を踏まえた実務整理です。
集団指導資料はどこで見られる?
厚労省の「保険調剤の理解のために(令和8年度)」は、医療保険制度、保険薬局と保険薬剤師の責務、処方箋・調剤録、調剤報酬、掲示や届出、指導・監査までを一冊で扱っています。関東信越厚生局のページには管内向け資料も掲載されています。まず自局を管轄する厚生局の版を確認し、算定要件の詳細は最新の通知・疑義解釈と照らし合わせるのがよいでしょう。
集団指導は、新規指定・指定更新・保険薬剤師の新規登録・報酬改定時などに行われる講習方式の指導です。集団的個別指導や個別指導とは対象や進め方が異なります。資料の公開を「自局が個別指導の対象になった」という意味で受け取る必要はありません。
まず処方箋の確認と疑義照会を点検

受付時には有効期間、薬品名・規格、用法・用量、投与日数、重複、禁忌や相互作用、承認内容との整合性を確認します。資料には、規格や用法の欠落、「医師の指示どおり」「必要時」だけの記載などを疑義照会せずに調剤した例が不適切例として挙げられています。レセコンの入力が通ることと、処方内容に疑義がないことは同じではありません。
疑義照会をした場合は、何を確認し、医師からどう回答され、最終的にどの内容で調剤したかを追えるようにします。変更調剤や照会の回答は処方箋への記載事項にも含まれます。院外処方を多く扱う薬局では、処方箋・薬歴・レセプト間で内容が食い違わないかも確認したいところです。
現場での確認例:同一成分の重複、腎機能を踏まえた投与量、がん薬物療法に伴う支持療法薬の使い方、併用禁忌、残薬による日数調整などを、処方ごとに必要な範囲で見る。これらは薬局での確認方法の例であり、資料に一律の追加チェック義務として列挙されたものではありません。
薬歴は「聞いたことの羅列」より判断の経過

資料では、アレルギー歴・副作用歴、併用薬、服薬状況、残薬、体調変化、手帳の活用状況、今後の管理上の留意点などを薬剤服用歴等に記録することが示されています。残薬がない場合も、その旨の記載が求められています。
一方、問診内容をすべて長文で転記する必要はありません。指導後速やかに要点を記録し、定型文だけで画一的に済ませず、算定した薬学管理料・加算について根拠と実施内容を簡潔に残すことが重要です。例えば「下痢なし」だけで終えるより、治療開始後の発現時期、食事や服薬への影響、受診を勧めた理由、次回確認する点まで必要に応じて記載すると、次の担当者にも判断がつながります。
オンライン資格確認で得た情報も、利用可能な範囲で患者から聞いた情報や手帳と合わせて評価します。画面上にデータがあるだけで、個々の処方の安全確認が完了したことにはなりません。
2026年度改定項目は「届出・実施・記録」をセットで
令和8年度版の点数表には、地域支援・医薬品供給対応体制加算、バイオ後続品調剤体制加算、電子的調剤情報連携体制整備加算、門前薬局等立地依存減算のほか、調剤時残薬調整加算、薬学的有害事象等防止加算、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算などが掲載されています。名称だけで算定可否を決めず、該当する患者・行為、施設基準、同時算定の可否、記録、届出受理状況を個別に確認しましょう。
特に大学病院前など処方の種類が多い薬局では、残薬調整や有害事象への対応を、単なる点数の確認で終わらせず、患者からの情報収集、処方医への連絡、次回の評価まで業務に落とし込むことが大切です。バイオ後続品についても、備蓄や提供可能な品目、患者への情報提供内容を実態と照らし合わせます。

なお、長期収載品の選定療養では、令和8年度資料が処方箋の「患者希望」欄を取り上げています。該当品目では、処方箋の記載だけを見て説明を省略せず、後発医薬品の選択肢と特別の料金が生じ得ることを患者に説明し、希望を確認する流れを点検します。
掲示・ウェブ掲載、届出も薬局の実態と合わせる

資料は、届出事項や明細書の発行状況などの薬局内掲示、原則としてのウェブ掲載を整理しています。地域支援・医薬品供給対応体制加算、バイオ後続品調剤体制加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料など、実際に届け出ている内容と掲示が一致するか確認しましょう。自ら管理するホームページ等がない場合の例外など、掲載義務の条件も資料で確認してください。
管理薬剤師や保険薬剤師の異動、開設者、名称、所在地などに変更が生じたときの届出も確認項目です。「掲示を以前作ったから大丈夫」ではなく、届出受理状況、薬局の掲示、ウェブサイトの三つを見比べると修正漏れを見つけやすくなります。
請求前は処方箋・調剤録・レセプトを突き合わせる
集団指導資料は、保険薬剤師が処方箋、調剤録、調剤報酬明細書を突合し、適切に請求する重要性を示しています。入力・調製・監査・請求を別の人が担う薬局ほど、疑義照会後の変更や残薬調整が最終請求に反映されているかを確認する手順が必要です。

審査支払機関からの増減通知も、確認後すぐに捨てず、次月以降の請求の点検に生かすことが示されています。個別の査定を担当者だけの経験にせず、原因と再発防止策を共有すると実務改善につながります。
薬局内での見直しはこの順番で
- 管轄厚生局の令和8年度版と、最新の通知・疑義解釈を開く。
- 受付から疑義照会までの手順を、実際の処方箋数件でたどる。
- 薬歴の要点、残薬・副作用の記録、情報提供後の記録を確認する。
- 算定している加算の施設基準、実施内容、届出受理を照合する。
- 薬局内の掲示とウェブ掲載を更新し、請求前の突合方法を共有する。
全項目を一日で読むより、普段の業務で頻度が高い項目から資料の該当箇所を確認する方が取り組みやすいでしょう。薬剤師だけでなく、受付や請求担当者とも処方箋の差し戻し・変更情報の伝達経路を合わせておきたいところです。
よくある質問
令和8年度版に書かれたことは、すべて2026年に新しく始まったルールですか?
いいえ。薬担規則に基づく基本事項や従来からの取扱いも含まれます。資料の更新と制度の新設は分けて読み、具体的な適用日や経過措置は通知で確認します。
集団指導資料だけで算定要件を判断できますか?
資料は全体像をつかむのに便利ですが、年度当初の内容です。算定時点の告示、留意事項通知、施設基準、疑義解釈を確認してください。

薬歴は長く書くほどよいのでしょうか?
長さよりも、患者の状態、薬学的な評価、行った指導や連携、次回の確認点が追えることが大切です。資料は要点の記載を認め、画一的な定型文だけの記載を避けるよう求めています。
自局のホームページがない場合、掲示事項をウェブ掲載しなければなりませんか?
原則としてウェブ掲載が求められる事項がありますが、自ら管理するホームページ等を有しない場合の例外が示されています。薬局内の掲示は別に確認してください。
まとめ
令和8年度版の集団指導資料は、改定点の早見表としてだけでなく、日々の保険調剤を点検する手引きになります。処方箋の疑義を解消し、患者ごとの判断を薬歴に残し、実施した業務と届出・掲示・請求を一致させる。まずは自局で頻度の高い処方と算定項目から確認してみましょう。


コメント