ヒルドイドフォームをジェネリックGEに変更可!?疑義照会は必要か?

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薬剤師のしぐです。

今回は、ここ数年、モヤモヤしたまま業務を行なっていたこの内容。

「ヒルドイドフォームのジェネリックGE変更には疑義照会が必要なのか」

ヒルドイドフォームも、そのジェネリックであるヘパリン類似物質泡状スプレーもどちらも取り扱いのある薬局さんであれば、必ずこの疑問にぶち当たります。

その理由・経緯などなどもまとめてあるので、みてみてください〜

先に、コチラ過去何度かまとめたことのあるジェネリック医薬品について。

そしてコチラ、過去まとめたことのある「ヒルドイドシリーズについて」

それでは、「ヒルドイドフォームのジェネリックGE変更について」まとめていくよ

ヒルドイドフォーム92gをGEの「ヘパリン類似物質泡状スプレー100g」へ

まずはこの結論から。

結論としてヒルドイドフォーム92gをヘパリン類似物質泡状スプレー100gに疑義照会なしにGE変更しても、返戻で戻ってくることはありません!!

ただ、現状という言葉がついてきます。

ヒルドイドフォームの製薬メーカーであるマルホさんや、各GEメーカーさんに確認してみました。その中で得られた情報をまとめるとこんな感じ。

  • 厚生労働省に確認した際、口頭では「変更可」との返答をもらった
  • 保医発0305第12号に含量規格の異なる後発品変更調剤において記載がある
  • 変更可能とする意見もあるが、審査は支払基金の担当者次第

では、1つずつ確認していきます。

厚生労働省からの「変更可」の返答

複数のメーカーさんに確認してみた中で、ほとんどのメーカーさんからの回答は「変更の際は、含量の違いと、製剤的特性を踏まえて処方医への疑義紹介が必要」という内容でした。

そんな中、1社だけこのような回答を行ってくれました。

メーカーさん
メーカーさん

先発医薬品「ヒルドイドフォーム」発売時に、厚生労働省に確認を行い「GE変更調剤可」との返答をいただきました。ただ、その際に口頭での確認のみで、文書ではいただけていないので根拠としての証明ができない状態です。

ふむふむ。

GEメーカーさんとしては、ここは確認しておくべき内容ですからね。厚生労働省にまで確認したんですね、さすが。ただ、口頭での確認のみなので根拠としては少し弱い。ということです。

保医発0305第12号平成24年3月5日に記載のある含量規格違いのGE変更

みなさんはこの保医発0305第12号をみたことがありますか?内容が、コチラ。

保医発0305第12号
平成24年3月5日

地方厚生(支)局医療課長
都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長
都道府県後期高齢者医療主管部(局) 後期高齢者医療主管課(部)長  殿

厚生労働省保険局医療課長

厚生労働省保険局歯科医療管理官

処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について

処方せんに記載された医薬品(以下「処方薬」という。)については、処方せんに銘柄名の記載がなされた場合(以下「銘柄名処方」という。)には、一定の要件の下において、保険薬局において処方医に事前に確認することなく含量違い又は類似する別剤形 の後発医薬品に変更して調剤すること(以下「変更調剤」という。)を認めることとされ、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日 保医発0305第12号)によりその取扱い(以下「従来からの取扱い」という。)を周知してきたところである。

一方で、一般的名称に剤形及び含量を付加した形で処方せんに記載がなされた場合(以下「一般名処方」という。)には、従来より、保険薬局において処方医に事前に確認することなく一般的名称が同一である成分を含有する医薬品を用いて調剤を行ってきたところである。

今般、後発医薬品の使用促進の一環として、処方せんの様式が変更されること及び一 般名処方を推進することとされたことを踏まえ、変更調剤の具体的な方法を下記のとおりとするので、その取扱いに遺漏のないよう保険医療機関、保険薬局、審査支払機関等 に対し、周知徹底を図られたい。

といった内容から始まるこの通知。実際の文書はコチラからどうぞ。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/tuuchi1-4.pdf#search=’保医発+0305+第12号’

この中で「含量規格が異なるもの」は外用薬も当てはまり、ヒルドイドフォーム92gをヘパリン類似物質泡状スプレー100gに変更調剤可能ではないかという解釈なわけですね。

みなさんはどのような解釈をしますか?

