薬剤師のしぐです。
今回はついに流行が始まってきているノロウイルスについてです。
小児科や小児夜間診療ではなかなか待合室がてんやわんな状況になっちゃいますよね、、、。
ではでは、ノロウイルスの概要から胃腸炎症状に治療薬、予防方法や消毒方法なんかもまとめるよ。
ノロウイルスとは
冬場に流行する、激しい下痢や嘔吐を引き起こす感染性胃腸炎のひとつで、その原因ウイルスの1つがノロウイルスです。
粒子の直径が30nm程度の1本鎖RNAウイルスで、1つの構造タンパク質から構成されるという単純な構造をしています。構造が単純な分、外部環境でも非常に安定で強い感染力を持ってます。ってな感じの情報は結構マニアックなとこなので、ざっとこれだけにしときます。
意外と(?)自分はこういったDNAやらRNAやらの話好きなんです。
今回のまとめの後に、これ関連の余談書きますのでよかったらそこまでお付き合い下さい。
重症急性胃腸炎に占める割合は10〜20%と言われていて、感染症法では5類感染症に分類されています。
ノロウイルスの特徴
感染力が強い
ノロウイルスは非常に感染力が強く、10〜100個程度の生きたウイルスで感染し、嘔吐や下痢などを発症します。わずかなウイルス量で多くの人が感染します。
保育園や学校、高齢者施設など集団生活をする施設ではしばしば大規模な集団感染が発生します。
糞便や嘔吐物に大量に含まれる
ノロウイルスに感染した急性期の患者の糞便1g中に1億個以上、嘔吐物1g中に100万個以上という大量のウイルスが存在することがあります。
感染しても症状が出ないこともある(不顕性感染)
ノロウイルスに感染しても下痢や嘔吐などの症状が出ない場合もあります。
この場合、知らない間にウイルスを排出し、感染を引き起こしていることも考えられます。
流行期には、症状がなくても手洗いなどの衛生管理には十分気をつけましょう。
ウイルスの排泄が長期化する
下痢や嘔吐の症状が消失した後でも、通常1週間から10日、長くて1ヶ月近く少量のウイルスを排出していることがあります。
症状がなくなっても手洗いなどの衛生管理には十分気をつけましょう。
ノロウイルス胃腸炎の症状
秋の終わりから流行が始まり、年明けくらいにピークを迎えます。
24〜48時間の潜伏期間ののち、突然の嘔吐、下痢、腹痛などを主症状とする急性胃腸炎です。微熱程度ですが、発熱を伴うこともあります。こういった症状が3〜4日続き、治癒へ向かいます。
特に嘔吐は突然、強烈に起こるため、容器やトイレの準備もできず身の周りや衣服を汚してしまうことがあります。
全ての年齢層で認められ、乳幼児や高齢者が発症した際には脱水や嘔吐物を軌道につまらせることでの窒息に注意が必要です。
と、いうわけでノロウイルス胃腸炎の症状まとめ!
