薬剤師のしぐです。
先日「アデホスコーワ等ATP製剤の出荷調整」についてまとめました。
今回は反対に、昨年9月から供給停止となっていた「リーバクト配合経口ゼリー」の供給・出荷再開について!
ついに供給再開なんですね。
自分の薬局ではもともと10人くらいかな?服用患者さんがいたのですが、供給停止によりリーバクト配合顆粒への変更を余儀なくされました。
そんなわけで、リーバクトの概要から、供給再開についてまとめていくよ
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーとは
リーバクトは「分岐鎖アミノ酸製剤」に分類されます。
肝硬変と、その合併症に対する治療薬って、結構複雑だったりします。それこそ中規模〜大規模病院でしか治療が行えないんじゃないかなと思うレベル。
この処方みてみてください。
・ラクツロースシロップ
・ポルトラック原末
・ウルソデオキシコール錠100mg
・酸化マグネシウム錠330mg
・ミヤBM錠
・リーバクト配合顆粒
・ネキシウムカプセル20mg
・アミノレバンEN配合散
・フロセミド錠20mg
・サムスカ錠7.5mg
・カナマイシンカプセル250mg
・プロプラノロール錠10mg
・エルカルチンFF錠250mg
コレ全て、肝硬変と、それに関連する合併症に対して処方されるお薬。
なんなら、コレ全て、同時に処方されることもある(、、はず)内容なのです。
紹介しておいてなんですが、「リフキシマ錠200mg」ではなく「カナマイシンカプセル250mg」なあたり、薬剤師しぐのイジワルさを感じますよね〜
この2つで見ると、最近だとほぼほぼ「リフキシマ錠200mg」での処方ですね。9割がた。カナマイシンカプセル250mgの処方は全然みなくなりました。
今後、各薬剤の処方意図についてまとめてみようかな。
さっそくですが、コチラ。プロプラノロール〈インデラル錠〉についてまとめてます。
肝硬変患者にプロプラノロール〈インデラル錠〉。処方理由、しっかりわかりますか??
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの有効成分
- L−イソロイシン
- L−ロイシン
- L−バリン
必須アミノ酸BCAAです。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの適応・効能効果
食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善
効能効果に関連する使用上の注意
次の患者は肝硬変が高度に進行しているため本剤の効果が期待できないので投与しないこと。
- 肝性脳症で昏睡度がIII度以上の患者
- 総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者
- 肝臓での蛋白合成能が著しく低下した患者
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの用法用量
通常、成人に1回1包を1日3回食後経口投与する。
用法用量における注意点
- 本剤は分岐鎖アミノ酸のみからなる製剤で、本剤のみでは必要アミノ酸の全ては満たすことはできないので、本剤使用時には患者の状態に合わせた必要蛋白量(アミノ酸量)及び熱量(1日蛋白量40g以上、1日熱量1000kcal以上)を食事等により摂取すること。特に蛋白制限を行っている患者に用いる場合には、必要最小限の蛋白量及び熱量を確保しないと本剤の効果は期待できないだけでなく、本剤の長期投与により栄養状態の悪化を招くおそれがあるので注意すること。
- 本剤の投与によりBUN又は血中アンモニアの異常が認められる場合、本剤の過剰投与の可能性があるので注意すること。また、長期にわたる過剰投与は栄養状態の悪化のおそれもあるので注意すること。
- 本剤を2ヵ月以上投与しても低アルブミン血症の改善が認められない場合は、他の治療に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの食事による影響
用法用量上は「食後」になっています。
が、正直、食事の影響はほぼありません。
夜食療法「LES:Late Evening Snack」という、エネルギー不足を補う食事療法もあり、寝る前に服用することも多々ありますし。何度もお伝えしている通り3つのアミノ酸が有効成分なので。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの作用機序
このリーバクトの適応。
要するに「低アルブミン血症の改善」ということです。
アルブミンとは
アルブミンとは、血液や筋肉中に分布するタンパク質です。
「浸透圧の保持」や「薬剤やアミノ酸等の運搬」を行う働きがあります。
ほぼほぼ肝臓で生成されるため、肝機能低下により低アルブミン血症になるというわけですね。
低アルブミン血症
肝機能低下によりアルブミンの生成が少なくなると、低アルブミン血症となります。
低アルブミン血症により「浮腫」や「復水」といった症状が見られます。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの特徴
L−イソロイシン 952mg
L−ロイシン 1904mg
L−バリン 1144mg
上記割合で、「体内では合成できない分岐鎖アミノ酸」3種類を含んでいます。