薬剤師しぐ的には、、、うーむ。
正直、この文書が出てるのでヒルドイドフォームも変更可だね!!
とは、ならない。

「含量規格が異なる」ものと、「保険請求する際の全量が異なる」ものとでは話が違う気がするんですよね。

最終的に変更の可否を判断するのは支払基金

これまで、いくつか「ヒルドイドフォーム92g」をジェネリック医薬品である「ヘパリン類似物質泡状スプレー100g」に変更調剤できそうな内容をご紹介してきましたが、実際に判断するのは支払基金の担当者さん。

これまで問題なく請求を行えていたとしても、担当者さんが変わって、担当者さんの考え方が変われば即返戻ということも十分ありえます。

もしこのヒルドイドフォーム92gをヘパリン類似物質泡状スプレー100gにジェネリック変更調剤を行うのであれば、しっかりした理由と根拠を説明できるようにしましょう。

ただ、自分の会社の他店舗情報、ジェネリックメーカーさんの持っている情報での範囲内では、このヒルドイドフォーム92gをヘパリン類似物質泡状スプレー100gにGE変更調剤を行なっている店舗で返戻として戻ってきている事例は1件もないようです。

国をあげてジェネリック医薬品の使用促進を行い、医療費削減に励んでいるこの状況で、このGE変更は不可ですなんて水をさすようなこと、なかなかできないですよね。支払基金さん。

ヒルドイドフォームとは

有効成分が「ヘパリン類似物質」のヒルドイドシリーズで1番新しい製剤で、2018.6の発売になります。

ヘパリン類似物質シリーズの中でも「泡状スプレー」に関しては、GE製品の方が早く販売されていました。製剤の伸びの良さや程よいベタつき、程よい保湿効果から先発品の「ヒルドイドフォーム」が遅れて販売されることになるという異例の製剤。

ここでポイントになるのが、「先発品の方が、後発品の発売より後に発売」になった部分。

後発医薬品の製造販売承認を得るにあたって必要な項目に「容量が先発医薬品と同一であること」という項目があります。

今回のように、先発品が後から販売される場合はこの「容量同一」の要件に該当しないので、先発品メーカーは好きな容量での販売が可能。という理由もあり、ヒルドイドフォームは92gでの販売になりました。

うーーむ。GE変更できないよう対策したのでは、、、と勘ぐってしまいますよね。

以下、以前まとめたことのあるヒルドイドフォームについてになります。

↓↓↓↓↓

比較的新しい剤形。伸びがよく、広い範囲に使いやすい。ベタつき、皮膜効果少なめ。

あ、ちなみに「外用スプレー」と「外用泡状スプレー」がありますが、ここの一般名は同じなんです。【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3%で処方が来た場合は、どちらで調剤してもいいってこと。

外用の難しいところですよね。
ローションの乳剤タイプと溶液タイプといいね。

  • ヒルドイド:22.2円/g
  • ヘパリン類似物質:14.7円/g

ヘパリン類似物質外用泡状スプレーの方が先に発売した異例の剤形。

そして、ヘパリン類似物質の方は全て100g/本なのに対して、ヒルドイドフォームは92g/本という、すごく、GE変更できないようにしたのでは!?と疑ってしまう量。

ヒルドイドフォームだけ「ガスタイプ」。他の泡状スプレーは「ノンガスタイプ」です。

それぞれ使用時の注意点が異なるので、一覧にしてみたよ。

フォームスプレー【ガスタイプ】:ヒルドイド

  • 使用時は容器をよく振る
  • 横向き、逆さでの使用はしない
  • 火気の近くでは使用しない
  • 廃棄する際はガス抜きをする

フォームスプレー【ノンガスタイプ】

  • 使用時に容器は振らない
  • 逆さにして使用しない
  • 水で洗わない
  • 初回使用時は、まっすぐ立てて3〜4回空噴霧する

保湿剤は入浴後やシャワーの後、水分が角質に残っているうちに塗布するのが効果的!という考え方が主流なのですが。最近の研究では「入浴直後と一定時間後に塗布した場合の保湿効果に大きな差はない」という報告も出ています。

ヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉について

ヘパリン類似物質はムコ多糖類の一種で、皮膚組織の血流増加や吸湿による角層への水分付与により、血流増加、血行促進作用、抗炎症作用、保湿作用を示します。

これらの作用により、皮脂欠乏症や乾皮症、外傷後の腫脹等に広く使用されます。

ちなみに、なんでヘパリンの類似物質に保湿効果があるのか。ヘパリン類似物質の保湿作用は、角質細胞間脂質のラメラ構造の回復促進、天然保湿因子の増加が関与していると考えられてるみたいです。まあ、難しいので、しっかりした根拠のある保湿効果ってことで。

ヘパリン類似物質製剤〈ヒルドイド〉には、ゲル・クリーム・ローション・フォーム等複数剤形があり、医療用医薬品・一般用医薬品・医薬部外品の外用剤があります。

今回はこんな感じー

これからも、国民の皆様が適切な治療を受けれるように。

国の医療費削減のために。

調剤薬局でもGE変更を推進していきましょう。

と、長くなりましたが要点は「ヒルドイドフォームのGE変更の可否」についてでした。

ではではーしぐでしたっ

コメント

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