- 潜伏期間は24〜48時間
- 突然の激しい嘔吐
- 嘔吐、下痢、腹痛が主症状
- 微熱ではあるが、発熱することもある
ノロウイルスの治療・対処法
ノロウイルスに特効薬はありません。下痢と嘔吐からくる最も重要な合併症である脱水症状に対し、経口補液あるいは経静脈輸液などで水分や電解質を補給することが大切です。特に小さいお子さんや高齢者では注意が必要です。
制吐剤や整腸剤投与などの対症療法も一般的です。下痢が長引く場合には止痢剤を投与する場合もありますが、イレウスといった腸閉塞など副作用のリスクもあるため、発症当初から用いるべきではありません。
ノロウイルスへの感染経路
ノロウイルスの感染経路は、糞口経路でヒトからヒトへ伝播します。汚染された食品や水を介しても伝播し、さらにエアロゾル化された唾液や嘔吐物からも伝播すると言われています。
経口感染
ノロウイルスに汚染された食品や飲料水を摂取することで感染します。食品や飲料水が既に汚染されている場合と、口に入れるときに汚れた手指で触れることによって感染が生じる場合があります。
最近では調理者などがノロウイルスに汚染された手指で食材を触ることによって、サラダやパンなど貝類とは関係ない食材による集団食中毒も報告されています。
接触感染
接触感染とは、ノロウイルスで汚染された手指、衣服、物品等を触ることによって感染する場合をいいます。この場合も最終的には接触後汚染された手指や物品を口に入れる又は唇に触れる、舐めることにより、ノロウイルスが口の中に入ってしまい、感染します。
飛沫感染
ノロウイルスに感染している患者の嘔吐物や下痢便が床などに飛び散り、周囲にいてその飛沫を吸い込むことによって感染する場合のことです。嘔吐物や下痢便を不用意に始末した場合にも飛沫は発生しますので、汚物の処理には十分気をつける必要があります。
空気感染
ウイルスを含んだ嘔吐物や下痢便が乾燥すると、ノロウイルスは容易に風に乗って舞い上がります。近くを通った人が吸い込んだり、その人の体に付着して、最終的には口の中にウイルスが入り、飲み込むことによって感染します。締め切った部屋、エアコン、扇風機の使用により感染が拡大することもあります。
ノロウイルス感染予防について
ウイルス性胃腸炎の主な感染経路は接触感染や飛沫感染といった「糞口経路」であるため、この経路を遮断するのが最も現実的な予防策になります。
症状回復後も長期間にわたってウイルスが排出されることもわかっています。
なんか難しい感じで書いちゃったけど、予防のポイントはこの3つ!!
持ち込まない
集団で生活・活動する場所では特に感染拡大の恐れがあります。
症状のある人は、無理に登校や出勤をしないようにしましょう。
うつさない
ノロウイルスは人の手を介して様々なものに付着して伝播し、感染が拡大します。感染者はこまめに手洗いを行い、調理に従事しないようにしましょう。
殺菌・消毒して増やさない
ノロウイルスに汚染されたものは熱や消毒薬で殺菌・除去します。
ドアノブや便座・水道の蛇口や手すりなど手が触れる場所は消毒しましょう。
調理器具も消毒しましょう。
加熱が必要な食品は十分に加熱しましょう。
目安として、85℃以上で1分間以上の加熱で、感染性をなくせるといわれています。
感染者の糞便や嘔吐物は速やかに適切に処理しましょう。
殺菌・消毒方法
ノロウイルスを完全に失活化する方法として、次亜塩素酸ナトリウムと加熱があります。調理器具などは洗剤などで十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭くことでウイルスを失活化することができます。
又、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は85℃以上の熱湯で1分間以上加熱することも有効です。
アルコールに対しては抵抗性を持っているため、アルコール消毒はあまり効果がないです。
糞便や嘔吐物の処理方法
手順は5つのステップで行います
①使い捨てのマスク・手袋・エプロンを使用する
②ペーパータオルなどを汚物にかぶせ、次亜塩素酸ナトリウムをかけて10分程度放置する
③外側から内側へ、汚物が広がらないように拭き取る
④拭き取ったタオル・マスク・手袋・エプロン等はビニール袋に密封して廃棄
⑤処理後はしっかり手洗いも行い、十分な換気を行う
ノロウイルスのまとめ
1番重要なのは、小児や高齢者で起こり得る「脱水症状」を起こさないことです。
マスク着用による予防、手洗いうがいの徹底、必要箇所の消毒を行い、感染予防を行うことも重要です。
これからの季節、どんどん流行してくると思うノロウイルス。
みなさんお気をつけくださいーーーーー
ってな感じです。
ちなみに、DNAやらRNAやらの話の時の余談。
そのうち時間があるときに書いてみようかと思いますが、自分がこういった話が好きになったきっかけが小学生の時に出会った「パラサイト・イブ」という作品。
みなさんご存知ですか??結構有名ですよね。
ちょっと内容話すと、ミトコンドリアが人間を支配していくっていう話。
PSでゲームもやったし、小説も読んだし、映画も見ました。
いまだにこの作品のテーマというか、現実味のあるSFホラー感、世界観がすごく好き。
ミトコンドリアとDNA。わかる人なら分かりますよねーーー。
そのうち、まとめます〜
ではではーーーしぐでしたっ
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