ちなみに、GEになると1包あたりのg数が違ってきたりします。ただ上記成分量は同じなので、保険上・治療上問題ないです。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの副作用
承認時までの調査における420例中、27例(6.4%)に40件の副作用が認められた。主な内訳は、腹部膨満(感)9件(2.1%)、下痢5件(1.2%)、便秘4件(1.0%)等であった。
使用成績調査2,877例中、178例(6.2%)に267件の副作用が認められた。主な内訳は、高アンモニア血症23件(0.8%)、嘔気15件(0.5%)、下痢、BUN上昇各14件(0.5%)、腹痛12件(0.4%)等であった。
市販後臨床試験(長期試験を含む)334例中、41例(12.3%)に63件の副作用が認められた。主な内訳は、腹部膨満(感)13件(3.9%)、便秘9件(2.7%)、下痢5件(1.5%)、そう痒4件(1.2%)、嘔気、嘔吐各3件(0.9%)等であった。
特に気になる副作用等もないですね。
まあ、アミノ酸ですからね。
リーバクト配合顆粒・配合経口ゼリーの薬価
- リーバクト配合顆粒:166.9円/包
- リーバクト配合ゼリー:193.7円/個
リーバクト配合経口ゼリー供給停止について
謹啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は弊社並びに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、弊社製品「リーバクト配合経口ゼリー」(以下、本製品)の供給につきまして、諸般の事由により、生産数不足となったため、在庫が非常に少ない状況に陥り、十分な供給量を確保できなくなり、9 月上旬より出荷できない状況になってしまいました。
つきましては、安定供給の目途がつくまで、弊社からの出荷を停止させていただきます。 大変ご迷惑をお掛けいたすこととなり、深くお詫び申し上げます。 本製品をご採用いただいている先生方には、多大なご迷惑をおかけすることとなり、重ねてお詫び申し上げます。
医療関係者の先生方におかれましては、本製品のご処方を「リーバクトR配合顆粒」への変更につきまして ご検討をお願い申し上げます。
詳細な供給再開などにつきまして、判明しだい改めてご案内申し上げます。 製薬会社としての重要な使命であります医薬品の安定供給が確保できず、医療関係者の先生方、患者様に 多大なご迷惑をお掛けすることとなり、心よりお詫び申し上げます
何卒、事情をご賢察の上、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
という通知が、約1年前に出ていました。
リーバクト配合経口ゼリー供給再開について
拝啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社並びに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年9月より出荷を停止しております「リーバクト配合経口ゼリー」(以下、本製品)につきましては、製薬会社の重要な使命である安定供給を確保できず、本製品を服用されている患者様およびそのご家族の皆様、並びに医療関係の先生方に多大なるご迷惑をお掛けしており、心より深くお詫び申し上げます。
現在、一刻も早く本製品を再び患者様にお届けできるよう、本製品の生産および供給再開に向け、全社をあげて取り組んでおります。その現場につきましてご報告申し上げます。
- 製造ラインの汚染解消
製造ラインにおいて、全ての菌汚染箇所を確認し徹底した洗浄と殺菌を実施した結果、菌の検出を認めない状況まで回復した。 - 生産および供給再開に向けた今後の対応
1月中旬より精製水による製造ラインの通水テストを実施した結果、製造ライン各箇所およびラインを通した水からは菌は検出されず、菌の検出を認めない状態が維持されていることを確認しました。
その後、2月より実際の原料を用いた試作製造を繰り返し実施し、問題がないことが確認されたことから、菌汚染トラブルの原因調査結果および対策、再発防止策と合わせて管轄都道府県に報告いたしました。その結果、製造再開の許可をいただきましたので、5月より製造を再開いたします。
なお、供給再開につきましては、安定的に生産を行い必要な在庫が確保できた後、9月を目処としております。時期が明確になりましたら再度ご案内申し上げます。
なお、出荷停止に至りました経緯および生産、供給再開に向けた対応、また、今後の再発防止策の詳細につきましては弊社ホームページに掲載しております。ご不明な点がございましたら弊社くすり相談室にお問い合わせ頂けますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
【お問い合わせ先:EAファーマ株式会社 くすり相談室】
フリーダイヤル:0120-917-719(平日9:00〜18:00、土日祝9:00〜17:00)
今回、この通知が出ました。
いやー、よかったよかった。
ちなみにリーバクト配合顆粒。飲んでみたことありますか?
正直、そんなに飲みにくくはない製剤です。
でもずっと服用してると飽きてきますからね。こうやってゼリーなんかもおりまぜて、しっかりコンプライアンス守ってもらいたいです。
今回はこんな感じ。
最初の方に紹介した、肝硬変関連合併症の治療・予防薬。今後少しずつまとめて、随時更新していきます!
関連しそうな内容のもの、貼っておきます。
ではではーしぐでしたっ
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